あなたたちは訓練期間をはじめた。
それに伴って、あなたは講師役を集めて回った。
「ほう、また訓練をするのですか。私にとっても訓練になるのでいいですよ」
ジルの許可を取り付け。
「あら、遊びに来てくれたの? なにして遊ぶ? え? 講師? ええ、もちろんいいわよ」
コリントの許可を取りつけ。
「お? なんだ、あんたか。元気してたか? おっぱいは元気そうだねぇ! おっほっほ、張りのあるいい乳してるね~! パンツは赤か~! たまんねぇ~! ん? 訓練するって? いいよいいよ、やるよ~。おほ~! このむちっとした太ももに顔挟むの気が狂う~! すべすべでメスの匂いがするぅ~!!!! スーッ! ハーッ!」
ハウロの約束を取り付け。
「お? 懐かしい顔じゃな。まぁまぁ、客に茶の1杯も出さず話すわけにもいくまい。まあ、入れ。茶菓子もあるぞ。ほう、訓練とな。なるほど、なるほど。将来有望な冒険者の育成か……後進の育成と言うのもあまり縁がなかったが、いい機会じゃな。うむ、儂に任せておけ」
「あたしもかい? へぇ、サシャがねぇ……筋のいい子だと思ってたけど、そうかぁ……もちろん、ビシバシ鍛えてやるよ! 任せときな! あ、肉焼くよ? すぐ帰るなんて寂しいじゃないか! いいとこ焼くから食べていきなよ!」
腹をパンパンにされながらもエルマとセリアンの約束を取り付け。
「お、おう。な、なんか用か? ま、待て、何も言うな……わ、分かった! わかってる! クロモリの姉ちゃんとヤッたことは認める! ああ! 中にも出したけど! でも! クロモリに誘われたからヤッたのであって……! お、お、お……俺は悪くねぇ! 俺は悪くねぇ!」
「これ以上失望させないでください、モモ。私も同じ状況だったら中に出しますけど、でもやっぱりモモが悪いですよ」
「でもよぉ……! だって……! あんなおっぱいでかい姉ちゃんに、1人で寝るのは寂しいの……なんて言われてよ! じゃあ俺帰るわって帰る男いる!? いねぇよなぁ!」
「え、まぁ……その、お嬢様の女だって分かってるでしょうに……」
「でもだって、この女たらし、自分の情婦が夫作ることに関してはノータッチらしいじゃん! じゃあ俺が抱いてもいいかなって思うじゃねえか! それに、あのでっけぇので挟んでくれるって言うんだぜ!? あの、でかいので! でかいのでよ!」
「私はクロモリさんと会ったことないので……でかいんですか?」
「でかい……! 90はあるね、間違いない。いや、下手すると100……!」
「たしかにでかいですね……! そーですか、90ありますかぁ……それも100に近い……あー、そんだけでかいと、あー……」
「だいたいよぉ、男性に抱かれるんだったらモモロウさんみたいな可愛くて素敵な人がいいな……なんて横で言われてみろよ! こらもうお持ち帰り出来ますわガハハ! ってなもんだろうが!」
「それはぁ……クロモリさんが、誘ってますねぇ……?」
「まずそもそも前提条件が違うことについても話させてくれよ! なぁ! 俺はさ、最初はあんたに悪いからって断ったんだぜ!? おっぱい押し付けられても! おっぱいで腕挟まれても! 太ももに手置かれても! 首筋を甘噛みされても! 股間撫でられても! 俺は、俺は精一杯我慢した! 俺はハンターズ最強だから我慢できたけど、アトリだったら我慢できなかった!」
「……あの、モモすごく我慢してたと思うんですけど」
「1時間くらいその調子で、俺もう帰るわって言ったら、クロモリもついて来てさ! 宿の前でなんて言ったと思うよ! 1人で寝るのは寂しいの……ってな! 俺はどうしたらよかったんだよ!」
「あっ、スゥー……あー、そのぉ……切腹……とか?」
「死にたくはねぇよ! それでそのまんま別れたら、もうクロモリに恥かかせたってことで俺の方が有罪になるじゃねえか! ここまで来たら我慢するだけバカ見るじゃねえか!」
「それは、まぁ、はい」
「どっちにしろ有罪ならスッキリして有罪になったるわ! もうバキバキボッキンこんにちんぽってなもんだよ! 勃つわ! 抱くわ! 出すわ! 孕めオラァァァァァン!」
「あの、モモロウが悪いことは悪いとは思うんですけど、全面的に全部悪いかなって言うと……うん……」
バチギレするモモロウとメアリの約束も取りつけ。
講師役の約束を取り付け、アノール子爵領へと帰還。
あなたたちはより高みを目指しての訓練をはじめる。
と言っても、結局のところやるべきことは努力の直線運動。
今までやって来たのと同じことを、今まで以上の負荷でやる。
その繰り返しに過ぎない……とあなたは思っていた。
「さて、ここにお集まりの皆さんのうち、多くの方が魔法使いでいらっしゃいます」
『アルバトロス』チームのために用意した練兵場。
そこに『セイフティテント』で仮宿舎を用意した。
その『セイフティテント』内部で、あなたはジルの講義を聞いていた。
「まず、誤解なきようにお伝えしておきましょう。誰であれ、呪文の使い手になることはできます。その才能の
たしかに、モモロウたちも結局は魔法を体得することに成功した。
それはあくまでも初歩も初歩、だれでも会得できるようなものではあるが。
そのだれでも会得できるものを、皆と同じく会得出来たことが重要なのだ。
魔法の息吹も希薄なボルボレスアスの民と言えど、魔法から見捨てられてはいないのだ。
「魔法はどこにでもあり、例えばそれを体得せぬ者であろうとも、その恩恵に与ることはあります。社会における有力者らはその袖の内側、あるいはアクセサリーに紛れさせ、または控えさせた従者の手の内に、魔法のエナジーは脈動しているのです」
そこで、ジルは言葉を切り、あなたたちを見渡す。
以前と変わらぬ、情動の稀薄な、男とも女とも計り知れない容貌だ。
白い髪はともかく、白い瞳は非人間的でどこか気味が悪い。
「ですが、それらはあくまで魔法を『使える』だけの凡百です。魔法の深淵、その端にようやく触れただけの有象無象に過ぎぬ事……それを弁えて、ようやく魔法を『体得』するに至るのです」
使えることと、体得すること。
理解度、習熟度の差と言えばそれまでだが。
その道に熟達した達人の振るう技は次元が違う。
ただの小技が神がかり的なパワーを発揮することもある。
魔法もまた、同じである。
磨き上げ、鍛え抜いた魔法の技。
初心者と熟練者では同じ魔法でも威力の次元が違う。
ジルが言いたいことはそう言うことだろうか。
「より技術を積み上げ、より知識を高め、より深く理解する。その果てに、絶大な神秘のパワーを手にすることができる……そのパワーに新たな名を授けること。その偉大なる実験と、深淵なる認識。それこそが凡百と達人の境を分けます」
なるほど?
つまり……どういうことだ?
あなたは意味が分からず首を傾げる。
こっそり周囲を伺うと、誰も理解した様子はない。
どういうことだ? とでも言いたげな顔をしている。
唯一、レウナとイミテルは真面目な顔でジルを見ているが……。
たぶん、2人はその辺りの魔法の深淵について興味がない。
真面目な顔をしているだけでちゃんと聞いていないのだと思われる。
「いまいち理解されていない方が多いようですので、端的に述べましょう。真に熟達した魔法の達人は、新たなる呪文を『体得』する……すなわち、新たなる呪文を『創造』することができるのです」
あ、なるほど、そう言う。
たしかに、新しい魔法を作ることは極めて難しい。
少なくとも一朝一夕で出来ることではない。
あなたもいくつか新しい魔法を創造したことはあるが。
あれはエルグランドの魔術師ギルドの助力があった。
ギルドマスターと高弟らの知恵を借り、儀式も手伝ってもらった。
魔法の術式を弄れば新しい魔法のできあがり! とはいかない。
いや、できなくはない。が、それはひどく不安定で危険なものだ。
魔法とは神秘のエネルギーで世界の
見た目に上手くできても、歪めてはならない物を歪めている可能性はある。
そうした雑な魔法創造の儀式の濫用で滅んだ文明も存在するほど危険な行為でもある。
そう言う意味で、魔法を『創造』することが出来る技量と知識。
そして、その上でその魔法を正しく扱い、体得できる者。
それを達人と言わないのなら、誰が達人と言えるだろう。
「呪文の『創造』は偉大な絶技です。しかし、同様に極めて偉大で、よく似通った探求があります。それこそが
はじめて聞く呪文だ……。
あなた以外の魔法使い、つまりレインやフィリア、サシャも驚いている。
が、その一方でコリントやエルマらは驚いた様子がない。
どうやら、彼女たちはその神話級呪文を知っているらしい。
「この強大な魔法はひどく難しく、それゆえに強大です。そして、あなたたちはこれを習得するに足る領域に手を届かせようとしている……より強力な魔法使いになるには、避けては通れない選択肢でしょう」
なるほど。その、神話級呪文の習得について助力してくれると……。
「そうですね。ただ、神話級呪文の習得は非常に難しいです。ちょっと研究してできるものではありませんので、基礎要素の似通う新魔法創造についても学んでいただこうと思います。どちらも応用が利くので」
まさか、そんな偉大な絶技があったとは知らなかった……。
いや、あなたもそれをよく知っているのかもしれない。
エルグランドで幾度かやった新魔法創造の儀式がそれそのものか……?
「そうですね。漏れ聞く話からするに、その通りかと思います。エルグランドの魔法創造儀式は『神話級呪文』の探求によく似ています」
やはり魔法と言うパワーを使う以上は似る部分もあるのだろう。
位階分けとか、スロットとか、呪文修正とか。
そう言うような部分に多少なりの違いがあっても。
根源的な魔法の仕組み、魔力の概念が同じなのだから。
「あなたは習得されているようですが……残念ながら、皆さんにお教えできるほど理解はされていらっしゃらないご様子」
あなたは頷く。
たしかにあなたはその『神話級呪文』を会得しているのだろう。
そして『体得』もしているのかもしれないが……理解はしていない。
詳細な概念まで完全に理解して使っているわけではないのだ。
体感的に会得しているのを理論的に教えるのは無理がある。
「魔法が使える皆さんには、この『神話級呪文』関連の講義を受けていただきます」
あなたもそのあたりは望むところだ。
そうした体系だった教えを受けられるならぜひ受けたい。
エルグランドでは魔術師ギルドの秘儀だったので学べなかった。
あなたが魔術師ギルドの高弟にまで昇格すれば学べたのだろうか?
まぁ、娼婦ギルド所属の身でそこまで昇格するのは不可能だったろうが……。
「では、魔法関連についてはここまで。次、肉弾戦関連の方針です。ハウロさんでしたね?」
「おう」
ジルがハウロにバトンタッチする。
ハウロ・G・ヒータ。モモロウたちの転生体とでも言うべきか。
モモロウらの人格が連続した果ての果ての存在だ。
そして、超絶級の戦士でもある。
「ハウロ・G・ヒータだ。まぁ、俺がこの中の戦士組じゃ一番強ぇってんで、まとめ役ってことになった」
たしかに、純粋な肉弾戦ではハウロが最も強いと思われる。
モモロウやメアリよりも強いのは当然と言えば当然である。
そして、コリントやジル、セリアンと言った超人級冒険者。
彼女たちよりもさらに強いのだ。恐るべきことに。
ただ、ハウロはボルボレスアスの民の典型、純然たる戦士だ。
魔法も含めた総合的な戦闘能力ではまた話が違うとは思う。
コリントは徒手格闘も得手とする魔法使いであって肉弾戦はあくまで余技だし。
ジルは魔法戦士の典型と言える技術の持ち主なので、腰を据えた殴り合いは不得意。
そしてセリアンも純戦士だが……純粋な戦闘技術の純度みたいなものが低い。
幅広い戦術を取れるようにした代わりに、特化した強さがないみたいな?
「俺は小難しいことは言わねぇ。おめーら全員ボコって鍛える。覚悟しとけよ、俺がてめーらをたっぷり虐めてやるからな」
そう言って、獰猛な笑みを浮かべるハウロ。なかなか迫力がある。
あなた以外の面々は縮み上がるように肩を震わせる。
純粋な格上の戦士なので威圧感は桁違いだ。
「俺はボルボレスアスの頂点だ。俺より強いやつはいねぇ。マジモンの特級狩人ってもんがどんなもんか教えてやるよ」
サシャたちにはいい経験になるだろう。
ハウロにたくさんボコってもらって強くなるといい。
ハウロはモモロウよりさらに格上の戦士。
その壮大な高みを知ることはかならずプラスになるだろう。
実りある訓練期間になりそうだ……。
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