あなたはあれやこれやの手続きを経た後、病院へと移動していた。
カル=ロスの運転する自動車に揺られての移動だ。
体調が回復してから検査に行こうという話になっていたのだが。
それまで禁欲するなんて気が狂ってしまうので無理だ。
可及的速やかに検査をして欲しいとあなたが無理押しした。
しかし、当人が出頭せずに手続きが済むなんて、便利な次元だ。
それも、即日即時に済むなんてじつにスピーディーだ。
「あー、実際は当人がいないといけないのですが……秋雨のコネを使いました。あの子は征夷大将軍殿下に近しいですから……」
なるほど、そう言う。
たしかに王様を脅せば大抵の無茶無謀は通る。
まぁ、セリマン国の王様は権威が欠片もないので。
その無茶無謀を通したところで実効力があるかは別だが。
「権力者とのコネはいくらあってもいいものだよ。特に、
「公私の区別が厳しい人と伺ってますけど」
「その辺りをしれっと破るから情愛で身を持ち崩すタイプなのだよ。あまりにも最強過ぎて身を持ち崩すことはなかったわけだが」
「ええ……」
割と権力者としては褒められたものではない人格らしい。
しかし、正直なところ、聚楽と言う人物はあまり強そうには見えなかったのだが。
「あー……
「聚楽公がなぜ強いのかは、正直なところほとんど誰にもわからない。そもそも本当に剣士なのかもわからない。ただ、強いことは間違いない」
「剣戟じゃなくて理不尽を放っているとか言われますからね」
なんだそりゃ。あなたは意味不明な話に首を傾げた。
まぁ、機会があったら勝負してみるとしよう。
わからなかったら実際にぶつかってみる。それが一番だ。
「実際にヨーイドンで勝負したらたぶんお母様が確実に勝ちますよ」
そうなの?
「初手を取られたら分からないですが、逆に初手を取ったらお母様が確実に勝つかと思います。で、お母様の速度ならヨーイドンの戦いなら初手は取れます」
「そんな強いのかね、彼女」
「強いですよ。今は弱体化中ですが、それでもゴリラと取っ組み合いをしても勝てますよ」
やりたかないが、まぁ、勝てるだろう。
武器無しだとちとキツいが、素手でもなんとかならなくはない。
「ほほう、そんなメスゴリラめいた強さの持ち主なのかね。見た目はただの可愛い女の子だが。なるほど、異世界から来たというだけはある」
「厳密には異次元なので、同じ世界ではあるのですが……まぁ、異世界でも間違いではないですね」
あなたもそこら辺の細かい話はよく分かっていない。
世界と言う広い枠組みの中に、複数の次元が存在しているとは聞くが……。
「やはり、異世界人だから、アレだろう。いま流行りのチートハーレム主人公もいるのだろう?」
「ええ、ダクタァ・サクォミィズの隣に」
「ほう、チートハーレムなのかね」
チートとやらをした覚えはないが、ハーレムを作っている自覚はある。
「まぁ、1か月で30人もコマしてるあたり、そのくらいはやりそうだな……どうだね。性病がないと分かったら、一晩」
なんと、鮮香の方からお誘いをいただけるとは。
あなたは狂喜してぜひ! と頷いた。
「お母様……」
カル=ロスに冷たい目で見られた。
しかし、これは鮮香の方からお誘いがあったのだから……!
「ドクターも……旦那さんいるでしょうに。そもそも成人した娘だっているのに……」
「おいおい、君は知らんのかね」
「なにをですか」
「同性相手なら浮気じゃないんだぞ?」
「またカッ飛んだ理論出てきましたね……同性であっても浮気は浮気だと思いますがね」
あなたはその通りだと頷いた。
あなたも同性相手の浮気をしても普通にボコられている。
いや、しかし、ボコってくるパートナーも同性なわけで……。
すると異性相手に浮気をすればセーフなのか?
だが異性相手に恋愛する気持ちはさっぱりだし……。
男相手に嫌悪感が湧くとかそう言うことはなく。
ごく単純に男とそう言う関係になっている自分が想像できないというか。
純粋に想像の埒外にあると言うべきだろうか。
「君は分かっとらんね。異性とだけ、同性とだけというのは不健全だよ。やはり、異性とも同性ともほどよく愉しまなくては。そして、
「食事の取り合わせかなんかですか」
「君は妻妾同衾と言う美しい日本語を知らんのかね?」
「言葉は知っていますが、美しい日本語と言う形容をしてはいけない言葉だと思いますよ」
「やれやれ……まだまだ若いな。しかしな、夜の営みが多いのは夫婦仲円満な証だぞ? 君も将来は結婚くらいするのだろう?」
「え、どうなんでしょう……」
「そうなった時、旦那と夜の営みに励む中、趣向を変えていかないと飽きられてしまうからな。そう言う引き出しの多さは強みになる。今から覚えておいて損はないぞ?」
「ええ……」
「おかげでうちは今でも週5でするし、3回はする。マンネリ化はよくないからな」
あなたはまったくその通りだと頷いた。
あなたは今でもパートナーである最愛のペットと愛し合っているが。
それはあなたが度々長期の冒険に出向くからだろう。
長く離れていたという要素がよい刺激になるのだ。
いくら愛し合っても飽きない。最高に気持ちいい。
「そして、そんな刺激の維持のためには、やはり同性とも寝なくてはいけないし、日本人も外国人もバランスよく寝なくてはいけない。そしてもちろん、異世界人ともだ」
そう言って、鮮香があなたに不敵な笑みを向けて来る。
あなたも不敵な笑みを浮かべ、受けて立つと笑った。
この次元における百戦錬磨の手練れ。
いったいどんな性技を会得しているのか。
そして、どんなやらしい体をしているのか。
まったく、想像しても今から滾ってしょうがない……!
それからしばらく車に揺られ、あなたは病院に到着した。
装飾性がさっぱりない建造物なので間違いはしないものの。
それはそれは立派な建物で、王宮と見まごうほどの大きさだった。
さすがに宮殿ほどの大きさはないが、それにしてもでかい。
「まずは血液検査に尿検査をして、それからMRIに突っ込んで……人間ドックとまではいかんが、しっかり検査するとしよう。私の指示にちゃんと従うのだぞ」
それから、数時間。
あなたは鮮香の指示に唯々諾々と従った。
そして、あなたは散々に辱められた。
あなたは諸々の検査終了後、病院の中庭で放心していた。
なんなんだ、この次元の医療技術は……頭がおかしいんじゃないのか……。
「まぁ、たしかに、尿検査は相当アレなことしてるような感じはしますが……」
「クスコを突っ込んだのは悪かったが、子宮頸がんの検診で必要だからやったことだぞ」
「ちゃんとした医療行為ですから……気を取り直してください、お母様」
「うむむ、たしかに漂流者がこういう感じになることは度々あったが……何か飲むかね?」
「あ、そうだ」
カル=ロスがあなたの手を掴み、それを自分の胸へと運ぶ。
あなたの手に触れる、柔らかく温かい感触……うおっ、最高!
あなたはカル=ロスの瑞々しく張りのある乳房を堪能した。
「これで普通に復活するのが……我が母ながらなんとも……」
「ふぅむ。D……いや、E、かな? なかなかあるではないか」
「そしてなぜドクターは私の胸を触っているのですか」
「君が彼女に触らせ出したからな。私も触ってもよかろうと判断した」
「ダメですよ」
「そうかね。では……」
鮮香があなたの胸へと手を伸ばして来た。
あなたはナマでもいいよと頷いた。
「ほう、では遠慮なく手を入れさせてもらうとしよう!」
そして鮮香は遠慮なしに服の中へと手を突っ込んで来た。
なるほど、この積極性、実にすばらしい!
「さて、君の意識が戻ったところで……検査結果が出るのには時間がかかる。なので、今日はこのまま帰ろう」
「どれくらいかかるものなんですか」
「血液検査の結果が出るのに半日くらいかな。実際のところ30分もすれば出るんだが、それが回ってくるのに半日かかる。べつに急を要する検査でもなしにな……」
「そんなものですか」
まぁ、正直体調も悪いので、それはべつに構わない。
「では、車に乗って移動だな」
「晶あたりを帰りの運転がかりに連れて来ればよかった」
「すまんな、私はペーパードライバーだからどうもな。コンビニで酒を買う時の身分証にしか使っていない」
とのことで、あなたたちは車に乗り込んで家へ。
なんだか、病のことで振り回されてばっかりだ。
まぁ、療養とはそう言うものだと言われればそうではある……。
「ふーむ……なぁ、カル=ロスくん」
「なんでしょう」
「うちの優花はどうだね。うまくやってるかね」
「ええ。裏渡世についての知識は彼女由来なことが多いですし、ご家族の
「うーむ」
「どうされました。難しい顔をして」
「君はー……あー、あれだ。優花の才能については知っているかね?」
「使役術のことですか?」
使役術?
「この次元で広く用いられている技術ですよ。召喚術に分類される技術で、悪魔とか天使とか宇宙人とかを召喚して使役する技術です」
ほほう。エルグランドの魔法には類似したものはないが。
他の大陸の魔法には召喚した存在を使役するタイプの魔法は数多い。
その手の魔法と同種の技術と言うことだろうか。
「あれらの魔法よりも利便性が高いものですが、似たようなものですね」
「優花はその使役術に天賦の才があった。信じられないほどの天才だった。うちの旦那は人類史上最高の召喚術師と知られているが、それをも上回る」
「だから養子にされたのでしょう?」
「うーむ。言っても信憑性がないが、実のところ違うんだ」
「そうなのですか?」
「うむ。うちはほら、知っての通り血縁のない親族なんぞ掃いて捨てるほどいるし、子供と言うのは一族で育てるものだ。養子というものにさしたる抵抗はなくてな」
「はぁ」
「だから、なんとなく拾って、なんとなく育てた」
「なんとなく」
「優花の考えすぎだよ。君、たとえばだよ」
「はい」
「君が道を歩いていて、石につまずいて転んだとしよう。で、その石、誰かが君を転ばせるために置いたと思うかね」
「それは……」
「そう言うことだよ。石に躓いた理由なんてないんだ。そこに石があっただけだ。ただの偶然、成り行きだよ」
まぁ、そう言うことはあるだろう。
たぶんだが、カル=ロスが拾われた理由もそうではなかろうか。
あなたではなく、あなたの最愛のペットが赤子を拾ったなら。
それはまず間違いなく気まぐれかなにかだろう。
あなたの最愛のペットは子供のことはあまり好きではないし。
あなたに対する当てつけとか、あるいはあなたの引き留め策とか。
あなたは子供好きなので、子供の世話のために冒険に行くのをやめることは珍しくない。
「偶然拾って育てたら、偶然すごい才能があった。優花のことは、ただそれだけのことなんだがねぇ」
「ははぁ……言っても、信じてもらえないだろうと」
「私が言っても白々しいからね……まぁ、若いうちに、親と距離を取るなんてよくあることさ。あの子が結婚して、子供が出来て、うちに孫を連れて来るようになったら……酒でも酌み交わしながら、実はああだったんだよ、なんて話す日がいずれ来るさ」
鮮香の考え方は非常に気長なものだった。
そう言う親子の在り方と言うのもあるのだ。
……『アルバトロス』チーム、親子関係にわだかまりがあるやつが他にもいるのだろうか?
現時点で既に3組の親子と出会っているわけだが。
この調子で残りの親子とも出会うとしたら。
あなたにその重い事情が吐露されたりするのだろうか。
鮮香と優花の親子関係は割とあっさり流されたが。
克己と睦美はヤバいくらい重かった。
せめて、鮮香たちくらいの気軽さで終わって欲しい……。
いや、そもそも、全員に問題があるとも限らないわけで……。
あなたはグルングルンと考えを回しているうちに、だんだん具合が悪くなってきた。
今日は厄日だ……。
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