あなたはエルグランドの冒険者だ   作:朱鷺野理桜

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 しばらく歓待を受けたあなたは、ようやく身支度の整った獣人の娘を見て感嘆の息を吐いた。

 

 さきほどの時点でも、質素ではあるが、決して粗末ではない服を着ていた。

 いまはどこの貴族の令嬢かと思うほどに着飾られており、髪には上等な香油を塗ったのか美しく艶めいている。

 

 ここの奴隷商は、正しく奴隷を扱う者と言うわけだろう。

 奴隷とは高価な商品なのだ。それを粗末に扱うのは愚か者のすることだ。

 価値を高めるために、奴隷商よりもいい待遇を受ける奴隷とて珍しくはない。

 

 獣人の娘の体付きはよく言えばすらりとしているが、悪く言えば貧相である。

 それを悟らせないような、フリルをたっぷりとあしらった可愛らしい服装だ。

 顔立ちはなかなか可愛らしいが、派手ではない。顔の印象を潰さない程度の、弁えた化粧がされている。

 ふわふわとした柔らかな毛が生えた耳もしっとりと撫でつけられており、非常に可愛らしい。

 犬歯が鋭く大きく尖っている点は、人によっては美醜において減点となりうる要素だが、あなたには気にならなかった。

 

 この館のメイクアーティストはなかなか分かっているようだ。

 

 最高の包装がされた娘を受け取り、あなたはつぎに宿へと案内された。

 アイリの邸宅で歓待するとも言われたのだが、貴族の屋敷は性に合わない。

 豪奢な生活に慣れが無いというわけではなく、マナーを守った食事やお茶会などは好んでやりたいと思わないだけだ。

 

 案内されたのは、貴族向けと思われる立派な宿だった。

 銅貨1枚で泊まれる木賃宿(きちんやど)などとは格の違う宿である。

 伯爵の紹介もあり、宿泊を断られることは無かった。

 

 ここでもあなたは盛大に金貨を振り撒き、最高の部屋を取った。

 生活のランクが下がることに抵抗は無いが、安全とは金がかかるものだ。

 あなた自身はチンピラが襲ってきても一瞬で木っ端微塵に出来るが、買った奴隷はそうではないのだから仕方ない。

 

 案内してくれたカミラを返し、今まで手を繋いでいた少女を椅子に座らせる。

 あなたはその対面に腰かけると、まず自己紹介をした。

 偉大な冒険者の父と母の血を継ぎ、その薫陶を受けた者として。

 獣人の少女はその紹介に耳をぴくぴくとさせた。かわいい。

 

「さ、サシャと申します、ご主人様……」

 

 これからどうされるのだろうと不安げな少女に、あなたは優しく笑いかけた。

 エルグランドでは天使の微笑みと言われ、中堅冒険者を心臓発作に陥れ、上級冒険者が自害、あるいは発狂する。

 だが、エルグランドでの評判を知らないサシャにはたいそう魅力的な笑みと映ったのだろう。すこし表情を弛緩させて微笑んだ。

 

 そこであなたは我慢の限界を迎えた。

 

 あなたは同性愛者である。女の子が大好きだ。女なら誰だろうと射程圏内だ。

 あなたを腹を痛めて産んだ母にも粉をかけたし、それを嗜めた父にも容赦なくアプローチした。

 あなたの両親は同性婚である。あなたを産んだ側を母、産ませた側を父と呼んでいるだけだ。

 

 天使のようにかわいらしくちいさな父にプロポーズしないなど、あなたにはできない。

 また同様にいつまでも若々しく、衰えを知らない美貌を持つ母に愛をささやかないこともできない。

 血を分けた最愛の妹たちにだって、その情緒を破壊して同性愛に傾かせる努力を惜しむことはできない。

 

 だが、いつまでも家族にだけ愛を振り撒くのではあなたは物足りなかった。

 さすがのあなたも、血を分けた肉親と体を重ねることはすこしまずいなと思うくらいの常識はある。

 だから冒険者になった。それもこれも大好きな女の子とお近づきになるため。

 

 そんなあなたの目の前に、最高のラッピングがされた御馳走がある。

 しかもそれは、愛らしく微笑んで、あなたに心を許しだしたのだ。

 挙句に、それになにをしても、殺す以外ならば合法なのだ。

 

 こんなのあなたが我慢できるわけがなかった。

 あなたはサシャを抱きあげ、ベッドに押し倒した。

 

「ご、ご主人様……?」

 

 不安げに潤んだ瞳で見上げられ、あなたの理性は飛んだ。

 

 あなたはサシャを無理やり大人にした。

 

 

 

 

 

 

 サシャをたっぷりと可愛がって、たいへん満足したあなたは実に機嫌がよかった。

 まだまだ青く硬い果実だが、これからが楽しみでならなかった。

 ベッドの上で荒く息を吐くサシャは、初めて垣間見た官能の世界に戸惑っている。

 こういう、何も知らない少女に色々と教え込むのは最高に楽しい。

 

 あなたはサシャを愛おし気に撫でると、そのまま今日はもうお眠りと告げた。

 それが聞こえたのかどうかは不明だが、色々あって疲れたのか、次第に息も静かになって眠りに就いた。

 

 明日からがとても楽しみだ。

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