NEXTジェネレーションズ Day After Tomorrow ~仮面ライダーダークドライブ~ 作:大島海峡
「はぁっ!」
とても機械とは思えない、裂帛の気合いとともに、魔進チェイサーはブレイクガンナーを突き出して攻める。
それを受け流し、かつその回転力を活かして、『ネクストファイズ』はがら空きとなった背に、重装甲らしからぬ軽快で打点の高い蹴りを叩き込む。
〈Tune! Chaser Spider〉
だが、ダメージを受けながらもバイラルコアを装填。
その右手の甲に物々しい刺突武器を展開させ、素早き反撃へと転ずる。
火花を散らし叩き込まれるが、その派手さに反し、それほどのダメージにはなっていないようだった。
その首根を刃に挟み込むようにして押しまくるチェイス。だが相手もまた、冷静な手つきで自身の画面を操作する。
〈Faiz edge, Materialize〉
その半開きの手より突き出た光線が、そのまま剣となってチェイサーを衝き飛ばす。
〈Knuckle mode〉
そしてそのデバイス自体を持ち手を展開させてグローブのように握りしめて押し返す。
スパイダーの重撃を、その剣『ファイズエッジ』の切っ先が直接受けるのではなく、跳ね上げ、浮いた胴に敗者の烙印を焼き入れるがごとく、赤熱するスマートフォンのディスプレイが叩きつけられる。
苦悶の声とともに膝を屈しかけるも、それを耐え忍び、逆にガンナーをゼロ距離で撃ち放つ。
〈Tune! Chaser Bat〉
〈Tune! Chaser Cobra〉
その銃撃で地を滑りながら後退するその間隙で、チェイスは矢次早にバイラルコアを装填していく。
鞭、弓の武装が、その銀色の兵器に組み合わさった。
トリプルチューン、それが今このチェイスの、最強戦力だろう。
首をもたげた蛇のごとく、鞭がしなって追い討ちをかける。さらに紫光の矢玉が連射される。
だがそれをエッジが難なく切り払い、
〈Burst mode〉
という音声とともに、拳闘がための近接武器から、トリガーのついた銃器に切り替わったデバイスから連射がくり出される。
その弾数、威力ともにチェイスのそれを上回り、張った弾幕を突破したいくつかが彼の胴体に火華を咲かせる。
雄叫びとともに、彼はブレイクガンナーで地面を叩きつけようとする。
おそらく狙いは超重加速。それをもって、対抗策を持ち得ない相手を制圧しようとする思惑。
だが、その動きに相手は敏捷に反応した。
〈Exceed Charge〉
画面を操作して後、ベルトのバックルにスマートフォンを戻し、輝度を増したファイズエッジを掬い上げるようにして振り抜く。
地を馳せる赤光はそのままチェイスを取り囲み、反重力状態として手も足も出させず浮き上がらせる。
そしてもう一撃、今度は実効的な刃風がチェイスに直撃する。
(だめだ……っ)
もちろん相手が歴戦ともいうべき対応力というのもあるが、装備自体のバリエーション、その展開速度、単純な火力。どれをとっても、格が違い過ぎる。
見ていられず目を伏せようとする英志の背後に、いつの間にかシンジが回り込んでいた。
「目を逸らすなよ」
と、その髪を引っ掴んで無理やり正面を向けさせる。
「オレが二〇五五年で味わった絶望は、こんなもんじゃなかった」
と、耳元で低く呪詛を吐きかける。
「ちゃーんと見てろ、あの時代遅れの鉄屑が、ブッ壊れるサマをな」
それを受けてのことではないだろうが、戦機を見抜いたファイズが、腰を低くかがめた。
〈Exceed Charge〉
禁断の必殺、二度打ち。前へと突き出した足首に、懐中電灯のような装置が展開される。
そして一息にチェイスの頭上へと飛び上がると同時に、その装置から打ち出されたポインタのような円錐の光線が、チェイスをその場に固定させる。
気炎とともに、他の仮面ライダーが怪人を屠ってきたように、蹴り穿たんと急降下する。
――あれを受ければ、間違いなく、チェイスは再び、そのコアごと破壊される。
そんなことは、英志でなくとも分かる。
「――逃げろッ、チェイス!!」
と、変身もできず、拘束されている英志には、声を張り上げることしかできない。
その空しい努力を、壊れたようにシンジが嘲笑した。
〈スピードタイム! リバイリバイリバイ! リバイリバイリバイ! リバイブ疾風!〉
刹那、青き突風がその場に吹き抜いた。
その風威たるや、ポインタを粉砕しチェイスを救い出し、かつファイズを横合いから飛ばすほどであった。
――嵐が過ぎ去れば、戦場の中心に、一つの影が立っていた。
徹底的に無駄を削り抜いた脚部。両翼を青く鋭く展開させた半身。
左手に握りしめるのは猛禽のそれを想わせる二本爪。
そして腰のベルトには、赤い時計と砂時計。それに挟まれるようにデジタル時計。
そのマスクには――
「カメン……らいだー?」
己が何者かがそのまま、文字として刻まれていた。