「ヤリ納めと言うのは……あー、まぁ、その、なんと言うか……そう……あなたの理性が欠如している証の行事のこと?」
ひどい言われようであるが、その通りだ。
あなたの答えにレインがガリガリと頭を掻く。
「あなたがヤリ納めとやらをする分には、べつに好きにすればいいんだけど。話の振り方からして……私たちにも言ってるわよね?」
あなたは深く頷く。あなたはみんなにも言っている。
みんなで娼館に行って、えっちなことをいっぱいしてこよう。
あなたの奢りと言うことでもいい。
「…………」
レインが『ポケット』から酒ビンを取り出す。
そして、それを勢いよくラッパ飲みしだした。
半分ほど残っていた酒をゴップゴップと勢いよく干していく。
突如として行われるイッキにあなたが戸惑う中、レインが酒ビンを空っぽにする。
「クソボケが――――っ!」
あなたはレインに酒ビンで思いっ切りブン殴られた。
ガラスが飛び散り、残っていた酒精の香りが漂う。
かなり痛かった。どうして、そんなことするの?
「詳しい理由を聞かせなさい。なんのために娼館に行くのよ」
しかし、レインは気にした様子もなく話を戻す。
どうしていまあなたは酒ビンで殴られたのだろう。
常人だったら頭が割れるほどの攻撃なのだが。
「ツッコミよ」
なんか前にもこんなことがあった気がする……。
あなたはそう思いつつも、気を取り直して理由を説明する。
別大陸と言うのは遠いものだ。
それはもちろん、大陸ごとの位置関係によっても違うものだが。
それでも、大洋を超えて向かう必要のある、遠い場所なのだ。
その場所に向かい、そこで冒険をするのは大変な難業である。
あなたたちは転移魔法でびゅーんひょいといけるが。
そうだとしても、さすがに日帰りであっちいったりこっちいったりとはいかない。
そうなれば、この大陸に帰ってくるのはなかなか大変だろう。
だから、この大陸で思う存分にキモチイイコトをしていこう。
そうして英気を養ってから、別大陸に出向くのだ。
イイコトをした記憶が力になってくれることもあるだろうし。
別大陸の女の子の違いを楽しめるようにもなるし。
娼館に行っておいて絶対に損はない。だから娼館に行くのだ。
「…………」
レインが困ったような顔で仲間たちを見まわしている。
フィリアも困ったような顔であなたを見ていたし。
レウナはあなたのことを汚らしいものを見るかのような絶対零度の視線で見ていた。
クロモリはちょっと期待をにじませた顔。娼館に行きたいのだと思われる。
そして、なぜかいるリフラはへらへらと笑っていた。
「ひとまず……ボルボレスアスに冒険って、『叡王の碑文』の件でいいの?」
あなたはレインの問いに頷く。
もちろん、その『叡王の碑文』を探すために出向くのだ。
ああ、そうそう、言い忘れていた。
ボルボレスアスに行きたくないならパスしてもいい。
そうだとしても、娼館の料金は奢ろうではないか。
「……どうしてそうまでして娼館に行かせたがるのよ」
さきほど言った通り、娼館に行っておいて損がないからだ。
長く故郷を離れると言うのは、なかなか心理的につらいものがある。
あなただって、この大陸の冒険の中で郷愁を感じなかったと言えば嘘になる。
それを表に出したり、それに苦しむほど未熟でもないが。
冒険から冒険への日々に慣れたあなたでもつらく感じることがあるのだ。
はじめての別大陸への冒険をするEBTGメンバーには相当つらかろう。
「前に、ボルボレスアスに旅行にいったじゃない。その時は大したことなかったわよ」
旅行と冒険ではやはり違う。
冒険でつらいことがあって、思考がネガティブに傾いて来ると。
どんどんとその土地の悪いところばかりが目に付くのだ。
そうなると、もう帰ることで頭がいっぱいになってしまう。
だからこの大陸の娼館で遊んで。
あちらの大陸の娼館でも存分に遊ぶのだ。
そうすることで大陸で共通の楽しみができる。
帰りたいと言う気持ちは消えないだろうが。
こっちの大陸の女の子もいいじゃん! となれば。
そう言う気持ちはずいぶんと楽になるのだ。
まぁ、やっぱり色事や恋愛は人を強くするわけだ。
あなたのようにナンパに精を出すとはいかないのだし。
やはり、娼館に行くべきだろうと思うわけだ。
「まぁ、理屈は……わかんなくはない……けど……でも、ほら……あー……」
レインが言葉を言いよどむ。
「ちょっと待ちなさい。廊下を走ってくるから」
は?
レインの謎の宣言。
そして、レインが部屋を出ていき、廊下をドタドタと走る音。
使用人たちが驚きの声を挙げているのが聞こえてくる。
え? マジでなにしにいったの?
あなたはレインの突然の奇行に戸惑う。
いつも奇行で周囲を振り回しているあなたが振り回されるなんて。
しかも、それがEBTGの常識人代表のレインだなんて……。
そんなことを考えているうちに、レインが戻って来た。
ふらふらとした様子で椅子にどすんと腰かける。
「たらいま……えーと、わたしが言いたいのは……なんだっけ。あー……うーん……? あ、そうそう……あなたがいるじゃない! あなたがいれば、わたしは他の女はいらないわ!」
酒に酔った顔で、レインがそんなことを宣言する。
そう言えばさっき、酒を一気飲みしていた。その酔いが回ったらしい。
「だいたい、どうしてわたしに娼館にいけなんていうのよ! わたしはあなた一筋って……あなたの奥さんになれるようにって最近がんばってるのに! 娼館にいけって! ひどいわよ!」
なんかかわいい告白された。
酒を一気飲みした挙句、廊下を全力ダッシュ。
そのせいで一気に酔いが回ったのだろう。
しかし、それほどに想ってくれていたとは。
なるほどなるほど。かわいいやつめ。
「わたしは娼館いかない! あなたとすごいことするわ! あの、ほら、今日はわたしが上になるから!」
なんて夜のお誘いまでされてしまっては黙るしかない。
わかった、レインが娼館にいかないのは認めよう。
その分だけしっかりとレインをかわいがってあげようではないか。
では、次にフィリアだが。
「えーと、そうまでしていかないとだめですか」
絶対にダメとは言わないが。
やはり、行っておいた方がいい。
絶対に娼館に行きたくないならともかく。
なんとなく行きたくないなー、くらいなら行った方がいい。
おすすめの娼館も紹介するし、おすすめの嬢も紹介する。
店に紹介するし、料金も払おう。存分に遊んでくるべきだ。
「うーん……そこまで、そこまで必要だとお姉様は思われるんですね……」
あなたはそう思う。
あなたが娼館大好きなのでやや思考が偏っているところは認めるが。
高級娼婦を体験しておくのはいいことだ。
エルグランドのだけじゃなく、この大陸のも。
「……うーん」
フィリアがむずかしそうな顔をする。
ザイン神の教義的に、娼婦はダメなのだろうか。
「いえ……
であれば、教義的に問題はないと。
「まあ……はい。一応そうなる……のかな……」
自信なさげにフィリアが頷く。
そんなフィリアに、サシャとはイイコトしてるみたいじゃない、とさらりと告げる。
「ぐっ……なんっ、なんのはなっ……げふっ、ごほっ! なんの話ですかごほっごほごほ!」
唾が喉に引っかかったのか、咳込みながらフィリアが叫ぶ。
もはやそれで答えが出てるようなものだが……。
サシャとイイコトをして、あなたともイイコトをしているのだ。
それで娼婦とはイイコトできないなんて、そんなことはないだろう。
「ま、まだ、サシャちゃんとは本番までは……」
じゃあ、娼婦とは遠慮なく本番できるね。
「ぐぅっ……お姉様の考え方が根本的に違う……!」
そう言うわけで、フィリアは娼館で楽しんで来ると言うことで。
サシャもいっしょにいけばいい。娼婦を含めて3人でとかやってみるといい。トブぞ。
で、次にレウナだが……。
「死ね」
直球で罵倒された。まぁ、そうなるな。
あなたもさすがに神への誓いをやたらに破れとは言わない。
なので、レウナは自分とイイコトいっぱいしようね? とだけ誘った。
「ふ、ふん……」
レウナはほんのりと頬を染めてそっぽを向いた。なるほど、かわいい。
「あなた様のご命令とあらば、存分に娼館に入り浸る覚悟です」
そこで、クロモリが力強くそんな宣言をして来た。
ここにきて娼館で遊ぶことに乗り気なのが出て来た。すばらしい。
あなたはそんなクロモリにニッコリと笑って、後でおすすめの娼館を教えようと伝える。
もちろん料金はあなたもち。
時々あなたもいっしょにいくかも。
その時は3人でイイコトをしよう。
いや、もういっそのこと娼婦を2人買って4人で交代し合いながらとか。
もう背徳的過ぎて脳が焼き切れてしまうぞ。
「王都の娼館すべてを制覇する気概で臨もうと思います」
それではまだまだ。志が低いぞ、クロモリ。
あなたはそんな風に胸をそびやかしながら言う。
王都どころか、サーン・ランドやソーラス、トイネの娼館だって制覇しようではないか。
トイネの娼館はまだまだ開拓中だ。
あなたをして楽しみ切れていない新天地。
2人でいっしょに娼館巡りとかしよう。きっと楽しいぞ。
「はい、あなた様。どうぞご助力させてくださいませ」
大変結構。あなたは満足げに頷いた。
さて、最後にリフラだが……なんでいるんだろう?
いや、べつにいて悪いと言うことはないが。
EBTGのメンバーじゃないでしょ。
「へぇっへっへっへ、硬い事はいいっこなしですぜ。あたしは、もらえるものは病気以外はなんでももらうつもりでさァ。あたしにも娼館を奢っておくんなせぇ。奢りほどうめぇもんはねぇや」
そして、娼館を奢ってもらう気満々らしい。
驚きの厚かましさにあなたは驚愕を禁じ得ない。
出会って1週間くらいしか経っていない相手に娼館を奢ってもらうって。
それも、自分から申し出て奢られようだなんて……。
リフラには恥と言う概念がないのだろうか……。
まぁ、どうしてもというなら、奢ってもいい。
いや、ぜんぜんよくはないけど。よくはないけども。
なんだかんだ奢ったら恩義は感じてくれるタイプのようだし。
存分に奢って恩義を積み重ねておこう。
なにかしらの役に立つかは不明だが。
まぁ、後ほど娼館代と称してベッドの中で楽しませてもらうとか……。
なんかそう言う感じのいかがわしい取り立てとかすればいいし。
「奢ってくれるんですかい。いやァ、言ってみるもんで」
「おまえな……いくら奢りだからって、娼婦奢ってもらうなよ……」
「知らねェんですかい。娼館じゃ、料理の注文が出来るんですぜェ」
「知るわけないだろ……おまえまさか、料理の料金も持ってもらうつもりか」
「へぇへっへっへっへ……レウナさんはご存知でやしょう?」
「なにをだ」
「あたしゃあ、昔からもらい飯ってのにァ目がねェ、鼻がねェ、耳がねェの三拍子だってェのを」
「おまえな……こないだ金をしっかり稼いだばっかりだろ……」
「節約できるなら節約するに越したこたァないですぜ」
「それは、そうなんだが……」
まさかリフラは食費の節約のために……?
あまりのしょうもない使い方にあなたも驚く。
「ああ、もちろん、娼婦の姉ちゃんともお愉しみしやすぜ。せっかくの奢りですからねェ」
な、なるほど? 安心要素……なのだろうか?
だが、それはそれでちょっと惜しいような気もする。
せっかく初めてを体感したばかりの初心な娘なのだ。
あなたの手で丹念に可愛がってやりたいような気もする。
まぁ、娼館には今日明日行くわけでもないし、まだ機会はある、か。
サシャはまだ戻って来ないが。
まぁ、すでに娼館で娼婦を買って遊んでいるのだ。
それも、あなたがサシャにやっている小遣いで。
これで娼館にはいけません、娼婦を抱けませんは通らない。
有無を言わせるつもりはない。
娼館でしっかりと遊んで、英気を養ってもらう。
こうすることで、ヤリ納めについて文句を言わせはしない。
その上で、あなた以外のみんなもヤリ納めをする。
つまり、あなたはみんなを寝取られる。
想像しただけで頭がおかしくなりそうな焦燥を感じる。
たった1人を寝取られただけでも激しい嫉妬に気が狂いそうになるのだ。
クロモリをモモロウに寝取られたと知った時は、思わずモモロウを殺しそうになったほど……。
それが複数人だなんて……!
あなたは憤死してしまうのではないだろうか。
そして、みんなを寝取り返す時の興奮はいかほどか。
あなたの性癖の進化、あるいは悪化はいよいよ大詰めを迎えていた……。
文字数はどの程度が好ましいですか?
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