ポケットモンスター対RPG   作:モッチー7

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第1話:失望と決別

とある森でゴブリンの群れと男女4人組が乱闘を繰り広げていた。

そのゴブリンと戦う4人の構成は、

 

メンバー最年長だが、巨乳好きで女癖が非常に悪い拳闘士のフノク。

一見すると無口で物静かに見えるが、戦闘になると邪な笑みを魅せる事があるアーマーナイトのンレボウ。

生真面目で練習熱心だが、貧乳(AAAA70)がコンプレックスで名声欲が旺盛な女流ウォーロックのマシカル。

そして……星空に選ばれた星空の勇者だが、推奨レベルに到達する為なら蹂躙すら厭わない利己的で乱暴な勇者のマドノ。

 

と……どれも問題点が多い構成だが、歴代の星空の勇者の名高い功績のせいか、星空の勇者であるマドノとその仲間達に文句を言う者は、今のところ1人もいない。

ま、大衆の殆どがこの言葉を聞いていない事も原因ではあるが……

「お前ら!こいつらを1匹も逃がすなよ!」

マドノの非情な命令に対しンレボウは嬉しそうに頷いた。

「うむ!」

それに引き換え、同胞の絶望的な劣勢に臆した複数のゴブリンが恥を捨てて逃走を図る。

「コンナノト()リ合ッテタラ、命ガ幾ツ有ッテモ足タリネェゼ!」

「アイツラ強過ギルゥー!」

だが、運悪く(・・・)マドノはそれを見逃さず、マシカルに非情な命令を下す。

「あいつらを討て!」

マドノの命令に従ってマシカルが呪文を詠唱すると、1人の少女が慌ててマドノの腕を握った。

腕を握られたマドノは、不満そうにその少女を問い詰めた。

「お前、そこで何をしている?」

少女は臆せずマドノに異見する。

「奴らは既に戦意を失ってる!これ以上の攻撃は既に戦闘の外だ!」

だが、マドノは少女の訴えに非情な反論を吐きかける。

「お前は俺達の経験値稼ぎを邪魔する気か?それに、お前は馬鹿か!」

「馬鹿?この僕が?」

「そうだよ!あいつらはただのモンスターだぞ!それを逃がしてどうすんだ?えー!?」

その間もマシカルは詠唱を続けていた。

「で、竜巻(これ)どうするの?」

少女が慌てて叫ぶ。

「やめろ!この戦闘は既に君達の大勝利で終わっている!これ以上の弱い者虐めはMPの無駄遣いだ!」

しかし、フノクが少女の背後に回り込んで年齢不相応な大きさの胸(F60)を揉んだ。

「わっ!?何だこのおっさん!?」

「うーん、デカくて柔らかいのぉ♪どこぞの堅物魔導士とは大違いだ♪」

女好きで女癖が非常に悪いフノクの悪い癖が出たのだ。しかも、さりげなくマシカルの貧乳を批判したのだ。

「だったら……竜巻(これ)フノク(あんた)にぶつけるよ?」

「ちょっと待って!それだと僕にも当たる!」

だが、マドノはマシカルに向けて非情な命令を下す。

「何をもたもたしている?さっさとさっきのゴブリンを討てよ」

それを合図に、マシカルは風系の上級魔法を発動させる。

「あのアホを撃てないのは心残りだけど解ったわ」

「ちょっと。くすぐったいからやめて。と言うか……両方ともやめろぉーーーーー!」

「エクスカリバー!」

「やぁーーーーーめぇーーーーーろぉーーーーー!」

少女の悲痛な懇願の悲鳴は利己的で乱暴なマドノの耳には届かず、マシカルが発生させた竜巻が逃走中のゴブリン達を次々と消滅させてしまった。

「グギャアァー!?」

「ヒドスギルゥー!」

止められなかった目の前の惨状に、フノクに背後から胸を揉まれ続けながら愕然とする少女。

 

流石のマドノもフノクの場違いの行為に苦言を呈する。

「何時までやってるフノク?セクハラ(それ)が俺達の経験値稼ぎに役立つのか?」

「いやぁ、久々の眼福だった者でついな」

そんな蹂躙後とは思えぬ暢気な会話に失望した少女は、自分にセクハラを続けるフノクへのお仕置きを兼ねたネタバラシを実行した。

「……そんなに僕の体を触りたいなら、僕の股間も遠慮無くどうぞ……」

「え?良いの♪」

「おい!?」

マドノの制止を無視して少女の股間を触るフノクだったが……

「それじゃ、遠慮無く♪……何!?」

慌てて後ろにジャンプしながら臨戦態勢をとるフノク。それに対し、マドノ達は何の事か解らず困惑する。

「ん?どうした?他に敵が居るのか?」

フノクは慌てて少女を指差して罵る。

「き……き……貴っ……様……何であんな立派な胸を持つ女のクセに……あそこに竿と玉が有るんだぁーーーーー!?」

マドノ達はやっぱりフノクの言ってる意味が解らない。

「……竿?」

「玉って何よ?」

それに対し、少女は非道なマドノ達を睨みながら自分の正体を明かした。

「竿も玉もどっちも自前!で、転送魔法と治療魔法で作ったこの胸は女性化乳房!つまり!僕は男だ!」

少女(?)の突然の白状に驚くマドノとフノク。

「お前、女装好きだったのか」

「おのれぇ……騙したなぁーーーーー!」

一方、マシカルは少女(?)の巨乳の秘密に興味津々だった。

「え?巨乳って魔法で作れるの?」

しかし、少女(?)はマシカルの質問には答えず、一方的に自己紹介を始めた。

「僕はプリーストのグートミューティヒ!10歳で女装男児だ!」

だが、グートミューティヒの自己紹介はフノクの怒りの炎に油を注ぐだけであった。

「殺すぞ!クソガキ!」

しかし、マドノは経験値稼ぎになるモンスターじゃないと判断すると、急にグートミューティヒへの興味を失った。

「やめろフノク。こいつは人間だ。殺人犯になるぞ」

「何故止める!?こいつへのお仕置きはどうなる!?」

フノクは不満だったが、もう戦闘が終わったからかンレボウは素直にマドノの命令に従った。

「マドノ殿が次と仰っておっれるなら、早々に次へ行くのが筋では」

マシカルもグートミューティヒの巨乳の秘訣を訊き出したかったが、その時間は無さそうと悟った途端に興味を失った。

「どうせ、私は攻撃魔法担当だしね……行きましょ」

フノクだけは不満げな表情を浮かべながらグートミューティヒを睨む。

「許さんぞ……グートミューティヒとその顔、憶えたぞ」

グートミューティヒは、フノクの殺意に満ちた睨みに少し怯え引いた。

(怖いな……あの人達……)

そして、グートミューティヒは困った事になった。

(これで……星空の勇者の仲間になる事は無くなったな!)

とは言え、落ち込んでもいられないし停まってもいられない。

(ま、あんな手加減知らずの人でなし達に魔王退治を任せたら、モンスターどころかポケモンまで絶滅するわな!)

 

星空の勇者マドノ率いる勇者一行の残酷な本性を知ってしまったグートミューティヒは少しだけ困った。それは、家出してまでこの旅を行った理由に起因する。

元々は人類の安全な暮らしの為にモンスターの研究と観測を行っている学者達の息子だった。

グートミューティヒの育ての親達は、モンスターを観測している内に大きく分けて3つの分類出来ると結論付けた。

 

狂暴で残酷な『モンスター』。

他のモンスターよりは可愛くて大人しい『ポケモン』。

魔導士が使役する使い魔『召喚獣』。

 

だが、この論文はモンスターを敵視する世論が否定し拒否し、モンスターを分類する気がまったく無い世論はポケモンや召喚獣をも凶悪害獣として認識してしまう。無論、世論ですらこれなのだから、兵士や冒険者もモンスターだけでなくポケモンすら平気で攻撃する。

この様な状況に対して世論に拒絶された正論しか言えない研究者達は為す術が無く、目の前のポケモンを秘密裏に保護するのが関の山だった……

それを見かねたグートミューティヒは、星空の勇者マドノが遂に魔王退治に出発した事を知り、居ても立っても居られずに育ての親達が開発したポケモン捕縛・携帯用武器『モンスターボール』を持ってマドノ達を探す旅へと出かけて行った。

「行くのか?」

「はい。このまま僕達が動かなければ、ほんの一握りのポケモンしか保護できずにいずれはポケモンは絶滅してしまいます」

研究者達は「自分達の論文が常識を覆すまで待て」と言いたかったが、その結果が世論から狂った非国民扱いされる日々であり、自分達の論文がポケモン保護に全く役に立っていない事は既に明らかであった。

でも、

「戦うと言う事は、何時何処で理不尽な死を迎えるか解らない事を意味するのだぞ」

「実戦はお前が思っている程甘くない。失敗したら痛がりながら死ぬ事になるぞ」

研究者達の言い分に少しだけ引いてしまったグートミューティヒだったが、それでも……彼の決意は固かった。

「確かに僕だって死ぬのは怖いです。でも、ポケモンだって死ぬのは怖い筈です!」

グートミューティヒの目に決意が宿る。その表情はまるで信義のいくさ人であった。

「だからこそ……僕はまだ死にたくないからこそ、ポケモンの事を何も解っていない人達が理不尽にポケモンを殺すのを観ていられないんだ!」

そんなグートミューティヒの固い決意と信義に圧倒される研究者達。

「僕は知ってる。人間とポケモンは仲良くなれる事を。けど、モンスターを恐れ敵視する人達はそれを知らない。それは気の毒だ!だからこそ、ポケモンが魔王の手先となった悪いモンスターを倒して人々を護れは、いずれは解ってくれると思うんです」

 

と、偉そうな事を言って旅立ったまでは良かったが、その結果がレベルアップの為なら蹂躙や逃亡者への追い討ちすら厭わない勇者一行の殺戮行為の目撃だった……

(駄目だな……あんなのと一緒に旅をしたら、僕まで悪者扱いされちゃうし、それに、あいつらは多分平気でポケモンを殺せるぞ?)

かと言って、今更研究者達の許に帰る訳にもいかない。

(八方塞がりになっちゃったなぁ……どうしよう?)

 

今後の予定が全てご破算となって困惑するグートミューティヒの近くで不満そうにブツブツ言う男性がいた。

「あれ?どうかしました?」

が、グートミューティヒを年端も行かぬ少女と勘違いした男性は、乱暴な言い方で追い払おうとした。

「お前じゃ無理だよ。家に帰ってママに甘えてな」

マドノの事で少しイライラしていたグートミューティヒは、売り言葉に買い言葉と言わんばかりに男性を挑発する。

「そう言うアンタだって無理って事でしょ?歳って、ただ無駄に増やすだけじゃ何の意味も無いんだね?」

馬鹿にされた男性が激怒した勢いでつい悩みの理由を言ってしまう。

「ふざけるなよ!こっちはホワイトクロウが大量発生して困っているって時に!」

グートミューティヒにとってはそれだけで十分だった。

「つまり、そのホワイトクロウを倒せば良いですよね?」

「はぁー!?簡単に言ってんじゃねぇよ!それが出来れは苦労はしねぇよ!」

「言ったな?もう取り消せないぞ?で、場所は?」

 

結局、グートミューティヒの挑発に屈してホワイトクロウが大量発生している地域に案内する羽目になった男性。

「ここだよ」

その途端、嘴を赤く染めて所々赤いブチ模様が付いた白鳩達が一斉にグートミューティヒ達を睨んだ。

「これは……確かにホワイトクロウの大安売りだね?」

血肉を喰らい、血肉の味を覚えてしまった白鳩『ホワイトクロウ』。

普段は枝の上に停まって獲物の様子を窺い、隙を視て獲物に飛び掛かる狡猾な鳥系モンスター。1匹1匹は大した力は無いが群れで生活する事が多く、数に物を言わせる戦法は油断すれば熟練者ですら死ねる程である。

「そんなに美味そうかい?僕のこの……転送魔法と治療魔法で作った乳房が」

それを聞いた男性が少し驚く。

「お前、魔法使いだったのか?」

「いいえ、プリーストです」

「プリーストぉー!?なら、その神聖魔法でこいつらを一掃してくれよ!」

だが、グートミューティヒが使用するのは魔法じゃない。ポケモンを保護しようとする少数派の研究者達から選別で貰ったモンスターボールだ。

「いや……こいつらの掃除は、こいつらがやってくれる!」

そう言うと、グートミューティヒはモンスターボールからブビィとバニプッチを取り出すが、

「うわあぁーーーーー!モンスターだあぁーーーーー!」

「ちょっと!違うって!こいつらはポケモン―――」

「うわあぁーーーーー!騙されたあぁーーーーー!こいつは魔王の部下だあぁーーーーー!あぶねぇ逃げろおぉーーーーー!」

「話を聴けぇーーーーー!」

グートミューティヒは、改めて世論がポケモンをどう扱っているのかを再確認させられた事に悲しくなり……そして不満になった。

その間、ずーーーーーと飛び掛かるチャンスを待ち続けたホワイトクロウがまだグートミューティヒを睨んでいた。

グートミューティヒはそんなホワイトクロウ達を睨み返した。

「……丁度良い……しばらく僕達の憂さ晴らしにつきあって貰うよ……」

 

グートミューティヒを魔王の部下と勘違いした男性が複数の兵士達を連れてホワイトクロウが大量発生している地域にやって来た。

だが、報告を受けた兵士達が見た物は、

「……既に戦闘は終わったみたいだぞ?」

完全に怯えていた男性は言ってる意味が解らなかった。

「……へ?」

しかも、恐怖のあまり前が見えないのも兵士達の言い分の意味が理解出来ない事に拍車をかけた。

「でも……でも!あのモンスターは確かに年端もいかぬ―――」

「いや……既に誰もいないから」

「いない?本当に何もいないんですか!?」

兵士達は臆病過ぎて自分達の台詞を信じない男性の事が段々面倒臭くなってきた。

「そこまで言うのなら、実際にその目で確かめて視ろ!」

「うわっ!?」

兵士達に突き飛ばされた男性は、自分をモンスターに差し出した兵士達を必ず訴えると誓った!

……と思いきや、

「あいて!?何をする……なんだ……この……大量の鳥の死骸は……」

そう。

グートミューティヒは自分を襲ったホワイトクロウを全て撃破して悠々とこの場を去っていたのだ。黒焦げになり氷漬けになり何かでぶん殴られた者までいた。

少なくともその数は30体に及んだ。

「まさか……あの子は本当にここにいた大量のホワイトクロウを」

出番を失った兵士達がお騒がせな男性に悪態を吐く。

「お前、そのホワイトクロウを討伐していた熟練者をモンスターと勘違いしていたのか!」

「でもでも!……」

男性は兵士達の問いに対する返答に困った。

グートミューティヒは確かにモンスター(正確にはポケモン)を従えていたが、それを目撃したのは自分と目の前でくたばっているホワイトクロウ達だけであり、他に証拠が無いのだ。

「確かにモンスターは怖い。だが、だからと言ってモンスターより強い冒険者を魔王の部下と勘違いするのは、いくら何でも恩知らずが過ぎるんじゃないのか」

兵士達はそう言うと、もう用が無いと言わんばかりに持ち場に戻って往った。

 

グートミューティヒは悔しそうに溜息を吐いた。

確かにグートミューティヒが引き連れているポケモン達が30体のホワイトクロウを退治したのだ。にも拘らず、この手柄が何故かポケモンの物にならないのだ。

この理不尽な展開がグートミューティヒにとっては悔しくて……悲しかった。

「ごめんなブビィ、バニプッチ、フシギダネ、ピチュ……本当はもっとお前達をべた褒めしたかったけど……」

だが、ポケモンに突き付けられた残酷で非情で理不尽で無知蒙昧な現実がそれを許さなかった……

そんな現実がグートミューティヒの悔しさを更に激増させた。

「戦いに敗けて逃げた奴までやっつける危ない奴が勇者だの英雄だのともてはやされて……お前達の様に人間に力を貸してくれるポケモンが害獣や犯罪者扱い……こんなの……こんなの間違ってる!」

この怒りが、勇者マドノに全ての予定を御破算させられたグートミューティヒに新たな目標を与えた。

「ポケモンを悪者扱いする様な信用出来ない輩に魔王退治は任せられないし頼りっきりには出来ない!なら!……ポケモンがそんな危ない奴らより先に魔王を斃してやる!そして……こんな間違った常識を吾輩がぶっ壊してやる!」

興奮し過ぎて一人称が変わってしまったグートミューティヒだが、それでも、目標を得た事で旅を再開する事が出来たグートミューティヒであった。




マドノ

年齢:19歳
性別:男性
身長:172cm
体重:62.13㎏
職業:星空の勇者
兵種:勇者
趣味:喧嘩、乱闘
好物:喧嘩、経験値、冷静で忠実な部下
嫌物:勉強、学問、功を焦る馬鹿、戦闘の邪魔
特技:蹂躙、弱い者虐め

ポケモンに該当しないモンスター達の王である『魔王』を討伐するべく旅立った星空の勇者。
平静な人物の様でいて、推奨レベルに到達する為なら蹂躙すら厭わない利己的な乱暴者。また、世間一般的な大衆同様にポケモンとそれ以外のモンスターの判別が出来ない。ただ、功を焦る行為を嫌うぐらいの冷静さは持っている。
逃走するゴブリン達に容赦無くトドメを刺したところをグートミューティヒに観られて以来、ずっと彼に敵対視されている。
名前の由来は『勇者-男日=』から。
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