ポケットモンスター対RPG   作:モッチー7

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第17話:遅参勇者と焦る魔女③

「お前もういらねぇわ パーティー抜けろよ」

マシカルは、ぽかんと口を開けた。

マドノのこの台詞の発端は、グートミューティヒに敗けた理由について話し合う……筈だったのだが……

他の3人がゴーストタイプのポケモンであるムウマにダメージを与える事が出来なかったにもかかわらず、それを棚に上げてグートミューティヒとの戦いにおいて最も攻撃回数が少ないマシカルを戦力外通告及び追放を宣言したのだ。

「ちょっと!私が抜けたら遠距離担当はどうすんのよ!?」

だが、この抗議がかえってマシカルを追い詰めてしまった。

「寧ろ、ンレボウの攻撃回数を悪戯に減らしてるのは誰だ?」

マシカルは返す言葉が無かった。

何故なら、上級魔法の詠唱時間が長過ぎるからだ。

早口の練習をするなど、マシカルなりにこの欠点を克服しようと努力していたが、結局、グートミューティヒにはこの欠点を隠しきれずに利用されてしまった。

その結果、マシカルは黒魔法でマドノを支援する事が出来なかった。

その後もマシカルは反論の言葉を脳内から探し出そうとするが、対グートミューティヒ戦から何も学んでいないマドノ達は、ンレボウの攻撃回数を減らすだけのマシカルを忌み嫌った。

「結局、魔法で時間潰しするより物理で攻撃した方が有効って事だな」

「私も、私の攻撃回数を減らすマシカルの事を良く思っていませんでした」

「胸も小さいしな」

「ちょ!?ちょっとぉ―――」

フノクが言った貧乳批判が戦闘に全く関係無いと言うツッコミをする余裕も無いマシカルは、なんとかマドノの考えを変えようと必死に言い訳を捻りだそうとするが、

「マシカル、お前はもうパーティー抜けろよ。代わりにアーチャーでも仲間にするからさ」

結局、マシカルへの最後通牒は覆らず……

マドノ達3人はマシカルを置いて早々に酒場を後にした。

その背に後ろ髪を引かれる様子は一切無く……

 

マシカル追放後、未練がましいマシカルはバレない様にマドノ達を尾行した。

いずれは遠距離攻撃が出来る人物が必要になる!

と言う安易な希望を抱えながら……

で、早速飛行出来るモンスターがマドノ達に立ち塞がった。

(良し!チャンス!)

そう思い、マシカルは魔法の詠唱を始めた。

しかし……

「チチチチチチチチ!」

マドノの挑発的な態度に腹を立てたジャンボファルコンは、空から攻撃すれば良いのにわざわざ地上に降りたのである。

(え!?何で!?)

で、結局、飛行と言う武器を短絡的な怒りで捨てたジャンボファルコンは、マドノ達に完膚なきまでに叩きのめされた。

(何してくれてんのよ!此処で私が華麗に魔法で!アホかあいつは!)

その後も、遠くからマドノ達を尾行しながら挽回のチャンスを待っていたが、レベルが30を超えている上にマドノが経験値至上主義なのもあってか、マドノ達を苦戦させる程のモンスターが出現する事は無かった。

そして……

マドノ達を尾行してから20日程が経過した時、マシカルは自分の行動が虚しく視えた。

「何やってるんだろ……私……」

マシカルがマドノの仲間になったのは、勇者の従者としての栄光や名声を得て成り上がる事だった。

だが、当のマドノは意外と慎重派で経験値至上主義。

故に、経験値稼ぎを目的とした雑魚狩りを怠りながら次々とボスモンスターを倒すグートミューティヒに名声や手柄を横取りされ続け、その事をマドノに進言しても煩わしく思われ、遂にグートミューティヒとの直接対決に敗れ、敗北の責任を押し付けられて勇者一行を解雇された……

望んでいた栄光とは真逆の結末に、マシカルは無意識に座り込みながら泣き崩れた。

そして……

そんなマシカルを更に打ちのめす出来事が起こってしまう。

マドノ達は遂に遠距離攻撃の要であるアーチャーを手に入れてしまったのだ!

その男の名は『ノチ』。

マドノが訪れた農村で猟師をしていた青年だった。

が、マドノにとってもノチにとっても好都合な出逢いだった。

ノチは元々、こんな田舎臭い農村が嫌で、いつかこの村を出て都会に往くと決めていたのだが、そこにタイミング良くマドノが来てしまったのだ。

一方のマドノも、ノチのレベルがまだ18しかない事に不満が有るものの、矢をつがえ放つ速度が人間離れしていた。早業とも言うべき卓越した技術と正確な狙いは、攻撃力と攻撃回数を重視するマドノ一行にとっては名品だった。

それに……

(つまり……勇者様御一行様の中に、私の居場所はもう無いのね……)

マシカルが上級魔法の詠唱を行っている間、ンレボウがマシカルを護ってやらねばならない。

仇敵グートミューティヒにとっては屁とも思わない簡単作業なのだろうが、防御を軽視し攻撃を重視するンレボウにとっては強制的に攻撃回数を減らされる苦行でしかないのである。

ノチにはそれがそれが無い。ンレボウにとってはそれがとてもありがたいのだ。

ただ、フノクだけは「また男か?」と不満がっていたが、勇者であるマドノの決定なので仕方なく従うしかなかった。

ノチの登場で自分の居場所が無い事を思い知らされたマシカルは、ただ力無く豪雨の中を彷徨い歩いていた……

その歩行に……目的地などの概念は無かった……

 

この事実がマシカルの心の傷を癒せるかどうかは不明だが……

グートミューティヒにとってマドノの今回の人事は、グートミューティヒの思う壺だった

マドノ率いる勇者一行からマシカルが抜けた事で、ゴーストタイプのポケモンにダメージを与える事が出来る人物がマドノ率いる勇者一行にいない状態になってしまったのだ

なら、マシカルより優秀な魔法使いを加えれば良い話なのだが、マドノもンレボウも詠唱時間がどうしても長くなってしまう上級魔法を快く思っていない事もあってか、魔法への信頼はほとんど残っていなかった。

それに、全員が物理攻撃をメインに扱うパーティーとなってしまった事で、相手の属性に合わせて戦うと言う器用な戦術が不可能となった

このあと炎や氷などの属性が宿った物理攻撃を身に着ければ話は別だが、元より推奨レベルを本来より高めに設定してその結果攻撃力が高めになってしまった事もあり、質より量を重視する様になった彼らにはその考えは無かった。しかも、武器選びも付加価値より攻撃力を重視する単純思考と化してしまった。

また、勇者パーティー唯一の名声欲しさの虚栄心であるマシカルが抜けた事で、寧ろマシカルというブレーキ役から解放された反動により、マドノ達の経験値稼ぎを目的とした雑魚狩りは暴走の域に達してしまっていた

 

このパーティー構成が後の戦いで勇者パーティーの首を締める事となる……




ノチ

年齢:14歳
性別:男性
身長:165cm
体重:51.7㎏
職業:猟師→勇者の従者
兵種:アーチャー
趣味:自分の都会暮らしを妄想
好物:都会
嫌物:田舎、田舎臭い自分の故郷
特技:弓矢早撃ち、弓矢連射

勇者マドノに仕える弓兵。マシカル追放後に加入した。
弓矢の扱いは天才的で、矢の連射速度が人間離れしている。
田舎に差別感・偏見視を抱いており、自身の生まれ故郷である農村の事を毛嫌いしていた。その思考回路はンレボウと同レベルの脳筋で、他のメンバー同様攻撃力や攻撃回数を重視している素振りが有る。
だが、マシカルを追放して彼をスカウトした結果、マドノ率いる勇者一行に敵の属性に合わせて戦える器用さは失われ、ゴーストタイプのポケモンにダメージを与える方法も失われ、ある意味グートミューティヒの思う壺と言える人事となってしまった……
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