あなたはエルグランドの冒険者だ   作:朱鷺野理桜

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「あ、あう……もう、ゆるしてくらしゃい……トップさまには、かてにゃかった、よぉ……」

 

 イミテルは堕ちた。

 まぁ、なかなか頑張ったほうではないか。

 少なくとも2ケタ絶頂するまでは耐えたわけだし。

 

 人間は苦痛に耐えられるようにはできている。

 だが、快感に耐えられるようにはできていない。

 特にイミテルは処女だった。未知の快感に耐えるのは難しい。

 まぁ、その未知の快感を引き出すのが難しいわけだが……。

 

「これ以上、されたら……わたし、わたし、ばかに、なっちゃうよぉ……姫様より、ばかになっちゃうよぉ……」

 

 なんか今しれっとダイアを罵倒しなかったか?

 あなたは首を傾げつつも、イミテルをさらに可愛がった。

 指を挿れ、中をやわらかに掻き回しながら尋ねる。

 まずは小手調べとして、イミテルとダイアの年齢を聞こうではないか。

 

「あっ私が133で、姫様が104あっ」

 

 エルフとしてはかなり若い方なのではないだろうか?

 この大陸だと、エルフは115歳が成人とされると聞いた。

 人間換算だとイミテルが16歳、ダイアが14歳くらいだろうか。

 まぁ、それは精神面を考慮した年齢でしかない。

 体格は既に20歳前後相当と考えていいだろう。

 エルフも人間も体の成長速度は大差ないのだ。

 

 では次に、なぜあなたのところに依頼に来たのかを聞きたい。

 

「ソーラス迷宮を瞬く間に6層まであっ踏破した冒険者があっ現れたと聞いてあっあっ実力は未知数でも名が売れ始めたあっ今ならあっあっ長期になる依頼も請けてくれ易いだろうとあっあっあっ」

 

 なるほど、考え方としてはわからないでもない。

 あんな無茶苦茶な依頼、普通の冒険者は請け負わない。

 報酬はなんでもとは言うが、空手形(からてがた)もいいところなのだし。

 なので絶賛売り出し中の冒険者を半ば騙すように雇おうと。

 それにしても無茶苦茶なやり口だとは思うが……。

 

「それは姫様があっ直感でこの方なら請けてくれるかもとあっ仰ってあっあっ」

 

 選定理由がただの直感。

 真意は不明だが、少なくとも対外的にはそう見せているということだろう。

 もうちょっと何かないか? そう言いながら中指でトントンと上側を叩く。

 

「あっあっ! きっとトイネに平穏をあっ! もたらしあっ!」

 

 しつこく捏ねまわしても特に新しい情報はないようだ。

 さて、次はダイア個人の情報を聞くとしよう。

 なにか印象的な話でも聞かせてもらおうか。

 

「姫様はあっ昔はひどい癇癪(かんしゃく)持ちであっあっ1度怒りだすと手がつけられなくてあっ大きくなられてからはマシにあっあっ」

 

 たおやかでおだやかな印象があったが、そんな人物だったのか。

 いや、娼婦についてイミテルが侮辱した際は瞬間的に激高していた。

 成長して落ち着いたが、生来の気質自体はかなり激しいものなのだろう。

 王族としての教育を受けた成果があの外面なのかもしれない。

 

 あなたはその後もイミテルを散々に責め立てつつ情報収集をした。

 まぁ、あまり役に立つ情報はなかったというのが正直なところだが。

 

 

 

「おはようございます。今日も良い天気ですね」

 

 朝、イミテルの痴態(ちたい)を思い出しながらニヤ付きながら庭を徘徊(はいかい)していたところ、あなたと同じく散歩をしていたダイアと出くわした。

 普通、高貴な身分の人間は供の人間がいない限り外には出ないものだが……。

 まぁ、こうした場面に臨機応変に動ける人間もいる。そう言うタイプなのだろう。

 

「とても良いお庭ですね。小鳥やリスたちが(うた)い、カエルが弾む……とても賑やかです」

 

 顔をほころばせるダイアの手にはでかいカエル。

 美貌の少女が持つにはあまりにも似つかわしくなさ過ぎる。

 あなたも冒険者としてその手の生物には慣れているが。

 冒険中でもなければ、触りたいとは思わないタイプの生物である。

 冒険中であったとしてもできることなら触りたくないし……。

 

「今日は、どうなさるのですか?」

 

 あなたはダイアの手で弄ばれているカエルを努めて無視しつつ、今日の予定を答えた。

 まず、あなたの仲間であるEBTGのメンバーに依頼について伝える。

 その上で参加者を募る……誰も参加してくれない気がするが……。

 あなたが交渉をまとめてしまったが、愚か極まりないあなたが欲した報酬は女犯許可証(フリーセックスライセンス)

 別途報酬がもらえるならともかく、こんな報酬で軍隊と戦うバカは世界広しと言えどもあなたくらいだ。

 というよりも、あなた以外にそんな愚か者が居たら嫌だ。

 

「そうですか。では、(わたくし)たちはこちらで待機しております。一刻も早い帰還を望みます」

 

 あなたは頷き、すぐにも、と答えた。

 そして、転移でソーラスへと移動した。

 家の庭に設定していたマーキングで移動したので、移動先は目と鼻の先だ。

 

「ん。帰って来たか」

 

 頭上から声がして、見上げればそこにはレウナの姿があった。

 いつも通りの服装をして、リンゴの木に登って枝に背を預けている。

 腹の上に毛布がかかっているあたり寝ていたらしい。

 レウナは木の上で寝ると気が安らぐらしい。

 

「無事に帰って来てなによりだ。それで、どうだったんだ?」

 

 あなたは隣国の王女が訪ねて来て、とんでもない依頼をして来たと答えた。

 

「ほう、とんでもない依頼か……王を殺せとかか? そう言う依頼なら私もやってもよいぞ」

 

 人間を殺すことに対するモチベーションがやたらと高い。

 殺戮に飢えているとか、人間の血も啜っているとか、そう言うことではない。

 教義的に、生きてるやつを殺すことは生を全うさせたというカウントになるらしい。

 

 あなたはレウナに依頼について説明するのでリビングに集まって欲しいと答えた。

 そして、サシャにレインにフィリアは在宅かも。

 

「ああ、全員いるぞ。何かあればすぐ行動できるようにとな」

 

 なるほど、であればすぐに集めよう。

 あなたが家に入ると、全員がリビングに集まっていた。

 集める手間が省けてなによりだ。

 

「ご主人様。おかえりなさい。ご無事だったんですね」

 

「無事だったなら早く連絡を寄越しなさいよ……もう、不安だったんだからね」

 

「いったいなにがあったんですか?」

 

 あなたはこれから説明しようと全員に着席を促した。

 そして、依頼について詳しく説明をした。

 

「……さすがにやらないわよ。お母様にまで累が及ぶかもしれないんだから。報酬も実質ないじゃない……」

 

「私もちょっと……私しかいなければ、行ってみたかったですけどね……」

 

「正規作戦なら私も参陣したんですが……相手が反乱軍とは言いますが、実態的にこっちも反乱軍ですよね……?」

 

「めんどい。1人でいけ」

 

 あなたは袋叩きにされた。

 

 

 

 あなたはしょんぼりしながら王都に戻った。

 分かってはいたことだが、誰も来てくれなかった。

 

 たしかに女犯許可証(フリーセックスライセンス)なんてアホな代物で依頼を請けたのは悪かった。

 女に目が眩んで、それ以外の報酬を求めなかったのも悪かった。

 悪ければ大逆罪に問われ、問答無用で一族郎党が死刑になるような依頼なのも悪かった。

 成功の目がメチャメチャに少ない無謀な依頼なのも悪かった。

 でも、誰もついて来てくれないのはさすがに酷くないか。特にレウナ。

 

 あなたは消沈しながら部屋に戻った。

 ベッドの上ではまだイミテルがすやすやと眠っていた。

 あなたはイミテルをとりあえず10回くらいイカせた。

 

 イミテルの激しい痴態はあなたの心を深く満たしてくれた。

 実に晴れやかな気持ちだ。今ならすべてが許せる気がする。

 

 たしかに、あなたが悪かった。って言うかあなたしか悪くない。

 実質報酬無しで、他国の軍隊と戦うなど無茶苦茶だ。

 そして、こちら側の戦力はほんの僅かなのである。

 あなたと言う無茶苦茶な戦力の持ち主がいるにしても、無謀な依頼だ。

 成功の目自体はあるというか、引き当てられる可能性自体は極めて高いのだが……。

 

 そのあたりは仲間たちも分かっているのだろう。

 だが、権力に対して喧嘩を売るというのは本当に危険なのだ。

 いざとなったらエルグランドに帰れるあなたと、この大陸にすべての地歩があるEBTGメンバーは違う。

 普通の人間は誰も頷かない。それだけの話だった。

 でもレウナは普通に薄情だと思った。めんどいって……。

 

 まぁ、あなた1人でもこの依頼は完遂して見せようではないか。

 そしてトイネで女の子食べ放題をするのだ。

 エルフ王国と言うからにはエルフがたくさんいるのだろう。

 最近は人間ばかりでエルフはほとんど食べていない。

 ここらでひとつ、どかんとエルフの女の子を食いだめしておこうではないか。

 

 とは言え、まずは物理的な腹の方が空いた。

 あなたは料理人たちの心づくしの朝食をいただくため、食堂に向かった。

 

 

 朝食をおなか一杯食べ、あなたは冒険の準備を整えた。

 そして、ダイアにすぐにでも出発できる、反乱軍を皆殺しにする準備は万端だと伝えた。

 

「ええ、すぐに向かいましょう。共にトイネに新たな時代を築きましょう」

 

 ……この感じだと、もしかしてダイアも参戦するのだろうか?

 あなたは一応ダイアに、自分も戦線に立つつもりかと尋ねた。

 

「無論です。王たるものが怯懦(きょうだ)であってはなりません。なによりも、民に報いるべき王は、犠牲になることを厭うてはならないのです」

 

 いいことを言っているとは思う。思うのだが……。

 それで死んだら話にならないので、犠牲になられては困るのだが……。

 

「ところで、イミテルはどうしたのでしょう?」

 

 そう言えばまだ起きてきていない。

 あなたは起こして来ると答え、部屋に戻った。

 すると、やはりイミテルはまだ眠っていた。

 あなたはイミテルを1回イカせて起こした。

 

「普通に起こせ!!」

 

 怒られた。まぁ、たぶん照れ隠しだろう。

 あなたはとりあえずイミテルを風呂に向かわせた。

 いろいろと凄い有様だったので、外に出れない。

 

 

 それから身支度をし、ダイアと合流する。

 

「これより私たちはトイネに帰還し、反乱軍との戦いに身を投じます。覚悟はよいですね?」

 

 あなたは頷いた。イミテルもまた頷く。

 イミテルの立場がいまいち分からないが、ダイアに忠誠を捧げた身なのだろう。

 その忠誠度合いが、どの程度のものかは知らないが。

 仮にイミテルが途中で裏切ったところで大した問題ではない。

 国ひとつ程度ならあなた1人でなんとかなる。

 

「姫様の御為(おため)に……」

 

 あなたも覚悟はバッチリだ。

 では、これからトイネに向かうわけだが……どうやって移動するのだろう?

 もしやダイアが魔法で転移するとかそう言う?

 

「いいえ、私は魔術は使えません。イミテルもそうです」

 

「ごく普通に、魔術師ギルドで転移を依頼する。案ずるな、貴様の分も払ってやる」

 

 戦乱の最中にいけるのだろうか?

 

「少なくとも、魔術師ギルドにある転移の部屋さえ無事なら問題なく転送される。仮に転移に失敗しても、ちょっと痛いくらいで済む」

 

 なかなかストロングなやり方をするらしい。

 まぁ、転移代金を払ってくれると言うならありがたくいただこう。

 あなたたちは大人しく王都の魔術師ギルドへと向かった。

 

 王族だからか、あるいは別の理由か。

 ダイアとイミテルの顔を見るなり職員が案内をしてくれた。

 そしてイミテルが魔法のかばんと思しきものから金貨の袋を出した。

 その額面を確認された後、あなたたちは転移によってトイネ王国へと転送されたのだった。

 

 

 

 あなたたちは魔術師ギルドの中であろう場所に現れた。

 周囲は薄暗く、ひっそりとしている。土埃のせいか、地面もざらついている。

 

「これは……」

 

「魔術師ギルドまでも討ちましたか……長兄クローナは」

 

 足元に転がっていたランプの残骸を蹴って除けつつ、あなたは出口を目指す。

 薄暗いが、あなたにはエルグランドの民特有の暗視能力がある。

 ダイアとイミテルもエルフ特有の夜目が利くようで、移動に不安はない。

 

 出入口のドアを開けると、そこには雑然とした気配の廊下が続いている。

 取るものも取らずに慌てて移動したと言った雰囲気がありありとする。

 廊下の奥に見える屋外もまた、荒れた雰囲気が遠目にも伺えた。

 

「貴様も知っていようが、魔術師ギルドには数多の強力な魔術師が在籍している。それらの助力を得れば、並の軍なぞ物の数ではない。それは逆に言えば……」

 

 敵に回してしまえば、大変な難敵として立ちはだかる。そう言うことだ。

 そして、反乱軍首魁のクローナ王子とやらは、それを嫌った。

 敵になる前に殺してしまえばいい。そう考えたのだろうか?

 

「クローナ王子……いや、反逆者クローナめは王家の血が流れているとは思えぬほど卑しく、見下げ果てた男だ。そのように卑劣な真似もしよう」

 

 イミテルはなにか相手方の王子に思うところがあるらしい。

 セクハラでもされていたのだろうか? なんて許せない外道だ……!

 

「だが知恵の巡りは悪くない。魔術の腕も優れているからな。魔術をよく知るからこそ、魔術師ギルドを捨て置けなんだのだろう」

 

 あなたは何階梯まで使えるのかを訪ねた。

 敵の情報を知ることは重要だ。転移魔法で離脱されたらめんどくさいし。

 

「4階梯まで使えると聞いたことがあるが……それが事実かは分からない。冒険者ならばいざ知らず、王家ともなれば力は秘した方が良い場合が多い」

 

 すると、5階梯の『転移』は使えると思った方がよいだろう。

 逃がす間もなく瞬殺するのが適当なところか。

 しかし、クローナ王子と判別する情報があなたにはないのだが……。

 まぁ、それらしき男は全て首を叩き切っておけばいいだろう。

 魔法で吹き飛ばさないように気をつけなくては。

 

「心しろ。なにがあるのか、分からんのだからな」

 

 イミテルの警告の声を背に浴びながら、あなたは外へと一歩踏み出す。

 諸国に明媚さで謳われたトイネ王国は王都、アラナマンオスト。

 荒れ果てた大通りから一望すると、崩れ落ちた王宮エゼル・オスト。

 まるで、この国の暗い未来を暗示しているかのような光景ですらあった。

 

 イミテルの悲嘆に漏れる声を聴きながら、あなたはこの国での冒険をはじめたのだった。

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