さて、『ハンターズ』とレナイアの来訪の理由はわかった。
いや、レナイアの来訪の理由はわからないけども、予想はつく。
どうせ、あなたのところでセックス三昧とか目論んでたのだろう。
「そんなにか」
率直に言ってしまえば、レナイアはあなたよりも頭がおかしい。
その上で倫理観もろくに持っていない。人間のクズだ。
ハッキリ言って、野放しにしていていい存在ではない。
しばらく地下牢で拘束して、弱ってきたらマフルージャ王国に送り返そう。
「どれくらいだ?」
まぁ、3日くらい。
「3日で弱るか?」
水も食事も与えず、24時間地下牢の中を歩かせる予定だ。
さすがにそこまでやったらレナイアも弱るだろう。
「普通に拷問だな……」
そのくらいしないと反省しないだろうし。
と言うか、そこまでやっても反省しない可能性の方が高い。
レナイアは本物の人格破綻者なのでしょうがない。
レナイアは守る者がある領主としては、歓迎できない客人だった……。
モモロウら『ハンターズ』を客人として迎え入れ。
せっかくなので訓練の試合相手として使わせてもらったり。
レナイアは3日間キツい拷問を加えたが、極限拷問プレイ……! とかニヤニヤしていたので1ミリも反省していなかった。
そうこうするうちに、イミテルの出産予定日まで1か月を切った。
そして、あなたたちの下を訪れる大所帯の冒険者チーム。
「こんにちは~。出産と、出産後のケアまですべておまかせくださいな~」
最恐ヤンデレ少女カイラ。この世界最高の医療技術の持ち主。
ソーラスの町で活動している冒険者チーム、『
イミテルの出産にあたって、面倒を見てくれることになっているのだ。
もともと臨月になったら来てくれる予定だった。
そして、今回は珍しいことに、その『世界樹の王』のメンバーを引き連れていた。
「ふふん、じつは……私たちもソーラスの大迷宮を踏破したんだ~!」
そう言って胸を張るのは『世界樹の王』のリーダー、リーゼ。
たゆんと揺れるおいしそうなおっぱいにあなたの目線は釘付け。
いやいや、落ち着け落ち着け。身重の妻の前だ。落ち着け……。
「とてつもなく強いドラゴンを倒したことで、私たち『世界樹の王』の名声は永遠に語り継がれることになったよ! 私たちも英雄の仲間入りだ!」
などと言って、突然剣を抜くリーゼ。
手にした剣は
それはどうやら、あなたたちも撃破したドゥレムフィロアの素材による剣らしい。
『世界樹の王』のメンバー数では防具には足らない。
となると、防具よりも素材量が少なく済む武器に使うのは自然な発想だ。
「馬鹿! なにやってるんだ!」
「剣を仕舞え大馬鹿野郎!」
血相を変えてリーゼの頭をぶん殴るリゼラ。彼女はリーゼのいとこだ。
リーゼから剣を奪い取って鞘に押し込むのはトキ。『世界樹の王』 の弓使いだ。
「痛ぁい! なにするの!」
「馬鹿! 前までならともかく、彼女はいま貴族なんだぞ! 目の前で剣抜くなんてどんな罪状がつくことか!」
「はっ!」
ぜんぜん気付いていなかったらしく、リーゼが顔を青くする。
あなたは苦笑して、そのくらいで目くじら立てたりしないよと教えてやる。
でも、難癖付けてエロいことさせろとか言って来るアホもいるので気を付けるように、とは言っておく。
具体的に言うと、つい先日マフルージャに強制送還したやつとか。
「す、すまない、恩に着る……いや、もう少し丁寧に喋った方がいいだろうか?」
窺うように言うリゼラ。
そこまで堅苦しくなくてもいい。
たしかにあなたは貴族になったが。
いまでも冒険者のつもりだ。
おなじ冒険者として、あなたたちは対等だ。
まぁ、公的な場面ではちゃんとしてもらわないと困るが。
いや、べつにあなたは困らないのだけども。
不敬罪で罰される『世界樹の王』のメンバーの方が困るだろう。
「そ、そうか。では、そのようにする……」
そうして欲しい。
さて、『世界樹の王』のメンバーは、ソーラスを踏破したことで来た……。
つまり、こちらの方で新しい迷宮を探すと言うことだろうか?
それとも、ひとつの大冒険を終えたことで長期休暇でもするとか?
「休暇の方ですね~。湖水地方でのんびりするとか、王都で遊び倒すとかも考えたんですが~」
「うへへ……お貴族サマのお屋敷に滞在って、どんな気分なのかな~って~」
しまりのない笑顔を浮かべる呪術師のチー。
チー・ソラ・リグなる、ちょっと聞き慣れない響きの少女だ。
頬の刺青を歪ませて笑う姿に、あなたも同じく笑って答える。
メイドに
生まれながらの貴種ならともかく、庶民はそんなものだ。
まぁ、たまに感覚と言うか感性がバグって、尊大になるやつもいたりするが。
あんまりいい傾向ではないので、そう言うタイプは人を使う立場には立たない方がいい。
「まぁ、勝手に押しかけて申し訳ないのですが~、滞在するのを許してもらえると助かります~」
もちろんかまわない。そのくらいはお安い御用だ。
あるいは、あなたから『世界樹の王』に依頼をしてもいい。
「依頼ですか? はい、お聞きしますよ」
『世界樹の王』のリーダーであるリーゼが前に出る。
そんなリーゼに、あなたは身重の妻の護衛を依頼したいと伝える。
この屋敷に詰めてもらい、同じチームの医師であるカイラの補佐をしてもらう。
そして、有事とあらば、腕利きの冒険者として戦ってほしい。
「なーんだ! そんなことでいいならお安い御用です!」
依頼の報酬は日払いでどうだろうか。1人金貨10枚だ。
腕に対しては安い報酬だが、仕事内容が気楽なので勘弁してもらおう。
有事の際には危険手当として、それ相応の追加報酬出すから。
「つまり……滞在させてくれる上に、お小遣いまでくれるってこと? 太っ腹ねぇ……フフフ……」
なんて、毒気のある笑みを見せるスアラ。
彼女は『世界樹の王』の野臥せりだ。
異様に白く見える肌、陰気な笑み、そして毒気のある美貌。
べつに後ろ暗いところがあったりするわけじゃないんだけど。
なんとなく見た目に悪の女幹部風味があるせいで、アウトローな気配がむんむん漂っている。
実際はごく一般的な良識と常識を備え、悪事を見逃さない善良さを持った善人だ。
まぁ、あれだ。見た目で損するタイプの人間だ。
「重ね重ねの御厚情、感謝する。精一杯果たさせてもらおう」
リゼラが
その姿を見て、あなたは満足げに頷いて期待しているよ、と応えた。
あなたはリーゼたち『世界樹の王』をイミテルに紹介した。
イミテルの護衛としては申し分ない戦闘力の持ち主だし。
全員が全員女性なので、貴人の女性の護衛にはピッタリ。
まぁ、チーとかスアラが女遊びをするのでやや危険と言えばそうだが。
妊婦に手を出さない良識くらいはあるので問題ないだろう。どっかのコウハイちゃんとは違う。
「ほう、休暇がてらに護衛とはな。つまり、我が鼓動の食客のようなものと言うことだろう?」
そのとおりだ。依頼の形で滞在してもらう理由はただの言い訳だ。
彼女らにただ小遣いを恵んでも受け取りはしないだろう。
だから依頼と言う形で小遣いをやろうと思っただけのこと。
それに、実際に有事の際に頼れる戦力があるのはいいことだ。
あなたはどうしても屋敷を留守にすることがあるし。
そうした時に押し込み強盗が来ないとは限らない。
本来のイミテルならば、強盗ごとき瞬殺だ。
イミテルが苦戦するレベルの超級の戦士ならば、冒険者として活動した方が儲かるだろう。
だが、身重のいま、イミテルの戦闘力は激減してしまっている。
それを思えば、護衛がいて悪いことはないだろう。
「そう手間もないだろうが、世話になるぞ。『世界樹の王』よ」
イミテルが鷹揚に頷いて、『世界樹の王』のメンバーに挨拶する。
貴族としてちゃんとした対応と言うべきだろうか。
と言うより、これでもかなり丁寧に対応しているのだ。
世話になる、とは自分が下位者になる物言いなので。
言葉としては偉そうだが、内容としては下に自分を置いている。
そう言う意味で、相手を立てる形で物を言っているので非常に腰が低い表現だ。
「はい! がんばります! えーっと、奥サマの護衛はバッチリまかせてください!」
リーゼが元気に返事をする。
偉そうにも聞こえる物言いは気にならなかったらしい。
そんなリーゼの姿にイミテルはやや苦笑気味に笑う。
あんまり気負わなくてもよさそうだなと、そんな表情だった。
「それと、我が鼓動よ。あまり、派手には遊ばんようにな」
イミテルの釘差しにあなたは笑う。
もちろん派手に遊ぶつもりはない。
と言うか、最近はまったく派手に遊んでいない。
だって、この大陸の女の子は抱けないから……!
レインとはいちゃらぶエッチしていたが。
あなたは服すら脱いでいなかったからセーフだろう。たぶん。
手と舌だけで満足させたから問題ない……と思いたい。
「あまり小うるさくは言わんが……聞こえんようにだけな」
身重の妻がいる家で派手に遊ぶほど無神経ではないのだが。
あなたはイミテルに寄り添い、今日もいっしょに寝ようね、と囁く。
いっしょにベッドに入り、手を握り合って眠るのもいいものだ。
肉欲ではない、純粋な愛の形を確かめ合って眠るのはしあわせの形である。
「ふふ、そうしてくれるなら、そうしてくれ」
イミテルのやわらかな微笑みにあなたは頷く。
そして、そんなあなたたちのやり取り見て、形容し難い表情を浮かべる『世界樹の王』のメンバーたち。
あなたとイミテルのやり取りは仲睦まじい夫婦そのもの。
しかし、『世界樹の王』のメンバーは全員あなたとシタ経験がある。
そんなあなたが結婚して、愛しい妻として扱われる美女の姿を見せられる経験。
それはきっと、かなり強烈な嫉妬と、寝取られに似た感情を招くだろう。
私の方が先に好きだったのに……!
そんな思いが『世界樹の王』のメンバーの中では渦巻いているのではないか。
その感情をたっぷりと熟成した上で、閨に招いたらどうなることか。
それはそれは激しく甘い夜が待っているのだろう。
『アルメガ』をブチ殺せば、この大陸の女の子ともイイコトができる。
『世界樹の王』の女の子たちを存分に食べようではないか。
まったく、その日が待ち遠しいな!
『世界樹の王』を護衛として迎え入れ、カイラが入念な診察体勢に入った。
ちなみにその際の検診で、イミテルのおなかの子の性別がわかったのだが……。
イミテルの方針として、聞かないでおくらしい。なのであなたも聞いていない。
男の子ならジオクロン、女の子ならシルメルと名付けるとだけ聞いた。
「あんまり愉快じゃない報告があるわ」
そんな日々を過ごしていたところ、レインがそんな報告を持ってきた。
あなたは頷いて、どんな報告だろうと尋ね返した。
酒の値上げとか? それともお気に入りの肴の値上げ?
「岩塩鉱山でまた落盤事故よ」
本当に愉快じゃない報告だった。あなたは頭を抱える。
今回の事故の原因は。そして、被害はいったいどれほどだろうか。
いますぐに緊急対応しないといけない感じ?
「緊急対応は不要ね。落盤事故と言っても、新規開拓していた坑道が崩落しただけだもの。ただ、予定していた作業に遅れが生じるだけね」
であればよかった。人的被害がないのがいちばんだ。
「原因に関しても、原因らしい原因はないわね。
あなたは頷いた。ならば、復旧作業に入るように通達を。
べつに処罰を与えるつもりなどはないので無理はしない程度に。
と言うか、この程度の事故ならば、わざわざ報告するまでもないような。
後日、このような事故があったのでこのように対処した、と言う報告書が挙がる程度の内容では?
「ええ。それだけならね。1つだけ愉快な報告があるわ」
なんだろう?
「崩落した部分に、天然洞窟があったわ。そこに、ずいぶんと古い時代の遺跡を発見したわ。少し探索しただけだけど、何者かの墓所のようね。盗掘もされていないわ」
つまり、お宝の匂い。
あなたは冒険者としては滾る情報だと笑った。
いつもなら喜び勇んで探索に行く報告なのだが。
さすがにイミテルを置いて突っ込むわけにはいかないだろう。
あなたはひとまず保留だなと頷いた。
「そう。じゃあ、そのようにしましょうか」
ただ、レインたちが探索したいなら探索してもいい。
あなたが止める理由はない。いや、できれば行かないでほしいけども。
でも、古代遺跡を探索したい気持ちはやまやまだろう。
あなたを置いて、レインたちだけで冒険をしてもいい。
「私たちだけで……すこし、相談してみるわ」
好きなようにして欲しい。
冒険者とは、本来そう言うものだろう。
文字数はどの程度が好ましいですか?
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2000文字前後
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3000文字前後
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4000文字前後
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5000文字前後
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6000文字前後
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7000文字前後
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8000文字前後
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9000文字前後
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1万字前後