ポケットモンスター対RPG   作:モッチー7

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第2話:心の毒

目標は決したグートミューティヒ。

だが、方法は定まっていなかった……

「マドノの奴に付いて行けば必ず魔王に到達すると考えていたから……困った……」

項垂れるグートミューティヒの隣で、気の良さそうな青年も項垂れていた。

「あそこは穴場だったのになぁ……困った……」

そんな青年の声を聴いたグートミューティヒが質問する。

「どうかしました?」

だが、グートミューティヒが10歳の少女にしか見えないせいか、青年は悩みを口にする事は無かった。

「ありがとう。でも、兵隊さん達に頼むからイイよ」

しかし、グートミューティヒは食い下がる。

「それって、モンスターがどこかを占拠しているんでしょ?」

グートミューティヒの予測に青年はドキッとする。

「何故それを!?」

グートミューティヒは自信有り気に答えた。

「貴方は最初に『穴場』と言った。つまり、その場所は貴方にとっては重要な場所である事は容易に想像出来る。でも、貴方は兵士達に相談する事を検討している。と言う事は、その穴場はそこまで秘匿する必要が無い事を意味しますし、その穴場の奪還にはそれなりの戦力が必要である事も容易に想像出来る」

青年はハッとして全てを話す事を決意した。

「君の言う通りだ。あそこは薬草の宝庫なんだ……でも、ある日突然巨大な蛸が其処を占拠してしまってな、幸いセージの採取場所は他にも在るからポーションやマインドアップの作成は可能だが、カモミールとヘンルーダはあそこで採取していたから、アンチドーテやアンカースが……」

それを聞いてグートミューティヒは少し驚く。

「アンチドーテと言えば一般的な解毒剤じゃないですか!それが作れないとなると……」

「だから困ってるんだよ」

「ですよねぇー」

その時、グートミューティヒの頭の中で何かがピーンときた。

「なら、僕がその穴場の様子を視に往きましょうか?」

グートミューティヒの予想外の提案に驚きを隠せない青年。

「何を言ってるんだ!殺されに行く様なモノだぞ!」

だが、グートミューティヒは青年の制止を振り切って勝手に出発する。

「では、行ってきます」

青年は慌ててグートミューティヒを追う。

「待て!本当に殺されるぞ!」

だが、グートミューティヒの足は物凄く速く、青年はドンドン離された。

「何だあの娘は……まるで風だ……」

 

で、薬草の宝庫を奪還しに行ったグートミューティヒだが、肝心な事を聞き忘れていた。

「取り敢えず突っ走ってはみたが……肝心の大蛸がどこにいるのか解んないや……」

しかし、醜い小人達が突然グートミューティヒを襲った。

「カカレッ!」

「タッタ1人デ馬鹿メ!」

「身包ミ剥イデヤレ!」

その様子に……グートミューティヒは頭を掻きながら呆れた。

「馬鹿は君達の方さ……君達がここで動かなかったら、僕はこのまま迷って例の大蛸に遭えぬまま終わってしまうかもしれないのに!」

そして、グートミューティヒは複数のモンスターボールを投げつけた。

「出て来い!フシギダネ!ブビィ!ピチュー!バニプッチ!フカマル!ポワルン!」

グートミューティヒを襲った小人達は『ゴブリン』と言い、略奪で糧を得る低身長の醜人であるが、そんなゴブリンもまさか自分達がモンスター(正確にはポケモン)に襲われるとは思ってもいなかった。

「ナ!?何ダ!?」

「何デコイツラハ俺達ヲ襲ウ!?」

「コイツラ、魔王様ノ配下ノモンスタージャナイノカヨ!?」

ゴブリン達が予想外の展開に大混乱の一方、グートミューティヒはゴブリン達に悪態吐きながら仲間のポケモン達に的確に指示を出した。

「襲って奪う事しか知らぬお前達とポケモンを一緒にするな!」

 

ゴブリン達との戦いはグートミューティヒの圧勝に終わり、ゴブリン達と戦ったポケモン達を治療魔法(リブロー)で治療していた。

「何!?リブローダト!?オ前、兵種ハ何ダ!」

「プリーストだけど」

あっけらかんと答えるグートミューティヒに対し、質問したゴブリンは大袈裟に驚いた。

「プリーストオォー!?ソノ歳デモウ中級兵種カヨ!?」

ゴブリンは漸く戦う相手を間違えた事に気付いたが既に遅く、グートミューティヒは質問したゴブリンの首根っこを掴んで引っ張った。

「さて……薬草の宝庫と呼ばれる場所を占拠している大蛸の所へ案内して貰おうか?」

「何故!?行キ方ヲ訊クダケデ良イダロ!」

「ゴブリンは野盗の様な習性を持つモンスター。なら、ちょくちょく訊き直した方が得策だろ?」

慌てるゴブリン。

「嫌ダ!コンナ状態デ行ッタラ、アイツニ殺サレル!」

が、これがかえってゴブリンを追い詰めた。

「アイツ?つまり、例の大蛸の事を知ってるね?」

「嫌ダアァーーーーー!」

 

こうして、薬草の宝庫と呼ばれる草原に到着したグートミューティヒ。

「本当にここだな?」

「ソ、ソウダ!ダカラソノ手ヲ離シ―――」

だが、謎の声がグートミューティヒに連行されたゴブリンの逃走を許さなかった。

「そこの役立たず……そこの小娘から離れて何をしようとしている?」

「ゲッ!スカルオクトパス!居タノカアァーーーーー!?」

「スカルオクトパス?」

慌てて逃走するゴブリンだったが、巨大な触腕が巻き付きゴブリンを地面に叩き付けた。

「役立たずの雑魚が……壁にすらならぬか?」

地面に叩き付けられて瀕死のゴブリンを観て不快感を露にするグートミューティヒ。

「……外道が」

グートミューティヒは、マドノ率いる勇者一行への軽蔑と逆恨みを切っ掛けに雑魚蹂躙と過大追撃に対する罪悪感が芽生えていたのだ。

「何で殺した?僕をここに連れて来たからか?それとも、敗北の責任から逃げたからか?」

だが、スカルオクトパスはめんどくさそうに答えた。

「逃げた?連れて来た?下らん。何でそんな判り切った事を今さら訊く」

その時点でスカルオクトパスに褒められる箇所が無いと確信するグートミューティヒ。

「いちいち自分の部下の敗北に過剰に反応する時点で、貴様にリーダーやロードの資格無し!」

しかし、スカルオクトパスはそんなグートミューティヒを鼻で笑った。

「フッ!この様な役立たずを庇うか……愚かだな」

それを聞いたグートミューティヒは、もう話す事は無いと言わんばかりにスカルオクトパスを挑発する。

「愚かか……なら……お前がその愚かをサッサと殺して役立たずの失敗を帳消しにして魅せろよ!」

「……言ったな?……」

その直後、人間の頭蓋骨の姿の大蛸がグートミューティヒの目の前に現れた。

「捻り潰すぞ!小娘!」

そう言うと、スカルオクトパスは口から岩を吐いた。だがグートミューティヒは簡単に避けた。

「おいおい。何で蛸が岩を吐くんだ?普通は墨だろ」

グートミューティヒはお返しとばかりに光弾を発射する。

「ぐっ!魔法が使える!?しかもリザイアか!?」

少しは驚いたスカルオクトパスだが、直ぐに勝ち誇った顔をする。

「だが……次は詠唱の時間は与えぬぞ!」

スカルオクトパスが緑色の液体を何度も放物線を描く様に放った。

「何をしてるんだ?」

グートミューティヒは1回も当たらない液体を無視して再びリザイアを発射しようとするが、気付けば緑色の水溜りに包囲されていた。

「くくく、これで袋の鼠だなぁ」

が、勝ち誇るスカルオクトパスを微弱な電撃が襲った。

「ぐふっ!?仲間!?何時の間に!?」

スカルオクトパスが先程の電撃の元を探そうとするが、今度は砂をかけられて目を傷める。

「ぐあぁー!?目があぁー!?」

そう。グートミューティヒは戦う前にワープを使ってピチューとフカマルを別に場所に移動させてスタンバイさせていたのだ。

「何だお前、大した事無いな!」

「ぐおおぉーーーーー!」

スカルオクトパスが声を頼りにグートミューティヒを攻撃しようとしたが、グートミューティヒは既にリザイアの発射に必要な呪文詠唱を終えていた。

「トドメだ!」

「があぁーーーーー!」

グートミューティヒのリザイアを受けて滅びたスカルオクトパスを見て、グートミューティヒは色々と理解した。

(やはり、ポケモンのタイプ別で戦術を変えるのはポケモン以外のモンスターにも通用する様だな……それが、ポケモンが害獣や魔王軍の手下と間違われる要員の1つにもなり得る……)

そんな事より、グートミューティヒがやるべき事があった。

(そうだった!カモミールとヘンルーダがこれ以上枯らされたら意味無いんだった!)

グートミューティヒは、レストでカモミールやヘンルーダに状態異常を回復する魔法であるレストをかけ、それからピチューとフカマルにリブローをかけて傷を治療した。

(これで……この地域の花の全滅が避けられれば良いけど……)

 

青年はグートミューティヒの報告を聞いて驚いた。

「倒した!?あの大蛸を!?」

「えぇ。嫌な奴でしたよあいつは」

とは言われても、グートミューティヒを視る限りでは、その様な大それた事をする様には視えない。

「とは言われてもねぇ……」

そこでグートミューティヒは意地悪っぽく言う。

「あー、プリーストは回復魔法しか使えないと思っているでしょう?」

「違うのかい?」

「プリーストは攻撃魔法も使用可能ですよ」

その証拠として、呪文を唱えた。

「エンジェル!」

グートミューティヒが放った光弾が近くに在った岩を破壊する。

「お!?」

これを観た青年は驚きを隠せない。

「どうです」

青年がグートミューティヒに破壊された岩を見て驚いている中、グートミューティヒは青年に進言する。

「そんな事より、例の薬草の宝庫に戻られたらどうです。もうあの嫌な奴はいませんから」

「それはありがたいが、何であんな所に大蛸が出現したんだ?」

その途端、グートミューティヒは真顔になる。

「アイツは、毒を武器にするからです」

「毒を?」

「そうです。だから、せっかく浴びせた毒を完治させるアンチドーテを忌み嫌っていたんだ」

そんな説明に、青年は呆れた。

「……自分勝手な奴だったんですねぇ」

「ええ。嫌な奴でしたよ!」

 

薬草を採りに行く青年を見送ったグートミューティヒは、青年の視界から消えた途端、罪悪感に押し潰されるかの様に俯き泣き崩れた。

「……言えなかった……本当はポケモンがあいつを倒してくれたって……」

グートミューティヒは本当に言いたかった。ポケモンの大活躍を。

だが、前回のホワイトクロウ討伐での誤解がポケモンの活躍を高らかに言いふらす事を許さなかった。

ポケモンを飼育するグートミューティヒにとっては間違った古い概念だったが、世論や大衆にとってはポケモンもモンスターと同じ危険害獣でしかないし、寧ろポケモンと言う言葉すら知らない人々の方が圧倒的に多い。

故に、グートミューティヒがどれだけポケモンの力を借りても、その事実を人々に伝える事が出来ない。

しかも、モンスターを嫌う者や勇者マドノの様なモンスターを経験値としかみなしていない者と手を組めない以上、ポケモン飼育と大人数旅は両立出来ない。

だから、グートミューティヒはポケモンと共に行った活躍を自分1人の力で行ったと嘘を吐き続けなければいけなかった。

でも、それはポケモンから手柄や名声を横取りしているのではないかと言う罪悪感をグートミューティヒに背負わせる事になる。孤独と戦いながら……




スカルオクトパスLv9

HP:700
EX:50
耐性:毒
弱点:雷
推奨レベル:3

人間の頭蓋骨の姿の大蛸。口から岩や毒液を吐いて攻撃してくる。
冷酷で自分勝手な性格で、敵に脅迫された部下を容赦なく殺害したりアンチドーテ制作を邪魔する為に薬草採取を妨害したりする。
因みに、勇者マドノの予想推奨レベルは7。

攻撃手段

触腕:
腕を振り下ろす攻撃。

締め上げ:
触腕で締め上げる攻撃。

岩:
正面に岩を吐き出して攻撃する。

毒液:
緑色の毒液を山なりの軌道で飛ばす。地面に落ちても水溜りとなってしばらく残り続ける。
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