NEXTジェネレーションズ Day After Tomorrow ~仮面ライダーダークドライブ~ 作:大島海峡
その工場と山を隔てる形で、峡谷にかけられた橋がある。
薄いグリーンの外装が錆びついてこそいるものの、骨組みはしっかりとしていて、車数台が並べるだけの幅の余地がある……したがって、戦う場としても申し分のない広さが確保されていた。
その中心に、先端を尖らせたそのバイクと、そこにもたれかかって陣取る乾巧の姿がある。いざ戦闘となった際にわざわざ荷台から変身ベルトを取り出してセットする、という不手際を避けるためか。すでのその腰にはドライバーが巻かれていた。
ネクストライドロンで彼を追走してきた英志は、十分な距離を置いて停まった。
「貴方は、案内人? それとも番人?」
車から降りるとともに、英志は巧に問いをぶつける。
「どっちもだ。あいつはこの先で、お前を待ってる」
にべもなく、男は言った。ぶっきらぼうに投げた目線の先、工場の煙突が伸びている。やはり、シンジは直感どおりそこにいるらしい。
「分かんないな。洗脳なんてされてる風に見えない。なのに、なんでシンジに肩入れする? あいつは、貴方を利用してるだけだ。そんなことぐらい分かってるでしょ?」
「お前の未来は遠からず破滅するらしいじゃねぇか。世界を守るためにそれを変える以外の理由が、何か要るのか?」
巧は即答した。
だが返答の速さに反して、どこかその声調には煮え切らないものがある。手の中で、変身用スマートフォンを弄んでいる。
「本当に、その話を信じてるの?」
直截に問い返した英志に、陰のある目元を持ち上げた巧は、
「さぁな」
と、圧倒的に足りていない言葉を返した。
そこそこの間、沈黙で場が停滞した後、彼はおもむろに、
「正直なところ、迷ってる」
と答えた。
「俺は、まだ信じていたい。何度も積み重ねてきた俺たちの死が、世界の未来にとって意味のあるものだったって」
だが、と言葉を繋ぐ彼の影が、灰色に蠢く。
「その信じてた未来が、崩れ去ろうとしてる」
地面に言葉を落とす。手の中で画面をタップし、起動状態に。
「シンジから聞いた。お前、進ノ介と霧子の倅なんだってな」
何故、どういう経緯で両親のことを知ったのか。彼の存在が話題にあがったことなど、ただの一度もなかったのに。
だが、そこを追及するのは、ひどく野暮なことに思えて、英志は唇を引き結んで頷いた。
「だったらお前が教えてくれ。俺たちが選び取った未来は、正しかったのか? 先を生きたお前の答えを、お前自身の力で……!」
静かだが、様々な想いを押し殺したかのような悲痛な訴えは、孤独な狼の遠吠えにも似ている。
〈Standing by……〉
「変身!」
〈Complete〉
デバイスを装填されたベルトから放出された光の管が、巧を鋼の戦士、ネクストファイズに変貌させる。
それに応えるかたちで、英志は自らの懐から、ウォッチを取り出した。
彼自身の力。彼たらしめるものを反映させた象徴。
〈ダークドライブ!〉
それを今、押して時を動かす。
瞬間、ウォッチは光の粒子と化して、掌を介して英志の全身に取り込まれた。喪われていた時間を取り戻したような、芯より満たされる心地がした。
それと同時に、英志の胴回りに、ドライブドライバーが転送された。
見てくれこそ従来と変わらないが、自らにフィットするその感覚で判る。これは己の、『彼』のベルトだ。
それを証するように、天より時空を切り裂いて雷鳴とともに飛来する一筋の蒼き閃き。
それは惑うことなく英志の手に収まった。
――シフトネクストスペシャル。
別の自分と、父を介して英志の手に渡った、相棒。
すでに問答は無用だ。彼を納得させない限り、ここは通してもらえない。
だから、自らの未来に賭ける信念を、ありたけにこの先達へとぶつける。それこそが、今彼に課せられた
「Start our mission」
久方ぶりの決まり文句を口の中で呟き、シフトブレスにシフトカーを滑らせる。
「変身……!」
〈Drive! Type Next!〉
纏うは電光。それらが外殻を刻む黒き装甲と斜にかかったタイヤ。
目を覆うバイザーは青く鋭く前を見据える。
仮面ライダー、ダークドライブ。
一年ぶりに取り戻した、『泊
〈Faiz edge, Materialize〉
という、相手の武装に応じるは、転送したブレイドガンナー。
互いに構えたその刃を、火花と共に絡ませ合う。
かくして、『