あなたはエルグランドの冒険者だ   作:朱鷺野理桜

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14-014

 『アルバトロス』の家に帰り着いて、あなたはゆっくり身を休める。

 あとは結果が出るのを待つだけだ。

 叶うことなら病気も何もないのがいいが……。

 もし病気があるならあるで、手早く治すだけだ。

 

 ……しかし、『アルバトロス』チームの面々の割と複雑な家庭環境と言うか。

 もしや、全員が全員、それなり以上に複雑な家庭環境なのだろうか。

 そうだとしたら、あなたの心が保たないので勘弁してほしい。

 肉体的強度は高くても、心の強度は普通の人間とそう変わらないのだ。

 

「そうですね。普段は剣が刺さらないですからね」

 

「ほう、そんなに頑丈なのかね」

 

「ええ、核兵器の爆心地にいても平気ですよ」

 

「核……兵器?」

 

「あ、すみません。この次元では反応兵器と言うアレです」

 

 エルグランドでは『爆裂弾』と呼んで、爆弾とは区別する。

 それほどまでに強力なものだから、ごく自然な名称ではある。

 しかし、この次元では反応兵器と言うのか……何がどう反応なのだろう?

 

「ああ、あれ……あれの爆心地にいて死なないってどういうことだね。ああ、いや、低出力のやつとか?」

 

「お母様が愛用している『ナイン』の出力はTNT換算で1メガトンですね」

 

「超高出力じゃないか。人類に向けて使っていいものじゃないだろう」

 

「まぁ、『てのひらのはめつ』の爆心地にいても平気な人ですから……」

 

 さすがにそんなことはやったことはないのだが……。

 基本的に『爆裂弾』というのは広域制圧攻撃が強みだ。

 なので、強力な1個体に向けての攻撃には向かない。

 その性質がそのままであれば、たしかにその通りか?

 

「その、『てのひらのはめつ』とやらはなんだね」

 

「反陽子爆弾です。出力はTNT換算で1テラトン」

 

「……どれくらいの威力か想像もつかん」

 

「オーストラリア大陸なら消し飛びますね」

 

「頭おかしいのかね? というか、反陽子と言うことは反物質だろう。あれはたしか、1グラムあたりのエネルギー量は損失なしでも21キロトン程度じゃなかったかね」

 

「そうですね。『てのひらのはめつ』の真髄は、物質を『内側に折り畳む』ことでエネルギー保存則を打破しているところにありますので……」

 

「なんでもありじゃないか……」

 

「なんでもありなんですよ、エルグランドって」

 

 カル=ロスが実感の籠った様子でそう囁く。

 たしかにあの大陸は大体なんでもありだ。

 

「すごいところなのだな……やはりこう、常識を超えたアダルトグッズとかがあるのかね?」

 

「ええ、ギロチンとか」

 

「それは処刑道具だろう」

 

「エルグランドではアダルトグッズですよ」

 

「馬鹿言え。君、なにか常識を超えたアダルトグッズとかあるかね?」

 

 絞首台とか。

 

「だから、それは処刑道具だろう」

 

 でもエルグランドではたしかに使うのだ。

 あなたもまだまだ弱かった頃は、それをプレイに使ったものだ。

 首を絞められながら腰を振られると凄く独特な興奮がある。

 

 癖になったらまずいと控えるようにはしていたが。

 癖になりそうなくらいにヤバい快感があるのだ。

 

「たしかに首絞めはそれなりに聞く性癖だが、絞首台はまずいだろ……! 頸椎を脱臼なんかしたら即死だぞ!」

 

「エルグランドでは死人は3日で蘇ってくるので問題ないです」

 

「冗談だろう……?」

 

「マジです」

 

「じゃあ、なんだね。ギロチンも本当に……?」

 

「かなり過激かつ特殊なプレイですが」

 

 あなたは頷く。

 実際になにをされていたのか体感したわけではないが。

 あなたの生首や体に対し、相当な無体を働いたものがいるとは聞いたことがある。

 

 まぁ、そうなったところで、その死体とは別に復活するので。

 死体をどう扱われようが知ったことではないが……。

 

「過激すぎるだろ……さすがの私も死姦はしようとも思ったことがないぞ」

 

 鮮香が震えている。

 あなたも別にそんな趣味はない。

 まぁ、やってやれないことはないので。

 趣味ではないだけで出来なくはないが。

 

「他になんかないかね。こう、食べると感度が上がる果物とかそう言うの」

 

 感度が上がる媚薬とかくらいなら。

 あとは、性転換ができるワンドとか……。

 

「性転換……私の生チンポで、旦那の尻を掘る……童貞と処女の同時卒業、なるほど、感動的だな?」

 

「旦那さんの処女を奪おうと画策するのはどうかと思いますよ」

 

「ならば、旦那を性転換させてメス堕ちさせる」

 

「旦那さんに特殊性癖を植え込もうとするのはやめた方がいいと思いますが」

 

 しかし、性転換させてメス堕ちはいい……。

 あれは本当に美味しい。最高の滋味が染み出す。

 もしもそのメス堕ちプレイに混ぜてくれるならワンドを提供してもいいが……。

 

「ほほう……ママ友との3Pワンナイト……背徳的だな! しかも、そのママ友がこの若さ……たまらんな!」

 

「ドクターとお母様の相性が良すぎて悪い……」

 

 カル=ロスにでかい溜息を吐かれてしまった。

 まぁ、あなたも相性が良すぎて悪いというのは頷ける。

 自制せずに付き合っていると、どこまでもエスカレートしそう。

 

 腕より太いディルドを使い出すとか。

 腕を丸ごと突っ込もうとし出すとか。

 小動物とか突っ込もうとし出すとか。

 

 そう言う感じの悪い方向のエスカレート。

 ほどほどの、節度を保ったお付き合いが必要か。

 つまり、あなたと鮮香はセックスをするだけの友達という関係が一番よい。

 

「ママ友をセフレにしないでください」

 

「よいではないかね」

 

「そんなことより、ドクターは優花ともっと話し合ってみては?」

 

「おいおい、その話かね。言ったろう? 今はすれ違っているが、時が解決するさ。話し合うと余計にこじれる」

 

「それはまたなぜ」

 

「私は弁が立つ方でな。相手を説き伏せるのは得意だ。翻って、普通の医者ではないので相手の話を聞いてやるのは得意ではない」

 

「はぁ」

 

「話してるうちに、私の思考は優花を説き伏せてしまう方にシフトしてしまうだろう。それは私の本意ではない」

 

「分析が的確……!」

 

「結局、優花が受け入れられる時が来るのを待つ。それが私にできる最大限だ」

 

「なるほど、セックスのことしか考えていないわけではないのですね……」

 

「当たり前だろ……」

 

「まぁ、そう言うことであれば、とやかくは言いません……お茶を淹れて来ますか。なにがよいですか?」

 

「紅茶でよろしく頼む」

 

 あなたも紅茶を頼んだ。

 カル=ロスが黒いスカートを翻して出て行った。

 

「ところでだが」

 

 なんだろう?

 

「やはりこう……君の手の速さだ。優花には……」

 

 おっと、その話は……。

 あなたはもちろん『アルバトロス』チーム全員を食った。

 全員愉しんでいたし、決して強引に迫ってはいない。

 

 合意の上での行為だから、問題はない。

 あなたはそのような前提の下、優花とは愉しんだと答えた。

 

「なるほどな。うちの旦那は、倫理観が強くてな」

 

 ほう?

 

「義理の娘に手を出すのはインモラルだというんだ」

 

 そりゃそうだろ。

 あなただってそう思う。

 そう思う上で手出すけど。

 

「だが、インモラルだからこそいいのではないか!」

 

 それはわかる。

 カル=ロスとのベッドインも興奮する。

 しかし、手塩に育てた記憶があるわけではない。

 そう言う意味で、カル=ロスとの行為がもっとも楽しくなるのは、もっと後。

 あなたがカル=ロスを立派に育て上げてからのことになるだろう。

 

 昔はあんなに小さかったのに、今はこんなに大きくなって……。

 昔はあんなにへちゃむくれだったのに、今はこんなにエロくなって……。

 

 そんな具合であなたは興奮するだろう。

 

「角度が上がるし、硬くなるし、いっぱい出る!」

 

 それはちょっとわかんない。

 あなたは角度が上がるモノを持っていないのだ。

 

「君もそう思うだろう。だから、私と優花、そして君とカル=ロスくん……4人で遊ぼう!」

 

 なるほど、そいつは素敵だ。面白くなってきた。

 あなたは鮮香の提案に興奮して頷いた。

 そんなの絶対に気持ちいいし楽しいに決まっている。

 

「おまたせしました、お茶が入りましたよ」

 

 話していたら、お盆を手に黒いスカートを翻す影。

 

「ストレートでよろしかったでしょうか?」

 

 あなたは頷く。基本的にはジャムをつけて飲むが。

 それは濃ゆく淹れた時の飲み方で、ポットで優しく抽出した時はさっぱりしたストレートで飲む。

 そつのない動作でお茶をカップに淹れて渡してくれるので、礼を言って受け取る。

 

「私はミルクをたっぷりに砂糖を2つで頼むよ」

 

「はい」

 

 鮮香にも言われた通りのお茶が供される。

 

「ほう……ミルクも温めてある。気の利いた淹れ方ではないか、カル=ロスくん」

 

「ありがとうございます」

 

 エルグランドではあまりないやり方だ。

 そもそも、エルグランドではミルクティーはあまり飲まれない。

 であるから、ミルクを温めておくという習慣もあまりない。

 

「さて……カル=ロスくん、ちょっと君の御母上と話していたのだが、そのうち4Pをしよう!」

 

「えっ」

 

 あなたは苦笑する。

 紅茶を一口飲んで、なかなかうまいと頷いた。

 この次元のお茶はなかなかだ。買って帰ろう。

 

「そ、そんなことより……ドクター」

 

「うん? なんだね?」

 

「ドクターが優花を拾うにあたって、才能がどうこうではないとはお聞きしましたが……御夫君(ごふくん)はどのようにお思いなのですか?」

 

「またその話かね。うーん……彼がどう思っているのか、腹を割って話し合ったわけではないが……たぶん、何も考えていないと思うぞ?」

 

「何も考えていない」

 

「彼は元々からして裏家系の出身ではない。自分の後継者を育てるとか、そう言う考え自体が稀薄だ。家を続けるという意識があまりない」

 

 庶民的な考え方だ。あなたもその感覚に近い。

 家名を持たないのもその感覚のあらわれだ。

 継ぐべきは血脈であり、家や名、技ではない。

 そして、血脈とは、どのような形でも子々孫々と続く。それだけのことだ。

 

「純粋に優花のことが可哀想だから拾い、可愛いから大切に育て、申し訳なさから独り立ちを認めた。そんなところではないか」

 

 申し訳なさ?

 

「うむ、まぁ、そのなんだ。子供に性行為を感づかせたりするのは虐待だと言ったろう」

 

 たしかに言っていた。

 

「だから、優花や下の子が小さい時は、ラブホに行ったりとかしていたわけだが」

 

 ラブホと言うと、カイラの作っていたああいうホテルのことか。

 いわゆる連れ込み宿の豪華版みたいな施設だ。

 

「しかし、優花も中学に入ろうとする頃なら、もうよかろうかと思って、家の中でひっそりと……夫婦の寝室は防音だしな!」

 

 なるほど、そう言う。

 

「たしかに、家を出ていくときに、夫婦の営みが聞こえるのはしんどいとかそんなことを言っていた……それに、あの年頃の子が家を出るのに憧れるのは珍しいことではないしな」

 

「独り暮らしにあこがれる子供は多いですね」

 

「そんなのは自分でパンツくらい洗ってから言えと言いたくなるがな。まぁ、優花はそのあたりの家事はバリバリこなすタイプだったが」

 

「というか、ドクターはあまり家事はなさらないタイプでは」

 

「なんで知ってるんだね……? たしかに、旦那の方がそう言う家事は得意だが……」

 

 鮮香が不思議そうにする中、あなたはクッキーを食む。

 エルグランドのラチの実入りのクッキーだ。実に美味。

 あなたは鮮香にもどうかとクッキーを薦めた。

 

「お、クッキーか。いただこう。ほう、ナッツ入りクッキーか……コリコリしてうまいな。なんのナッツだろう」

 

「これは、ラチの実ではないでしょうか。エルグランド特有の木の実だったと思います」

 

「ほう、異世界の木の実か。なるほど面白い」

 

 あなたの父直伝だ。家族みんな大好き、あなたも大好き。

 そして、あなたの家族もみんな大好き。

 エルグランドに住まう人、皆の口の友だ。

 非常にありふれたものなので誰でも食べているし、知っている。

 

「なるほどな。カル=ロスくんもそうなのかね」

 

「あー……はい」

 

「あまり好みではなかったのかね」

 

「まぁ、そんなことより……御夫君のお考えですが」

 

「ああ、そうだったね。彼は本当にその辺りの意識は希薄だから、優花の才能を見込んで後継者に……ということはまずないだろうな」

 

「しかし、使役術は教え込まれていたのでは」

 

「それはあれだ。君たちは裏渡世では銃を使うのだったな」

 

「? はい」

 

「そんな君たちの前に、裏渡世初心者の子供が現れた。見るに見かねて、戦い方を教えこんだりするだろう?」

 

「まぁ、するかもしれませんが」

 

「そんな子供が、銃に対してすばらしい才能を持っていることに気付く。君は銃の教育を熱心にするのではないかね」

 

「長所を伸ばした方が強いですから、それはまぁ」

 

「そうして熱心に教え込んで、子供はある時ふと思う……自分の面倒を見てくれたのは、この銃の類稀な才能を見込まれてのことではないのか……と」

 

「あ~…………」

 

 鮮香のたとえ話に、うめき。

 納得出来るものがあったのだろう。

 

「それと同じように、うちの旦那は使役術に興味を持った優花に教えを施した。そして、優花の類稀な才能が判明した。あとは流れだ」

 

「流れて」

 

「才能があると分かったら伸ばしてやりたくなるのが親のサガだ。そして、上達が早いものは楽しい。当人も使役術の腕が上がるのを愉しんでいた。結果、世界最高の使役術者が誕生した……それだけなんだがね」

 

「なるほど……つまり、本当にただの偶然。作為なきものだったのですね」

 

「うむ。そもそも、本当に使役術のために育てるなら学校なんか通わせんよ。自宅学習をさせるさ」

 

「た、たしかに……」

 

「そう言うわけだ。まぁ、優花にそれとなく教えてやってくれ。べつにちゃんと教えてやらんでもいいから。そう言う考えもあるよと、軽く促す程度にな」

 

 などと言いながら紅茶を含む鮮香。

 そんな鮮香にあなたは新しくクッキーを出してやる。

 一方で、あなたはこの次元のお菓子はまだ食べたことがないな、と零す。

 そして、もしよければこの次元のお菓子なんかもらえないかな? と頼んだ。

 

「あ、はい。大したものはありませんが。少々お待ちください、クライアント」

 

 黒いスカートの翻る様は何度見てもいい。

 その奥のふとももの眩しさが映える……。

 

「ふーむ……何度見ても太ももがいいな。カル=ロスくんの太ももは実にうまそうだ」

 

 などと感慨深げに言う鮮香。

 目の付け所があなたと同じだった。

 あなたは再度苦笑して、お茶を飲んだ。

 

 そうしていると、しばらくして扉がノックされた。

 あなたがどうぞと促すと、扉が開かれてカル=ロスが顔を出した。

 

「すみません、市販のクッキーとかチョコパイくらいしかなかったのですが。どうぞ、お母様」

 

 あなたは礼を言って受け取る。

 なるほど、お菓子の種類はそんなに変わらないらしい。

 お菓子を手にしつつ、あなたは紅茶もいただいてるよ、とカル=ロスに述べた。

 

「さすがはお母様ですね……」

 

「?」

 

 カル=ロスの呆れとも戦慄ともとれるような仕草に、鮮香が首を傾げていた。

 あなたはそれを見て、擬似スワップも楽しそうだなと内心で想った。

 いずれある4Pが実に楽しみだ……。

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