NEXTジェネレーションズ Day After Tomorrow ~仮面ライダーダークドライブ~ 作:大島海峡
文字でのある種強烈な
彼は状況を確認すべく、左右を見回した。
「……誰だ、お前」
そして、英志を突き放したシンジを見るや、
「やはり、アナザーライダーと」
と甲高い男の声音で呟き、その横顔に剣を突き立てんとしたファイズの刃をクローで顧みもせず防ぎ、
「ナリは少し違うがファイズ……この時間軸の
と問うた。
答えはない。
ただ無言で加える攻めが、互いのスタンスに対する答え、敵対の宣告だ。
シンジも未知の敵手に対するべく、そこに横槍をつける。
〈Start UP〉
攻撃の最中、乾巧と呼ばれたそのライダーが、ふたたびバックルの画面を操作する。
展開された網のようなエネルギー体が彼の身体を通過する。胸部のプレートがその角度を変え、マスクが回転。その目付きは丸くなるものの、眼光は不気味に真っ赤に染まった。
その身を駆け巡るラインが、虹色に明滅すると同時に、踏み込んだその身体が消えた。
それに合わせて他の二体も消える。
いや、三者ともに間違いなくそこにいる。英志とチェイスを取り囲むようにして交錯する閃光が、それを如実に伝える。
あまりに早く動くがため、肉眼では捉えきれないのだ。
時折サブリミナル効果のように彼らが立ち止まって衝突するさまが浮かび上がり、それに音が追いついたかに思えた瞬間、姿を消してまた不可視の機動戦が再開する。
〈3・2・1……〉
だが響くカウントダウンが、その応酬の終わりを告げる。
三つの影が、英志の手前で交錯する。
〈Time out. Reformation〉
〈パワードタイム! リ・バ・イ・ブ・剛烈!〉
左右から挟み込むように、高速移動中最後の攻撃を仕掛けたシンジと巧。だが、仮面ライダーは片腕ずつで、それを防ぎ止めた。
青い両翼は格納され、分厚いオレンジの胸部装甲となっている。
〈パワードのこ!〉
その手の二本爪も、それに呼応し丸鋸のようなものへと換わる。それでシンジを殴り飛ばす。
〈エクシードチャージ!〉
そしてもう一方の手には、ファイズのデバイスと丸時計を組み合わせたような銃器を握りしめている。
そのトリガーに指をかけると、先に彼が撃ち出したものと同系統のポインタが飛び、ファイズを橋の手すりに吹き飛ばした。
〈ゲイツマジェスティ!〉
彼らが体勢を整えるに先んじて、彼の右手にはより巨大なウォッチが納まっている。
左右にいくつものライダーの肖像を展開させたそのウォッチを、砂時計と取り換え、そして両手でバックルを抱え込むようにして一回転。
〈マジェスティタイム! G3! ナイト! カイザ! ギャレン! イブキ! ガタック! ゼロノス! イクサ! ディエンド!〉
無数のデバイスと、形成装置が、両手を広げたそのライダーを、そして英志やチェイスを、いかなる攻撃からも護る。そして同時に、赤く豪奢にライダーの姿を変えていく。
〈アクセル! バース! メテオ! ビースト! バロン! マッハ! スペクター! ブレイブ! クローズ! 仮面ライダーゲイツマジェスティ!〉
そして肢体の要所にそのデバイスたちが嵌まっていく。英雄然とした外套が背を覆う。
〈G3!〉
〈カイザ!〉
〈イクサ!〉
素早くウォッチにタッチするや、それぞれに相当する武器類が転送されてくる。
アタッシュケースのような重火器。持ち手あたりのボタン操作でガトリング砲として展開し、弾丸の嵐を両敵に浴びせる。
そしてもう一方の手に『X』がシンボルマークの射撃武器を取り、光弾でさらなる牽制を追加するとともに、逆手に生じた黄色の光線のブレードでファイズエッジと競り合う。
空いたその背に、シンジが食って掛からんとした瞬間、突如橋の外、水面より白い巨影が浮上した。
さながら大昔の首長竜か、はたまたネッシーか。長い首をもたげたそれは、それらに寄せて作られたと思われる重機だった。
背に搭載した青いエネルギーボールを咥え込んでは、シンジに向けて投射する。着弾と同時に爆発を起こすそれから、我が身を庇う『アナザーライダー』とやらの前で、巧を剣光で後退させた。
そこに体勢を整えたチェイスが飛びかかった。
〈Execution! Full break!〉
と、力を溜めたブレイクガンナーを、ファイズへと叩き込む。咄嗟にガードされたため、倒すには至らないが、橋下へと吹き飛ばした。水音が聴こえた。
一方で赤いライダーは、多数のライダーの刻まれたそのベルトのロックを外し、再び回転させた。
〈フィニッシュタイム! マジェスティ! エル・サルバトーレ・タイムバースト!〉
叔父の力、マッハを含めた多数のライダーの影が彼の身体に重なる。固めた拳に集約される。
低く跳躍した彼に対する危機感が勝ったのだろう。立ち向かうということをシンジはせず、後退した。
そしてその間に、空中から飛来していきた、ネクストライドロンを魔改造したがごとき造形のビークルが割り込んできた。
おそらくシンジが身代わりに呼び寄せたであろうそれは、果たしてその役目を果たし、その車体に必殺技の直撃を喰らって爆発四散。その火勢が和らぐと、シンジの姿がどこにもなかった。
「……逃がしたか」
着地した彼は、軽い舌打ちと共にドライバーの両サイドからデバイスを引き抜く。
と同時にその装備も、呼び出したガジェットの類も消えた。
「仮面ライダーダークドライブ、泊英志だな?」
そんな確認をしながら中から現れたのは、英志と同世代の、青年だった。
短く切った髪、シンプルな半袖の黒Tシャツとジーンズという出立は、いかにも体育会系の私服といった調子だが、顔つきは熟練の戦士のように精悍なものだった。
「……誰?」
ここ数日で何度したかもしれない問いかけを、英志はあらためてするより他ない。
「
と、大言壮語ながらに決して笑うことを許さない重みを込めて、名乗ったのだった。