あなたはエルグランドの冒険者だ   作:朱鷺野理桜

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 ネコ耳堕天使エロメイドは凄かった。

 そうとしか言いようがない。

 じつに、じつに素晴らしかった。

 あなたがケモ耳と言う属性に弱いことを差し引いても、凄かった。

 

「お嬢しゃま……すごかったです……」

 

 凄すぎてあなたも張り切り過ぎてしまった。

 だいぶメアリに無体を働いてしまった。

 

 少々不謹慎だがメアリは体に不具を抱えていた。

 それによる相乗効果は破壊力抜群だ。

 ボロボロの野良猫感があるのに、お仕着せのメイド服で整えられていると言うちぐはぐさ。

 しかもチープな天使のアクセサリーなんかつけていて、そう言うお店に来た感がタガを外させた。

 

 メイド服を脱がせてみれば、エロメイドの真骨頂をあなたは思い知らされたのだ。

 どこか清楚な雰囲気を持った少女なのに、身に着けている下着がそれはもうエグいものだった。

 下着としての防御力はゼロなのに、攻撃力は抜群。

 これはもう辛抱(しんぼう)たまらないだろう。

 

 昨晩の余韻にあなたは、ほう……と溜息を吐いた後、ベッドから降りて身支度を整えだした。

 

「あ……お嬢様、もう行ってしまうのですか?」

 

 張り切り過ぎたせいか、メアリもだいぶ脳をやられたらしい。

 ご主人様だとなんかちょっと違う感じがしたのでお嬢様と呼ばせたのだが。

 もうすっかりお嬢様呼びが定着してしまったようだ。

 

 あなたは微笑んでメアリの頬を撫で、壊れ物を扱うかのように優しく首筋まで指を滑らせていく。

 その動きにメアリがぞくぞくとしたものを感じたのだろう、身を震わせてあなたの指を受け入れる。

 

「お嬢様、もうちょっと……もうちょっとだけ……ね?」

 

 なんて可愛いおねだりをするのだろうか。

 あなたは身もだえするような快感に襲われた。

 胸を甘く焼く、仄暗(ほのぐら)い喜びの快感だ。

 

 あなたはメアリの唇を奪い、舌をそっと口内に侵入させた。

 メアリはためらいがちにあなたの舌を受け入れる。

 おずおずと舌が絡み合う。

 熱く、ぬめるような舌を絡ませ合う。

 あなたはメアリの唾液を奪うように飲み下した。

 

「ふぁ……お嬢様ぁ……」

 

 舌を解放してやると、メアリはあなたにしなだれかかり、あなたの首筋へと顔を埋めた。

 あなたはメアリを抱きとめてやると、昨晩の情事の痕跡が残るベッドに身を横たえた。

 今日はもう少しだけ朝寝をしよう。あなたの胸で嬉しそうにまどろむ可愛い猫ちゃんをもう少しだけ堪能していたかった。

 

 

 

 

「ゆうべはお楽しみでしたね」

 

「ゆうべはお楽しみでしたね」

 

「ゆうべはお楽しみでしたね」

 

「ゆうべはお楽しみでしたね」

 

 階下に降りてみると、『ハンターズ』のメンバーは勢ぞろいしていた。

 そして、異口同音(いくどうおん)にそのような言葉を投げかけられた。

 これはなにかのお決まりの文句のようなものなのだろうか?

 

 メアリにそう視線で尋ねかけたが……。

 あなたの手を握って嬉しそうにしているメアリは気付いた様子がない。

 あなたの視線を受けて、嬉しそうに笑っているだけだ。

 だいぶ、いや、かなり頭がやられているようだ。

 

「……メアリが壊れてないか?」

 

「アトリ、彼女はそんなに凄いのか……?」

 

「え、いや、たしかによかったけど、そんなあそこまで……もしや、タチに回るとすごいのか?」

 

「道具のない宿でこのレベルのこましを実現できるなんて! 信じられん!! でござる」

 

 ちょっとやりすぎてしまったかもしれない……あなたはそのように頷いた。

 やり過ぎるとあなたに本気になってしまう者が多いため、普段は抑えているのだ。

 やはり、ネコ耳。ネコ耳が強かった。あなたはネコ耳の強さに(おのの)いた。

 

「メアリ、そんなに凄かったのか……?」

 

「……しあわせでしたよ……ふふ……ふふふ……」

 

「めちゃくちゃ凄かったようだ」

 

「ちょ、ちょっと気になるでござるな……拙者とこれからどうでござるか?」

 

 キヨがそのようにお誘いをしてくれたが、あなたは無念を感じながらも断った。

 これから伯爵家に戻り、使用人の物色を続けなくてはならない。

 

「いや、結局ヤることに違いはないじゃねーか」

 

「いや、でも、貴族の家に招かれる機会なんて早々ないから、メイドにお手付きするのを優先と言うのは……うん、ロマンがある」

 

 モモが中々分かっているようだ。

 あなたは特にメイド長を食べることに抜群の栄養があることを語った。

 やはり、年季の入った使用人には熟成されたおいしさがある。

 熟成されたワインに大変な価値があるように、熟練使用人にも価値がある。

 

 時としてワインは酢に成り果てていることがあり。

 それと同じように、酢みたいに成り果てている老人もいるが。

 メイド長と言うのは高級使用人。その地位にあることが価値の証明なのだ。 

 

「メイド長、いいよね。こう、お堅い感じの人をさ」

 

「モモ、冷静に聞け。ふつうはメイド長と言うのはけっこうな年配だ。若い美女がメイド長をやっているのはエロ本の中だけだぞ」

 

「夢のないこと言うなよ。だいたい、食ったってことは若くて美人だったんだろ?」

 

 モモにそう問われ、あなたは首を振った。

 若くなかったし、特に美人と言うこともなかった。

 まぁ、かつてはそれなりに美人だったのだろうが。

 年齢で言うとおそらくだが50手前くらいではないだろうか。

 

「ええ……いや、そう言えば、ガキでもババアでも食べられる人種だったな、あんた……」

 

「うちにもガキでもジジイでも食えるモンスターはいるが、女にもいるんだな、そう言うの……」

 

「ガキはともかくババアは見たくないなぁ……でござる」

 

 老婆には老婆の楽しみがあるのだが、やはり理解者は少なかった。

 反面、幼女には幼女の楽しみがある、と言う点については賛同者は中々多かった。

 

「まぁ、幼女には常に一定数の需要があるとは言うが……」

 

「しかたない、ロリコンは不治の病だからな。脳がダメになるのさ」

 

 あなたはその説については反論した。

 たしかに、ロリコンとは病気のようなものかもしれない。

 だが、そうした幼女を求める人種と言うのはどこにも一定数いるのだ。

 逆に言えば、そう言う遺伝子がどこかに組み込まれていると言うことになる。

 

 つまり、ロリコンが病気だとするならば。

 それは脳ではなく遺伝子の疾患と言うことになる。

 

「その反論は竹生える」

 

「脳でなくて遺伝子だと、もはや逃れられぬ宿痾にござるなぁ……」

 

 そんな話をしていて忘れるところだったが、あなたはモモに約束の『ミラクルウィッシュ』のワンドを渡した。

 

「ああ、ありがとう。メアリ、これ」

 

「ふぁい……」

 

 メアリに2本のワンドを分配し、モモは1本のワンドを仕舞いこむ。

 よく考えると、メアリが体を張ったのになんでモモに1本の取り分があるのだろう? まぁ、あなたが口を挟むことでもないが。

 そして、さらにあなたは10本の薬を取り出した。

 以前、アトリにも渡した、若返りの薬だ。もちろん若返るようにしてある。

 

「これは?」

 

 元々そういう約束だったはずだとあなたは首を傾げた。

 

「ああ、そう言えば……えっ、10本も……すごい……」

 

「10本と言うことは……10回……! 凄い、凄いな……!」

 

「絶倫でござるなぁ……拙者、壊されてしまうかも……!」

 

 さておいて、これで渡すべきものは渡したのでお(いとま)することにする。

 そう言って立ち上がると、手を繋いでいたメアリが悲し気な顔で同様に立ち上がる。

 

「あの、お嬢様。私たち、しばらくこの宿に居ますから、その……いつでも、いつでも遊びに来てくださいね」

 

 そう言ってメアリがあなたの頬に柔らかなキスをした。

 その感触にあなたは微笑むと、同様にメアリの頬へとキスをした。

 そして、耳元に口を近づけると、そっとささやくように告げた。

 いい子にしていたらいっぱいご褒美をあげるからね、と。

 

「はいっ……! 私、いい子にしてますから、いっぱい可愛がってくださいね!」

 

「やべぇ、メアリ完全に壊れてる」

 

「これもう別人では?」

 

「マジキチバーサーカーが健気な猫耳美少女になっちゃったよう……」

 

「幻術か……いや、幻術じゃない……? いや、幻術か? 幻術なのか? なんだコレはでござる!」

 

 なにやら騒がしかったが、あなたは気にせずに宿を出た。

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