ポケットモンスター対RPG   作:モッチー7

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第8話:仇を恩で返す(?)

ダークマーメイド達と手を組んで多くの漁船を難破させて多くの漁師を食い殺していたツノクジラを倒したグートミューティヒ。

が、グートミューティヒが倒し損ねたダークマーメイドが彼の後を尾行していた。

彼女の名は『アム』。

アムもまた、多くの漁船を難破させたダークマーメイドであり、それを邪魔したグートミューティヒを激しく恨んでいた。

(待ってなさい糞女!私達の楽しみを邪魔した事を必ず後悔させながら殺してやるわ!)

アムの決意は固いが、肝心のダークマーメイドはあまり強いモンスターではなかった。

体当たりなどの一般的な攻撃を除くと、歌を歌って対象者を指定場所に移動させる事しか出来ないのである。

故に、難破の原因と結託しないと人間が使用する船舶と互角に戦えないのである。

しかも、ダークマーメイドは本来、海や湖に巣食うモンスター。

だが、今グートミューティヒがいるのは水気の無い地上。

地上を移動できない訳ではないが、それでも水中の方が圧倒的に速い。

正に丘の上の河童!牙をもがれたライオンの様であった。

しかも、今回のターゲットはツノクジラすら倒したグートミューティヒ。

アムは果たしてどうする心算なのだろうか?

 

「およ?」

グートミューティヒは不思議な歌に誘われる様に森の中に入ってしまった。

「ここは……」

その時!

「うわぁー!?」

何かに両足を引っ張られて逆さ吊りにされるグートミューティヒ。

「おやおや?僕の餌場にのこのこやって来るなんて……随分とおバカさんなお嬢ちゃんだねぇ」

「肉食樹木……トレントか?」

「ほおぉ!結構物知りだな?まさか、最近話題の『星空の勇者』かな?」

物陰に隠れながら戦況を観ていたアムが邪な笑みを浮かべた。

(トレント……奴らはただの木ではない!根、枝、蔓、葉、果実、全てがトレントの武器。しかも、噛む力はワニ以上……トレントの口に入った時点で、あの糞女は終わり!)

結局、アムの手段はダークマーメイドの常套手段である歌を利用した他力本願である。

が、先に悲鳴を上げたのはトレントの方だった。

「グギャアァーーーーー!」

「え?……何いぃー!?」

どうやら、ブビィのほのおのうずを受けてトレントが火達磨になってしまったのだ。

(そ……そうだったぁー!モンスターのクセにあの糞女の味方をする変わり者がいたんだったぁー!)

アムが自分の失念を後悔している間もトレントは燃え続け、遂に灰になってしまった……

 

「あれ?」

グートミューティヒの前に3人のグートミューティヒが現れた。

「これは……どう言う事だ?」

これもまた、アムの陰謀だった。

(くくく、ドッペルゲンガーはただの黒いスライムじゃない。ターゲットに変身してターゲットを惑わしてターゲットを食い殺す……困れ困れ。もっと困れ!)

アムは今度こそ勝ちを確信したが、困り果てて混乱したのは、3匹のドッペルゲンガーの方だった。

「あれ?……どう言う事だ?」

アムが様子を観て視ると、ドッペルゲンガーの前にメタモンがいた。

「何で?アイツに化ければいいだけじゃん?」

メタモンの事を知らないアムは単純にそう思った。

だが、ターゲットに変身するドッペルゲンガーにとってはメタモンの能力は非常に厄介だった。

なにせ、メタモンもまた相手のポケモンに変身して相手とまったく同じ技を使うのだ。

お陰で、ドッペルゲンガー達はどっちが本物のグートミューティヒか判んなくなってしまったのだ。

そして、アムもまた、

(マジであの糞女はどれだ?……って!踊るな!腕組むな!シャッフルするな!)

結局のところ、どれが本物のグートミューティヒか判らなくなったドッペルゲンガー同士が同士討ちを始めてしまい、3体のドッペルゲンガーはあっさり全滅した。

(くー!あの糞女……ドッペルゲンガーまで従えていたって言うのぉー!?)

 

「お……おー……」

不思議な歌を追っていたグートミューティヒの前に、巨大な銀色のゴーレムが出現した。

で、グートミューティヒに追われていた歌の歌い手は……やはりアムだった。

が、今回はどうもグートミューティヒに勝つ自信が無かった。

(メダルゴーレム……あの致命的な弱点さえなければ無敵だそうだが、あの糞女がそれに気付くか否か……)

メダルゴーレムと対峙するグートミューティヒが突然走り出し、メダルゴーレムがそれを追う。

(逃げた?どう言う事……いや、あの糞女は油断出来ん!)

アムの嫌な予感は当たっており、グートミューティヒを追っていたメダルゴーレムが突然苦しみ始めた。

「あー!まさか、見つけたのか!?」

そう、グートミューティヒは自分を囮にし、その間に所有ポケモンを総動員してメダルゴーレムの核である8枚の銀貨を探させたのだ。

メダルゴーレムを倒すには、核である8枚の銀貨を破壊するしかないのである。

メダルゴーレムの核である銀貨はメダルゴーレムの体内には無い。だが、メダルゴーレムが遠出する度に核である銀貨はメダルゴーレムの周辺に転送されてしまうのだ。

そして、メダルゴーレムの核である8枚の銀貨は、グートミューティヒの所有ポケモンの総攻撃を受けて破壊された。

(くーうー!またしてもぉー!)

 

次はどのモンスターをグートミューティヒにぶつけようか悩むアム。

既に3回も失敗しているので、アムもグートミューティヒの実力を認めるしかないのである。

いや……ツノクジラを加えると4回目である。

そこへ、オーガと呼ばれる『醜悪な醜男』がアムの前にいた。

(オーガって大柄で怪力だけど、粗暴で自分勝手で力任せ……あの糞女に勝てるとは―――)

アムがそんな事を考えていると、オーガが厭らしい顔でアムを見ていた。

「そう言えば、ダークマーメイドとやった事は無いなぁ」

オーガの言葉に、アムは嫌な予感がした。

「え……アンタ……何を考えてるの?」

アムの質問には答えず、ただパンツ代わりのパレオを脱ぎながらゆっくりとアムに近付くオーガ。

「待て……待て待て待て待て!待てえぇーーーーー!」

慌てて逃げるアムだったが、オーガは肥満体形とは思えぬスピードでアムを追う。

大柄で醜悪な醜男で有名なモンスターであるオーガは、オス個体しかいないので必然的に異種交配でオーガは子孫を残すのだが、どう言う訳か産まれるのは純血種のオーガのみなのだ。

そして……アムはその純血オーガを産む為の母体としてオーガと交尾させられそうになっているのだ。

だが、このまま黙ってオーガと交尾する心算は無いアムは必死で歌った。アムと交尾しようとしているオーガをグートミューティヒにぶつける為に。

そして、

「やめろぉー!」

グートミューティヒがご都合主義的に現れてくれた。

「あ?何だテメェは?」

オーガがグートミューティヒの方を振り返ると、オーガが邪な笑みを浮かべながら涎を垂らした。

「お。良い女じゃねぇか?まさか、お前も交尾しに来たのか?」

「僕がオーガを出産する?フフフ……フフフ……」

その途端、グートミューティヒも邪な笑みを浮かべたので、アムは色々と不安になる。

「……何……何なの!?」

すると、グートミューティヒが醜悪で邪悪な笑顔で大笑いした。

「あーははは!残念でした!男ですー!」

「!?」

アムは、グートミューティヒの言い訳を直ぐに理解出来ず、無様な豚鼻を晒した。

一方、オーガはグートミューティヒの言葉をただの言い逃れと判断した。

「おいおい。そんな見え透いた嘘なんか言ってどうすんだ?脱がせば解んだよ!」

「いやーどうしよー。僕、男に興味無いオーガに告白されちゃったー」

「諄いぜ?その顔その胸その姿、それで男を偽っても……説得力ねぇんだよ!」

オーガに迫られたグートミューティヒは、ポワルンにある事を命じる。

「ポワルン!あられだ!」

すると、何の前触れも無く霰が降り始めた。

「な……何?急に天候が変わった!?」

「雨?それにしては随分いてぇけど……」

そして、ポワルンの姿も変わっていたが、アムもオーガもそれを気にする余裕は無かった。

「バニプッチ!こごえるかぜだ!」

凍てつく冷気を吹き付けられたオーガは、アムを更に混乱に陥れた。

「だあちいぃーーーーー!」

「何で!?こんなに寒いのに!」

それに対し、グートミューティヒは大袈裟に熱がるオーガを不思議そうに視ていた。

「……僕がこの前読んだ『世界バカ図鑑』の一節は、真実だったのか?」

「真実?何の事よ?」

「極寒の雪山の暑さに耐えられずに沸騰死する」

アムは、馬鹿を見る目でグートミューティヒを見た。

「それって……真夏の話よね……」

が、グートミューティヒは冷静に反論した。

「いや、真冬で豪雪期の雪山でと書かれていたよ。もしかしたら、低体温症による錯覚かも」

そして……大袈裟に熱がり続けたオーガが仰向けに斃れ、そのまま動かなくなった。

「……冗談でしょ」

 

グートミューティヒはオーガの魔の手からアムを助け出した事を安堵した。

「いやぁー、間に合って良かったですね?」

アムはグートミューティヒの態度に混乱した。

「確かに助かったけど……何でアンタがそれを喜ぶのよ?」

「それは勿論、貴女に借りが有るからですよ」

「借り?」

アムは意味が解らなかった。

今までアムはグートミューティヒに様々なモンスターを差し向けたが、グートミューティヒに恩を売った覚えは無い。

だが、グートミューティヒの言い分は真逆だった。

「だって、君の歌のお陰でこの辺で悪さしていたモンスターを探し出せたじゃん」

それを聴いて嫌な予感がするアム。

「探し出せた……もしかしてアンタ……私の歌を頼りにモンスターを探してたって言うの!?」

「うん!」

嬉しそうに首を縦に振るグートミューティヒを視て、アムは愕然とした。

アムがグートミューティヒを倒す為に行って来た努力をドッキリに例えるなら、『仕掛け人がターゲットの手の平で踊る』様なモノだ。

「私って……私……て……」

アムは、自分の不甲斐無さに失望し過ぎて失神した。

「あ!?おい!大丈夫か!?おい!」

 

アムが目を覚ますと、湖に浮かんでいた。

「ここは?」

「目が覚めたかい?」

目の前にグートミューティヒがいるので慌てて距離を開ける。

「うわぁー!?あ!?うわぁー!」

アムが慌てる中、グートミューティヒは冷静に語り掛けた。

「大丈夫。攻撃はしないよ」

「何言ってるの!?アンタが人間で私がモンスターよ」

「それがどうかしました?」

アムはグートミューティヒの質問の意味が解らなかった。

「『何で?』?……何を言っているのか解ってるの?」

グートミューティヒは何故不思議がるのかが解らなかった。

「何故そこまで警戒するんですか?戦う理由は無いのに」

「無い……アンタが人間で私がモンスターよ!」

「それは、種族や分類が違うってだけの話でしょ?それのどこが戦う理由なんですか?」

アムは予想外の質問に困惑した。

目の前にモンスターがいるから戦うと言う常識が、このグートミューティヒにはまるで通用しないからだ。

「モンスター……」

アムはここでグートミューティヒの戦闘方法を思い出し、グートミューティヒの人間とモンスターの関係に関する常識が通用しないが綺麗事でも嘘偽りでもない事を確信してしまった。

「そこの糞女、アンタ何者なの?」

アムの質問に対し、グートミューティヒは何の策略も無く普通に答えた。

「グートミューティヒ。まだまだ成長途中のポケモントレーナーで、女装好きな男です」

理解に苦しみ過ぎて無言になるアム。

「あ、『貴女への借りを返している途中』を付け加えるのを忘れていましたね」

そして……

グートミューティヒはアムに対して何もせずに去ってしまった。

「グートミューティヒ……アンタ何者なの……」




アム

分類:ダークマーメイド
体長:163cm
全長:195.6㎝
体重:58.4㎏
体型:B88/W62/H88
胸囲:D70
趣味:歌唱、演奏、ターゲット誘導
好物:ターゲットの悲鳴
嫌物:勘の鋭いターゲット
特技:歌唱、演奏、催眠術

誘惑と催眠の効果がある歌でターゲットを死地に誘導するモンスター、『ダークマーメイド』の1匹。
他のダークマーメイドとツノクジラをグートミューティヒに退治され、仇を討つ為にグートミューティヒの後を追う。当初は自慢の誘惑歌でグートミューティヒに様々なモンスターを差し向けるものの、彼と交流を深めるうちに心を開き、ダークマーメイドに秘められたあるポケモンに似た体質を開花させていく。
イメージモデルは悪堕ちした麗日お茶子【僕のヒーローアカデミア】。
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