NEXTジェネレーションズ Day After Tomorrow ~仮面ライダーダークドライブ~ 作:大島海峡
『彼』を呼び出したカードはその効力を失い、男は自らの衛星の内部へと帰還した。
搭載した人工知能によって虚空に表示された、その外の在りよう。そこには二つに引き裂かれんとしていた地球のうち、片割れの影が消えて一つの青き惑星に戻らんとしている様があった。
良くも悪くも、そう見られる光景ではあるまい。
目に焼き付けようとその推移を見守りつつ、それを成し遂げた後輩たちに心で、そして心からの喝采を送る。
「俺もまだまだ負けてられないな」
大きく伸びをして気合いを入れ直し、上を仰ぐ。
夢半ばで倒れた者、夢に殉じた者。そうした人やヒューマギアの想いを背負って、彼は夢に向かってより高く翔ぶ。
「この先も夢と笑いで時代の先端を行く! それはもちろんっ」
天へと突き上げた指を大きく旋回させ、見栄を切るような大仰なジェスチャーで前方に、十八番のネタを放つ。
「アルトじゃあぁー! ナイトォー!」
……我ながら、長きブランクがあるとは思えない会心の冴えと響きだったという自負がある。
人にもヒューマギアにも、夢はある。夢を視る魂がある。
誰かの気配が、正面で動きを合わせる。この道に繋がる、最初の鍵を開けてくれた
『彼女』の存在を、彼は確かに感じ、顔を綻ばせたのだった。
〜〜〜
〈Ready〉
巧は手首を大きく振るい、ポインターを握りしめる。
その手で、浮き上がらせた脚部で敵を退けつつ、身体を回せてその脚部に装置を装填する。
〈Exceed Charge〉
気だるげに腰を落としてフォトンブラッドの充填を待つ。いずれも、身体に馴染ませた動きだ。
限界に達すると同時に跳躍し、そこからマーカーを射出する。
固着させられた怪異たちに、
オルフェノクの幻影たちを青い焔が焼き尽すのを背に、巧は佇む。
その全てが終わった。やがてこの仮初の命も消える。
持ち上げた視線の先の工場から発せられる波動を通じて、それらを感じ取る。
彼をここまで逡巡させたこと、それは自らがまた死ぬことへの恐怖それ自体ではなかった。
死を恐れるあまり、かつての自分の決断を後悔すること。過去の己を今の自分が裏切ること。それだけだった。
だからこの時、彼の胸を占めていたのは、ほのかな安堵だった。
その身は灰には還らず。ただ青い蝶となって散っていく。
所詮、これは蝶の見る一夜の夢だ。そして、夢から醒めればその守り人も消える。
(それでも)
最後の一瞬まで、祈りたい、信じていたい。
その蝶の羽ばたきが、この先の世界にとって、いずれ幸いの風とならんことを――