あなたはエルグランドの冒険者だ   作:朱鷺野理桜

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 あなたはじっくりゆっくりと療養をした。

 前回の『根之堅洲國死返法(ねのかたすくにまかるかえしのほう)』の後遺症よりも長引いた。

 やはり、前回よりも魂に入ったダメージが大きかったのだろう。

 

 こちらの次元に来てから約1か月。

 あなたがとりあえず復調するまでそれだけかかった。

 まだ本調子ではないが、十分動ける状態だ。

 

 その約1カ月の間に起きた出来事……。

 秋水と秋雨がそれはもうものすごいドえっちな格好で謝罪に来てくれたり。

 猫耳マイクロビキニメイドは、もう、ほんとにすごかった。

 だが、秋水が奥の手として繰り出して来た犬耳スク水眼鏡フレンチメイドは凄まじかった。

 

 さらに驚愕したのは、その後に訪れた聚楽氏。

 上役として同様の、そしてより強い謝罪をするのが道理とのことで。

 スケスケ単袴ドスケベ下着巫女とか言うすごい謝罪をしに来てくれた。

 すごい……すごすぎた……羞恥心とかないのだろうか……?

 防御力皆無で攻撃力無限大みたいな恰好だった……すごかった……。

 

 それ以外にもいろんなことがあった。

 大和が泣いて土下座するので渋々『ミラクルウィッシュ』のワンドを融通したり。

 鮮香が若返りの薬の存在を聞きつけて、交換条件に親族の女を片っ端から紹介してくれたり。

 克己の性欲をたっぷりと満たしてやりつつ、睦美との仲も深め。

 ラルカと一緒に釣りをしたり、シャロンと夜のテクについて熱く語り合ったり。

 

 そんないろんなことが起きたが。

 すべて書き記すにはあなたの備忘録の余白は狭すぎた。

 

 

 あなたは日本にサヨナラを告げ、元の次元へと帰って来た。

 別れの儀式などはない、気楽なお別れをして来た。

 見送りに来たのも克己だけ。そも、誰も呼んではいないのだ。

 克己が来たのも、近所に住んでいるから帰還時期を知っただけで。

 

 湿っぽい別れは好きじゃないし。

 きっとまた遊びに行くことがある。

 だから、その時、それでいいのだ。

 

「1か月の文明マックス生活とのお別れ、名残惜しいですね……」

 

「さらば、いつでもどこでもイントゥアーヌェッツが使える日々……」

 

「腹が空いたらちょいとラーメン食べに行けるの最高過ぎた」

 

「コンビニは神の御家だわ……」

 

 みんな名残惜しいらしい。

 それならそれで、べつに残ればいいと思うのだが……。

 いまのあなたに護衛とか普通に要らないわけで。

 

 しかし、『アルバトロス』チームに護衛を依頼したのは未来のあなた。

 今のあなたに依頼を中途で終了する権限の持ち合わせはない。

 『アルバトロス』チームは所定の期間、仕事に従事する必要があった。

 普通にブッチしてしまえばいいような気もするが、なんかダメらしい。

 

「まぁ、期限は定まってますので……そうお気になさらず」

 

 とのことなので、あなたは何も言わないことにした。

 

 

 

 トイネのあなたの領地、アノール子爵領に帰り着く。

 あなたはまず、脇目も振らずにイミテルの下へと赴いた。

 すっかりお腹の大きくなったイミテルは、あなたの帰還を喜んだ。

 もう、8カ月になるのか。もう出産までそう日も無い。

 

「ああ、息災だったか、我が鼓動よ。もう、よいのか?」

 

 あなたはすっかり完調だと答える。

 不調はなく、今すぐ冒険にだっていける。

 まぁ、しばらく留守にしたのでそうすぐ出ていくつもりもないが。

 

「そうか。まぁ、ゆっくり休め……」

 

 そう言ったところで、イミテルの瞳から涙が零れた。

 あなたはハンカチを取り出し、その涙を掬い取る。

 

「ん……すまない。あなたが帰って来ないのではと、そう、不安になってしまってな……だが、あなたは帰って来た。つい、安心して、涙が……」

 

 妊婦をほったらかしにしたあなたが悪い。

 もっと言葉きつくなじってもいいのだ。

 

「私に夫を悪罵して喜ぶような趣味はないのだぞ」

 

 言いながら、手にナックルダスターを装着するイミテル。

 夫を悪罵して喜ぶ趣味はないが、夫を殴り倒してスカッとする趣味はあるらしい。

 あなたは甘んじて5発殴られた。超痛かった。

 

 

 

「あ、ご主人様。おかえりなさいませ。それで、見てください! 私の本が、遂に出版しましたよ!」

 

 そう言ってサシャが見せて来るのは本。

 豪華な装丁が施された大判のものである。

 

 『貧困と不運によりやむなく奴隷に身をやつしその生涯に悲観するも、美しく聡明な冒険者である後のハーン・アノール子爵により購入され、その功績、行い、言行を傍らで見聞きし記録することを許されたマフルージャ王国は東部地方スルラの町出身のサシャ・ラジット・ダインクス・エリザベス・キリムが見た、マフルージャ王国はサーン・ランドの冒険者学園を卒業し、ソーラスの町に存在するソーラス古代迷宮を極めて強大なドラゴンを打倒することによって遂には踏破するという、人類史上において初の偉業を達成した神に抱擁されし大地エルグランドより来りし黄金の髪と深紅の瞳を持ったトイネ救国の英雄にして偉大な貴種たる冒険者の雄大にして華麗で、不思議かつ驚きに満ちた壮大な冒険についての記述』

 

 サシャの自伝の題名だ。まぁ、題の主軸はあなたに向けられているが。

 サシャの冒険の始まりからソーラス大迷宮の踏破までが記されている。

 未来ではカイラが翻訳してエルグランドに持ち込むらしい。

 サシャ当人でないのは……なにか時期のズレでもあるのだろうか?

 

 そう言えば、カル=ロスが読んだという本は『ソーラス冒険記』と言うシンプルな題だったはず。

 そのあたりは翻訳の過程で変更が加えられたのだろう。

 

「いま、トイネを中心に続々売れてるらしいです! えへへ、私の本が、たくさん売れてます!」

 

 サシャはメチャクチャ嬉しそうだ。

 文筆家としては著作が広く知れ渡るのは嬉しいことなのだろう。

 これからも冒険をし、著作は続々出版されるだろう。

 次の本も売れるといいねとあなたは答えた。

 

「はい! 執筆も冒険も、がんばります! それができるだけ、強くなったつもりです!」

 

 そのように胸を張るサシャ。すばらしい、でかい。

 あなたが留守にしていた間の訓練で、ずいぶんとレベルアップしたようだ。

 剣も魔法も、その身体能力も。一回り大きくなったようだ。揉みたい。

 

「魔法も5階梯呪文まで使えるようになりました。自信をもって魔法剣士を名乗れます!」

 

 それはまた随分と鍛えたものだ。

 5階梯呪文となると、十分以上に腕利きの魔法使い。

 都市部でも一流クラスと称されるほどの腕前だ。

 それでいつつ、サシャの本業はどちらかと言えば剣士。

 

 すでにサシャも、英雄級冒険者の仲間入りと言うわけだ。

 きっと、どんな冒険だって乗り越えられることだろう。

 あなたは未来のサシャの著作を楽しみにしていると期待を込めて告げた。

 

「はい! 次はどんな冒険に行くんですか? やっぱり迷宮ですか?」

 

 そのあたりはこれから相談して決めることになるだろう。

 あなたはサシャも出向きたい先があれば提案してもいいんだよと促す。

 

「なるほど、私の行きたい冒険……ううん、シェバオ様の足跡を辿ると言うのも惹かれますね……」

 

 まぁ、ゆっくり考えてほしい。

 

「はい。考えておきます」

 

 あなたは次に向かった。

 

 

 

 ふらりと仲間の姿を求めて歩き回ると、救児院の近辺でクロモリを見かけた。

 まだまだ拡張中の救児院の建築資材を纏めている資材置き場。

 その一角で、資材に腰掛けてなにやら談笑をしていたらしい。

 クロモリはいつも通りの胸元を強調したスケベな服装。あなたが着せてる。

 そして、その隣にはモモロウと、メアリの姿があった。

 

「あ、あなた様。おかえりなさいませ。お加減はいかがですか?」

 

 クロモリがあなたに気付いて、立ち上がると一礼した。

 じつにこなれた、しゃれた仕草だ。女らしい仕草が板についてきた。

 あなたは体調はとりあえず回復したよと答える。

 まだ完調じゃないが、回復はしてるのだし。

 

「そうでしたか。それはようございました」

 

 ところで。あなたはそう言いつつ、クロモリの胸を掴んだ。

 割と遠慮のない手付きで、痛いだろうほどに強く。

 

「あっ……!」

 

 モモロウと仲良くしているみたいだね。

 あなたに言えないようなことをしていたのかな?

 

「そ、そのようなことは、ございません……」

 

 クロモリが目を背けながらそう言う。

 あなたは次にグリンッと勢いよく首だけ動かしてモモロウに顔を向ける。

 

「……なにも!!! な゛かった……!!!!」

 

 モモロウがそのように叫ぶ。

 実に怪しい。怪し過ぎる。

 あなたはクロモリの胸から手を離す。

 あなたは2人を軽く睨んだ後、溜息を吐いた。

 

 やっぱクロモリも連れて行くべきだったか。

 まぁ、今さら遅いが。後になって悔いるから後悔とはまさにこのこと。

 

 あなたはメアリにこいつらなにしてた? と尋ねた。

 メアリなら嘘偽りなく教えてくれるだろう。

 

「お嬢様、こいつら」

 

「メアリ! 酒飲みたくないか! なぁ!」

 

「飲みたいですね!」

 

「だよな! とっておきだぞ!」

 

「もう少し欲しいな?」

 

「持ってけ!」

 

 メアリがなにか言おうとしたが、モモロウによって酒で口封じされた。

 あなたは頷いて、『ポケット』から酒瓶を取り出した。

 そして、メアリにコレ飲みたくない? と尋ねた。

 

「そ、それは! 23%の大吟醸(だいぎんじょう)!? それも、一升!? そんな、これをどこで!?」

 

 行って来た次元で売ってたので買って来た。

 鮮香推薦の品で、初心者にもおすすめとかなんとか。

 試飲したが、甘口なのにキレがあってじつに旨かった。

 買わなきゃ申し訳ないくらいだったので3本買って来たのだ。

 

「の、飲みたい! 飲みたいですお嬢様!」

 

 じゃあ、話してくれるね?

 

「はい! お嬢様! 話します!」

 

「メアリ!? メアリさん!? お酒2本あげたよ!? ねぇ!? ねーえ!?」

 

 あなたはモモロウの頬を引っ叩いて黙らせた。

 そして、メアリがモモロウから巻き上げた酒を取り上げると、それをモモロウに突っ返した。

 

「ああっ、せっかく2本もらったのに!」

 

 あなたはさらにもう2本酒を取り出した。

 ボトル入りの50年物のブランデーと。

 べらぼうに高かった日本製の18年物ウイスキーだ。

 そして、それをメアリに押し付けた。

 

「ほげー!? 50年物のアルマニャックに、抽選じゃないと買えない18年物のウイスキー!? い、いいんですか!」

 

 受け取るメアリの手は震えている。

 あなたも正直震えている。これメチャクチャ高かったのだ。

 克己から巻き上げた金がごっそりと減ったくらいに。

 

「こまった……ちょっとかてない……」

 

 モモロウは敗北を悟ってか項垂れていた。

 

「えっとですね、こいつら毎晩よろしくやってましたよ。最低だと思います」

 

 やっぱしてたらしい。

 あなたはため息を吐いた。

 やるんじゃないかとは思っていたが……。

 

 どうやら、2人ともお仕置きが必要らしい。

 メチャクチャ厳しく躾けしてあげるから覚悟するように。

 

「ああ、お許しください、あなた様……」

 

「俺までお仕置きされるのか……」

 

 クロモリにはベッドの上で。

 モモロウは水攻め椅子とかで。

 

「待て待った待って! 俺だけ直球で拷問なんだけど!」

 

 不貞の罪は男女によって懲罰が異なるのだが。

 トイネにおいて、自分の後見する女性とよろしくやってる間男を見つけた場合。

 問答無用でブチ殺してもいいことになっている。

 

「すいません命だけは御助けを」

 

 モモロウが土下座して来た。

 あなたはそんなモモロウに優しく語り掛ける。

 姦通の罪の償い方はもうひとつある。

 

 尻穴にテーブルビートやラディッシュをぶち込まれるのだ。

 モモロウはそう言うの得意だよね。そっちにしとく?

 

「無理無理無理無理こわれちゃうしぬしぬしぬ」

 

 あなたはそう叫ぶモモロウを再度引っ叩く。

 そして、髪の毛を掴んで持ち上げると、その耳元で囁く。

 いつもと違う、ひどくドスの効いた声でだ。

 

 じゃあ、死ぬか? と。

 

 モモロウは殺されても文句を言えないことをしているのだ。

 殺してしまうのは可哀想という慈悲がわからないのか?

 肛門にテーブルビートを突っ込むので許してやろうと言うのに。

 それが嫌と言うなら、残された選択肢は死ぬしかないだろう。

 

「ひええ……で、でも、誘ってきたのはクロモリで……」

 

 あなたは再度モモロウを引っ叩いた。

 くだらない言い訳は聞きたくない。

 どっちが誘ったとかどうでもいい。

 クロモリとモモロウは不貞を働いた。

 その罪は償わないといけない。そうだな?

 

「はい、もう、仰る通りでして……」

 

 その償う術は、死ぬか、尻に大根かだ。

 二者択一だ。男に選べる未来は他にない。

 

「う、ぐぅ……わ、わかった……し、尻に、挿入()れるから……! 殺さないでくれぇ……!」

 

 そう叫ぶモモロウ。

 大根刑はなかなかキツイ。嫌がるのも分かる。

 場合によって魚使う場合もあるし。

 どっちにせよメチャクチャ痛いが。

 

 そんなモモロウに、あなたは助け船を出す。

 そう、本来なら選択肢は二者択一。

 尻に大根か、死ぬしかない。

 だが、しかし、今回に限り……?

 

「えっ、今回に限り?」

 

 あなたが取り出したのは『ミラクルウィッシュ』のワンド。

 それをモモロウに渡しつつ、ささやく。

 

 男だと死ぬか大根かだ。

 だが、女なら……?

 

「女なら……はっ、そうか!」

 

 モモロウがあなたの手から『ミラクルウィッシュ』のワンドを取り上げる。

 そして、それを振って声高に叫ぶ。

 

「俺を女の子にしてください!」

 

 たいへんよくできました。

 あなたは満足げに頷く。

 

「俺、女の子だよ! ひどいことしないよな! な!?」

 

 もちろんだ。女の子のお尻に大根を挿入れたりなんかしない。

 でも、お仕置きは必要だ。ベッドの中でのお仕置きが。

 同じ罰を犯したクロモリと一緒にお仕置きだね。

 

「くっ、そう言うことか……こ、こいつ、俺からクロモリを寝取り返すついでに、俺をトモちんから寝取ろうとしてる……!?」

 

 さぁ、なんのことやら。

 あなたはそう笑いつつ、今夜部屋に来るようにと命じた。

 クロモリと逢瀬は重ねられないが、やりようはある。

 元よりあなたは相手を喜ばせるだけでもある程度満足できる。

 手指を使わず、道具だけでたっぷり弄んでやるとしよう……。

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