NEXTジェネレーションズ Day After Tomorrow ~仮面ライダーダークドライブ~ 作:大島海峡
互いの打倒の意志と刃が絡み合う。
数合の交錯、剣戟の果てに互いの肩口から胴体にかけてを削り合い、打撃によって弾き合う。
良くも悪くも呼吸が合う。波長が合う。まるで示し合わせていたかのように、何かに引き合わされるかのごとく。
「ぐっ!」
しかし、直撃したダメージは、重い。
まるで存在そのものが揺さぶられるかのようだった。ブレイドガンナーが零れ落ち、金属音と共に手の届かぬ辺りに滑っていった。回収する余地はない。
だがダメージの具合は相手も同程度のようだった。
「う、ぐっ……!」
シンジは初めて、膝をついた。
おそらくそれは、対となる存在であるが故に。
ダークドライブという席を、争奪する関係であるがために。
ハイリスク・ハイリターン。だがこれがこの世界で唯一無二、彼を倒す……否、救う手段というなら、突き進むしかない。
そしてそのことに怖じたり不安がることはない。このスーツは一年前と変わらず身体に馴染んでいる。
それはこのシステムが最新式の、洗練された装備だからではない。
遺伝子レベルで、徹頭徹尾、自分はダークドライブだからだ。
(だからこそ、今はまだ譲れない!)
この先何が起こるにせよ。
この力も、この世界の命運も、シンジには。
その信念のもとにあらためてアナザーダークドライブと組み合う。
互いに接した部分が、焼けるようにひりつく。酸でもかけられたかのようなその痛みに、仮面の奥底で歯を食いしばって耐える。
そして、彼が失って、まだ英志の元に残ったものがある。
精神的な意味などではなく。
反撃を覚悟で、英志は両の掌を敵の胸部へと叩きつけた。
わずかに衝撃の波を揺らがせながら突き飛ばされたシンジに、横合いから黒豹が如き巨影が喰らいつく。
ネクストライドロンだ。
すでにアナザーのデッドコピーは壊れたが、英志を改変から守り通したオリジナルはなお健在。それがシンジを跳ね飛ばし、光の渦を巻き上げ、雷電の尾を引きながら疾駆するそれが、彼に地を踏ませない。
〈Next!〉
そしてベルトとブレスを操作するとともに、腰を沈めて狙いを定め覚悟を決めて、自らもその渦の中へと飛び込んだ。
疾駆する愛車を何度となく踏み台に、際限なく加速していく。電撃、稲妻、疾風の中にシンジを封じ込めながら追い討ちをかけていく。
そしてその速度が最高潮に達し、自らが光と一体化した英志は、裂帛の気合いをあげて足を突き出し、究極の一蹴を撃ち出した。
爪先から伝わる、確かな感触。それを通り過ぎる間際に感じ取りつつ、ネクストライドロンを背に、地を赤く熱し溶かし、削りながら英志は着地した。
――やったか? と。
肩を上下させつつ顧みた英志は、その一瞬後に息を呑んだ。
確かに捕らえ、そして捉えていたはずの、アナザーライダーの姿がない。
わずかばかりの残火が、彼のいたあたりで燻っているのみである。
否、それどころか。
顧みたまま、己の身体が動かない。
動かない視界の中、樹木の葉、その火さえ揺らめくことがない。
まるでこれは――時でも止められたかのような……
「よくやった、とは言いたいところだけど……残念だったね」
巡らせることの出来ない首。その死角で、シンジの声がした。気づけば彼は、英志の背後に回り込んでいた。
「この力は時の魔王の一端も秘めている。ダークドライブの力を取り戻したところで、そもそも勝てるワケないだろうがッ!」
わずかに裏返ったような調子の怒号とともに、紫電を帯びたシンジの足裏が、ダークドライブの装甲へと叩きつけられた。
回避も出来ず、防御もとれず。
吹き飛ばされた英志の身柄はネクストライドロンに激突し、そして時は動き出す。
強制的に解除された変身。英志の身体がずるずると剥がれ落ちるとともに、次世代型トライドロンの窓はすべて割れ、破損した車体からは火柱があがり始めた。