ポケットモンスター対RPG   作:モッチー7

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第6話:遅参勇者と焦る魔女①

とある洞窟でスケルトンが大量発生しているとの噂を聞き付けた勇者マドノは、そこで経験値稼ぎをしようとしたが、

「ちょっとちょっとちょっと!お前ら、何しにこの洞窟に入ろうとしてるんだ!?」

マドノにとっては余計な冒険者集団は経験値稼ぎの邪魔でしかなかった。が、

「何って、ここで宝石を掘り出しにだよ」

マドノにとっては予想外の言葉だった。

「何言ってんだ!この先には大量の経験値……もとい!スケルトンが―――」

だが、マドノ一行を差し置いて洞窟に入ろうとしている連中は、何も知らないマドノ一行を笑った。

「ははは。何も知らずにここに来たのか?」

「何!?」

「この洞窟を占拠していたスケルトンの親玉なら、グートミューティヒって言うプリーストが倒しちまったってよ」

「後、そのスケルトン達が仕掛けた罠も全部発見してくれたそうだよ?」

マドノは「嘘だ!」と言いかけたが、彼らの装備をよく視ると、武器はツルハシとスコップだけ、防具に至っては下着とズボンだけであった。とてもじゃないが戦いが出来る格好ではない。

「そいつ……なんて事を……俺達の経験値はどうなるんだ……」

そこへ、グートミューティヒのお陰で宝石鉱山を奪還出来た商人がやって来て、いきなり嫌味な事を言いだす。

「もしかして、貴方が星空の勇者様ですかな?」

先程までマドノと話していた作業員達が一斉に驚いた。

「星空の勇者だと!?」

「俺……この人達に生意気な事言っちゃったよ」

が、商人が困惑する作業員達を嫌味ったらしく宥めた。

「なーに、そんなに驚く事じゃない。寧ろ、重役出勤し過ぎて私の首を長ぁーーーーーくした期待外れ様ですから」

元々、経験値稼ぎをする為にこの洞窟に来ただけなので洞窟の奪還までは考えていなかったので、期待外れと言われてもどうにも感じなかったマドノ。

「期待外れって、まだ俺達は魔王と戦ってないよ」

そんなマドノの言い訳に対し、商人は嫌味たらしく反論する。

「ほほぉーう。期待外れな星空の勇者様は、『機を視て敏』と言う言葉をご存知無いと?悠長ですなぁー」

だが、マドノは手柄を奪われた事より、経験値が稼げない事の方が重大な問題らしく、

「本当に……本当にスケルトンは1体も残ってないんだな!?」

それに対し、商人は厭らしく言い放つ。

「だったら、実際に視て確認してください。ただし、入るからにはそれなりに宝石を回収するまで外に出しませんけど」

「なんだよそれ!こっちは魔王との戦いに備えて経験値稼ぎをしてるんだぞ!なのにその態度は何だ!?」

「せっかく貯めた経験値も、役立つ時に役立てねば、何の意味もありません」

マドノが悔しそうに地団駄を踏む中、マシカルは手柄を横取りしたグートミューティヒについて気になっていた。

「で、その方の特徴は?」

だが!

「その様な事を訊いてどうするんですか?それより、早く働いて下さい」

 

先程の商人に散々嫌味な事を言われたマドノがイライラしていた。

「ふざけんなよ!こっちは魔王退治と言う危ない事をしてるんだぞ!経験値稼ぎぐらいゆっくりやらせろよぉ!」

それを観ていたマシカルは、マドノの唇が尖る理由に逸物の不安を感じていた。

「なあマドノ、やっぱり経験値稼ぎだけじゃなくこっちも何か依頼を受けたらどうだ?」

しかし、マシカルはマドノに叱られた。

「お前は馬鹿か!?」

「え?」

「どんだけ手柄や名声を稼いだってなあ、肝心の魔王に敗けちまったら、意味無ぇんだよ!」

「それは!……それは……」

マシカルは答えに詰まった。

だが、それでもグートミューティヒに手柄や名声を横取りされる事態を快く思わなかった。

「だが!どんなに強くたって、魔王退治を依頼されなきゃ魔王の前に立つ事さえ―――」

それに対し、マドノは胸元のバッチを見せびらかした。

「何寝惚けてるんだ!俺は星空の勇者様だぞ!」

反論の術を失ったマシカルは、手柄を横取りし続けるグートミューティヒへの不満を募らせつつ沈黙した。

その一方、フノクは不満そうに自分の両手を視ていた。

「グートミューティヒ……何か嫌な事を思い出しそうな気がする……」

フノクの不満にマシカルは呆れる。

「そんな事を言って、本当は美女の胸を揉みたいだけでしょ?この変態―――」

「胸!?」

その途端、フノクの眉間に無数の青筋が浮かんだ。

「血が……泡立つ……」

「は?」

「あの巨乳気取りの男乳の感触を思い出す度、血が泡立つ!」

マドノもマシカルもまったく興味を示さなかった。

「だから?」

「まさかとは思うが、経験値稼ぎをサボってまでその女装男を追い回すって言うんじゃないだろうな?」

そんなマドノ達の態度に、フノクの不満を更に悪化させた。

「腹が煮えくり返らんか!?あのぬか喜びを!」

「だから……さっきも言っただろ!魔王に負けたら意味が無いって!」

「と言うか、これに懲りてそう言う馬鹿な事を辞めたら?」

「いーや!福々しくて美しい巨乳は、若く美しい美女にこそ相応しいのじゃ!」

もう聞く価値無しと判断したマシカルは遂に黙った。

その時、勇者一行の前にヒグマが現れた。

「絶好の経験値稼ぎの場を失ってイライラしてるって時に……こうなったら、こいつをぶちのめして経験値の足しにしてやる!」

嫌な予感がしたヒグマは、一目散にその場から逃げたのであった……

 

その日の夜、マシカルはグートミューティヒなる謎の人物について色々と思案していた。

(マドノの奴はあんな事を言っているけど、本当にこのままグートミューティヒに手柄を奪われ続けて良いのだろうか?)

そして、最近聞く噂を思い出して焦りが募った。

(経験値稼ぎの為の雑魚退治を繰り返すだけの私達と、常に大物狙いのグートミューティヒ……)

自分達とグートミューティヒを比べている内に、マドノに嫌味で無礼な事を言った商人の嫌味な顔を思い出して不安になった。

(大衆は果たしてどっちを信頼するか……マドノは『星空の勇者』と言うブランド名に胡坐をかいているけど……)

そして……脳裏に浮かぶは大勢に称賛されて胴上げされるグートミューティヒの姿。

(……私達……案外危ない所に立っているんじゃないのか?)

問題は、どうやってマドノ達を説得するかである。

巨乳美女へのセクハラを趣味とするフノクならまだしも、名声より経験値を重視して雑魚退治に余念が無いマドノと勝利の美酒に酔い過ぎてマドノの腰巾着に成り下がったンレボウの説得は、恐らく不可能だろう。

勇者とは本来、蛮勇の者を意味する言葉の筈だ。が、肝心のマドノは蛮勇とは程遠い経験値稼ぎの真っ最中……

功を焦りグートミューティヒに横取りされた手柄や名声を惜しむマシカルの、苦悩と胃痛の日々はまだまだ続くのであった。




フノク

年齢:36歳
性別:男性
身長:142cm
体重:38.4㎏
職業:勇者の従者
兵種:拳闘士
趣味:セクハラ
好物:美女、巨乳
嫌物:貧乳、醜男
特技:セクハラ

勇者マドノに仕える格闘家。
極度のスケベで、セクハラの常習犯。女癖が非常に悪い反面、貧乳を極度に嫌っており、マシカルをよく怒らせている。
名前の由来は、『ファイター-ァ❘‵ー=』から。
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