NEXTジェネレーションズ Day After Tomorrow ~仮面ライダーダークドライブ~ 作:大島海峡
山の方角より、金色の波が空に広がり、地を満たしていく。
そしてそこらに蔓延る異形の怪物がそれに触れると、その存在自体が偽りであったかのように霧散していった。
「お、お、お!? なんだなんだァ!?」
仮面ライダーとなった剛が慌てふためいたが、ふしぎと進ノ介は悪い気がしなかった。
むしろ静かにその変化と現象を受け入れる心構えが、出来ている。
「……何がなんだかサッパリだが」
まったく知らない先進的なドライブ。
「俺たち、また会えるよな? ベルトさん」
「――あぁ、もちろんだとも」
あくまで生前の記憶を引き継いだプログラムに過ぎない。それに妙なノスタルジズムを持つ彼は自らの感情を表現するのに数パターンの、簡易的な顔文字しかドライバーに用意していなかった。
だがそのシンプルな笑顔や紳士的な声は、穏やかな真心が込められていた。
「私は人類の進む先で待っている。だから、こんなところで立ち止まっていないで、早く追いついて来たまえよ。進ノ介」
「……当たり前だろ」
かすかな痛みと共に、理由も分からないまま湧いてくる感傷と共に、仮面ライダードライブは頷いた。
「いやいや、良い雰囲気になってるところ悪いんだけど、どうするんだよこの状況!? なぁ……ってあれ? そう言えばアイツ、どこ行った?」
混乱する剛は、今まで共闘していた謎のライダーを捜すべく首を巡らせるも、その姿は忽然と消えていた。
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その様子を、上の段差からチェイスはひっそりと……というよりも割と堂々と直立して見守っていた。
「良いのか? お前は、別れを惜しまなくて」
ジョージの身柄を背負ったゲイツが、後ろから声をかけた。
チェイスの視線の先に、右往左往する剛の姿がある。それに色々と思うところなありげな目の細め方をした彼だったが、
「奴らが待っているのは、俺ではない。奴らにとってのチェイスだ」
とシンプルに理由を説明した。
その手には、傷だらけのシグナルチェイサーと、そして免許証が握られている。いずれこれらも、歴史の修正力によって、いずれ本来の持ち主のもとへと還っていくことだろう。
免許の顔写真をじっと見下し、
「あちらの俺は、明るい人柄だったようだ……俺には、こんな眩いほどの笑顔は、出来そうにない」
と若干気落ちしたように首を垂れた。
「いや、多分なんか誤解してると思うぞ!?」
思わず突っ込むゲイツの眼前に差し出されたのは、他ならぬチェイスの手。
「別れを惜しむとすれば、お前だ」
訝しげに眉をひそめた青年に、淡々とロイミュードは告げる。
鋼で人を模した彼の身体は、少しずつ粒子に帰していく。彼の語った歴史の修正力は、彼自身をも消し去ろうとしている。例外はない。
「友とは、別れの際に握手を交わすもの。それが、人間のルールではないのか?」
だがそれを意にも介さず素朴に尋ねる彼に、ゲイツは表情を綻ばせた。
「あぁ、何度でも言ってやる」
それに言及せず頷き返すとともに、ジョージ狩崎の手を引く。
「うぅーん、ダディ……今度は、このデータを、検証……」
と、父親と実験でもしている夢でも見ているらしい彼の手もチェイスに握らせ、自身ももう一方の手で強く握り返した。
「チェイス、お前は俺の――もうひとりの友だ」
最後に友に手向けたもの。それは、自ら負ってきた重圧から解放され、一途に夢に向かって邁進する、純粋な若者の笑顔だった。