AREA-81██インシデント記録   作:相武博士

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財団の理念は、確保、収容、"保護"である。
-███-


プロローグ

 

サイト-81██:空間現実濃度観測室

 

「ん?」

 

配線が見える装置、積み重なった文書、まるで小さな民間の研究室のようなサイト-81██の空間現実濃度観測室にて、そこで観測していた職員の1人が、カント計数器の針が僅かに振れていることに気づいた。

 

「あの、主任、これを見てください」

 

職員は主任を呼んで、微細な変化が起きた計器を見せた。

 

「あれ?」

 

しかし、主任が来た頃にはその変化は無く、通常と同じく基準値であった。

 

「見間違いか?まぁ、よくあることだよ」

「そうなんですか……」

 

主任は自身の席に戻り、職員は同じく観測を再開した。

 

「疲れてるのかな」

 

報告書作りの為、三徹していたなと思い、観測員はそう呟いた。しかし、

 

ピピピピピピピヒ

 

「!?」

 

突然部屋中の全ての計器から、警告音がなり始めた。

 

「おいどうした!」

「この部屋で観測しているカント計数器など、ヒューム系列観測機器がヒューム値の急激な上昇を観測しています!」

 

計器の針は、書かれている最大数値をオーバーする程に振れていた。

 

「直ぐにサイト管理官に連絡する!君たちはこの変化が起こっている場所を特定してくれ」

「分かりました」

 

もう1人の職員の見る画面では、サイト-81██の立地するAREA-81██のあちこちに反応が起こっていた。

 

 

 

 

 

 

AREA-81██:集落

 

AREA-81██の唯一の()()の集落では、エージェント側臥が潜入任務で、いつものように鈴奈庵で本の調査をしていた。エージェント側臥の服装は、集落の住人と同じくなっており、通信機器は目立たなくなっている。

 

「今日も来てくださいましたか。いつもご来店ありがとうございます」

「いや、ただの立ち読みですよ……」

 

話しかけてきたのはこの鈴奈庵の店主、本居小鈴である。

 

「でもたまに買うじゃないですか。そもそもこの店に来る人は少ないんですよ」

「はぁ」

 

何故この店に人が来ないのか。それは妖魔本という普通の人はまず読まない本を扱っているからだとエージェント側臥は思った。

また、ここの本をエージェント側臥がたまに買う理由は、財団やそれに関するアノマリーの記述を発見したからである。

 

「あとよく来てくれる人は魔理沙さんくらいですかね」

「魔理沙?」

「側臥さんは知らないんですか?魔法の森に住む物好きですよ。霧雨道具店という何でも屋をやってるとか」

「ふーん」

 

そんな雑談をし、鈴奈庵を出た。そして、しばらく歩いていると通信機器から通信が入った。

 

「CPからエージェント各員へ、AREA内から異常な現実濃度の変化が見られた。異常な変化が見られた場所はAREA内の様々な場所である為、詳しい地点は携帯端末に送る。至急調査してくれ」

「エージェント側臥、了解」

 

司令部からの連絡に応答したエージェント側臥は、自然に裏路地に入り携帯端末を確認した。

 

「ん、近いな」

 

地図で示されている。エージェント側臥から1番近い場所は、今現在いる場所100メートルちょっとの所だった。

 

「別に騒がしくもないな」

 

集落、というかちょっとした江戸時代の町の路地裏から耳を済ませているが、何かが起こっている様子もない。

 

「まぁ行ってみるか」

 

エージェント側臥は、地図に示されている地点に向かった。

 

 

 

 

 

 

前哨基地-███:兵器庫

 

「なぁ、知ってるか」

「何が?」

 

銃火器などがある兵器庫で、2人の職員が銃器の手入れをしていた。

 

「この基地にオレンジスーツが搬入されてるって噂」

「知らんな」

 

慣れた手つきで小銃を整備していく中、そんな噂話をしている2人。

 

「それでだ、この基地に使われてない場所があるだろ」

「あるな」

「そこにあるみたいだぞ」

 

オレンジスーツと言えば、連合の中でも強力な兵器であることは誰でも知っていた。2世代も先の技術に邪径技術が使われていて、個人装備では1番強力であると言えるだろう。

 

「だとしても財団との条約で禁止のはずじゃ」

連合(俺たち)が財団の言うことをハイハイ聞くと思うか?」

「……確かに」

 

財団と連合は相互に利用していて、共通の敵が現れた時しか協力しない。また、正常性維持機関という共通点もあり、ライバル的存在でもあるのだ。

その後、2人は黙々と整備を続けた。が……

 

「物理部門評価班791の隊員は、直ぐに会議室1に集まれ」

 

突然の放送に、整備していた小銃は取り敢えずそのままにし、部屋を出る。

 

「一体何なんだ?」

「分からない。突然集まれと言われただけだからな」

「そうか。何だか嫌な予感がする」

 

そういった途端、隣のヤツが怪訝そうな顔で見る。

 

「あんたの勘が当たった事は無かったと思うが?」

「別に雰囲気で言ってるわけじゃないさ。マジだ」

「雰囲気でも何でも良いが、フラグだけは立てるなよ」

「分かってるよ」

 

彼の感が当たったのか知らないが、ほとんどの職員が会議に集まっている所少し遅れた2人。会議室の正面のプロジェクターの横にいる上官が神妙な面持ちで2人が座るのを待っている。

 

「あー全員集まったか?」

 

上官の声かけに、2人を含めた職員たちが頷く。プロジェクターに地図が映る。

 

「これを見てくれ」

 

地図には、赤い点が各地に点在している。

 

「これはさっき観測班から送られきた資料だ。これらはAREA内の一部に異常な現実濃度、それと関連があるとされるEVE放射、第6生命エネルギーまでもが観測された」

 

プロジェクターの表示されている内容が変わり、写真が写る。

 

「魔法の森の中で瘴気の調査をしていた職員が、通信の途絶する直前に送られてきた写真だ」

 

写真には、にわかには生物とは思えない、"異形"としか表現出来ない存在が写っていた。しかし、彼らにとって見てすぐ脅威と分かるものは幾分か楽であった。

 

「君たちには奴らの調査をしてきて貰いたい。何か質問はあるか?」

 

少しの沈黙の中、1人が手を挙げた。

 

「出撃する上で財団との共同作戦になるんでしょうか?」

 

上官は少し悩み、こう述べた。

 

「この作戦での連携は予定していない」

 

上官がプロジェクターを消し、電灯を付ける。

 

「質問はもう無いな、これでブリーフィングは以上だ。行ってこい」

ラジャー(了解)

 

こうして、会議室からが評価班の隊員たちが出ていく。上官はただ、その後ろ姿をただ眺めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

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