カプ・レヒレがグートミューティヒに課した最後の試練。
それは、カプ・レヒレとの直接対決!
「……本気で行きますよ?」
「……来るが良い」
すると、カプ・レヒレはいきなり水鉄砲を連発する。
グートミューティヒはそれを軽々と躱すと、モンスターボールからフシギバナとピカチュウを取り出した。
「……なるほど。私の特性を知った上の選択か?場数は積んできている様だ……だが!」
カプ・レヒレの背後から大きな濁流が現れ、グートミューティヒを飲み込もうとする。
だが、グートミューティヒは冷静に対応する。
「動け!メガガントレット!」
すると、フシギバナの背中の花がさらに成長し、額と尻にもアスタリスク状の小さな花が新たに咲いた。巨大化した背中の花を支える為、足腰も非常に逞しくなった。
そのおかげで、フシギバナは襲い来る濁流をものともせずに前へと進む。
「ほう?だが」
今度は、カプ・レヒレが白い霧に包まれた。
が、フシギバナは気にせずにつるのムチを振り回すが、何か硬い物がムチを跳ね返す。
「小技は通用しないと言う訳か……」
気付けば、カプ・レヒレは頑強な殻の中に隠れていた。
「ならば……動け!Zガントレット!」
すると、ピカチュウが金色のオーラに包まれ、雷撃の槍を作り出し発射。
「ぬお!?」
カプ・レヒレの殻に当たると炸裂して更に巨大な雷撃と化した。
「ぐおぉーーーーー!?」
かつて山賊の頭に化けていたサイクロプスのメスを一撃で消滅させたスパーキングギガボルトをもろに受けたカプ・レヒレは、たまらず殻を開いた。
「それが……あなたの選択ですか?」
グートミューティヒは自信満々に答えた。
「はい!こっちがポケモンのメガシンカを促す『メガガントレット』で、こっちはポケモンのZワザを促す『Zガントレット』です」
カプ・レヒレは少し考えこむ。
「……つまり、貴方はこれからも星空の勇者ではなくポケモントレーナーとして戦うと?」
グートミューティヒは満面の笑みで答える。
「はい!」
「迷いは……無いか。なら!」
カプ・レヒレは再び殻に籠る。
「動け!Z―――」
だが、異変に気付いたマシカルが慌ててグートミューティヒに警告する。
「待て!これは防御じゃない!」
「え?」
マシカルの警告に苦笑いするカプ・レヒレ。
「良き仲間を得たな?当代の星空の勇者よ」
地割れから金色の首無し巨人が現れ、殻を閉じたカプ・レヒレが巨人の首として合体。
「おいおいおい!?」
「ガーディアン・デ・アローラ」
カプ・レヒレと合体した光の巨人は、ゆっくりと歩き始め、グートミューティヒを踏みつぶそうとする。
「これが……ポケモンの神の……本気!?」
カプ・レヒレの最後の切り札の大きさに驚くマシカル。
だが、
「動け!Zガントレット!」
すると、フシギバナが緑色のオーラに包まれた。
そして、光の巨人の周りを花畑が囲んだ。
「ブルームシャインエクストラ!」
すると、光の柱が空から降り注ぎ、光の巨人を貫いた。
その様子に、マシカルは完全に圧倒された。
「……凄い……まるで神々の戦いだ……」
そして、光の柱が消えると、そこには光の巨人はおらず、カプ・レヒレのみが残っていた。
「当代の星空の勇者グートミューティヒよ。これが神具球に願った力か?」
「はい!」
「見事!」
カプ・レヒレにその実力と覚悟を認められたグートミューティヒ。
それを観たマシカルは、1つの覚悟を決めた。
「カプ・レヒレ!」
「どうかしました?」
「私達をこの白い魔界に連行したモン……ポケモンの中に青い奴がいましたよね?」
マシカルの覚悟の意味に気付いたグートミューティヒが慌てる。
「ウォーロックが……魔導士が単独でルカリオと戦うだと?!無謀だ!」
そんな警告に対してマシカルは首を横に振った。
「貴方は忘れたの?なんでマドノが私を捨てたのかを!」
「そんなの奴らの怠慢だ!魔導士は本来、遠距離を得意として戦場を遠くから視るのが―――」
だが、マシカルの意思は固かった。
「それでは普通と変わらない!マドノの時と同じ失敗は、もうしたくないの!」
「けど―――」
だが、カプ・レヒレはグートミューティヒの制止を止めた。
「受け入れよ。彼女の覚悟と成長を」
「成長……」
確かに、高等魔法を使うと呪文詠唱の時間が長くなると言う欠点が悩みのマシカル。
グートミューティヒはその間は必ず護ると言ってくれた。
だが、そんな甘い優しさ甘えていては、何時まで経ってもマシカルがマドノ一行を解雇された原因となった欠点は改善されない。
ならば、欠点と向き合い、戦うしかない。
カプ・レヒレもそんなマシカルの覚悟を感じたのか、それとも、それだけの実力が今後必要になるからだけなのか……
とにかく、カプ・レヒレはあの時のルカリオを呼んだ。
「ルル」
すると、1匹のルカリオがやって来た。
「この者が貴方と戦いたいと申しております」
それを聞いたルカリオは何も言わずに構える。
それに合わせ、マシカルは呪文を唱えるが、
「ファイヤー!」
だが、ルカリオは牽制目的で放った火の初級魔法を軽々と躱すと、マシカルに容赦なくいわくだきを見舞う。
「マシカル!?」
でも、マシカルはグートミューティヒの援護を拒否する。
「これは私の戦い。そしてケジメよ。誰であろうと邪魔はさせないわ」
「……マシカル」
マシカルとルカリオが一騎打ちする中、傷だらけとなったアムがグートミューティヒの許に帰ってきた。
「アム!?」
「よかった……まだ白魔界とやらにいてくれて」
「そんな事より、この怪我はなんだ!?」
「私も、晴れて魔王軍の裏切り者よ」
それを聞いて罪悪感にかられるグートミューティヒだったが、
「やめてよそんな顔は。あんな選民詐欺野郎はこっちから願い下げなんだから」
それよりアムが気になるのは、
「それより、あれは何?」
グートミューティヒは、この戦いがマシカルが望み自分は反対したものである事をアムに説明した。
「なら……好きにやらせなさいよ」
「好きって……」
だが、カプ・レヒレと同様にアムもマシカルの覚悟を認めてこの戦いを見守る事を決めたのだ。
「彼女も成長したいんでしょ?と言うか、あいつはもう、マドノの糞親不孝野郎から離れたお陰で成長したじゃない」
「……成長……」
ルカリオのかくとうに翻弄されて劣勢のマシカルであったが、その眼には闘志が満ち溢れていた。
「マシカル……」
そして、グートミューティヒもようやくこの戦いを見届ける覚悟を決めた。