転生したと思ったら異世界転移した   作:Yuki5021

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8話 波に備えて②

 フェリーとテルシアのレベルが40になり、エルハルトのところに約束した装備を取りに行く日になった。

 俺たちはまずクラスアップをすることにした。

 

 

 

「錬、久しぶりだな。お前もクラスアップか?」

「ああ」

 

 龍刻の砂時計のある建物の入り口付近で元康に会う。元康の銀色の鎧を見るに、ちゃんと適正レベルまで上げているようだ。相変わらずのハーレムパーティだが、レベル上げはちゃんとやっているらしい。

 

「お前…装備にはこだわらないタイプか?」

「いや、そういうわけじゃない。新しい装備をまだ店に受け取りに行ってないだけだ」

「ああ、そういうことか。ま、お前がへましてもちゃんと俺がカバーしてやるよ」

 

 言葉だけ聞いたらイラっとするかもしれないが、さすが複数の女と同時に付き合えるコミュ強。本気でそう思ってるわけじゃなくて、からかいを多分に含んでいるのがなぜか伝わってくる。俺はコミュ症だから沈黙で返してしまったが。

 その後、元康は周りの女に「行こうぜ」と言って、シスターに案内にされながら、龍刻の砂時計のある部屋へと向かっていった。

 俺も目的地は同じため、元康たちの後ろに続く。

 

「ん?そこにいるのは尚文じゃねえか?」

 

 元康が先客らしい尚文に声をかける。

 尚文の横には、狸っぽい耳としっぽのついたかわいい少女がいた。尚文にも仲間ができたらしい。

 

「なんだお前、まだその程度の装備で戦っているのか?」

 

 俺に同じようなことを言った時と比べてずいぶん辛辣な言い方だ。

 尚文は盗賊の頭が着ていそうな鎧を装備していた。この時期の装備にしては少し物足りないように見えるが、クエストを受けられず、攻撃性能の低い盾しか装備できないという背景を考えると、十分頑張っている。

 尚文は元から不機嫌そうだった顔をさらに歪め、元康を無視して出ていこうとする。

 尚文はまだ逆切れしているのだろうか?初日の印象とは違って少し変な奴だ。

 

「何よ、モトヤス様が話しかけているのよ!聞きなさいよ!」

 

 聞いたことがある声だと思い、声の発生源の方を向くと、尚文が強姦しようとした女、マインがいた。以前会ったときと雰囲気が変わりすぎていてわからなかった。前に会ったときはもっと幼く純粋そうに見えたが、今は痴漢されたら相手を殴り飛ばしそうなほど気が強く見える。陰キャで繊細な俺の心が、女特有の怖さに恐怖を感じている。

 というか、犯人と被害者の関係なのに、尚文に突っかかるとか変な女だな。普通避けるだろ。

 

「ナオフミ様?こちらの方は……?」

 

 尚文の仲間と思われる少女が俺たちを指さして尚文に尋ねる。

 尚文はそれには答えず、ここから出ていこうと歩き始めたが、入り口から樹が入ってきたため、足を止める。

 

「チッ」

「あ、元康さんと錬さんと……尚文さん」

 

 樹は舌打ちをした尚文を不快そうに見た後、平静を装い声をかける。

 

「あの……」

「誰だその子。すっごくかわいいな」

 

 尚文の仲間らしい少女が尚文に話しかけようとした直後、元康がその子を指さして言う。

 

「初めましてお嬢さん。俺は異世界から召喚されし四人の勇者の一人、北村元康と言います。以後お見知りおきを」

「は、はぁ……勇者様だったのですか」

 

 元康は少しキザったらしく自己紹介をその子にする。

 四人もハーレムメンバーがいるのにまだ足りないというのかこいつは。

 

「ら、ラフタリアです。よろしくお願いします」

 

 ラフタリアという尚文の仲間の少女は、尚文がさらに機嫌が悪くなっていくを見て、居心地悪そうにしている。

 意外と空気が読めない元康はラフタリアに話しかけ続ける。

 

「アナタは本日、どのようなご用件でここに?アナタのような人が物騒なより鎧と剣を持っているなんてどうしたというのです?」

「それは私がナオフミ様と一緒に戦うからです」

「え?尚文と?」

 

 どう見てもラフタリアは尚文に付き従っていたのに、元康は全く気付いていなかったらしい。

 

「……なんだよ」

「お前、こんなかわいい子をどこで勧誘したんだよ」

「貴様に話す必要はない」

「てっきり一人で参戦すると思っていたのに……ラフタリアお嬢さんの優しさに甘えているんだな」

「勝手に妄想してろ」

 

 尚文はそう言うと、出入り口のある方へ歩き出す。

 

「波で会いましょう」

 

 樹はそういいながら、出入り口付近から離れ、道を開ける。

 

「行くぞ」

「あ、はい!ナオフミ様!」

 

 尚文はラフタリアに声をかけ、速足で龍刻の砂時計のある建物を出て行った。

 

 

 

 その後、来た順番通りに元康の仲間、俺の仲間、樹の仲間でクラスアップすることになった。

 

「あの女あんな性格だったか?」

 

 俺はマインのことを目立たないように指さしながらウェルトに尋ねる。尚文がいるから気が立っていたのかとも思ったが、尚文がいなくなった後も表情は少し和らいだが、まとう雰囲気は変わらなかった。

 

「ほ、本来の自分を出せるぐらいモトヤス殿のことを信頼しているということではないですか?初対面の時はどうしても取り繕ってしまうものですし…」

「そういうものか……」

 

 それにしても変わりすぎに見えるが……まあ、俺の考えすぎか。

 

 

 

 俺たちはその後、順番にクラスアップを終わらせ、エルハルトの武器屋に向かった。

 

「お、剣のアンチャンたちじゃないか。頼まれた品、できてるぜ」

 

 エルハルトはそう言って、鎧や武器を持ってくる。

 俺の鎧はゲームの時より少し落ち着いたデザインになっているが、俺はこっちの方が好みだ。これでゲームの時気に入っていた、黒の鎧に黒と白と青がいい感じに配色された服という中二病臭い衣装が完成した。といってもこの世界はこういう服装の人は多いため、俺の服装を見ても誰も中二病だとは言わないだろうが。

 武器は、エルハルトが扱いやすいように少し手を加えたのとブラッドクリーングリスという血のりをはじくコーティングをしてくれたらしい。

 

 エルハルトに礼を言って武器屋を出た後、俺たちは波に向けてこまごましたものを買った後、宿屋に戻った。

 一日で行ける範囲にはそれほど強い魔物はいないため、レベル上げはできない。特に他にすることも思いつかない俺たちは波の前日ということもあるのでしっかり体を休めることにした。まあ、日課の筋トレぐらいするが。

 ちなみにだが、ステータスのせいで自重トレぐらいはほぼ無限にできるようになってしまったが、ステータスに頼りすぎないことも大事と聞いたので、まだ続けている。文字の勉強や魔法の勉強もしないといけないので、時短しまくっているが。

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