NEXTジェネレーションズ Day After Tomorrow ~仮面ライダーダークドライブ~   作:大島海峡

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「どうしたの? もう着いたけど」

「ん? あ、あぁ……」

 

 実家から今の家への帰途につく中、泊進ノ介はひどく長い夢を見ていた気がした。

 まさか自分が居眠り運転などするはずもないし、道中の意識も記憶もはっきりしていたが、不思議とそんな心地に包まれた。まるで里帰りや同窓会の帰り際のような名残惜しさ、物悲しさを、訳も知らないまま噛みしめている自分がいた。

 

(いや、実際ほんとに里帰りなんだが)

 だが車から降りた時には、そんな気分は払拭されて、日常のそれへと切り替わる。

 明日から受け持つ事件のこと。そのためのプランと過去のケースファイルとの照合。そして……行く前に放置していた微妙な親子関係のこと。

 

「あいつ、まだ根に持ってるんじゃないだろうな? まだ祖父(おやじ)のことでグダグダ言うようだったら、一発シメてやるか!」

 そう言って門前で拳を打ち鳴らす夫を、背後から冷めた目で霧子が見つめた。

 

「やめなさい。今時拳で語る頑固親父もないでしょ。昭和じゃないんだから」

「おいおい、平成ジャンプして昭和かよ」

 あまりな物言いに憤慨する進ノ介を追い越して、霧子は顔認証で門を開けた。

 

「あ、おかえりー」

 という出迎えの声は、家の中からではなく、その横合いの庭からだった。

 

 泊夫婦がそちらへと顔を向ければ、彼らの息子たる英志は、奇妙な作業に勤しんでいる。

 サマーキャンプで使っていた長椅子を広げて、テーブルでスイカを両断、その半球の一つをさらに五等分。一枚の大皿の上に、やや不慣れな手つきで乗せていく。

 

「ちょっと、何やってんの?」

 咎める口調で詰め寄る母にも、さしてたじろぐ様子も見せず、

「いや、こっちの家は立派な縁側とかないからさ。その代わりっていうか」

 だが不得要領的な返しをする。

 

「まぁとにかくさ、一緒に食べようよ、ね?」

 と、さっぱりした調子で誘う英志に、

「あのねぇー……一体全体何のつもり? もう夕ご飯の支度するんだけど?」

 あからさまに説教モードに入った声色の霧子が詰め寄る。

「いや」

 だが、それを庇うようにして進ノ介が追い抜いて割って入った。

「墓参りしたからか、俺も妙に親父のこと思い出したんだよな。そうやって夏に縁側でスイカ食ったりさ……せっかくだし、ご相伴に預かるか」

 

 直前には、むしろ喧嘩腰だったのは夫の方だったろうに。ケロリとそれを忘れてこのたわむれに乗り気になっている。

 そのことに呆れ、溜息を吐きながらも、霧子もまた、

「仕方ない、付き合ってあげますか。ただ、ご飯が入るだけのお腹は空けておくように」

 苦笑交じりに、それに加わった。

 

「ところで、なんで五等分なんだよ?」

「まぁまぁ、良いでしょ? あ、でも春奈さんもこっち来るって……なんかご両親同伴で」

「福井署長が!?」

「照井ね」

「まずいな……英志、ちょっと高い肉買って来い!」

「えぇ……今から?」

「あの人怖ぇんだよ!? なんか顔合わせの度に目が笑ってないしっ」

「いい加減慣れなさいよ。もうそれだったら剛たちも呼ぶ? あっちも夏休みで全員揃ってるみたいだし」

 

 時に立ち止まって振り返り、時にくだらないやりとりを楽しみながら。

 彼らは、瞬間瞬間を必死に生きる。

 今その時の正義で、悪意という名の石を取り除きながら、切り拓いていく。

 

 ――いつか約束の場所へと通じる、その道を。

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