あなたはエルグランドの冒険者だ   作:朱鷺野理桜

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 あなたはリフラと親交を深めた。

 リフラはベッドの中でも飄々としていたが。

 その肢体は瑞々しくて初心で、それでいて熟れている。

 

 美味しくてエッチだった。

 最高、もうたまらん……最高……それしか言えない。

 

「いやァ、なるほど。こういう感じかァ……なるほど……あたしの知らねェ世界だ」

 

 そりゃそうだろう。

 だれだってはじめての時はある。

 

「へぇ。(ねえ)さんのはじめて……フゥン? 姐さんのはじめてってェのは、どんなモンだったンで?」

 

 それこの場面で聞く……?

 抱かれた直後に、相手の初体験聞くとか情緒どうなってるんだ。

 そうは思うが、リフラがふつう側の人間かと言うと間違いなくノーなので。

 聞かれたからには答えるとしよう。

 

 あなたの初体験は意外なことに割と遅い。

 あなたが独り立ちし、冒険者になってから1年。

 それほどの時を経て、ようやくあなたは初体験を迎えた。

 

「へぇ。そんときまでは自重する理性なんぞお持ちでいらしたンですかい。そいつァおったまげ」

 

 その方向性で行くと……つまり、理性どうこうで言うと。

 あなたはたしかに冒険者になってから1年が経つまでは理性を持っていた。

 具体的に言うと、あなたは11歳で冒険者になったので、12歳か。

 

 だが、ある時、あなたの理性のタガは外れた。

 

 あなたは知ってしまったのだ。

 愛を交わし合う最上の行為……つまり、性行為を。

 

「…………なんて?」

 

 あなたは12歳になるまで、愛を交わす行為を知らなかったのだ。

 知らないことはできない。やろうとも思わない。焦がれもしない。

 カレーを食べたことがないのにカレー無しでは生きていけない! なんて騒ぎはすまい。

 それと同じ理屈で、あなたは理性を保っていたのだ。

 

「むしろ、冒険者になって1年経つまで知らなかったんですかい。よくぞまぁ娼婦とかに出会いやせんでしたね」

 

 出会ってはいたのだが。接触はシャットアウトされていたのだ。

 あなたの最愛のペットにして、最良のパートナーたるハイランダーの少女。

 彼女はあなたの冒険のはじまりから共にあったのだ。

 そのペットが、近づく娼婦と言う娼婦を片っ端からブチ殺していたのである。

 

「ブチ殺してたんですかい?」

 

 ブチ殺してた。

 男女も老若も問わず。

 片っ端から殺していた。

 

「とんでもねぇお人なのは分かりやした。なるほど、そんだけ過保護にされてたなら、12歳までその手のことを知らねぇのも納得……」

 

 だが、あなたは12歳のある時に知ってしまったのだ。

 あれはさる貴族が催したパーティー会場に楽師として呼ばれた時のことだ。

 

 あなたの父の公的な職業はピアニストだ。

 その娘たるあなたは冒険者としての薫陶以外に楽器演奏も教え込まれた。

 そのため、あなたは当初からかなり楽器演奏ができたのだ。

 まぁ、それでも磨き抜いたというほどではなかったので。

 道端で演奏をすれば耳の肥えた人間には石を投げられたが……。

 

 その腕も1年の冒険でずいぶんと磨かれた。

 パーティー会場に楽師として招かれても恥ずかしくないほどにだ。

 そのため、その頃のあなたはパーティー会場で演奏をした際のおひねりで稼いでいた。

 まだまだ駆け出し冒険者と言っていい頃だったので。

 いまと違ってそれなりに金に困っていたのだ。

 

 パーティーで演奏をしておひねりを巻き上げ。

 招待客からの好評もいただいた後、あなたを招いた貴族に屋敷に泊まっていくよう促されたのだ。

 その貴族が純然たる善意で言っていることは分かっていたし。

 あなた自身、既に夜遅い時間で疲れていたこともあり、その促しに応じた。

 

 その頃のあなたはだいぶ高名な冒険者になっていたし。

 いわゆる2世冒険者のあなたは、その筋では名が売れていた。

 粗略には扱われず、ゲストルームに通され、さぁ寝るかと言うところで。

 

 あなたの部屋に娼婦が送られて来たのだ。

 

 あなたは娼婦がなんのために来たのか全然わからずに困り果て。

 しかし、仕事で来たという女性を追い返すわけにもいかず。

 とりあえず部屋に入れ、なにをしに来たのかを尋ね……。

 

「ははぁ、なるほど……」

 

 まぁ、あとはお察し通りの流れと言うか。

 あなたはその娼婦に優しく初体験の手ほどきをされた。

 すばらしい初体験だった。貴族が手配しただけあって、高級な娼婦だったし。

 

「で、それからはもう酒池肉林の日々と」

 

 さすがにいきなり今みたいになったわけではないが。

 あなたはまず、最愛のペットに土下座してヤらせてもらえるようお願いした。

 

「土下座しておねがいしたんですかい」

 

 土下座した。

 基本的には姉みたいな人だったので。

 いろんな意味で勝てる相手ではなかったのだ。

 なら、相手の同情を引く方向で勝負を挑むしかない。

 だからこその土下座だ。

 

「んで、どうなったんです?」

 

 メチャクチャ怒られた。

 

「そらそうよ」

 

 だが、あなたは土下座をやめなかった。

 なにがなんでもやりたかったからだ。

 最愛のお姉ちゃんとイイコトしたいのは当たり前では?

 怒られても、殴られても、罵倒されても、あなたは土下座し続けた。

 

 記憶が飛ぶように念入りに頭を殴られても。

 あなたは堅固に記憶を保って土下座し続けた。

 最愛のお姉ちゃんとイイコトをするために。

 

 そうして、丸半日土下座した末に、ペットは観念した。

 

 そんなにヤりたいなら使ってやるとのことで。

 あなたは最愛のペットにそれはもう手酷く犯された。

 あなたは抱かれる側だったわけだ。

 

「へぇ。手酷くやられたんですかい」

 

 とても乱暴でメチャクチャ痛かった。

 あなたが泣いて許しを乞うても殴ってくるし。

 その上で好き勝手に腰を振ってくるし。

 

 歯は折れるし、目は見えなくなるし。

 もう気持ちいいとかそんな状況ではなかった。

 あなたは性欲処理の道具として乱暴に使われただけだ。

 

「ひっでぇ。で、さすがに懲りやしたか」

 

 いや、あなたにはそのあたりを判断する知識がなかったし。

 どんな方法でもいいからと言ったのはあなただ。

 プレイの内容に文句を言う筋合いはないだろう。

 

「姐さん。あんた、どっかおかしいですぜ?」

 

 そうかな。そうかも。

 まぁ、あなたがおかしいかどうかはともかくとして。

 そうして、あなたとペットの初体験は終わり。

 それからもあなたはペットに夜のお誘いをし続けた。

 

「挙句の果てに、また誘うんですかい」

 

 ふつうに誘った。

 あなたのペットはドン引きしていたが。

 懲りるまでやってやるとのことで、あなたはまた殴られた。

 そうした行為は何度となく続いたのだが。

 

 あなたのペットは5回目あたりで音を上げた。

 

 きっとサシャなら嬉々として何度でもあなたを痛めつけたのだろうが。

 あなたのペットは多少いじめっ子気質なだけで、人を傷つけて悦ぶほど性格が終わっていない。

 

「それに、聞く限りじゃあ、姐さんの姉みてぇな立場の人なんでやしょう? 弟妹を本気で殴り続けられる輩はそうはいやしねぇでしょうよ」

 

 そう言うことだ。

 あなたはふつうに妹として可愛がられていたし。

 あなたはあなたで姉としてそれはもう慕っていた。

 

 だからか、あなたのペットは観念し、あなたとイチャラブえっちをしてくれるようになった。

 あなたは最高に幸せだった。毎晩毎晩ヤリまくった。

 まぁ、毎晩ヤッてたら、いい加減にしろと怒られたのだが。

 

 それで冒険者としてもほどほどに活動し。

 お姉ちゃんといっぱいえっちして過ごし。

 あなたは幸せな日々を送っていた。

 

「ははぁ、なるほどねェ……姐さんもさすがに生まれつきの女たらしだったわけじゃねえと」

 

 それはもちろんだ。

 最初の頃はナンパ失敗なんてよくあった。

 どころか、最初の頃は恥ずかしくナンパなんてできなかった。

 

 娼館に行くのだってとても恥ずかしかった。

 娼館の前まで行って、でも勇気が出せずに引き返したこともあった。

 結局、娼館に入れたのは3回目でようやくだ。

 

「カハハ、たまに聞く話ですねェ。で、ようやく入った娼館では場慣れしてる感を出してみちゃったりなんかして?」

 

 恥ずかしながら、そんなしょうもない見栄を張ったこともあった。

 

「カハハハ! 姐さんも人の子ってェわけだ。親しみを感じやすぜ」

 

 なんてリフラに笑われてしまうと、気恥ずかしいやらなんやら。

 あなたはシーツに潜り込んで、あんまりイジめないでぇ、と哀れっぽく鳴いた……。

 

 

 

 リフラに嬉し恥ずかし初体験の赤裸々な話をした。

 そうしていると、いつの間にやらか立場が逆転している。

 初体験のリードを取って優位に立ったはずなのに。

 なぜかあなたの初体験の話になって、あなたが精神的優位を奪われている。

 

 リフラの圧倒的なコミュニケーション能力ゆえというか。

 コミュ力だけで世界を救った実績は伊達ではないと言うことか。

 まぁ、そんな調子でリードを取られるのも、それはそれで独特の快感があると言うか……。

 

 余裕のあるお姉様に翻弄されるのもいいが。

 独特な魅力のある美女に翻弄されるのもまたよし……。

 あなたはだいたい無敵だった。

 

「……で、そんな話を私たちにしてなにが言いたいの?」

 

 翌朝、そんな話をレインたちにしたのだが。

 レインには据わった眼で睨まれてしまった。

 あなたはそんなレインにそっと『軽傷治癒』をかけた。

 

「あっ…………ふぅー……で、なんの話だったかしら」

 

 やっぱりただの2日酔いだったらしい。

 あなたはレインに調子は戻った? と言いつつ、話を戻す。

 

 あなたの初体験はそんな感じで。

 つまりは商売女、プロに優しくしてもらったわけだ。

 プロとの行為は1回でもいいから経験した方がいい。

 これはあなたの持論なのだが、やはり良質な体験はするべきだ。

 だから、高級娼婦を相手に1回は寝た方がいい。

 

 みんなは娼婦を1回は買ったのだろうか。

 あなたが聞きたいのはその辺りの話だ。

 

 そんな話を振ると、全員がなんとも言えない顔で顔を見合わせた。

 こいつなに言ってんだよ……みたいな顔だったが。

 あなたはその辺りは気にせず、どうなの? と再度問う。

 

「えーと……それは答えなくてはいけませんか、ご主人様」

 

 答えてほしい。

 が、サシャは言いたくないならべつに答えなくてもいい。

 

「あ、そうなんですか」

 

「なんでサシャだけそうなのよ?」

 

 サーン・ランドの娼館である『夜の蝶』で売り上げナンバースリーの娼婦を買ったのを知っているからだ。

 ちょっと激しめのサドマゾ行為オーケーのコースで買ったのだが。

 どっちが上になって、どっちが虐められるのか、しどろもどろでうまく伝えられず。

 娼婦側がリードを取って、サシャを言葉攻めで可愛がったのも知ってる。

 

「あっ、ああっ! う、うう、ウワァー!」

 

 サシャが叫んで窓に突撃していった。

 窓をぶち破り、庭を転げながら走り去っていく。

 そんなに恥ずかしかったのだろうか……。

 

「あなたね……もうちょっと、こう、情けとか……ねぇ……」

 

 はぁー……とデカデカとため息を吐かれてしまった。

 娼館に行って高級娼婦を買ったなんて、大声で吹聴するほど自慢できる行為だと思うのだが……。

 いや、たしかにうまいことリードを取れなかったのは恥ずかしいかもだが。

 サシャはマゾ側もそれなりにイケるとあなたは知ってるわけだし……。

 

「一般的な女はそうは考えないと思うわよ……」

 

 そうかな……そうかも……。

 まぁ、サシャにはあとで謝るとして。

 レインたちはどうなのだろうか?

 

「ナンバーワンの娼婦とイイコトはしたわよ」

 

 ほほう、詳しく。

 そのように言ったところ、レインが手鏡を取り出してあなたに向けて来た。

 よもや、ナンバーワン娼婦と言うのはエルグランドのだろうか。

 

「そうね」

 

 あなた以外は?

 

「私は女抱えるよりも、酒瓶をお迎えする方が好きなのよ」

 

 なるほど、納得。

 あなたは頷いて、他のメンバーにも目線を向ける。

 

 レウナには鼻で笑って無視された。

 まぁ、レウナは純潔の誓いを立てている。

 あなた以外とそう言う行為はすまい。

 

 フィリアは純潔の誓いは立ててはいないが。

 あなた一筋なところはある。ただ時々だが……。

 夜に、サシャと同じ部屋にいることがあるので。

 サシャとはイイコトしてるんじゃないかみたいな疑惑はある。

 そのうちぜひとも混ぜてもらいたい。

 

「私はそのう……若い頃に、すこし」

 

 クロモリは男だった頃にそれなりに経験があるらしい。

 まぁ、健康的な男だったらそうもなるだろう。

 

 で、リフラは昨晩まで処女だったわけなので。

 だれも経験はしていないというわけだ。

 なるほどなるほど。

 

「で……この話の趣旨はなんなの?」

 

 あなたは頷いて、本題に話を移す。

 これからボルボレスアスで本格的な冒険をする予定だ。

 その準備のため、この大陸でヤリ納めをしようぜ! と。

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