【本編完結】黒く濁った罪を背負って   作:RH−

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黎明

「…………」

 

 険しい表情を隠しもせずに、キヴォトス全体の地図を眺めて顎に手を当てる先生。

 キヴォトス各地に出現した『虚妄のサンクトゥム』を攻略する先生たちは、これまでの着実な攻勢が幻であったかのように押し込まれつつあった。

 

(……どうする? どうすればいい?)

 

 自問自答のように思考を巡らせる先生の脳裏に、いくつもの手が浮かんでは消えていく。

 

(まず手を打たないと駄目なのは、新たに出現した2本のサンクトゥムだけど)

 

 第7サンクトゥム────ゴズが守護者として顕現していた、2本のうち先に現れた方だ────は、かなり切迫した状況にあった。

 そもそも、ゴズ以上の脅威としてベアトリーチェらしきナニカが敵に現れたというのに、先生らの側はマクガフィンの分体という心強い味方が斃れたのだ。これで状況が悪くならないわけがなかった。

 

 今はベアトリーチェが嬲るような戦い方をしている事もあってか完全な破綻にこそ至っていないが、だからこそ早く手を打たねばならないだろう。

 

 そして、最後に出現した第8サンクトゥムもまた差し迫った脅威となりつつある。

 こちらに関しては、出現の察知が遅れたというのもあるが、何よりも大きいのはそのエネルギー反応の強大さだろう。

 

 なにせ、守護者が消えたことで宙ぶらりんとなっていたサンクトゥム約3本分のそれが第8サンクトゥムには注ぎ込まれているのだ。先生らには知る由も無い事実ではあったが、それが他の物と同程度に収まるはずがなかった。

 加えて、第8サンクトゥムには念のためアビドスで待機していた対策委員会と便利屋68以外に増援を派遣できていない、という事実も先生の焦燥を深める要因となっていた。

 

 もっとも、これに関しては“ここまで強力な反応が出ているのなら中途半端に生徒を向かわせるのは却って悪手になる”というのと“第7サンクトゥムでは既に生徒が危険にさらされている”という事実があるからこそなのだが。

 

(とにかく、順にサンクトゥムを攻略して生徒を向かわせていくしかないか)

 

 ともすれば戦力の逐次投入にもなりかねない手ではあるが、先生に打てる手はこれぐらいしか残されていないのもまた事実。

 眉根を寄せる表情からは、自身の無力を嘆く色がこれでもかと漏れ出ていた。

 

 幸いなことに、第4サンクトゥムに関しては────つまりはヒエロニムスに関しては────異変を察知したカシスが少しだけ無茶をして押し切った事で攻略が完了している。

 残る第3、第6は守護者が凶暴化した事で苦戦しているが、少なくとも一部隊分は第7サンクトゥムに増援を回せるだろう。というより、既にカシスたちにはアリウス自治区に残されていた飛行船を用いて移動してもらう手はずになっている。

 

 もう30分もしない内に、第7サンクトゥムへと増援は到着するだろう。

 

(ひとまず、小さな事から着実に進めるしかない。欲張れば絶対にそこから崩れてしまう)

 

 そう当座の方針を定めた先生は、しかしまだ気付いていなかった。

 その見通しは、まだまだ甘く楽観的なソレになっていた事を。無意識下に前提としていたサンクトゥムの攻略は、そもそも果たせるかすら不鮮明であるという事実を。

 

 楽観の代償は、ペロロジラよりも先にKAITEN FX MK.∞が倒れるという形で現れた。

 

 

────────

 

 第6サンクトゥム攻略戦、すなわち守護者として顕現したペロロジラの撃破を試みていた少女らには、絶望的なムードが漂いつつあった。

 なにせ、彼女らの目の前で行われていたのは『巨大ロボvs怪獣』とでも形容するべき代物だったのだ。映画館のスクリーン上ならともかく、現実で繰り広げられたソレに矮小な人の身でできる事など、たかが知れているというものだろう。

 

 そして、少女たちの側であったカイテンジャーは乾坤一擲の一撃を最後に倒れてしまったのだ。

 

 もちろん彼女らが諦めて膝を突くことは無かったが、それでもその胸中に諦めの色が浮かんできたとして、誰に責めることができようか。

 立ち込める暗雲は、少しずつ少女たちの心にまで染み込み始めていた。

 

 

────────

 

 所変わって、スランピアは第3サンクトゥム攻略戦。

 とある青年の識る物語通りの面々で構成された攻略部隊の生徒たちは、雲行きが怪しくなりつつあることを肌で察知していた。

 

 それは、しばらく前の『7本目のサンクトゥムが発生した』という連絡から少しずつ指揮を執る先生の声が固く変化していっている、というのもあったが。

 何よりも大きかったのは、スランピア全体の雰囲気がより重苦しい物に切り替わったという事実であった。

 

 そこに加えてクロの攻撃に新たなレパートリーが増えたとなれば、勘付かない方がむしろおかしいというものだろう。

 しかしながら、そんなわけで攻略を急ぐ少女たちを阻むようにクロの猛攻は強まる。

 

 特に、新たに増えた受けると足がやけに重くなる攻撃は、被弾した生徒にそれ以降の攻撃を絶対に躱さなければと思わせるナニカが存在した。

 思うように攻略が進まなくなるのも、当然だと言えるだろう。

 

 焦燥感と共に、黒い雲が少女たちの心に漂い始めていた。

 

 

────────

 

 場所は移り、トリニティ自治区。

 総指揮をナギサに一任し、自身はトリニティ筆頭の生徒としてバルバラやアンブロジウスといった厄介な色彩の尖兵を狩り続けるキツネ耳の少女。

 

 自治区が広大であるが故に肥大化した戦線の最前線を駆けながら、彼女は表情を険しくしていた。

 

(まずいな……少しずつ天秤が傾き始めている)

 

 真綿で首を締められるように、防衛戦を行う生徒たちからはジリジリと余裕が奪われ始めていた。

 そもそも、敵側の雑兵であるバルバラやアンブロジウスは、しかし彼女や剣先ツルギといった学園主力級の生徒であっても少し手こずるほど強いのだ。

 

 一般生徒では、どうしても荷が勝ってしまうだろう。

 

 その上で、彼女には別の懸念が生まれていた。

 

(さっきから、視える未来がどれも悪い物ばかりだ。早く、何か手を打たなければ……)

 

 彼女を象徴する、未来予知という能力。

 色彩の影響か上手く視え辛くなったソレであるが、しばらく前から予知に映る光景は悲劇的な物ばかりで固まっているのだ。

 

 けれども、積もる焦燥感とは裏腹に彼女には色彩の尖兵を狩る以上の事はできない。

 彼女がバルバラやアンブロジウスの処理を遅らせてしまえば、その瞬間にでも戦線が瓦解しかねないからだ。

 

(なにか、なにか…………なにか無いのか!?)

 

 それでも諦められず、必死に思考を回す少女。

 そんな彼女の視る未来の景色が、不意に。

 

「────は? いや、嘘だろ…………」

 

 混沌に沈み行く盤面は、更なる変化を迎えつつあった。

 これまでの、どこかゆっくりと着実な色を孕んでいたソレとは異なる。大きく急激な、そんな変化を。

 

 

────────

 

 各地で加速度的に悪化する状況。

 未だ残る第3、第6、第7、第8サンクトゥムは当然として、各自治区の防衛戦においても雲行きは悪くなっている。

 

 これまでの進捗が着実なものであったからこそ、ここに来ての停滞は大きく響く。ジリジリと追い込まれつつあるのが分かってしまう盤面は、そのまま生徒たちの心まで絶望に追い込もうとしていた。

 

 しかし、その只中で。

 強く両の足を踏みしめて、叫ぶ少女がいた。

 

「────私は、嫌です。こんな、最後の最後でバッドエンドに終わってしまうような、暗くて憂鬱なお話は。それが正しい世界の終わりなのだとしても、私は好きじゃないんです!」

 

 彼女が立つのは第6サンクトゥム攻略戦の最前線。

 苛烈な戦場の中心にて、けれども少女は大きく声を上げる。

 

 

 

「私には、好きなものがあります!」

 

 

 

 喉よ張り裂けろと言わんばかりに、強く。

 この声を、宣言を聞けと言わんばかりに、必死に。

 

 

────────

 

 同時刻。

 世界に響く声は一つではなく、第3サンクトゥムにおいても。

 

「────うん。こんな嫌な展開、私たちじゃないよね!」

 

 第6サンクトゥムにて少女が叫んだ声が聞こえたかのように、常の溌剌さで一人の少女が大きく声を上げる。

 

「お姉ちゃん……?」

「たとえ現実がゲームのようにはいかなくても……乗り越えられない辛いことが待ち受けていても! それでも、私たちが目指すのはハッピーエンドなんだから!!」

 

 双子の妹の声には答えず、されど少女は高らかに謳い上げる。

 どんな時だって諦めずに貫いてきた、彼女の芯にある想いを。

 

「……! そう、だね。お姉ちゃんが書くシナリオは、いっつもそうだもんね」

「ふふ、うん。予想できない斬新な展開もいっぱいだけど、最後はハッピーエンドだもんね」

 

 そんな彼女の声に、はっと目を見開いたように二人の少女が答える。

 そして、そうなれば同じ部活の残る二人もまた。

 

「はい! ……でも、ミドリ、ユズ! それじゃ違いますよ! ね、ケイ!!」

「……はぁ。()()()が作るゲーム、私たちの物語(クエスト)…………ですもんね」

 

 こういうのは柄じゃないんですけど、なんて呟く少女は、しかしそれを心底嫌がっている様子ではなく。

 僅かに頬へと朱を注ぎながらも、彼女は姉と並び立って希望へと手を伸ばす。

 

 今は暗闇に覆われたその先に、少しだけ光が見えた気がした。

 

 

────────

 

 場所は移り、アビドス砂漠に屹立した第8サンクトゥム。

 そこには、その存在を刻み込むかのように雷を撒き散らす“神々の星座”の紛い物がいた。

 

「…………」

 

 これから挑むことになるその姿を前に、少しだけ怖気づいたみたく足踏みをする少女たち。

 しかし、その中で一番前に立つ桃髪の少女は、さらにもう一歩を踏み出してコクリと頷いた。

 

 何かが聞こえたわけではない。第6サンクトゥムも、第3サンクトゥムも、この場所からは遠く離れている。

 

 けれども、彼女は何かを感じ取ったみたいに薄く微笑みながら、口を開いた。

 

「大丈夫だよ、みんな」

「ホシノ先輩……?」

 

 名を呼ばれながらも、少女は振り返らず。

 ただまっすぐと背筋を立てて、静かに言葉を紡ぐ。

 

「辛いことも、苦しいことも……苦難は、この世界に溢れている。でも、それだけじゃない。それだけじゃないの」

 

 凛と透き通った声は、嵐にも雷にも負けずに耳朶を震わせる。

 まるでその一画だけ何もかもが凪いでいるかのように。あるいは、彷徨う旅人の頭上で導となる北辰の輝きのように。

 

 まっすぐに、揺らがずに。

 

「苦難は乗り越えられるものだし、努力は報われるもの。色々な人との出会いが、色々な場所の歴訪が、色々な事の経験が、きっとそれを支えてくれる」

 

 それは、紛れもなく彼女自身の内から出た言葉であった。

 誰か(あの人)ならこう言った、なんて想像ではなく。ましてや、励まさなければ、なんて義務でもなく。

 

 彼女が、誰でもない小鳥遊ホシノとして歩んできた道のりの中で得た。

 そんな、言葉であった。

 

「どうしようもないって思っちゃうことにも、きっと可能性は残されてる。手遅れなんてどこにもない。諦めない限り道は続くし、奇跡だってこの世界には存在する」

 

 それが彼女の敬愛する先輩の気配を纏っているのは、きっとそれだけ彼女が成長できたという事の証明なのだ。

 素直になれず甘えるばかりな後輩であった少女が、先輩として後輩たちの前を進むようになったという。

 

 そんな、小鳥遊ホシノの強さの証明なのだ。

 

 

「そう。きっと、道はずっと続いている。だから、その先に私たちの“朝”は待ってるの。透き通った(Clear)綺麗な朝(Morning)が」

 

 

 進む背に揺らぎはなく、踏み出す足に迷いはない。

 少女たちの前には、朝焼けのように少しずつ光が差し始めていた。

 

 

────────

 

 同時刻、第7サンクトゥム。

 マクガフィンの分体が斃れ、ミカが折れ、圧倒的なまでの苦境に立たされながらも少女たちは諦めずに足掻いていた。

 

 けれども、戦力差という物は絶対的な壁として彼女らの前に立ち塞がる。

 

『サオリィ! ほら、こんなものですか!? あなたの信じた幸せというのは、この程度なんですかァ!?』

「くっ……」

『キャハハハ! そろそろ諦める頃ですか!? ほらほら、認めれば楽になれますよ!? 希望を抱いてごめんなさいって! 幸福を望んでごめんなさいって! キャハハハハハハハハ!!』

 

 これがもしマクガフィンの協力が無くなっただけであったならば、ここまで酷くはならなかった。

 そもそも彼の参戦は想定の外側のソレであったのだから。

 

 けれども、その際にミカの心が折れてしまったのが良くなかった。

 なにせ、彼女はこの6人の中で最も強い生徒なのだ。それが行動不能に陥れば、影響など考えるまでもないだろう。

 

 だが、そんな事実は聖園ミカという少女の心には何の力も持たない。

 それだけ、先ほど繰り広げられた光景は彼女にとって堪える物であったのだ。

 

 目を閉じずとも、少女の脳裏では先の光景がフラッシュバックしている。

 ぞぶり、と黒色の背中を突き抜けるのは、凶悪な鉤爪に彩られた枯れ枝のような細い腕。それが、銀河のような黒色の奥に赤色を揺らめかせながら蠢く。

 まるで、その身から流れ出た血を示すように。まるで、その身から大切なナニカを破壊してしまおうとするように。

 

 どこか心の中で大丈夫だと頼りにしていたその人は、ダラリと四肢を垂れ下がらせて、力なくその腕に引っかけられるように。

 そのまま容易く持ち上げられて、ゴミのように投げ捨てられた。

 

 地へ落ちたその身体は、まるでその存在を薄れさせるように色褪せ始めていて。

 それが否応なしに、先の攻撃が致命傷となった事を理解させるようで。

 

 容易く、呆気ないぐらいにここにいた存在が死へと向かっていっていることを表していた。

 

 そしてそれは、その最悪な光景は。

 もしかして、本体である彼も同じようになってしまうんじゃ、なんて。結局間に合わずに救けられないんじゃないか、なんて。

 

 

 もしかして、何もかも無駄に終わってしまうんじゃないか、なんて。

 

 

 そんな風に彼女から何か行動を起こそうという気概を奪い去るには、十分過ぎるほどであったのだ。

 相手へ向ける想いが強いからこそ。その反動もまた、強く、そして大きくなる。

 

 

「────ミカ!」

 

 

 しかし、そんな苦境の只中で声が響く。

 膝を突く少女の名を呼ぶ、そんな声が。

 

「サオ、リ……?」

 

 叫んだのは、かつて彼女に救われた少女、錠前サオリであった。

 ベアトリーチェの模造品に必死の抵抗をしながらも、彼女は続けて叫ぶ。

 

「それが、マクガフィンの望んだものなのか!? そうして絶望して、膝を突くのが!」

「────それ、はっ」

 

 核心を突く問いは、強い響きを伴って轟く。

 “世界は虚しい”という言葉に抗う事を決めた少女の、その芯の強さを示すように。

 

「そもそも、お前が教えてくれたんだろう!? 暗闇に閉じ込められていた私に、世界はそれだけじゃないんだって! 諦めなくていいんだって!! 今さらお前だけが折れるなんて、許すと思うなよ!?」

 

 在りし日の情景とは逆に、サオリがミカに手を伸ばすよう叫ぶ。

 折れて膝を突く少女に、諦めてなるものかと。

 

「立てよ、ミカ! 私は進むぞ!! この苦難を超えて、その先に! 希望の朝へ!!」

 

 声は朗々と響き渡り────遂に、緋色の空を裂いて光が注ぎ始めた。

 黎明の時は、すぐそこに。

 

 

────────

 

 場所は上空、アリウスに残されていた飛行船の艦内にて。

 

「ああ……やっぱり、そうですよね」

 

 すっかり手に馴染んだ槍を携えながら、少女が呟いた。

 窓越しの視線の先には、キヴォトスの大地が。

 

 けれども、少女は彼女にしか見えないモノを瞳に収めながら言葉を紡ぐ。

 その納得の響きには、これ以上ない程の信頼と敬愛と、そして堪えきれなかった僅かばかりの思慕が乗せられていた。

 

「あなたが護りたいのは、愛しているのは。私たち子どものハッピーエンド、ですもんね」

 

 どこかうっとりしたように、少しだけ眼を細める少女。

 そんな彼女の視界には、キヴォトス各地から立ち昇るように溢れ始めた生徒たちの神秘の光と。飛行船の向かう先で、鼓動を響かせるように再び強まりつつある純白の煌めきが映っていた。

 

「────はい。私も、あなたの大好きなハッピーエンドを護れるように頑張りますね」

 

 終わりの瞬間までは共に進める事を喜ぶように、そして悲しむように。

 決意を改めた少女は、差し込み始めた陽の光へ向けて踏み出した。

 

 

────────

 

 場所は戻り、第6サンクトゥム攻略戦。

 一番最初に叫んだ少女は、自身を平凡だと卑下する少女は。

 

 遂には目の前にまで進攻してきたペロロジラを前に、それでもと声を上げていた。

 

「私には、好きなものがあります! 平凡で、大した個性もない私でも……好きなものだけは、絶対に譲れません!!」

 

 少しずつ空を覆う雲が薄くなっていることにすら気付かずに、少女は叫ぶ。

 こんな所で諦めてなるものかと。終わってなるものかと。

 

「友情で苦難を乗り越え、努力がきちんと報われて、辛いことはお友達と慰め合って……! 苦しいことがあっても……誰もが最後は、笑顔になれるような!」

 

 はたして、彼女は理解しているのだろうか。

 今彼女が起こしつつある事象は、“奇跡”なんて言葉でも生温いほどの事であることを。

 

 

「そんな────そんなハッピーエンドが、私は好きなんです!!」

 

 

 キヴォトスで唯一、先生のみが可能としているソレ。

 すなわち、物語のジャンルを、文脈を書き換えるという超常。

 

 彼女の宣言を始まりに、世界を覆っていた暗雲が晴れ始めていることを。

 

「誰が何と言おうとも、何度だって言い続けてみせます! 私たちの描く物語は、私たちが決めるんです! 終わりになんてさせません、まだまだ続けていくんです!!」

 

 遂に、雲が晴れる。

 緋色が、元の青く透き通った色に染め返される。

 

「私たちの物語…………」

 

 黎明が、夜明けが。

 たった一人の、誰でもない平凡な彼女の声で訪れる。

 

 

 

「私たちの、青春の物語Blue Arcieveを!!!」

 

 

 

 今、この瞬間を以て。

 破綻へと沈む悲劇は、希望へと続く喜劇に覆えし返された。

 

 陽の光を背に右手を掲げる少女は、どこまでも強く、美しく、そして晴れやかに輝いていた。

 

 

 




最後になりましたが、A卿 さん、夏福 さん、評価付与ありがとうございました!
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