あなたはエルグランドの冒険者だ   作:朱鷺野理桜

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2-017

 あなたとサシャはウカノへの信仰を新たにした。

 そして、あなたたちは就寝した。

 なんせ冒険に挑んだ当日だ、みんな疲れていた。

 サシャは本当にうれしそうに瑞穂狐(みずほぎつね)を抱いて眠りについた。

 あなたはそのサシャを抱き締めて眠りについた。

 

 

 

 

 あなたは体の違和感で目覚めた。

 眼を開けると、部屋はまだ薄暗い。

 夜明けから間もなくと言った具合だ。

 視線を下へと下げる。

 そこにはサシャがいた。

 あなたの服をそっとはだけている。

 

「あ」

 

 眼が合い、バレちゃった、という顔をするサシャ。

 なにやら眼が妙に爛々としている。

 あまり寝れていない感じの顔だ。

 これはたぶん、興奮し過ぎて眠りが浅かったのだろう。

 神との謁見だ。興奮するのもやむなしか。

 

 サシャは少し固まったが。

 やがてなに食わぬ顔であなたの服を脱がす作業に戻った。

 手が少し震えているので、緊張しているようだ。

 さぁ、なにをしてくれるのだろうか。

 

 胸元が開かれ、やがて寝る時用の下着があらわとなる。

 味もそっけもないデザインの下着である。

 そして、サシャの手があなたの下着の中へと潜り込んで来た。

 

「はぁ……ご主人様の胸……すごく柔らかい……」

 

 陶然(とうぜん)とした声でサシャが呟く。

 あなたの魅惑のバストにサシャは夢中なようだ。

 手は探るように優しい手つきであなたの乳房(ちぶさ)を撫ぜて行く。

 そのもどかしい感触にあなたは思わず身をよじると、サシャの手が止まった。

 そしてあなたの様子を伺ってから、サシャの手が再び動き出す。

 

 あなたの吐息が次第に熱く、そして甘くなっていく。

 朝からこんなに情熱的なことをしてくれるなんて……。

 積極的なサシャも悪くない。いや、むしろいい。

 もちろんベッドに押し倒されるサシャも最高だが。

 

「硬くなってきましたね……」

 

 などと言いながら、サシャの指があなたの胸の頂点に触れる。

 んっ……と押し殺した声を発しながらあなたは身をよじった。

 

「……!」

 

 サシャがあなたに覆いかぶさって来た。

 そして、あなたの肌にサシャの熱い舌が這う感触。

 なんて情熱的なのだろうか!

 このまま本番まで行ってしまうのだろうか?

 

 レインとフィリアが寝ている横で、密やかに行われる秘め事。

 それはなんとも背徳的で魅惑的な行いだ。あなたは興奮した。

 

 そこであなたは足元のシーツを足の指先で蹴り上げた。

 それを自由になっている手でひっ掴んで体を覆った。

 突然シーツに包まれたサシャがびっくりして動きを止める。

 そして、横から聞こえて来た衣擦(きぬず)れの音に身を硬くした。

 

「うう、ん……もう朝……」

 

 寝起きの声でフィリアが呟き、ベッドから身を起こす。

 どうやら、フィリアの起床時間が来たようだ。

 フィリアの朝は、このチームの中でも早い。

 ほとんど夜明けと同時に目を覚ます。

 そして、身嗜みを整えて朝の礼拝をする。

 この礼拝がなんと1時間もかけて行われる。

 そのため、起床は速いが活動開始はべつに早くない。

 

 あなたは眼を閉じて寝たふりをした。

 呼吸も穏やかに、ゆっくりと深い寝息のようなものへと。

 シーツの下でサシャも身を固めている。

 バレたらまずい、と思っているのだろう。

 

 あなたは別にバレても構いやしないと思っているのだが。

 こういう時はバレないように隠すのが楽しいのだ。

 

「ふわぁ……んんっ……んーっ……! はぁっ」

 

 フィリアはベッドから降りて背伸びをしている。

 そして、ごそごそと身支度を始めた。

 かばんを開いて、なにかを漁っている音がする。

 寝間着から普段着に着替え、顔を洗いに行くのだろう。

 

 寝たふりをして着替えの鑑賞。

 なんとも捨てがたい行いだ。

 まぁ、べつにそれはいつでもできる。

 今日はサシャとの秘め事を楽しみたい。

 

 サシャは安心したのか、動きは最小限にしつつもまた動き出した。

 熱くぬめった舌があなたの肌を撫でて行く。

 そして、舌があなたの頂点に触れた。

 ぴくりと身を強張らせるあなた。わざとだ。

 バレそうなことをしてサシャの反応を楽しまなくては損である!

 

 まぁ、サシャが萎縮してやめてしまう可能性もあるのだが……。

 そこはそれ。それはそれでいい! 後で続きをしてもらうので。

 

 サシャが一瞬だけ動きを止める。

 周囲を伺い、フィリアが着替えを続けているので、また動き出す。

 あなたの胸を這う舌。そして、サシャがほんのわずかに顔を動かすと、あなたの胸へと吸い付いた。

 

 んんっ……と声を漏らすあなた。

 

「……お姉様?」

 

 フィリアが音量は絞りつつも、声をかけてくる。

 起きたのだと思ったのだろう。

 まぁ、起きてるのだが。

 

 と言うか、あなたはいつも最初に目を覚ましている。

 まぁ、冒険する日は化粧もしないし、特別おしゃれもしない。

 そのため、あなたは起きる理由もないので最後までベッドにいる。

 

 あなたは不自然でないように、んん……ん……などと言いつつ身をよじった。

 ただの寝返りに見せかけつつ、シーツの下のサシャの姿はうまく隠す。

 バレそうでバレないように反応して来たあなたの経験が光る。

 

 あなたの動きにフィリアもただの寝言と判断したようだ。

 ふぅ、と小さく溜息を吐いて着替えに戻った。

 

 一方でサシャは大胆にもあなたを責め立て続けている。

 なんとエッチな……すばらしい……あなたは感動した。あなたは愚かだ。

 

 やがてフィリアが部屋から出て行くと、サシャがもぞりとシーツを上げた。

 

「えへへ……バレなかったですね」

 

 あなたはいたずらっ子サシャちゃんを抱き締めた。

 そして、あなたはサシャをベッドへと押し倒した。

 

「あぅ。ご主人様?」

 

 隣にまだレインが寝ているね?

 そのようなことをあなたはサシャへと告げた。

 

「あ、はい」

 

 声を出しちゃだめだよ?

 そう言って、あなたはサシャの服を脱がし始めた。

 

「あぁ……が、がんばります……」

 

 攻守逆転だ。

 やっぱりこういうのは双方向でやらなくては……。

 寝ている女の子にイタズラをするのは最高に楽しいのだ。

 サシャは十分楽しんだのだから、次はあなたが楽しむ番である。

 あなたをシーツを引っかぶると、サシャにいたずらをし始めるのだった。

 

 

 

 

 朝からたっぷりと秘め事を楽しんだ。

 サシャの敏感なところおいしかった。

 

 レインが起き出して来たところであなたとサシャもベッドから出た。

 たっぷりねっとりとイチャついたので、朝から気分充実だ。

 まぁ、さすがに最後までは出来なかった。

 なので欲求不満ではあるが、夜への期待度が高まったとも言える。

 

「にしても、エルグランドの神はあそこまで緻密に信徒に慈悲を施すのね……」

 

 炒り卵に数枚のベーコン、そして葉物野菜。

 雑穀(ざっこく)混じりのパンと、暖かいお茶。

 と言う簡素な朝食を食べながら、レインが感心したように言う。

 

「すごいですよね、エルグランドの神……」

 

 はぁ……と切なげにフィリアは溜息を吐いている。

 こちらの大陸の横着な神々との落差でも感じているのだろうか。

 あなたはウカノの教えに改宗するなら大歓迎だと伝えておいた。

 

「あ、あはは……ま、まぁ、考えておきます……」

 

 やはり信仰心の(あつ)い修道女だからか、色よい返事はなかった。

 まぁ、激怒されなかっただけでも前向きな返事と言えるだろう。

 

「ウカノ様、か……」

 

 レインは何か考え込んでいる様子だ。

 改宗ならもちろん大歓迎である。

 

「……なにかこう、大がかりな儀式とかあるの?」

 

 そんなものはない。

 ウカノを第1の神とするという誓いを立てるだけだ。

 

「うーん……考えておく……」

 

 などと眉根を寄せるレイン。

 存分に悩むといい。改宗とはそれだけ大きなことだ。

 軽々(けいけい)に神を乗り換えるなど許されないことだ。

 レリックだけいただいて回るなど許されることではない。

 まぁ、一定数そう言う不届き者はいるのだが……。

 

 

 

 朝食が終わり、レインは2度寝に向かった。疲れているようだ。

 フィリアはワンドの補充がしたいとのことで買い物に出て行った。

 あなたは瑞穂狐の使い心地を試したいというサシャの提案で広場に来ていた。

 

 広場の適当な場所で瑞穂狐を抜き払うサシャ。

 握ってみて、その使い心地を試す。

 

 短剣には逆手持ちと言う選択肢がある。

 長剣ではほぼありえない選択肢だが。

 短剣に限っては十分にあり得る選択肢だ。

 

「逆手持ちの利点ですか」

 

 あなたはサシャの鎖骨(さこつ)のあたりを指先でトントンと叩く。

 振り上げて、振り下ろすと言うシンプルな刺突。

 それを行った場合、逆手持ちでは相手の鎖骨近辺に当たる。

 

 その場合、短剣は容易に心臓にまで達する。

 もちろん鎖骨に弾かれる可能性もあるが……。

 肋骨の隙間よりは格段に心臓に達しやすい。

 

 また、体術を組み合わせる場合にも便利だ。

 揉み合うほどの近距離戦、つまり拳足による体術での戦闘。

 その際に順手で持っていると自分に刺さり易い。

 逆手持ちの場合、よほど変な腕の置き方をしない限り自分には刺さらない。

 

「なるほどー……長剣とはまた違った使い方が必要なんですね」

 

 それに、攻撃力だって馬鹿にしたものではない。

 立派なプレートメイルでも、十分に突破できる。

 体重をちゃんと乗せ、押し込む必要こそあるが。

 それこそ、相手に馬乗りになった状態ならば十分可能だ。

 

 また、長剣のクリーンヒットでも短剣を圧し折ることは難しい。

 短剣を盾に近い立ち位置で用いる二刀流と言う選択肢も存在する。

 

「短剣を盾に、ですか?」

 

 盾は携帯性が悪い。当たり前の話であるが。

 一方で、短剣の携帯性はそう悪くない。

 さすがに盾ほどの防御性能はないが。

 短剣を盾にするのもアリなのだ。

 

 明白に盾として運用する短剣もあるくらいだ。

 たとえばソードブレイカーなども存在する。

 まぁ、ソードブレイカーは戦場用とは言い難いが。

 携帯性を気にするところからわかるように、どちらかと言えば日常用の剣だ。

 

「ご主人様は、この短剣をどういう用途で?」

 

 お守り。

 あなたはシンプルにそう答えた。

 あなたは瑞穂狐を武器として使うことは滅多にない。

 武器に備わる各種の予防効果が強力だから常に持っている。

 まぁ、敬愛する神から与えられた品だということも理由だが。

 

「な、なるほど」

 

 サシャもとりあえず持っておいて損はないだろう。

 使う使わないは別として、各種の強力な耐性効果があるのだ。

 

「でも、せっかく持ってるんですから使いたいですよ」

 

 なら、基本的には短剣単体で使う技術を覚えよう。

 短剣単体で使うのか、長剣と共に使うのか。

 どちらにせよ、短剣単体で使う技術を会得して損はない。

 

 長剣では適さない狭い場所とか

 長剣を喪った際のバックアップとか。

 使う場面としてはこちらの方が多い。

 昨日の閉所での戦闘もそうだ。

 短剣を十全に使えれば悩む必要はなかっただろう。

 

「たしかに、そうですね」

 

 サシャは真剣な顔で頷いた。

 戦うことにかけては向上心が旺盛(おうせい)で助かる。

 武器の技術は実戦で扱うのが一番上達が早い。

 基本的な扱い方はともかくとして、実戦的な運用は実戦でしか積めないものだ。

 

 つまり、今日もマロンちゃんに挑みに行こう。

 

「今日はいますかね?」

 

 いなければ適当な連中に挑もう。

 マロンちゃんだけだと経験が偏るし。

 体格の良い相手、劣る相手、速い相手、遅い相手、色々とある。

 色んな敵を相手にすることも大事なのだ。

 

「わかりました」

 

 そう言うわけで、マロンちゃんを探した。

 そして、そう苦労することもなくあなたはマロンちゃんを見つけ出した。

 先日と変わらず、指導者の少女ことベルもいた。

 

「まぁ、ご友人様。今日は来ていただけたのですね。闘士様も心待ちにしておりました」

 

 どう見てもそう言う風には見えない。

 しかし、ベルが言うからにはそうなのだろう。

 マロンちゃんは昨日と同じく茫洋とした眼付きでたたずんでいる。

 

「挑戦料は銀貨1枚だ」

 

 友好を深めるでもなく、シンプルに金を要求された。

 あなたは先日と同じく銀貨を5枚払うと、サシャとの試合を要求した。

 

「ああ……わざわざ金を払って嬲られに来るとは、おまえたちもいささかばかり狂っているな」

 

 べつに嬲られるのが主目的ではないのだが。

 ともあれ、あなたはサシャに挑むように促した。

 

「はい! 今日も胸をお借りします、マロンさん!」

 

 サシャが短剣を片手に挑む。

 あなたはその後ろで、短剣を用いる際の勘所(かんどころ)についてちょくちょくアドバイスをする。

 

 短剣は短いため、心理的な作用として相手を突き離そうと刺突を選びやすい。

 これは長柄の槍などを用いる際にも顕著(けんちょ)に表れるのだが。

 刺突を選ぶことが悪いのではなく、無暗に刺突を使うのがよろしくない。

 

 刺突は強力だ。だが、強力な分だけ隙も大きい。

 極めた刺突は恐るべき一撃だが、素人の刺突は隙を晒すに等しい。

 破れかぶれの一撃と言うなら悪くないが、無暗に使うものではない。

 まぁ、破れかぶれそのものがナシと言うことなら、そもそも刺突は磨くまで使うなと言うことになる。

 

 短剣は小回りの良さと、その取り回しの良さから来る手数が最も恐ろしい。

 たしかに致命に至る傷を与えるのには向かない武器であるが、できないわけではない。

 懐に潜り込んでの超近接戦における小回りの良さも恐ろしいものである。

 

 咄嗟に退こうとした相手の腿を切り裂くなどの小技も忘れてはいけない。

 咄嗟に下がると、どうしても上体が先に逃げるということになりがちなのである。

 腿を斬られれば場合によっては死に至ることもあるのだ。足を置いていってはいけない。

 

「な、なる、ほど!」

 

 マロンちゃんにボコにされつつも、サシャは一生懸命あなたのアドバイスを聞いて戦っている。

 あなたはうんうんと頷く。ボコられながら強くなる。何事も楽な道などないのだ。頑張って欲しいものである。

 

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