あなたはエルグランドの冒険者だ   作:朱鷺野理桜

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 サシャの自伝の出版は問題なく進んでいるが。

 次の冒険に向けての準備はやや難航しているところがあった。

 アノール子爵領の運営、そこに問題があるのだ。

 いや、問題がないがゆえに問題があると言うかなんと言うか。

 

 要するに、フィリアやレインを講師役にしたので。

 迂闊に引き抜いていけないという状況なのだ。

 他にも雇い入れた講師役はいるのだが。

 レインやフィリアが居る状況が前提のシフトが組まれている。

 新しいシフトを組みなおして、それを試運転するところから始めないと……。

 

 まぁ、イロイの成長を見守ることを思うと。

 それこそ半年やそこらくらいは待ってもいい。

 イロイの他に、救児院の子供たちの成長も見守りたいわけだし。

 

 

 

「ハイハイ、列乱すなー! チンタラ歩くなー! キビキビ歩けー!」

 

「端正かつ快活に行進しろ! 歩幅70センチ! 1分間で120歩! 腕は前方45度! 後方15度!」

 

「バカども! 左足から歩けと何度も言っているだろうが! 左! 右! 左! 右だ!」

 

「端正で快活! 観閲行進時は90度! 肩の高さまで腕を上げろ!」

 

 『アルバトロス』チームによる熱心な教育を視察している。

 今は後進訓練中で、戦列歩兵として使うには必要な教育だ。

 いつもの丁寧で礼儀正しい様子ではなく、厳しい鬼教師と言った感じだ。

 まぁ、教える側に立つ時に厳しく教えないと覚えないので当然ではあるか。

 

「まぁ、これからの時代は散兵戦術の時代なので、行進は戦術的意義があるものではないんですけどね」

 

「でも、こういう集団行動って仲間意識を醸成するのに役立つんですよ」

 

「そして、ここから学んだ者たちが後進に同じく教育を施していく……」

 

「受け継がれていく端正な行進。人の歴史ですね」

 

 あなたの護衛役の『アルバトロス』チームが感慨深げに頷いている。

 思えばたしかに『アルバトロス』チームの歩く所作は美しい。

 こうした厳しい教育を乗り越えて身についたものだったか……。

 

「半ば右向けー! 右!」

 

「シャキッとしな! キビキビとカッコよく歩くんだよ! 領主様が見てらっしゃるんだからね!」

 

 あなたがかつて拾った最初の孤児、ゼイレとマリル。

 彼女たちは厳しい教育を乗り越え、いまや立派なリーダー役となっている。

 『アルバトロス』チームの教育を存分に吸収した立派な兵士だ。

 あなたも彼女たちを拾った者として鼻が高い……。

 

 

 訓練終了後は休憩時間となる。子供たちが水分補給をし、日陰で身を休める。

 その一方で、リーダー役であるゼイレとマリルは『アルバトロス』チームによる指導。

 

「うん、悪くなかったですよ。ゼイレ、マリル」

 

「まだパキッと来てませんが、なに、まだまだこれからでしょう」

 

「少なくとも2人がよく新入りを練兵していることは分かりました」

 

「領主様も立派だと褒めていましたよ」

 

 褒めた覚えはないが?

 まぁ、タダの方便だろう。

 

 ゼイレとマリルがあなたを見るので、あなたは笑顔を浮かべて頷く。

 おまえの働きをずっと見てたぞ。本当によく頑張ったな?

 そのように言うと、マリルの顔がほころぶ。

 

「へへ……まぁ、まだまだ新入りどもに教えることは多いんで、あんまり褒めてやらないでおくれよ、領主様。調子に乗るからねぇ」

 

 などと言うが、その顔に浮かぶ笑みは隠し切れていない。

 褒められて嬉しかったのだろう。あなたはマリルに特別賞与と称して金貨を握らせた。

 元々リーダー役の者には給与を与えているので、これくらいはセーフだ。

 

「へへへ、役得ってもんだね。ありがたくいただくよ、領主様」

 

 陽光を受けて金貨を光らせてから、マリルがそれを『ポケット』へと放り込む。

 どうやら魔法の講習においては『ポケット』も教えているらしい。

 マリルは元々魔法使いの素質も開花させていたので、順当と言えばそうか。

 

 あなたは続いて、ゼイレにも金貨を握らせようとした。

 が、その前に、ゼイレがあなたの手を掴んだ。どうしたのだろう?

 

「…………? あっ。つ、つい、逸っちまった……く、くれよ。金貨」

 

 いったい自分はなにをしているのか?

 いや、視界に移るこの手は誰のものか?

 ゼイレが浮かべていた表情はそう言ったものだった。

 自分がした行動、一瞬以上にも及ぶ意識の空白。

 その先で意識を取り戻し。早く金貨を寄越せと誤魔化して来た。

 

 あなたは言われるがまま金貨を渡した。

 そして、後で屋敷の方に来なさい、と伝えた。

 

「わかった……」

 

 ぼんやりとした表情でゼイレは頷いた。

 その意識はどこか遠くにたゆたっているかのようだった。

 

 

 それからしばらく、あなたは視察をした。

 救児院の子供たちが立派な兵士になっていく光景。

 それはこの領地の未来を育てる光景でもあった。

 

 彼ら、彼女らが出兵し、富と未来を持ち帰ってくる。

 そしてこの領地の未来を守るため戦う日もいずれ来る。

 訓練で流した汗の数だけ実戦で流す血の量が減る。

 厳しい訓練を乗り越え、精兵になって欲しいものだ。

 

 やがて夜が来て、あなたは屋敷に戻った。

 EBTGのメンバーと共に夕食を摂って、それからのこと。

 あなたは呼びつけていたゼイレの下へと向かった。

 

「おっまえ……! ふざ、ふざけんなよ……! くそっ、くそっ……! ふざけんなよ!」

 

 待たせていた部屋に入るなり、あなたはゼイレに罵倒された。

 しかし、その一方でゼイレの体はあなたへと強く密着してくる。

 あなたの足に自分の足を絡め、腕を抱き締めて来る。

 なんて情熱的な歓迎なのだろうか。あなたは嬉しくなった。

 

「なに、なに留守にしてんだよ! 俺が、俺がどんな思いでテメェのこと待って……! マジでざけんなよ!」

 

 熱く火照った体。上気した頬、熱に浮かされた瞳……。

 ゼイレは明らかに発情していた。

 そんなつもりはなかったのだが。

 どうやらあなたが留守にしていた期間は放置プレイとなっていたらしい。

 

「テメェのせいだ! 自分でいくらやっても、ぜんぜん、気持ちよくねぇ……! 女買っても、ぜんぜんダメで……テメェの、テメェのせいだぞ!」

 

 半泣きでそう叫び、ゼイレがあなたを殴りつけて来る。

 普通に本気の拳なので割と痛いが、まぁ、甘んじて受ける。

 ゼイレに無茶苦茶過酷なプレイをしていたのはあなたなので。

 

 あなたは以前、ゼイレを1時間で300回絶頂させた。

 1時間に300回も絶頂させるのは相当なことをしないといけない。

 上手に、丁寧に性感を高め、神経を剥き出しにする必要がある。

 

「はぁ、はぁ……石の壁殴ってるみてぇじゃねえかよ……くそが……」

 

 女体を熟知した者が、丹念にやれば……。

 おそらくあなた以外でも出来はすると思う。

 が、あなたほど女体を熟知した女もそうはいない。

 

 少なくとも、そんじょそこらの娼婦ではできっこない。

 そのため、ゼイレは以前味わった強烈な快楽を再体験できずにいた。

 そのせいでゼイレは欲求不満になり、おかしくなりかけていると。

 

「う……ん、あ、ああ……はぁ、はぁ……! お、おおおい! 早く、しろよ……」

 

 なにを?

 

「早く抱けよ! 俺を気持ちよくさせろよ! 頭が、ヘンになりそうだ! 早く抱け! 抱けーっ!」

 

 あなたの襟元を掴んでそう叫ぶゼイレ。

 なるほど、これは相当キテいるらしい。

 ではお望み通りにと、あなたはゼイレの下着の中へと手を潜り込ませる。

 

「おっ……おっ、お、おおぉぉぉ……!」

 

 あなたの指を柔らかく受け入れ、そしてきつく締めあげて来る。

 ゼイレのイイところを指先で柔らかに擦ると、体がビクンと震える。

 

「すげ、あっ、おおっ、お゛っ! お゛っ! すっげ……! あ゙、ぎもぢっ、なんだこれっ、ふざけっ、あっ、おっおっ! おっお゛! すげ、すげぇよぉぉお゛お゛っ!」

 

 すごい嬌態だ。なかなか楽しめる。

 あなたはグチャグチャと中を掻き回し、ゼイレの快楽を引き出す。

 

「あ゙っ、あ゙っ! あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ぁ゛ぁ゛ぁ゛……! なっ、んだっ、ごれ……! ちかちかっ、すっる゛ぅ゛……!」

 

 じょばじょばと体液を垂れ流すゼイレ。

 まるで壊れた蛇口のようだ。

 あなたの腕がぐしょぐしょに濡れる。

 

「馬鹿にっ、な、りゅ……! ふーっ、ふぅーっ……! おっ!? お、おぉぉおぉぉおお゛お゛お゛ぉ゛……! あっ、も……」

 

 そこで、がくんとゼイレが倒れ込んだ。

 咄嗟に抱きとめて様子を確認すると、ゼイレは白目をむいて痙攣していた。

 気持ちよくなりすぎて意識が飛んでしまったようだ。

 

 なに、問題ない。これくらいはよくあることだ。

 丹念に弄り回して、30回も絶頂させれば勝手に戻ってくる。

 夜はまだまだこれから。回数制限無しでのハードプレイだ。

 目指せ4桁絶頂。がんばれがんばれ。

 

 あなたはゼイレを壊れるほど可愛がった……。

 

 

 そして、翌朝。

 

「すげぇ……透明だ……俺の中に、何も残ってねぇ……空が飛べそうだ……」

 

 ゼイレはなんか変な悟りを開いていた。

 なにか特別な技能を得たとかではないとは思うが……。

 ぶつぶつと虚ろな目で呟いてはゆらゆらと揺れている。

 

「パチパチしてよ……体が遅い……空気が重い……俺が、早い……遅い……ははは……はははははは……」

 

 これ大丈夫かな……。

 あなたはとりあえずゼイレを風呂に浸けることにした。

 そのあと、救児院の宿舎の方に送ってやろう。

 今日もまたゼイレたちには訓練があるのだ。

 

「風呂か……戻る前に、朝飯くらい食わせてくれんだろうな」

 

 もちろんだ。昨晩の夕飯にも負けない朝食を約束しよう。

 

「へっ、ならいいんだ……」

 

 なんだか前よりも随分と素直になったものだ。

 なにか新しいステージでも開けたのだろうか。

 そんなことを思いながら、あなたはゼイレと共に風呂へと向かった。

 

 

 ゼイレを風呂に入れ、食事を食べさせ、それから宿舎に送った。

 あなたは屋敷の方に戻り、岩塩鉱山とか商業とか諸々の書類を処理。

 それから送られて来た手紙を読み、必要に応じて返信などをする。

 と言っても返信を書くのはサシャなので、苦労は大したことないが。

 

 だっっっるい社交も、最低限はやらなくてはいけない。

 完全に社交ルートを絶ってしまうと、次代の時に困る。

 外交では親密な者は作らずともよいが、敵は作ってはいけないものだ。

 

 

 最初の1週間ほどは、そんな調子でせわしなく過ごした。

 溜まっていた仕事を片し終えたら、後は気楽な平常運転だ。

 領地の女の子を適度に味見し、出版の仕事で王都に出向いたら王都の女の子も味見し……。

 家に帰れば妻であるイミテルを気遣い、ベランサに行ったら我が子とブレウを気遣い。

 

 合間にサシャとかレインとかフィリアとかレウナと遊んだり、仲良くしたり。

 以前にサシャとレインとフィリアの3人で仲良くすることはしたが。

 EBTGメンバー全員と仲良く楽しく……というのもいつかはやってみたいものだ……。

 

 そう言えば、そのEBTGメンバーと言えば。

 そろそろクロモリも連れ帰ってやらなくてはいけないだろうか。

 療養させてからもう半月は経っている。

 

 病気とか怪我ならともかく。

 重大な疲労からの療養なので、そろそろ回復しているだろう。

 それに、イロイが成長するまでずっと休養するわけにもいかない。

 そろそろ訓練期間に入り、全員鍛え込もうと思っていたのだ。

 

 特にクロモリはメンバー中最弱。重点的に鍛える必要がある。

 もちろん、他のメンバーもキッチリ鍛える予定である。

 そのために、以前と同じく別大陸の腕利きたちも招聘しようと思っているのだ。

 その予定を伝えるためにも、訓練の準備をするために、呼び戻しは必要だ。

 あなたはそう考えて、ソーラスへと飛んだ。

 

 

 ソーラスの別宅に入り、クロモリの位置を探る。

 どうやらクロモリは空き部屋のひとつにいるようだ。

 家の中は静まっており、クロモリは大人しくしているようだ。

 寝ているのか、あるいは静かに薬の調合でもしているか……。

 クロモリが浮気してる喘ぎ声とか聞こえて来たらどうしようとか思っていたが、杞憂だったようだ。

 

 空き部屋の方へと向かい、ノックする。

 が、返事はない。どうやら寝ているようだ。

 あなたは様子だけ見るかと部屋の中を伺う……。

 

「う、うぅ……うぅうう……う、うぁ……」

 

 ベッドの上にクロモリがいる……なにやら呻いている。

 あなたはそっと部屋の中に入る。

 そして、ベッドの上で悶えるクロモリを眺める。

 

 クロモリは苦悶の声を上げて呻いている。

 悪夢でも見ているのだろうか。ひどく苦し気だ。

 声量は小さいが、その顔に浮かぶ苦悶の色は濃い。

 あなたはクロモリを引っ叩いた。

 

「あぶっ! あ、あれ? あなた様?」

 

 おはよう。うなされてたよ?

 あなたはそう言うと、クロモリは額に浮いた汗を手のひらで拭った。

 

「ああ……またですか……最近、よく悪夢にうなされるのです……」

 

 それは大変だ。

 悪夢にうなされるのは不安があるからとか色々理由はあるが。

 ストレスとかトラウマとか、あとは色濃い疲労とか。

 いろんな理由があって悪夢にうなされるものだ。

 

 ここはひとつ、お肌とお肌の触れ合いでストレスを発散。

 そして心地よい疲労を感じ、人肌の暖かさを感じて安心して眠ればいい!

 

「つまり、ヤりたいと仰っておいでですね」

 

 まぁ、端的に言うとそう言うことだ。

 

「あなた様の仰せのままに……」

 

 従順なマゾヒストと言う、加虐欲を暴走させるためにいるかのようなクロモリ。

 あなたもたっぷり楽しむが、サシャも随分と楽しみそうだ。

 まぁ、クロモリはそれはそれで楽しむのだろうが……。

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