NEXTジェネレーションズ Day After Tomorrow ~仮面ライダーダークドライブ~   作:大島海峡

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12.

「はぁっ!」

 とても機械とは思えない、裂帛の気合いとともに、魔進チェイサーはブレイクガンナーを突き出して攻める。

 それを受け流し、かつその回転力を活かして、『ネクストファイズ』はがら空きとなった背に、重装甲らしからぬ軽快で打点の高い蹴りを叩き込む。

 

〈Tune! Chaser Spider〉

 だが、ダメージを受けながらもバイラルコアを装填。

 その右手の甲に物々しい刺突武器を展開させ、素早き反撃へと転ずる。

 

 火花を散らし叩き込まれるが、その派手さに反し、それほどのダメージにはなっていないようだった。

 その首根を刃に挟み込むようにして押しまくるチェイス。だが相手もまた、冷静な手つきで自身の画面を操作する。

 

〈Faiz edge, Materialize〉

 その半開きの手より突き出た光線が、そのまま剣となってチェイサーを衝き飛ばす。

〈Knuckle mode〉

 そしてそのデバイス自体を持ち手を展開させてグローブのように握りしめて押し返す。

 

 スパイダーの重撃を、その剣『ファイズエッジ』の切っ先が直接受けるのではなく、跳ね上げ、浮いた胴に敗者の烙印を焼き入れるがごとく、赤熱するスマートフォンのディスプレイが叩きつけられる。

 苦悶の声とともに膝を屈しかけるも、それを耐え忍び、逆にガンナーをゼロ距離で撃ち放つ。

 

〈Tune! Chaser Bat〉

〈Tune! Chaser Cobra〉

 その銃撃で地を滑りながら後退するその間隙で、チェイスは矢次早にバイラルコアを装填していく。

 鞭、弓の武装が、その銀色の兵器に組み合わさった。

 トリプルチューン、それが今このチェイスの、最強戦力だろう。

 

 首をもたげた蛇のごとく、鞭がしなって追い討ちをかける。さらに紫光の矢玉が連射される。

 だがそれをエッジが難なく切り払い、

〈Burst mode〉

 という音声とともに、拳闘がための近接武器から、トリガーのついた銃器に切り替わったデバイスから連射がくり出される。

 その弾数、威力ともにチェイスのそれを上回り、張った弾幕を突破したいくつかが彼の胴体に火華を咲かせる。

 

 雄叫びとともに、彼はブレイクガンナーで地面を叩きつけようとする。

 おそらく狙いは超重加速。それをもって、対抗策を持ち得ない相手を制圧しようとする思惑。

 

 だが、その動きに相手は敏捷に反応した。

〈Exceed Charge〉

 画面を操作して後、ベルトのバックルにスマートフォンを戻し、輝度を増したファイズエッジを掬い上げるようにして振り抜く。

 地を馳せる赤光はそのままチェイスを取り囲み、反重力状態として手も足も出させず浮き上がらせる。

 そしてもう一撃、今度は実効的な刃風がチェイスに直撃する。

 

(だめだ……っ)

 もちろん相手が歴戦ともいうべき対応力というのもあるが、装備自体のバリエーション、その展開速度、単純な火力。どれをとっても、格が違い過ぎる。

 

 見ていられず目を伏せようとする英志の背後に、いつの間にかシンジが回り込んでいた。

「目を逸らすなよ」

 と、その髪を引っ掴んで無理やり正面を向けさせる。

「オレが二〇五五年で味わった絶望は、こんなもんじゃなかった」

 と、耳元で低く呪詛を吐きかける。

「ちゃーんと見てろ、あの時代遅れの鉄屑が、ブッ壊れるサマをな」

 

 それを受けてのことではないだろうが、戦機を見抜いたファイズが、腰を低くかがめた。

〈Exceed Charge〉

 禁断の必殺、二度打ち。前へと突き出した足首に、懐中電灯のような装置が展開される。

 

 そして一息にチェイスの頭上へと飛び上がると同時に、その装置から打ち出されたポインタのような円錐の光線が、チェイスをその場に固定させる。

 

 気炎とともに、他の仮面ライダーが怪人を屠ってきたように、蹴り穿たんと急降下する。

 ――あれを受ければ、間違いなく、チェイスは再び、そのコアごと破壊される。

 そんなことは、英志でなくとも分かる。

 

「――逃げろッ、チェイス!!」

 と、変身もできず、拘束されている英志には、声を張り上げることしかできない。

 その空しい努力を、壊れたようにシンジが嘲笑した。

 

 

 

〈スピードタイム! リバイリバイリバイ! リバイリバイリバイ! リバイブ疾風!〉

 

 

 

 刹那、青き突風がその場に吹き抜いた。

 その風威たるや、ポインタを粉砕しチェイスを救い出し、かつファイズを横合いから飛ばすほどであった。

 

 ――嵐が過ぎ去れば、戦場の中心に、一つの影が立っていた。

 徹底的に無駄を削り抜いた脚部。両翼を青く鋭く展開させた半身。

 左手に握りしめるのは猛禽のそれを想わせる二本爪。

 そして腰のベルトには、赤い時計と砂時計。それに挟まれるようにデジタル時計。

 

 そのマスクには――

「カメン……らいだー?」

 己が何者かがそのまま、文字として刻まれていた。

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