あなたはエルグランドの冒険者だ   作:朱鷺野理桜

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 なんでもさせてくれるコリントちゃんによる激しく甘い夜を堪能したり。

 ケイとナイショのえっちなことをしたり、モモと浮気えっちしたり、メアリとサシャでケモ耳パーティーナイトしたり。

 そんな充実した夜のかたわら、訓練も盛んに行っている。

 

 日々訓練し、夜は甘く過ごし、存分に研鑽(けんさん)し……。

 なんだか陣容(じんよう)を変えて、冒険者学園のあの日々に戻ったような。

 そんな暖かくも賑やかな日々を楽しんでいたところ、あなたの下に来客があった。

 

「久しいな、我が鼓動よ。息災であったか」

 

 それは豪奢な衣装を纏ったイミテルだった。

 背後には複数人の配下らしきものを引き連れている。

 すべてエルフであり、以前イミテルが使っていた武官の衣装だ。

 今日のイミテルは明らかに貴族的かつ、異国情緒ただよう意匠の装束である。

 エルフの外交官が使う服とか、そう言うアレだろうか?

 

「本来、貴様に応接室に通されてから述べるべきことだが、見るにそんなものなかろう」

 

 イミテルの言う通り、あなたの家に応接室なんてシャレたものはない。

 いや、一応なくもないが、応接室と言うより単なる駄弁り部屋と化してるし。

 必要なら、まだ増築中なのでティーに頼むべきだろうか? いや、さすがにいらないか?

 

「それゆえ、略式ながらここにて述べさせていただく」

 

 言ってイミテルが取り出したのは、封蝋(ふうろう)で封印された文書だった。

 イミテルがそれを砕いて開くと、その中身を朗々(ろうろう)と読み上げる。

 まず、手紙の送り主たるトイネ王国国王ダイアの名が述べられ、次いであなたの名が呼ばれる。

 美辞麗句(びじれいく)であなたとダイアの友情が賛美され、私たちズッ友宣言がされたりもしたが、割愛する。

 ダイアとはともかく、ダイアに扮するクローナとは友達になった覚えはないのだが……。

 さておいて、イミテルの読み上げは本題である本分へと内容が移っていく。

 

「マフルージャ王国建国より340年の時を数えようとする中、いまだ踏破し果たせぬ領域たるソーラス迷宮は7層『岩漿平原』踏破せしめたこと、我がことのごとく嬉しく思う。また、その功績を讃えると共に、かねてより内示のあった領地の下賜(かし)をここに宣言する。貴君に子爵位を贈ると共に、それに相応しき領地を下げ渡す。トイネ王国の一翼(いちよく)を担う貴種たるに相応しき振る舞いを期待する」

 

 内容は分かったが、意図が分からずあなたは首を傾げた。

 ソーラス迷宮7層の踏破について情報が届くのがやたらと速い。

 やはり、ソーラスの町に密偵が居て、情報を送っているのは間違いない。

 しかし、それを祝福してくれると共に、領地の下賜をする理由は?

 単に領地の下賜が纏まった段階であなたが攻略に成功したので文言に絡めただけなのだろうか。

 あなたは首を傾げつつも、イミテルが差し出して来た手紙を恭しく受け取っておく。

 

「さて、外交官としての私の仕事はここまでだ。貴公らはもう帰ってよいぞ」

 

 イミテルが背後の武官たちに声をかけると、武官らが頷いた。

 そして、無礼にならぬ程度の態度で礼をすると、立ち去って行った。

 エルフ的に、そう言うのはアリなのだろうか。人間的にはナシな気がするのだが。

 

「さて……私には引き続き仕事があってな」

 

 外交官以外の仕事が?

 

「うむ。ダイア王によれば、貴様との間には連絡役が必須との仰せだ。私はソーラス側においてその任を仰せつかったのだ」

 

 なんで?

 連絡役、本当に要る?

 

「私が分かるわけなかろう。我が王の深慮遠謀(しんりょえんぼう)は私では読み切れん」

 

 どうも何かめんどくさい意図とかがある気がする。

 あなたは深々と溜息を吐き、ダイア王の陰謀には手を貸さんぞと言っておいた。

 

「それでいいのではないか。まぁ、私が連絡役に配置されたのは、単にそう言う配慮なのだがな」

 

 そう言う配慮?

 

「だから、つまりだ……その、貴様の傍に居れる仕事を、わざわざ振ってくださったのだ」

 

 なるほど、たぶん他にも意図はあるとは思うが、そう言う配慮もあったのだろう。

 しかし、イミテルをすぐに王宮と言うかダイアの傍から外すと不都合があるとのことで控えていたはずだが。

 それを曲げてでもイミテルを送り出さなくてはいけなかったのだろうか?

 

 まぁ、そのあたりはどうでもいい。

 あなたはイミテルにしばらくこちらに居るのかと尋ねた。

 

「うむ。世話になるぞ。専属の使用人をつけろとも言わん。武官として身の回りのことは出来る」

 

 その辺りは知っているので問題ない。

 あなたはイミテルの分の部屋も増築しないとなぁとぼやいた。

 と言うか、連絡役ってどれくらいの期限で居るものなのだろう。

 期限次第であなたの動き方も変わるのだが。

 

「まぁ、無期限だろうな」

 

 ではもういっそのこと、イミテルには冒険について来てもらおうか。

 もう1人くらいメンバーがいてもいいとは思っていたのだ。

 

 現状、あなた、サシャ、レイン、フィリア、レウナがいる。

 5人と言うのはバランスのよい人数なのだが、常に5人いるわけではないのだ。

 レウナは現状では迷宮専門で、迷宮外での仕事にはついて来てくれない。

 なので、迷宮の外でも同道してくれる仲間がもう1人欲しいと思っていたのだ。

 神官が1人減るというのは大きいが、元々が恵まれ過ぎているだけでもあるし。

 

「ほう。4人も仲間がいるのか。で……お手付きか?」

 

 あなたは目を反らしつつも、とても仲良くしていると答えた。

 

「そうか。その4人以外にも気配を感じるな……貴様の情婦か?」

 

 とても仲良しの友人だよ、とあなたはやはり目を反らしつつ答えた。

 

「そうか。まぁ、案ずるな。どうせそんなことだろうと思ってはいた。とやかくは言わん。妻である私を第一にしてくれればそれでいい」

 

 それはそれで最高に難易度が高い気もする。

 だが、なんとかしてやり遂げねば女たらしの名が廃ると言うもの。

 あなたはやり遂げる覚悟があった……。

 

 

 

 あなたは滞在中のメンバーにイミテルを紹介した。

 

「イミテル・ハーン・ウルディアだ。私の夫が世話になっているそうだな。礼を言う」

 

 貴族らしく堂々とした態度で、イミテルがそのように名乗った。

 夫と言うのはもちろんあなたのことではあるのだが。

 あなた以外にはそんな認知はないので、夫って誰だよ? と言う顔で各々が顔を見合わせている。

 

「王命の下、この屋敷にて我が王との連絡役として滞在することとなった。以降、良しなに頼む。なに、冒険仲間のように気軽に接してもらって構わん」

 

 そう言って軽く頭を下げるイミテル。

 それに呼応するように立ち上がったのはレインだった。

 

「気軽にとのことなのでお言葉に甘えさせていただくわ。私はレイン。レイン・ステレット・イナシル・ザーランよ」

 

「うむ、よろしく頼む」

 

 それからレインがそつなくイミテルに他の面々を紹介してくれた。

 こういうところのそつのなさは、やはりレインの生まれを感じさせる。

 コネクションを上手く繋げてくれる巧みさは得難い技能だ。

 

「ふむ……冒険者に腕利きが多いということは分かっていたつもりだが、ここまでとはな。探せばいるものなのだな」

 

 全員のザックリとした紹介を聞き終えて、イミテルがそのように溢した。

 現状、この家の平均戦闘力は異次元レベルで高いのでそう言うのも当然と言うべきか。

 

 現状、EBTGの実力は大都市でも指折りのものだ。

 チームと言う集団のくくりで言えば、おそらく上から数えた方が速い。

 逆を言うと、EBTGを上回る強者もいくらかはいるということだが。

 

 そうした強者が軍隊に居るということはあまりない。

 軍隊とは平均化された集団であり、一握りの強者は扱いづらい。

 一条の矢のごとく用いられることはあるが、それが軍属である必要はなく。

 いざという時に、依頼と言う形で戦地に投入できればよいのだ。

 

「けれど、あなたも十分に腕利きよ。国許では一握りの強者だったでしょうに」

 

「そのように言われると面映ゆいが、まだまだ私程度ではな。戦士団のお歴々には未だ及ぶべくもない」

 

 コリントの誉め言葉に苦笑するイミテル。

 考えてみると、トイネは軍属にあれだけの強者がゴロゴロいた。

 トイネと言う国が非常に特殊な国風だからなのだろうか?

 

「しかし、冒険者の徒党と言うには人数が多過ぎるように思うが……」

 

 当然の疑問に、あなたはいま訓練中なのだとイミテルに教えた。

 ソーラスの迷宮9層に巣食うドラゴン、ドゥレムフィロアは壮絶な強敵だ。

 これを打倒するためには大幅なレベルアップは必須であるとも。

 少なくとも、9階梯が使えるほどの力量、戦士もそれに伍する程度の強さが必要だ。

 

「それはまた……それほどの高みとなると、この身では役に立てぬようだな」

 

 あなたはジルに目配せをした。

 

「ファイター1、モンク10。これ以上ないってくらいにモンクやってますね。いえ、ファイターですけど。でも、1レベル時にファイターを取ってあとはモンクと言うのは例外的にモンクと見做すという紳士協定が存在するのです。人間種のモンクで肉体武器強化を取っている方を見たことがありませんが、まぁ、やはりイミテルさんも取得されていないようです。そもそもアレはモンスター向け特技と言う話ではあるのですが……モンクは最終的に来訪者になるのでモンスターです、いいですね?」

 

 そこまで言い切った後、ジルがイミテルの身に着けている装備品類に目をやる。

 

「アミュレット・オブ・アイアンフィスツ+3、クローク・オブ・イヴェイション、リング・オブ・プロテクト+3、エルヴン・ブーツ、ベスト・オブ・フリーダム……高額装備品のオンパレードですね。さすがは貴種の出だけはあると言うべきか、あるいは王家はそれだけ金があるのか……ひとまず装備にテコ入れは必要ないですね。ファイタークラスを再訓練してモンクに一本化した上で、いくつかのモンク用上級クラスを取っていくというのもありですが……そう簡単にできるものでもありませんからね。順当に強化するしかないでしょう」

 

 すると、やはりやるしかないということだ。

 またイミテルを嬲り殺しにする日が始まる。

 

「フッ……我が鼓動よ」

 

 イミテルが声をかけて来たので、どうしたのかと尋ね返す。

 

「転移できたとは言え、公務でのことなのでな。いささか疲れが出たようだ……すまないが、休ませてもらえるか?」

 

 それはいけない。体を休めるのは大事だ。

 あなたはイミテルの寝床の支度をするために立ち上がった。

 だが、立ち去る前に、イミテルがあなたの手を掴み止めた。

 

「久方ぶりに会う未来の妻を一人寝させるつもりなのか?」

 

 あなたは衆人環視の中でのお誘いにドギマギした。

 いったいいつの間にこんなに積極的になったのだろう?

 だが、イミテルがそんな情熱的なお誘いをしてくれて応えないわけにもいかない。

 あなたは喜んでイミテルを自分の私室へと案内した。

 

 イミテルのは修行は明日からでいいだろう。

 他の面々には申し訳ないが、今日の客様であるイミテルを放置できないのであなたも休みだ。

 まぁ、元々あなたはあなた自身が修行をしていたわけではない。

 頑張っている皆を後目に房事に耽るのも気が咎めるが……。

 

 イミテルのためだからしょうがない!

 あなたはそんな自己弁護をした。

 

 

 

「ああ……蕩けてしまう……我が、鼓動よ……おまえの熱に炙られると、私はいともたやすく崩れてしまうのだ……」

 

 イミテルを存分に蕩けさせ、あなたも楽しんだ。

 家の外からは、誰かが手合わせをしている音が聞こえてくる。

 それを後目に、夏の香り混じる風の抜ける家の中で情事に耽る。

 それは途方もなく背徳的で、堕落的な行いだ。

 謹厳なイミテルとそれをしていると思うと、余計にだ。

 

「……ノーラ、と言ったか。彼女は、どうなのだ?」

 

 イミテルと見つめ合って愛を確かめ合っていると、そんなことを訪ねてきた。

 どう、と言われても困るが。仲良くしている、としか言いようがない。

 それとも、このように情事に耽っているかと言うことだろうか?

 

「だから、それは……その……同じエルフ、ではないか……」

 

 ノーラに対して対抗心だろうか? それとも、やきもち?

 どちらであってもずいぶんと可愛らしいことだ。

 あなたは笑って、ノーラとはそう言う関係ではないとだけ答えた。

 

「……体調でも悪いのか?」

 

 あなたの体調の問題ではなく、ノーラの心情の問題だ。

 でも、そんな心配をするくらいだったら、エルフのよさではなくイミテルのよさをもっと教えて欲しいな?

 あなたがいたずらっぽく言うと、イミテルもまた笑った。

 

「ふん……では、貴様の要望通り、今度は私が上になってやろう。せいぜい、可愛がってやるぞ?」

 

 そう言いながら身を起こし、あなたへと覆い被さってくるイミテル。

 イミテルの厚い皮の張った指先が、あなたの肢体を優しくなぞる。

 その艶めかしい手付きにあなたは思わず身じろぎをする。

 

「フン……今夜は眠れなさそうだな? 朝まで眠れると思うなよ?」

 

 口づけを落としながら、イミテルがそう囁いた。

 朝まで寝かせない宣言にあなたはドキドキだ。

 まさか、イミテルからそう言われてしまうとは……。

 まったく、今夜は眠れないな!

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