NEXTジェネレーションズ Day After Tomorrow ~仮面ライダーダークドライブ~ 作:大島海峡
乱戦の中、父と息子、黒と赤のドライブは背中合わせとなった。
互いに互いの背を護りながら、押し寄せる敵をいなしていく。
(そう言えば、父さんがちゃんと戦ってるところ、はじめて見たかも……)
父を顧みた英志は、その一挙手一投足を見守った。
前回の共闘は同じ身体に親子とクリム、三位一体の精神を宿して戦った。
その前の超デッドヒートドライブでは……英志の心は、怨敵ロイミュードの108に封じ込まれていた。
ブランク――いや、おそらくこの世界では現役そのものなのだろうが――を感じさせない技巧の物腰。
年齢や性能の差異を感じさせないパワフルさとスピード。
これが、泊進ノ介の戦い方か。
……まぁ、掛け声や時折差し挟まれる見栄を切るような大時代的な所作には、目を瞑るとして。
「おい英志、ボサッとすんな!」
父から怒号が飛び、我に返る。
すぐ眼前に迫っていたロイミュードの攻撃をかわし、腕で蹴りを受け止めながら、即時反撃。
ここに至っては敵も一体ずつ攻め来るなどというまだるっこしいことはせず、複数単位で間髪を入れない波状攻撃をかけてきていた。
ブランクがあるわ、ダークドライブとの
「たく、せめて速さだけはなんとかするかっ」
そうぼやいて取り出したるは、中々に凶悪な
〈タイヤコウカーン! Midnight Shadow!〉
それを装填、操作、そして読み取り。
また、ぶち当たって来た突起付きタイヤに呻きながらもどうにかして受け入れる。
「五秒で片づけてやる! ハッタリじゃなくて、マジでね」
両手に宿した手裏剣型のエネルギーを四方に投擲しての機動戦。
宣言通りに、周囲に群がるロイミュードたちを一掃する。
そして第二波。数を恃んで押し寄せるその合間をすり抜けながら、手にドライブの近接武器を転送し、敵の機体を斬り抜けていく。
「よし、それを貸せ!」
……そして、突破がかなった直後、その剣は進ノ介に奪い取られた。
「お前は射撃で援護を頼む!」
という父の指示に漫然と従い、英志はドア銃を手元に再転送して、備える。
「ハンドル
と、その奇妙な剣を携えたゼロドライブは、跳ぶ。
そして頭の高さまで持ち上げ、突き出した切っ先で柏餅ロイミュードの胴を突いた。
その貫通点から、オレンジ色の火花が吹きこぼれた。
それを妨げんとして指先の機関銃をゼロドライブに突きつけんとした雑魚を、英志は正確に撃ち抜いていく。もちろん、
「英志、これを使えっ!」
物陰に隠れていた剛の手から、サイドカー付きのシフトカーが離れた。
「ハーレー博士の試作品だぜ!」
剛は、屈託なくサムズアップするが、もちろんそれを、英志は知っている。
「ハーレー博士!?
さっそくシフトカーを取り替える。
〈Drive! Type Dead Heat!〉
というクリムを真似た音声とともに、その装備はレーシングカー仕様のそれへ。
タイプデッドヒートと化したドライブは、そのさらなる高機動と熱量を伴うコンビネーション攻撃で、素体のロイミュードたちの物量を押し返し、駆逐し、残る進花態二体にさえ肉薄し、吹き飛ばして体勢を崩す。
いつまでもこの茶番に付き合っていられない。
このタイミングを、見逃さない。
「決めるぞ、英志ッ」
「……あぁっ」
それは父も同じであるらしい。親子ともに並んで、武器を擲つ。同型のベルトのキーを回す。
ベルトのディスプレイに、読み取ったシフトカーのシンボルマークが浮かび上がる。
〈ヒッサーツ! Full throttle! Speed!〉
〈ヒッサーツ! Full throttle! Dead Heat!〉
英志が飛ぶ。手刀で地面を叩いてバネとした進ノ介もまた、高々と跳躍する。
鮭のロイミュードの口から飛んだ巨大なイクラ型爆弾。柏餅が頭から伸ばす分厚い葉。
それらを跳ね除け、黒き風、赤熱の塊がそれぞれに軌道を交錯させながら怪人たちをダブルライダーが蹴り穿つ。
その叩き込まれたエネルギーが内部機関を誘爆させる。
大地を削りながら着地した父子の背で火柱があがり、そこから逃れようとしたやたら長いナンバーが雑魚の分を含めていくつも、力尽きて四散する。
「おのれぇ~! いつの日か、必ずっ、ロイミュードが世界を制するのだァ~!」
月並みな捨て台詞とともに、ハート教授が生き残りに引きずられていく。
だが英志は、それとは別のところにいた、一つの物陰に気づいて目を向けた。
搬入口のあたり。その裏手に、一人の人間がもたれかかっている。
さながらレジスタンスが現代日本に紛れ込んだかのような風体だが、顔立ちは日本人のもの。
英志より一回りほど年下と見られる少年だった。
遠目からは、笑っているか泣いているか判別がつかない微妙な表情で、仮面ライダーとロイミュードの戦闘を見ていたらしい彼は、そのまま踵を返した。
……何故だか撤退していく敵よりも、そちらに意識が吸い寄せられた。
「ちょ、待っ」
て、と言おうとした矢先、英志の右肩で警告音が鳴り響いた。
え、と見れば、後輪を模したエネルギー出力装置、DH-コウリンのメーターがゼロになっていた。
「う、おぉォォッ!?」
……次の瞬間、ドライブの全身がスパークし、異常を報せる白煙が関節部より噴き上がる。
そして英志の意思を無視してひとりでに四肢が動作を始め、その暴走を止めようと進ノ介と剛はワタワタと慌てふためいたのだった。