あなたの出資によって仲間たちにたっぷりの悦楽を味わわせた。
連日連夜、タダで高級娼婦と遊び歩ける日々。
それは並の人間の理性を容易に破壊する環境だ。
サシャとクロモリはそれはもう張り切って娼館に出向いている。
夜遊びが楽しい時期というのは人生にかならずあるものだ。
あなたはいつだって楽しいが、特別に楽しい時期もある。
フィリアは最初かなり戸惑っていたのだが……。
いまは結構楽しんでるようだ。ちょっと楽しみ方は独特だが。
ザイン神なら娼婦にも平等に加護をお与えくださる。そんな理屈で勧誘してるらしい。
娼館で宗教勧誘するな、教会で女抱くぞ。そうも言いたくなったが。
娼婦にだって縋れる神がいてもいいとはあなたも思う。
アルトスレアには娼婦の守護女神がいたが。
こちらの大陸にはどうも娼婦の守護女神はいないようだし。
あなたはアドバイスとして、お愉しみ前の勧誘ならひとまず聞いてもらえるとだけ教えた。
リフラは……まぁ、思う存分に食事をかっ喰らって。
酒もしこたま飲んで、それから娼婦に肩やら足を揉ませたりしてるらしい。
娼婦の嗜みとしてマッサージは基本技能ではあるのだが。
それを主体として楽しむ、と言う余裕のある楽しみ方。
ほんとについ最近まで処女だったのだろうかと思う楽しみ方だった。
そんな仲間たちとは相対的に。
あなたとレインとレウナは大人しい日々を送っていた。
今日もレインと共に目を覚まし、身支度をして朝食の時間に。
他の仲間たちはみんなどこかの娼館だろう。
「おまちどうさま。さぁ、食べて」
あなたの前に置かれた皿の上にはベーコン付きの目玉焼き。
あなたはそこに軽く塩を振りかけてナイフとフォークでいただく。
まず失敗することのないようなシンプルな料理だが。
だからこそ、素朴なうまさがあっていい。特にシチュエーションがいい。
あなたの反応を不安げに見守るのはレイン。
いつもは料理なんてさっぱりしないレインだが。
なぜかここ数日は料理に手を出し始めていた。
レインの心づくしの料理だ。もちろんあなたは食べる。
おいしいとかまずいとかの問題ではなくて。
あなたのために料理を練習してくれる美女と言う情報を食べているのだ。
なんというものを食べさせてくれるのだ……。
なんというものを……こんなにおいしい目玉焼きは食べたことがない。
あなたはそんな実感を感じながら目玉焼きを食べる。
「どう?」
おいしいよ。あなたはレインに優しく答えた。
欲を言うなら、ソーセージとかサラダとかそのくらいの彩も欲しいが。
この目玉焼きとベーコンだけでもふつうにおいしい。
サッと食べられる朝食としては合格点だろう。
「よかった」
初日はいきなり凝ったシチューに手を出した挙句、鍋を焦がしたレインだが。
ちゃんと基本的な目玉焼きなどからはじめ、順調に出来る料理を増やしている。
まぁ、基本的な考えは錬金術や薬品の調合といっしょだ。
魔法使いとしてその辺りの技術や技能は最低限の嗜みとして会得している。
その辺りを思えば、料理の基本的な概念を学べば上達は速いだろう。
「お茶、飲む?」
あなたはもらおうと頷く。
お茶を淹れ始めたレインを見守っていると、ほの暗い快感が湧いて来る。
こう、なんと言うか、そう、自分は浮気をしているんだ……という実感がひしひしと湧いて来るのだ。
「レインにしか感じないのか」
今まで黙ってあなたたちのやり取りを見ていたレウナのツッコミ。
あなたはごほんごほんと咳払いをする。
わかっている。もちろんそのあたりはちゃんとわかっているのだ。
そもそも、あなたにはエルグランドに最愛のペットにして妻がいる。
根本的にレイン以外とも浮気だ。正式な婚姻関係にあるイミテルも、厳密に言えば浮気相手だ。
そのあたりのことはわかっている。ちゃんと理解はしている。
だが、その上でだ。
レインとはなんかこう……浮気をしてる感がある!
やはりこう、レインがEBTG最年少だからだろうか。
「……最年少だったのか?」
レウナの疑問にあなたは頷く。
レインは今時点で19歳ではなかっただろうか。サシャの1つ下と言うことになる。
厳密に言うと1年と9カ月差だったはずなので、ほぼ2歳差か。
どうにせよ、今年で19歳のはずだ。
「み、未成年……!」
レウナが戦慄する。いや、成人はしてるだろう。
たしか、この国の成人年齢の要件は女性で18歳、男性で21歳のはずなので。
「そ、そうか。そうだな。言われてみると18歳で成人か……そうだな……いや、21歳で成人なのか、男は」
詳しい話は知らないが、徴兵に関連する話らしい。
男には徴兵があるが女には徴兵がないので18歳で成人らしい。
男は21歳で成人すると同時に徴兵されるらしいので、徴兵に耐えられる身体年齢を成人としているらしい。
「そう言うアレか……いや、しかし、レインはそんなに若かったのか……なるほど、年若い娘を手籠めにしたと思うと背徳感が強いと言うことか」
やや悪意を感じる表現だが、その通りだ。
レインに幼な妻風味が出て来て、これが実においしいと言うか……。
いや、レインが意図的にそのあたりを演出しているのだろうか。
突如として料理の練習をはじめたりとか。
あなたに甲斐甲斐しく世話を焼いてくれたりとか。
なんかあきらかにその手の印象を作ってるだろう。
元々レインは世話をしてもらう側の人間だ。
貴種の生まれな上に、長女で、令嬢なのだ。
どこぞの家に嫁がされ、奥方として振る舞うことになる。
それは絶対に世話をしてもらう側の人間になる。
ザーラン伯爵家でもそのように育てられただろう。
冒険者として自分の面倒を見れる技術はあったが。
みんなのためにお茶を淹れたり、お菓子を用意したりなんてまったくしなかったし。
料理は作ってもらうものであり、食べる側の存在だった。
それは貴族の令嬢としてはごく自然な振る舞いで疑問でもない。
そして、あなた側から個人の趣向や行動について文句を言う筋合いもない。
レインが自炊をせず、食事を買って済ませたり、使用人に作らせたり。
そう言ったことをするのに対して何の疑問もない。
と言うより、使用人がいるのにわざわざ自分で料理を作るあなたの方がヘンなのだ。
それを突然覆してやり始めたのは。
やっぱり、あなたに対するアピールだろう。
「だが、あなたに対してアピールをするなら、酒をクイッと飲んで、いやーんなんだか酔っちゃったーとでも言っておけば効果的ではないか」
まぁ、そこでお持ち帰りできるなら大喜びでお持ち帰りするが。
しかし、それはそれとして、あなたに有効的な属性とかも存在するのだ。
レインの幼な妻属性とか、なんかそのあたりはとてもそそる。
「ふむ。あなたは幼女も老婆も見境なく食うが、それはそれとして性癖自体はわりと普通……なのだったよな。巨乳とか、ケモ耳とか……」
あなたは頷く。だが、それは外見的な特徴だろう。
それとはまたべつに、性格的な意味の性癖もあるわけで。
「そうしたものに適合するのが、幼な妻属性と」
と言うよりは、あなたは実のところ妹属性なので姉属性に弱いと言うか。
お姉ちゃん風を吹かされてしまうと、あっさり妹になってしまう。
以前、カーマイン姉妹の長姉たるクラリッサにヨシヨシされたら脳が溶けてしまったし。
普段のあなたは女性への奉仕者として振る舞っている自覚がある。
やはり、女をたらすには甲斐甲斐しく世話を焼き、気持ちよくおだててやらなければいけない。
好きでやっていることではあるが、やはり心労は溜まるわけで。
そうしたあなたの疲労を優しく癒し、慰めてくれる人。
上の立場から世話を焼いてくれたり、慰めてくれると、コロッと落ちてしまうのだ。
レインはどうやらその辺りを見抜いて、妻的振る舞いで落としにかかって来たらしい。
「なるほど。だが、イミテルも妻らしく振る舞ってるだろう」
それはたしかにその通りではあるのだが。
イミテルは妻らしく振る舞ってはいるが、それは貴族の奥方としての振る舞いなので。
とても助かっているし、ありがたいし、頼れる奥さんだと自慢に感じはするが。
やはりあなたは根が庶民なのだ。
貴族の出身らしく、使用人の差配をし、社交をこなす妻よりも。
家をきれいに保ち、暖かな笑顔で迎えてくれる料理上手な奥さんの方が好きと言うか。
やはり、実の母に憧れるところがあったので、家事上手な女性の方が好みと言うか。
「あー……なるほど……そうだな、理想の夫はそのまま理想の父親であることが多いように、あなたにとって理想の妻は理想の母なわけか……そして、その理想の母像は庶民のそれと」
そのとおりだ。
そして、あなたは努力をしている人間が大好きなのだ。
失敗にもめげず、少しずつ努力して成長する子が大好き。
レインはけなげに努力する幼な妻そのものであり。
あたたかな家庭を作ろうと振る舞っている感がすごく可愛いと言うか……。
それでいて、素直になれなくて遠回しにツンツンと好き好きアピールをしてくるのがメチャメチャ可愛くて……。
「なるほど。つまり、あなたの女性の好みは、家庭的でケモ耳がついていて、巨乳で、努力家で、ちょっと不器用に好き好きアピールをしてくる年若い少女。こうか」
まぁ、細かい好みはほかにもいろいろとあったりはするのだが。
あなたにとっての大好物な属性はそのあたりだろうか。
「ふむ。その、細かい好みと言うのは」
まぁ、個人的な趣味としては、髪色は冷色系の方が好みと言うか。
身長は低い方がよく、胸は豊満でもおなかは締まっていてほしい。
性格的に不器用なのはいいけど、それでいつつちゃんとした自立心があるとなおよい。
依存されるのは心地よいところもあるが、完全に寄りかかって来られるのはしんどい。
性欲は出来れば強い方がよくて、エロいことしたいときになんでもさせてくれると最高。
その上で、浮気してもねちねちとしつこく怒ったり、浮気を禁じて自分にだけ縛り付けようとしてこないでほしい。
3Pや4Pにも喜んで応じてくれると最高。多少の倒錯的プレイがしたい時に受け入れてくれると完璧。
その上で、本妻たるあなたの最愛のペットを立ててくれて、仲良くしてくれると最高。
そして、あなたが疲れてる時にはそっと近寄って来て、おっぱい揉む? と囁いてくれて、おっぱいを揉ませてほしい。
「都合がいいことばっかり言い過ぎだろ……」
そのあたりは自覚してる。
でも、理想とは都合がいいものだ。
「まぁ、そう言われるとそうなんだがな……まさか、レインをそんな女にしようとしているとか言うまいな」
ならないだろう、そんな風には。
レインは自立心が強いが、同時に強い自我の持ち主でもある。
レインにとって譲ってもいい範囲は譲ってくれるが。
レインにとって譲れない範囲は譲ってくれまい。
そう言った強い女も大好物なのでそれはそれでアリだが。
レインは特殊なプレイはぜんぜんさせてくれないし。
おっぱい揉む? なんて言ってくれはしないだろう。
そもそもレインはかなり性欲は弱い方だ。
「そうか……まぁ、そうか……」
でも、いまのレインが最高にかわいいのはたしかだ。
だから、毎晩レインとやさしいイチャラブエッチをして過ごしているのだ。
抱き締め合って、手を握り合って眠りに落ちて。
朝日に包まれながら優しく声をかけあって目覚め。
そして、レインが不器用なりに心づくしの朝食を用意してくれる……。
そんな新婚っぽさを味わうのが最高……!
「子供を産ませた女がいる家でそれをするのか」
レウナの鋭いツッコミにあなたは呻く。
レインと新婚ごっこをした後に、ブレウと新妻ごっこするといろんな意味で気が狂いそうになる。
興奮と罪悪感と違和感で頭が爆発してしまいそうなのだ。
しかも、トイネにはイミテルがいるわけで。もう意味が分からない。
あなたも興奮していいんだか悲しむべきなのか苦しむべきなのかわからない。
「まず、エルグランドにいる本妻に土下座した方がいい」
もう殺されるのも覚悟している。
いまの状況を説明したら、殴られるのでは済まないだろう。
泣いて許しを乞うても死ぬまで殴られ続けるに違いない。
「本格的に反省しろ」
でも、でも……!
これがあなたの選んだ道だ!
ほかのだれでもない、あなたの物語なのだ!
これは、あなたの物語だ!
「…………」
レウナがあなたの言葉を咀嚼し、ひとつ大きく深呼吸。
そして、手元の水を一気に飲み干し、溜息。
「……顔のよさと、声音の迫力で誤魔化そうとするな。いいこと言ったように見せかけておいて、何も言ってないだろうが」
くそっ、バレたか!
あなたは舌打ちした。
「もう本当にあなたは本妻に土下座しろ……殺される前に、腹を切って詫びた方がいい」
レウナに心底から呆れたような顔をされた。
エルグランドで腹を切って詫びるとなると、本当に切る羽目になるのだが……。
だが、本当にそうすることも視野に入れないといけないだろう。
鼻歌を歌いながらお茶を淹れるレインを見るに、罪は現在進行形で積み重なっている。
このおよそ5年の冒険で、あなたは罪を重ね過ぎていた……。
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