あなたはエルグランドの冒険者だ   作:朱鷺野理桜

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 待ちに待ったパーティーの日がやって来た。

 この前哨基地で世話になった者を招いての楽しいひと時だ。

 

 たくさんの料理、そして酒。

 あなたや『アルバトロス』チーム、そして参加者たちが催す余興。

 パーティーは盛り上がり、笑顔と笑い声の絶えない時間だ。

 

 

「ドロレス・カーマイン! イッキします!」

 

 壇上に上がったドロレスが酒ビンを一気に呷る。

 キツい蒸留酒がたっぷりと入った酒ビンがあっと言う間に空く。

 

「ぶへぇ~! やってやったよ!」

 

 空になった酒ビンを掲げ、壇上から降りるドロレス。

 続けて壇上に上がったのは、あなたの義娘カル=ロス。

 

「カル=ロス・ケヒ! バイオリン弾きます!」

 

 言って引き出すカル=ロス。まぁまぁ上手い。

 が、エルグランドにおいては評価されない技量だ。

 あなたは石を拾い、それをカル=ロスに投げた。

 エルグランドにおいてヘボな吟遊詩人は石を投げられるものだ。

 あなたも演奏が下手だった頃はよく石を投げられたものだ。超痛いのあれ。

 

「あ痛ェ~!!!!」

 

 頭に直撃し、悲鳴を上げるカル=ロス。

 爆散するほどの威力で投げなかったので感謝して欲しい。

 

「チクショー! エルグランド流の合いの手はキチぃな! 出直しますよ!」

 

 壇上から飛び降り、すれ違い様にカル=ロスが腹パンをぶち込んで来た。

 普通に痛いが、あなたは笑って受け入れた。

 

 次にアキサメが壇上へと飛び乗った。

 いつもは持っていない剣を手にしている。

 それをすらりと抜き放つと、剣に漲るパワー。

 

「ひっく……薬袋秋雨! 決戦奥義使います!」

 

「誰か秋雨を止めろォ!」

 

「酔っ払いに剣を持たせるな!」

 

「死ぬぅ! 殺さえう!」

 

 どうやらまずい展開らしい。

 

「決戦奥義『百雷光』! 仕る!」

 

 あなたは石を投げた。

 アキサメの腕に直撃し、ぐにゃんと曲がった。

 

「今だ確保ォ!」

 

「お母様ナイス!」

 

「こいつを会場から叩き出せ!」

 

 アキサメが『アルバトロス』チームによってフクロにされる。

 ボコボコになったアキサメが宿舎の方に捨てられた……。

 

「おっしゃあ! 次はあーしだぁ! あーしの世界最高の顔面は最高の余興だろぉ!?」

 

「Boo! Boo! 引っ込め乳でか女!」

 

「せめて余興やるなら脱げよカス!」

 

「話になんないわねマジで! 美しいとしても、面白くないのよ!」

 

「思った以上に反発が強くてあーし泣きそうなんだけど!!!」

 

 半泣きでクリーブが壇上から飛び降りる。

 そして、次にアストゥムが飛び乗った。

 

「アーポウ! 近寄るな! ビンゴだ! ビンゴをするぞ!」

 

 しばらくこの壇上は自分が使うとの宣言をし、ビンゴの開催を宣言する。

 どうやらあなたが頼んでいた余興をしてくれるらしい。

 本当ならあなたがやるべきではあるのだが……。

 なんせビンゴなんてやったことがないわけで。

 ビンゴについてよく知っている『アルバトロス』チームに頼んだのだ。

 

「これからビンゴカードを配るので、大人しく静粛に、そして力強くビンゴを行ってください! ビンゴのルールが分からない者は手を挙げること!」

 

 あなたは一応は把握しているので手を挙げない。

 そもそもあなたは主催側なので参加しない。

 会場を見渡してみると、どうやら知らない者はいないらしい。

 

「大変結構! では、ビンゴゲーム開始ですよ! さぁ、スタッフの方! ビンゴカードを配ってください!」

 

 会場に響く声で宣言が為され、ビンゴゲームがはじまった。

 

 

 

「次はー……27番! 27番ですよ~! 皆さんビンゴカードをよっく睨みつけてくださいよ~! それこそ穴が開くくらいに! でも視線で穴開けたら反則なので気をつけてくださいね~!」

 

 アストゥムによる小気味いい進行でビンゴは賑やかに続いている。

 時折、ビンゴ成立で壇上に上がり、景品を手にする者も現れる。

 あなたはそれを眺めながら、ゆったりと酒を舐めていた。

 

「やー、楽しいパーティーだね」

 

 そうしていると、ふらりとティーが現れた。

 あなたは楽しんでる? と気楽に声をかけた。

 

「うん、楽しんでるよ。3等だけど、ビンゴもしたしね」

 

 言って、3等の景品である金貨10枚と、ちょっとしたアクセサリーを見せて来る。

 あなたは楽しめているようならよかったと頷いた。

 

「久し振りにみんなのところに戻れたのも嬉しかったしね。必要なこととはいえ、みんなから離れて仕事するのはやっぱ寂しいしさ」

 

 『トラッパーズ』は大変仲が良い。

 そんな彼ら彼女らにとって、遠く離れて作業することはつらかろう。

 気心知れた一心同体の仲間から離れるのだ。そのつらさは計り知れない。

 

「ちなみにだけど……何人くらい抱いた?」

 

 10人くらい。あなたは簡潔にそう答えた。

 出来ることならもっともっと食べたかったが。

 やはり期間が短かったし、サツキの迫真の張り付きが……。

 

 まぁ、その分だけたっぷりとサツキを堪能した。

 サツキもあなたにたっぷりと甘えて癒されたことだろう。

 

「うっわ、その辺りは聞きたくねぇ~……あいつのプレイ内容絶対えぐいっしょ……ロリコンだし……」

 

 たしかにロリコンだった。わざわざロリにされたりもした。

 まぁ、最初の1回だけで、その後はそのままでもOKだったのだが。

 

「ええ……にしても、10人だけで終わったんだ。それこそ100人くらい食ってるかと……」

 

 サツキが迫真の張り付きをして来たので。

 もうサツキの全身を知り尽くしてしまったくらいだ。

 今ではもうサツキを1分でイカせることが可能だ。

 

「それはそれですごいな……そーか、私たちも、処女や童貞を卒業していい時が来たんだね……」

 

 あなたは男相手はちょっと……。

 なので申し訳ないが、童貞はそのままでいてもらって……。

 

「悲しいなぁ……まぁ、今まで我慢できてたんだから、大丈夫か」

 

 あなたはそうだろうと頷いた。特に根拠はない。

 処女はともかく、童貞はあなたの興味の外だ。

 行きつけの娼館を紹介するくらいならできるし。

 娼婦にサービスしてやってくれとお願いすることもできるが……。

 

「ははは……まぁ、頼まれたらそうしてやってちょうだいな」

 

 あとはまぁ、ガキでもジジイでも食べれる節操のない美少年がいる。

 彼、トモに頼めば、それはそれは優しく初体験をさせてもらえるだろう。

 話によると、あなたの男バージョンの呼び名に相応しく、リバらしいので。

 同性なだけあり、それはそれはすばらしい快感を約束してくれるだろう。

 

「うわ~、見たくねぇ~……」

 

 うめくティー。まぁ、あなたも見たくはない。

 そもそも他人のセックスなど見物するものでもあるまい。

 

「そう? 地球じゃアダルトビデオって言って、他人のセックスを記録した映像が売られてたけどな」

 

 なんてことだ。そんなものがあるなんて。

 いずれ地球に行くことがあればぜひとも見て見たい。

 そして、あなたはたぶんそれを買い漁る。

 アダルトビデオとやらの買い過ぎで破産してしまう!

 

「見物するものじゃないんじゃないの」

 

 見物するものではないが、窃視(せっし)するものではないとは言っていない。

 

「あーね……」

 

 堂々と見たら興奮できない。やはりこっそり見ないと。

 ただ、難点としてはそのアダルトビデオなるものはおそらく男女の行為だろう。

 男女の行為であっても楽しめるとは思うが、男の尻やら胸はあまり見たくない。

 叶うことなら女だけの行為を見たいものだ。ぜひとも挟まりたい。

 

「女同士のもあったよ。男同士のも」

 

 すばらしい。女同士のを買い漁らせてもらおう。

 そのためにも地球に行った時には稼ぐことを考えなくては。

 金貨が通じるならいいが、たぶん通じないだろうし。

 

「特に男同士のは、人気コンテンツとして子供たちも楽しんでみてたよ」

 

 なんて? 子供に見せていいのだろうかそれは?

 

「それも国家間に跨るほどの大人気コンテンツになって、言葉が通じなくてもきったねぇ喘ぎ声は通じるとかもあったしね」

 

 地球はいったいどうなっているんだ。理解できない。

 国家を跨るほどの人気作品というのは、まぁ分かる。

 しかし、それが男同士の性行為? どういうことだ?

 あなたはあまりに意味不明な情報を脳に流し込まれて混乱のし通しだ。

 

「まぁ、あれはあれで面白いものだったよ……あんなもので笑える、くだらなくも平和な時代がまた来ればいいのに」

 

 混乱する中、ティーは昔を思い出して酒を呷る。

 そして、空に浮かぶ月に向けて、乾杯のような仕草を。

 

「いい世、来いよ」

 

 それは平和な時代の到来を願う言葉だった。

 『アルメガ』との終わりの見えない戦いに身を投じる『トラッパーズ』。

 彼女たちの願う、儚く切ない未来への希望。

 そんな未来のためにも、いずれは戦わねばならないのだろう。

 

 あなたもまた、祈った。

 いい世、来いよと。

 

「…………ごめん、切腹してくるわ」

 

 ……なんで?

 

 

 

 

 突然切腹しようと乱心したティーを止めたりしているうちに、ビンゴは終わった。

 勝ったものは喜び、負けたものは悔しがり。

 それからもパーティーは続く。

 やんややんやと歌い、騒ぎ、楽しみ。

 

 酔い潰れた者は宿舎にて介抱してやる。

 『トラッパーズ』はみんなそれなりに酒が強いようだが。

 酒豪と言うほどではないので、比較的容易に酔い潰れる。

 

「うい~……酔ってもあーしは美しいっしょ……? ん~? ベッドでもっと美しさを堪能したいって? しょうがないにゃあ……」

 

 クリーブを介抱し。

 

「あー、背中さすってもらえるのきもぢぃ……あっ、なんで胸を……ぼくが世界一可愛いから? まぁ、たしかにぼくは世界一可愛いからな……あっ、なんで脱がす……ぼくが世界一可愛いから? なるほど……」

 

 テトラヒメナを介抱し。

 

「酒! 飲まずにはいられないのです! それで酔い潰れたら可愛いお姉さんが介抱してくれて最高なのです! えっ! しかもえっちなこと無料コースのサービス!? せっかくだからやるのです!」

 

 ブリジットを介抱し。

 

「まったくみんなガバガバ飲んで……あ、私は一滴も飲んでないので平気ですよ。えっ! 酔った人には添い寝サービス!? じつはもうベロベロに酔ってます!!!!」

 

 カリーナを介抱し。

 

「お姉さん、もーっと私に頼っていいのよ! え? 私とベッドに行きたい? もちろんいいわよ! 添い寝してあげるわ!」

 

 アンジェリカを介抱し。

 

「どいつもこいつも節度を知らないのかねぇ……酔い覚ましのジュース? サンキューね。で、でさ、その……わ、私も同じことしてもらえたりなんかしちゃったりして……?」

 

 アクアを介抱し。

 

「うっ、うっ……酔ってむちゃくちゃしたからって、腕へし折って放置はひどいです……クライアント、慰めてください……」

 

 アキサメを慰めてやり。

 

 

 あなたは女性陣を大忙しで介抱した。

 まったく、大変でたまらなかったが、実に充実した時間だった。

 

「目を離した隙に『トラッパーズ』の皆さんが食い散らかされてる……」

 

「これはひどい」

 

「ヤリサーじゃないんだから酒で酔い潰した人を抱かんでください……」

 

 しかし、目の前に可愛い女の子が無防備でいるのだから……。

 それにちゃんと同意は取っているわけで……。

 

「21世紀では絶対に許されないことばっかしますねほんと……」

 

「まぁ、西暦で言うと19世紀か20世紀初頭くらいですから……」

 

「それにしたって倫理が無さ過ぎる……」

 

 まぁ、あんまりよろしくないことをしている自覚はあるが。

 基本的には既に複数回寝たことのある相手だ。

 つまり、あなたの人品を理解しているということ。

 

 酒で判断力が低下している時に抱かれても。

 まぁこいつだからな……で諦めてもらえるのだ。

 諦めてくれないタイプの人にはやらないし。

 

「……この人はほんとに」

 

「クライアントはクズ。アストゥムおぼえました」

 

「たしかにお母様はエルグランドのダニですが、女に卑しい以外は……それ以外は尊敬できなくもないので……!」

 

 カル=ロスが必死で擁護をしてくれている。

 なんだか申し訳ないが、これがあなたなので諦めて欲しい。

 

 

 

 

 パーティーを催し、楽しく過ごした。

 そして、あなたたちの『トラッパーズ』との冒険は終わった。

 元より、新しい迷宮を探索するためのメソッドを学ぶために来たのだ。

 まぁ、そのメソッドと言うのが思ったより正面勝負だったのだが……。

 それでもまぁ、変な方法を試行錯誤せずに済んだだけよかったのだろう。たぶん。

 

 これから、あなたは自分の冒険をする。

 自分で迷宮を探し、自分で探索する。

 自分による自分のための冒険。

 

 エルグランドでは何度となくやって来たことだ。

 でも、それをこの大陸でやると思うと、なんだかとても心が躍る。

 次の冒険への出発が楽しみだ。

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