ポケットモンスター対RPG   作:モッチー7

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第4話:スケルトンのマヌケな罠

なかなか到着しない勇者マドノに苛立つ商人の後を追い、宝石採掘を目的とした鉱山が大量のスケルトンに制圧・占拠されている事を知ったグートミューティヒ。

「ここか……」

かなりの宝石が採掘出来るからなのか、グートミューティヒは入口の広さに呆れ驚いた。

「……こんだけ掘って良く崩れなかったな?」

狭い坑道を予想していたグートミューティヒは、余程油断しなきゃ挟み撃ちは無いだろうと考えていたが、その考えを直ぐに改めて所有ポケモンと次々とモンスターボールから解き放つ。

(こんな所で挟み撃ちを喰らったら間違いなく逃げられないからね)

フカマルとピカチュウが前。

グートミューティヒとズバットが真ん中。

ポワルンとブビィが後ろを担当する。

(これで……大丈夫だよ……な?)

グートミューティヒの不安は尽きないが、それでも、魔王軍に苦しめられている人々を助ける為だと奮起して坑道へと進んで行く。

で、

「トロッコ?」

あからさまに置いてあるトロッコ。

これ、本来なら採掘した宝石を入口近くまで運ぶ為の物だろうが、魔王軍に占領された坑道で目の前のトロッコを信用して良いのか?

取り敢えず、グートミューティヒはそのトロッコを押してみた。

すると、トロッコはスーッと進んで……直ぐに穴に落ちた。

(やっぱりね!?)

そして、穴に落ちたトロッコを嘲笑う様に前から複数のスケルトンが現れた。

「……判り易い罠だなぁ」

その証拠に、スケルトン達は嘲笑う様に穴の中を確認していた。

「ピカチュウ、でんきショックだ」

愚かな敵が罠に嵌って穴に落ちたと勘違いしているスケルトン達は、目の前と言う彼らにとっては予想外の方向からの攻撃に対応出来ずにピカチュウの電撃を受けて何体か砕け散った。

「こんな判り易い罠に嵌ると本気で思ったのかなぁ?それとも、本当に引っ掛かった奴がいたのか?」

このグートミューティヒの予想は、後者の方が正しいらしく、後手に回ったスケルトン達は慌てて突撃して自分達が開けた穴に落ちた。

「……馬鹿か?こいつら?」

で……判り易い罠を仕掛けたスケルトン達(グートミューティヒ談)を無傷で苦も無く全滅させたグートミューティヒは、恐る恐る穴をのぞき込むと、巨大なウミヘビが落ちて来たスケルトンを襲っていた。

「と言う罠ですか?」

で、グートミューティヒ達は穴の端を注意しながら通って坑道の奥へと進んだ。

 

次にグートミューティヒ達に立ち塞がったのは、分かれ道であった。

「……三択かぁー……どっちに行こうかなぁー……」

素直に行くならトロッコ用の線路を通って移動するのがセオリーだが、先程の落とし穴の件もあるので信用出来ない。

次に視たのはあからさまに張り付けてある看板。

「そのあからさまさがかえって怖いんだよねぇー」

残りの坑道は何も無いただの洞窟である。

「大穴狙いでこっちと言うのもあるがぁー……」

とは言え、ここで無駄に迷っても時間の無駄でしかない。しかし、やはり気になるのは先程の落とし穴。それがまた仕掛けられてる可能性は否定出来ない。

と、その時、フカマルが何かを発見してそれを指差した。

「どうしたフカマル?」

それは、順序良く一列に並んだ小さな穴だった。

「この穴、何の意味が……待てよ!」

何かを感じたグートミューティヒは、再度線路が有る坑道を再確認して何かを確信した。

「この穴……そう言う事か!?」

グートミューティヒは意を決してフカマルが発見した小さな穴を頼りに坑道の奥へと突き進んだ。

結果は、そこにいたのは数体のスケルトンだけで、グートミューティヒの姿を見たスケルトンが慌てて角笛を吹いた。

一見するとグートミューティヒ達が罠に嵌ったかに見えたが、グートミューティヒは確信していた。

「これは罠じゃない……僕達が罠に嵌らなかった時の為の見張りだ!」

そう。

フカマルが発見した小さな穴の正体は、撤去した線路の跡だったのだ。

「正解発表ご苦労さん」

で、角笛を吹いたスケルトン達は、フカマルの体当たりであっけなく粉々になった。

「さて……大群が来る前に出来るだけ前に進んでおきますか!」

因みに、勇者マドノの到着が遅れている事に痺れを切らした商人が雇った傭兵団が後で線路がある坑道を選択したが、

「何だ!?我々は坑道を走っていた筈だぞ!?」

気付けば山頂に出てしまった傭兵団は慌てて周囲を確認するが、どう言う訳かさっき通過した坑道へと続く穴が最初から無かったかの様に消えていた。

「坑道に戻れないだと!?そんな馬鹿な話―――」

すると、

「待て!……何か聞こえないか?……」

それは、何者かが羽ばたく音だった。

「何か来る……我々はまさか!」

この時点で罠に嵌った事に気付いた傭兵団だったが、下山道が封じられて山頂から出られない。

そう。

罠に嵌った傭兵団が生き残る術はただ1つ……

羽ばたきながら近づく何者かを倒すだけだった。

 

こうして、しょうもない2つの罠を突破して坑道の最深部に到着したグートミューティヒ達の前に立ち塞がるのは、大量のスケルトン達とそれを操ってると思われるローブ姿のスケルトンだった。

「無傷だと?道中、かなり強力なモンスターが居た筈だ!」

驚きを隠せないリーダー格に対し、グートミューティヒは呆れながら言い放った。

「いや、そいつらはしょうもない罠に引っ掛かってどっか行っちゃったよ?」

「くっ!やはりあの音色は見張りのスケルトンに持たせた角笛であったか」

(となると……あの矢印も罠か……改めてフカマルに感謝だな)

「で、この後はどうするんだい?」

グートミューティヒの言葉を合図にスケルトン達が次々とグートミューティヒ達に襲い掛かった。

「やはりそうなるか!フシギダネ!つるのムチで一掃だ!」

フシギダネがつるのムチを振り回して襲い掛かるスケルトンを次々と粉々にする。

この展開に、リーダー格は驚きを隠せなかった。

「何!?何で魔王様を裏切る!?何故に人間如きに媚を売る!?」

それに対し、グートミューティヒはかつての不安を忘れたかの様に自慢げに言い放つ。

「こいつらとお前達の様な無礼で無知な侵略者とは格が違う。なにせこいつらは、ポケモンだからな!」

「黙れ!」

リーダー格は手にしている杖を横笛の様に吹いた。

「今度は何の罠だ?」

6匹のジャンボモスキートを呼び出し、編隊を組ませる。

「僕はポケモントレーナーだから人の事言えないけど、子供だましの様な罠や部下ばかりに頼って自分では攻撃しないのか?」

「行け!」

リーダー格はグートミューティヒの挑発に耳を貸さずにジャンボモスキートをけしかける。それを合図に、ジャンボモスキートは1匹ずつグートミューティヒめがけて突撃する。

しかし、

「ブビィ!」

ブビィが吐いた火の粉によってジャンボモスキートは全滅した。

その直後、黒い光弾がグートミューティヒを襲ったが、グートミューティヒ達はさらりとかわした。

「ドーラΔ。お前、ダークメイジだったのか?」

すると、グートミューティヒ達の前に多数のスケルトンが再び立ち塞がった。

「またかよ。どんだけ……」

リーダー格が呪文を詠唱しているのに気付いたグートミューティヒは、ピカチュウ達を散開させる。

「みんな散れ!また闇魔法を使って来るぞ!」

その直後、グートミューティヒが直前までいた場所に重力球が出現し、周囲を吸収し始めた。

「今度はルナΛかよ」

しかも、次々と現れるスケルトンやジャンボモスキートが邪魔でピカチュウ達はリーダー格の呪文詠唱を妨害出来ないでいる。

「配下のスケルトンを盾にして詠唱時間を稼ぐか……あんなしょぼい罠なんか使わずとも戦えるんじゃない」

リーダー格はまたグートミューティヒの挑発を無視するが、グートミューティヒはそのなる事は解っていたかの様にスケルトンの攻撃を躱しながら呪文を詠唱し、

「レスキュー!」

ピカチュウ達がグートミューティヒの近くに転送される。

「何!?転送魔法!?プリーストか!?」

リーダー格がグートミューティヒが使う魔法に驚いたが、それが致命的な隙となった。

「サイレス!」

「が!?」

リーダー格の魔法を封じたグートミューティヒは、トドメとばかりにちょっと長めな詠唱を行う。

「貴様!?プリーストではなかったのか!?」

リーダー格は驚き過ぎて逃げるのを忘れると言う致命的なミスを犯し、グートミューティヒはそれを逃さなかった。

「オーラ!」

リーダー格の足下に光の柱が出現し、リーダー格は光の柱を浴びてもがき苦しんだ。

「ぐがあぁーーーーー!」

そして、光の柱と共にリーダー格は消え、それを契機にスケルトン達は全て砕け散り、ジャンボモスキートは逃走した。

だが、グートミューティヒは頭を抱えた。

「さて……親玉は倒したが……」

そう、先程倒したリーダー格が配置した強大なモンスターをどうするのかである。

「さて……どうやって説明したら良いものか……」

なかなか良いアイデアが浮かばぬままゆっくりと出入口に向かって歩いていると、例の商人が雇ったと思われる傭兵団(の第2弾)と合流した。

「誰だ!?って、娘!?何でこんな所に?」

グートミューティヒは何も考えずに答えてしまう。

「何って、この鉱山が大量のスケルトンに占拠されたって聞いたから……」

団長は呆れた。

「で、それをどうにかする為にここまで来たと?見た目に反する無謀者だな」

そうこうしている内に、傭兵達が線路を頼りに進路を決めようとするが、グートミューティヒが慌てた。

「あー!そっちは駄目!罠が在るから!」

「罠だと!」

グートミューティヒの主張を聴いた団長は、線路が有る坑道をゆっくりと少しだけ歩き、石を前方に投げた。

すると、その石は途中で消えた。

「転送魔法!?」

「危なかったね君達……あのまま進んでいたら、何と戦わされていたか……」

傭兵達は漸くグートミューティヒの言い分に納得した。

「じゃ、この矢印も罠かい?」

部下の予想を聴いた団長は、再び石を投げ、その石はまたしても途中で消えた。

「……さっき視た穴も……と言う事か?」

すると傭兵達は、正解の道から出て来たグートミューティヒを不思議がる。

「ではお嬢さん、正解の道から出たお前は何者だよ!?」

それに対し、グートミューティヒはあっけらかんと答える。

「御節介でお人好しな、プリーストです」

 

で、団長と共にスケルトン達から奪還した鉱山に仕掛けられている罠について例の商人に説明するグートミューティヒ。

「それで別の傭兵団が何時まで経っても戻ってこないと言う訳か……で、その罠を仕掛けたスケルトンは?」

「それは僕は倒しました。あれは恐らく、元ダークメイジのリッチだったと思います」

「リッチだと!?あの裏切り者の!」

商人が驚く中、グートミューティヒは最も重要な事を告げる。

「それより、例のリッチを倒してもなお効果を発揮している罠を何とかしないと、このまま廃坑になります」

グートミューティヒの忠告を素直に聞いた商人は、複数のウォーロックやビショップが鉱山の修復に従事した事で、宝石採掘は無事に再開されたと言う。

その数週間後、例の商人が新たな経験値稼ぎの場を求めてやって来た勇者マドノと口論になったが、それはまた別の話である。

 




ブラックリッチLv19

HP:1800
EX:1000
耐性:闇
弱点:光
推奨レベル:8

膨大な勉強時間欲しさに自らスケルトンになったダークメイジ。呪文を詠唱して手下のスケルトンやジャンボモスキートを召喚して襲い掛からせる。
罠の設置にはかなりの自信が有ったらしいが……
因みに、勇者マドノの予想推奨レベルは14。

攻撃手段

スケルトン召喚:
スケルトンを10体召喚し使役する。

モスキート呼び寄せ:
柄の部分が笛になっている杖を使って6匹のジャンボモスキートを呼び出し、編隊を組ませて1匹ずつ対象者めがけて突撃させる。

各種闇魔法:
様々な闇魔法を繰り出す。詠唱中は無防備になる。
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