まあギャグパートは頭空っぽにして楽しんでください。
あと、今週はネタ抜きで通常更新のみなので、その点はどうぞよろしやすm(_ _)m
次の物語
「みんな~? 準備はできた~?」
「そう言っといてホシノ先輩が一番遅かったじゃない! どこ行ってたの!?」
「あはは……まあ、ホシノ先輩も最後に見回りをしていたのかもしれないし、あんまり怒らなくてもいいんじゃないかな」
「そうそう。それに、あんまり怒ってたらセリカちゃんの可愛らしい顔が台無しですよ☆」
「ん、みんな準備できてる。……ところで、ホシノ先輩はこんな凄い機械をどうやって手に入れたの?」
「手に入れたっていうか貸してもらった感じかな。まあ、急に『自治区を空けるなら必要だろうから』ってミレニアムから送ってこられた時はおじさんもびっくりしたけどね」
「でも、これだけの数があればしばらくは私たちがいなくても大丈夫そう」
「本当、ホシノ先輩の交友関係には感謝ですね☆」
「────うん。みんな問題無さそうだし……それじゃ、行こっか」
「「「「はい!!」」」」
「……行ってくるね、ユメ先輩」
要請に応え、砂嵐の吹き荒ぶ大地から5人の少女が旅立った。
────────
「リオ、忘れ物はありませんか?」
「……そんな遠足に出かける子どもを見送る親のような視線を向けられても困るのだけれど。というか、今回はあなたも一緒に行くのでしょう? ヒマリ」
「ええ。そうですが、何か?」
「…………いえ、なんでもないわ」
「部長、車椅子だと時間がかかるからって手伝ってるはずなんだけど……茶番してる暇があるなら自分でスーツケースに荷物詰め込んでって言うよ? というかこんなに厚手の服っているの?」
「寒かったら困るでしょう? 特に、このミレニアムが誇る『全知』にして誰もが頷く圧倒的儚さを持つ清楚系美少女である私なんかは。というか、エイミは逆に薄着すぎるんです」
「会長、アビドスへ配備した新型AMAS全50機、無事に起動したようです」
「トキ、結局仕事は継続しているけれど、一応私はもう会長ではないのよ。……ところで、急にあんなに大量に送って引かれたりしていないかしら? 大丈夫よね?」
「……まぁ、ホシノさんなら困ったように笑う程度で済ませてくれるんじゃないでしょうか」
「ととっ、そろそろ時間ですね。それでは……行きましょうか、リオ」
「そうね。行ってくるわ、トキ。ユウカやノアも居るから問題ないとは思うけど、私たちが留守の間はミレニアムを任せたわ」
要請に応え、ようやく混乱から立ち直りつつある技術の都から二人の少女が旅立った。
また一つ、新たな物語が始まった。
────────
「……なるほど。事態の全容は掴めました、報告ご苦労です」
トリニティにて大規模な襲撃事件が起こった夜から一夜明け、場所はアリウス分校自治区のバシリカ。
そこには、跪く少女とそれへ鷹揚に頷く大人の二人分の人影があった。
「預言の大天使……百合園セイアは生存していた。それどころか策を巡らせる余裕さえある状態であり、疑心暗鬼で分断しておいたはずのトリニティは一丸となってあなた達を待ち構えていた、と」
「……はい」
一目見て分かるほどの高い身長と、女性ならば誰もが羨むような豊満な肉体。
そんな美しさを宿しながらもその人物から近寄りがたい印象を受けるのは、赤い肌と異形の頭部が原因なのか、はたまた身に纏う傲慢さが原因なのか。
「ひとまず裏切り者として確定しているのは白洲アズサ一人のみ。報告では……聖園ミカに関しては不明となっていましたか。とはいえ、預言の大天使が万全の状態で動いている以上は再度こちらへ取り込むのは不可能でしょう。これまでに聖園ミカに渡した情報は?」
「私たちから渡した情報としては……大まかな自治区内での生活環境の情報程度だったはずです」
「たしか同情を引くための物でしたか。とはいえ、アレは一度自力で私の自治区にまで辿り着いています。他にも何か嗅ぎ付けられていたかもしれません」
すらすらと現状の把握を進める異形の大人、ベアトリーチェ。
人間としては三流以下であろうと、やはりその指導者としての実力は疑うまでもない。
「面倒なのは……マクガフィンでしたか。件の指名手配犯の名は」
「はい。衣服などの特徴から見ても、本人であるのは間違いないかと。……しかし、何か問題が?」
「色々とあります。ブラックマーケットなどという程度の低い場所を根城にしている三流かと思っていましたが、聖園ミカを相手にして二度も逃げ果せているとなればその戦闘力は無視できるものではない。その上で手傷を負っていないとなると……いつぞやの黒服の話をもっと聞いておくべきでしたか」
「黒服……?」
「こちらの話です。あなたが気にする必要はありません」
そのままブツブツと潜伏地どころか経歴まで掴めないというのも面倒ですし、と異形の大人は続ける。正体のまるで掴めない危険人物、というのも相まってか、その姿からは不愉快の色が強く滲み出ていた。
「その……昨夜は拘束されていた仲間たちを解放してくれたようですし、そこまで警戒する必要があるのでしょうか。聖園ミカや百合園セイア、桐藤ナギサを襲撃していたようですし、同じ日陰に生きる者同士としてならば…………」
「漁夫の利を狙うため。油断させて取り入り寝首を掻くため。いくらでも可能性はあります。この程度ならばあなたでも気付けたでしょう、サオリ。あまり私を失望させないでください」
「……申し訳、ありません」
跪くサオリからの意見をピシャリと切り捨てるベアトリーチェ。
言葉遣いこそ褒められたものではないが、しかし語られる内容自体はどれも的を射ている。
そんな彼女の言葉や叱責を聞きながら、それでもサオリの内心を占めるのは全く別の不安であった。普段ならばまず考えられない事であるが、それどころでは無いような懸念があったのだ。
すなわち、それは────
「あの、マダム。一つお聞きしたいことがあるのですが……」
「なんですか?」
「その、今回の作戦は失敗しました。その失敗に関して────」
「ああ、罰則についてですか?」
作戦失敗に際して何か罰則が下されるのか、という懸念であった。
「……」
緊張した面持ちでゴクリと飲んだサオリの生唾の音が、沈黙に支配されたバシリカに響く。
そのまま待つこと数秒、ようやくベアトリーチェは口を開いた。
「今回の一件に関しては、預言の大天使による策略といった予期できないイレギュラーがありました。よって、罰則については不問といたします」
「っ! 本当ですか!? あ、ありがとう────」
そうして返ってきたのは、予想に反して非常に甘い対処であった。
普段の振る舞いからてっきり重い罰が下されると思っていたがために、喜びで顔を上げるサオリ。しかし、その感謝が言い切られることは無かった。
とはいえ、とベアトリーチェが続けたからである。
「とはいえ、使い物にならない者が居るというのは問題です」
「────え?」
「まともな戦力にならない者、すぐに投降するような意思の弱い者……こんな兵は私の自治区に必要ありません。近い内に実技試験を行い、一定の成績に満たなかった見込みの無い者は退学とします」
「なっ!? ま、待ってください!」
続けられた内容に、サオリが思わず声を上げる。
とはいえ、ベアトリーチェが告げたのはただの口減らしと同義なのだ。それに、今のアリウス分校の士気は酷く低下している。この状況でそんなことをすれば、下手をすれば数十人の犠牲者が出かねない。
一番大切な
そんなサオリに対し、しかしベアトリーチェは大して態度を変えずに語りかける。そこには、出来の悪い子どもを相手にするような一種の雑さが垣間見えていた。
「……はぁ。サオリ、これから起こり得る事柄の中で最も私たちが困る事が何か、分かりますか?」
「それは……自治区を襲撃される、とかでしょうか」
「いいえ。確かにそれは最悪に近いですが、しかし決して最悪にはなり得ないのです」
急激な話題の変遷に戸惑うサオリを置いて、異形の大人は続ける。
「攻め込まれたとしても、地の利が私たちにはあります。得意とするゲリラ戦も行いやすい。苦戦は強いられるでしょうが、間違いなく一方的な展開にはならないでしょう。それに、最悪の場合は自治区を一時的に放棄することも可能です。このバシリカ以外ならば爆弾などの設置も行えますし、向こうもその程度の勘定ができないわけがないでしょう」
「で、では……」
「私たちがされて一番困る事は、調印式の日程を延期されることです」
一つ一つ自身の正しさを説明するベアトリーチェに、ならば何が“最悪”なのかと少女は問いかける。
その答えは、どこか意外な物であった。
「より正確に言えば、私たちの策を予知した百合園セイアがその対応のために調印式を延期することです」
「なる、ほど」
「この場合、調印式の────より正確に言えばETOの乗っ取りはかなり困難になるでしょう。少なくとも、足手纏いを残しておく余裕は無くなる」
「……」
「それに、調印式が延期されればその間の物資も必要となります。現時点でも不足の見えている物資を、わざわざ使えない駒にまで割いてやる必要があるのならば教えてほしいものですね」
顔を俯かせ、サオリは静かに唇を噛み締める。
ここまで一つ一つ丁寧に、一つずつ骨を折るように語られてしまえば、相手の正しさを認めないわけにはいかない。
(……やはり。やはり世界は虚しいじゃないか。こんな簡単に、人が死んでいくのだから)
他の学園ならばともかく、アリウス分校を退学になってしまえば道は無い。自分達は生きる術を何も知らないのだ。
待っているのは、静かに迫る飢えによる死だろう。
「何を悩んでいるのです? あなた達アリウススクワッドならば問題ないでしょう。むしろ、不足していた物資が今よりも潤沢になる可能性すらあるのです。……錠前サオリ、あなたは何かを考える必要はありません。ただ私の言う通りに行動していれば良いのです」
これで話は終わりだと言わんばかりに断言すると、ベアトリーチェは背を向けようとする。
それに対しサオリができるのは、世界の虚しさを諦めながら承諾の言葉を返すぐらいで────
「何か、お困りですか?」
アリウス分校で、それもよりにもよってバシリカという聖域では聞くはずのない部外者の声が、静寂を切り裂いて響いた。
開かれた戸口の先、朝焼けの光を背に立つのは、白ずくめのガラベーヤと単眼レンズの顔が特徴的な機械の大人。
「……何者ですか?」
「おや? たしか黒服さんからお話が通っているはずなのですが」
ベアトリーチェが警戒を、サオリが敵意を差し向ける中、まるでそんなものはそよ風だと言わんばかりの飄々さで白ずくめの大人は語る。
その内容に対し、赤色の大人は同僚である人物が『最近出会った人物で、是非紹介したい方がいるんです』と語っていたのを思い出した。
「ああ……なるほど、あなたがそうでしたか。つまり、あなたも私たちと
「ふふっ、既に見当がついているようですね。とはいえ、私はまだまだ未熟者の身。皆様の集まりなどに出ることはできませんし、他の方にも恐らく知られていないかと」
自身が真に所属する組織、ゲマトリアの名は出さず、しかし遠回しに同輩なのかと問いかけるベアトリーチェ。
そんな彼女の質問に対し、白ずくめの人物もまた遠回しに答えを返す。
欺瞞に覆われた、誤解を招かさせるためだけの答えを。
「それで、今回は何の用ですか」
「いえ、何やら物資が入り用だと小耳に挟みまして」
そう言って、何かが表示されたタブレットを地面を滑らせるようにして渡す乱入者。
そこに示されていたのは、食料や弾薬などを始めとした大量の物資のデータと、相場よりも明らかに安い値段であった。
「……この場で取引するのはよろしくありませんね。少し待っていてください。えっと────」
「
「では結び手、後で応接間に案内します。少し外で待っていてください」
通常ならば足を踏み入れることさえ決して許されないはずのバシリカへ侵入した狼藉、それを問わないほどの焦りを見せながら、ベアトリーチェはそう告げた。
それを無視させるほどの魅力が、彼の持ち掛けた取引にはあったのだ。
(不足しがちな肉類や生鮮食品の数々、更には大きく消費した医薬品……2ページ目にはオリジナルとはいえ銃火器や防護服まで…………それを、この価格で!? この量の物資など仕入れ先を探す段階で困るはずだというのに)
「あ、あの……マダム、先程の計画については…………」
「そんなもの今はどうでもいいです。あなたも今日は結構です、下がりなさい」
「は、はい────」
何か裏がないか思案に暮れ始めたベアトリーチェに、半ば追い出されるような形でバシリカからの退出を命じられるサオリ。
そうして押し広げた扉を潜ると、少女は一足先にバシリカから出ていた大人に話しかけられた。
「おや、あなたは先程の」
「……錠前サオリだ。結び手といったか、何が目的だ?」
語気も荒く質問を叩き付ける少女。
その内心に感謝の念が無いわけではなかったが、しかし彼女の生きる世界は急に現れた大人を信じられるほど優しくは無く。むしろその人物が自分達の益になる行動をすればするほど疑わしくなるのが、少女の常識であった。
そんな敵意を受けながらも、白ずくめの大人は慣れた様子で肩を竦めながら答える。
「単にあなた達の苦しみを少しでも減らしたいだけですよ」
「は? ……馬鹿にしているのか?」
「案外、世界には子どもには幸せでいてほしいと思う奇特な大人も居るんですよ? ところで、話しかけた私から言うのもあれですが、よろしいので? そろそろ出てきますよ?」
まるで信じられるわけがない答えに激昂しそうになるも、しかし続く結び手の言葉がそれを許さなかった。
本来この大人に用の無いはずの自分があまり長居していては、あらぬ疑いをかけられかねないからだ。
「……チッ」
最後に一度睨み付けると、錠前サオリは家族の下へと戻るのだった。
(……何故。何故、誰も彼も容易く“幸せ”などという言葉を吐き出せる。そんなもの、これまでどこにも無かったじゃないか)
何か言いようのない苛立ちを、その内心に抱えながら。
────────
場所は移り、時刻はお昼時。
トリニティ総合学園の玄関口とも言える一際大きな駅に、二人の少女が降り立っていた。
「んー、やはり列車での長旅というのは疲れますね」
「特にあなたの場合は車椅子もあって外に出る機会も多くなかったのだし、尚更でしょうね。不調が出ていたりは?」
「いえ、そこまでは。……しかしどうしましょうね。少し早く着きすぎてしまったようですし」
「遅延や乗り換えのことも考えて早めにミレニアムを出たのが仇になったわね。合流の予定時間までは、あと……」
「三十分と少しはありますね」
車椅子に座る儚げな白髪の少女の呟きに、全体を黒でコーディネートした長身の少女が答える。
平日の昼時ということもあってか、同じように列車から駅へと吐き出された人の多くはビジネスマンといった装いの大人ばかりであった。
そんな中でも目立たないほどの大人びた気配を纏いながら、黒髪の少女は腕時計を確認して『さあどうしようか』と悩む。
傍らの白髪の少女もまた、似たような様子で『さすがに早すぎましたかね』と呟きながら横を進む。
と、そんな二人が改札を出たあたりの事であった。
「……あら?」
「人だかり……何かイベントでもやっているのかしら」
ざわざわと、目の前に人だかりができていたのだ。しかしながら、歓声などは一つたりとも上がっていない。
「……」
「……」
時間に余裕もあるということで、目を合わせて一つ頷きを交わした二人の少女は人だかりの中へと進んでいく。そうして人々が何に集まっているのかが見えるようになった辺りで、彼女たちは気付いた。
この人だかりは、何かイベントや見世物に集まっているわけではなく。
むしろ近付きたくないものを────それでいてどうしても視界に入ってしまう程強い印象を与えるものを遠巻きに眺めていたのだ、と。
「えっと……あれは、生徒…………なの、かしら?」
「おそらく……?」
冷静さと思考力に優れたミレニアム生の中でも一際優秀な二人が、自身のペースを失して困惑も露わに狼狽する。おおよそ彼女らの知り合いが聞いたところで信じられないであろう光景である。
しかしながら、そんな二人の目の前にはそれ以上の衝撃的な光景が広がっていたのだ。
あるいは、これまでの人生で積み上げてきた常識を疑ってしまうような光景が。
そう、トリニティらしい優雅さに包まれた学園敷地へと続く駅前の広場には、スクール水着を身に纏った少女が立っていたのである。
スクール水着を、身に纏った少女が、立っていたのである。
そう。明らかにプールでも何でもないはずの場所で、スクール水着を身に纏った少女が、である。
「えっと……これは、どういう事なの? もしかして、トリニティではアレが普通だったりするのかしら? それとも私の幻覚?」
「落ち着きなさい、リオ。信じられないのも分かりますが、一先ず現実を受け入れましょう」
「あんな現実受け入れたくないのだけれど」
「……それもそうですね」
珍しく食い気味に答えるリオに、ヒマリも納得の言葉を返してしまう。それぐらいには、ヒマリにとっても受け入れがたい光景であったのだ。
これがせめてゲヘナであったのならば受け入れようもあった。あの無法地帯として名高い、あの調月リオの固い雰囲気を柔らかくさせた実績のあるゲヘナならば。
しかしながらここはトリニティ総合学園である。
伝統を受け継ぐお嬢様的な生徒の集まる、トリニティ総合学園なのだ。
そこでまさかスクール水着で徘徊をする変態と遭遇するなど考えもしていなかった二人にとって、目の前に広がる光景は到底受け入れがたいものなのであった。
「もしかして、暑かったのかしら?」
「エイミと似たようなタイプ……ですか? たしかに髪の色や背の高さも近しいですしねって言うわけがないでしょう!? 私のかわいい後輩をあんな痴女と一緒にしないでくださいませんか!?」
どうにか受け入れられそうな理由を探すリオと、それに噛みつくように反応するヒマリ。そんな珍しい漫才のようなやり取りを繰り広げる二人であったが、どうやら少しばかり騒ぎすぎてしまったようだ。
「……ねえ、気のせいかしら。視線を向けられている気がするのだけれど」
「…………やはりリオにもそう見えますか? できれば私の勘違いであってほしいんですけど。今からでも見間違いだって事になりませんか?」
ポツンと立つスクール水着の人物に、気付かれてしまったのだ。
否。気付かれただけではなく────
「ちょ、ちょっと……近付いてきたわよ!? さっきの声聞かれてたの!?」
「流石にそれほどまでの声は出していないはずですが……今から逃げれば間に合うでしょうか」
「……どうでしょう。でも、その場合はあなたの方がどうしても遅れてしまうでしょう。私は嫌よ?」
「そうなると、腹を括るしかありませんか」
ぐっと身構えるようにしてスクール水着の少女へ向き合うリオとヒマリ。
二人が浦和ハナコと名乗ったその少女に会議前の待機室へと案内されるのは、その数分後の事であった。
ちなみに二人はその間の記憶がほとんど無いらしい。衝撃的すぎて脳の処理が追い付かなかったのだろう。
南無三。
────────
時計の針がしばらく進み、およそ二十分後。
「いや~、列車の長旅ってのはやっぱり疲れるね~。おじさん、もう腰が限界だよ~」
「ん……じゃあ私が背負う? 大丈夫、先生で慣れてる」
「いやいや、さっきのはアレだから! 冗談だからね!? さすがにこの人の中でそれはおじさんも恥ずかしいからね!?」
「……私も冗談だった」
「そう言いながらちょっと残念そうな表情してない? シロコちゃん」
「なんというか……きれいな場所ですね」
「うん……なんて言うの? 優雅って感じだよね、アヤネちゃん」
「この駅はトリニティ総合学園の現在の本校舎が建てられたのと同時期に作られたはずなので、その頃の建築様式ですね。定期的に改修工事は行われているそうですが……中々圧倒される景色ですね」
「そんなに古いんですか!?」
「うひゃー、維持費どれぐらいになるんだろ」
今度は五人の少女がトリニティ総合学園前駅へと降り立っていた。
仲睦まじい様子で若干の姦しさを伴いながらも駅を進む少女たちは、改札を出たあたりで謎の人だかりを見つけることになる。
「ん、何かのイベント?」
「特にそういった情報は無かったはずですけど……」
「でも、ちょっと気になりますね☆ 行ってみませんか?」
「えぇ!? でも時間大丈夫なの!?」
「一応ちょっとは余裕があるからね~。それとも、セリカちゃんは気にならない?」
「それは……ちょっとは気になるけど」
「じゃあ行こ~」
少女たちが衝撃的な光景に唖然とすることになったのは、言うまでもない事であったが……それはまぁ、また別の話であろう。
南無三。
以下、『いくらハナコでもこんなことするか?』という飛んできそうな質問に対する
時系列順に説明すると、
午前中にある会議は内政に関わる部分(ミカの処遇や復興計画等々)のため、補習授業部はフリーになる。
↓
しばらくはスク水徘徊のできない脱ぎ納めという事でハナコがはっちゃける。
↓
補習授業部+先生が手分けして捜索
↓
外部協力者(ミレニアム・アビドス組)の迎えにはセイアが向かうつもりだったが、会議が長引きそうだから厳しいかもしれないと先生に連絡が飛ぶ
↓
一先ず誰かしらは案内に向かわなければと補習授業部のグループに先生が連絡
↓
ちょうど最寄りだったハナコがとりあえず向かう(着替えは校舎に戻る必要があるためスク水のまま)
↓
びっくりするほどワンダーランド
以上、作者による
「────おやおや、随分久々な連絡じゃぁないか」
『ご無沙汰してます。いやぁ、急な電話ですいませんね。実は少しばかり手を借りたい事ができまして』
「ほうほう。それは、あの陰気でつまらない自治区を賑やかにしている彼にも関わる、という事でいいかい?」
『さすがに耳聡いですね。……ええ、と肯定したいところですが、実は完全に絡むわけでもないんですよね』
「つまり、私の予測通り今の彼の動きは独断であるというわけか」
『…………話が早い事を喜ぶべきか、順調に行動が読まれつつある事を嘆くべきか。どっちですかね』
「それは君が決めることだろう。にしても、ということはついに君と彼の蜜月も終わりかい?」
『まさか。何が起きようと、私は彼の味方であるために動きますよ?』
「手酷く切り捨てられる可能性があってもかい? 随分と覚悟が決まってるじゃないか」
『まあ。お嫌いですか?』
「極まった馬鹿は嫌いじゃないさ。私たちも似たようなものだしね。……それで、報酬はちゃんと我々の望む物を用意してるんだろうな?」
『どちらかと言えば約束手形になりますがね』
「────ほう? 詳しく」
『────────といった感じですかね』
「……ククッ、ハーハッハッハ!! それはまた大きく出たな!」
『さて、どうです?』
「いいだろう! その話、乗った!!!」
最後になりましたが、レイグラーファン さん、綿本流 さん、カエさん さん、ただ一変 さん、ユーン さん、人理 さん、蟹の剣 さん、Morigan さん、KRYO995 さん、春夜502 さん、あたらか さん、アーテル2 さん、評価付与ありがとうございました!