あなたはエルグランドの冒険者だ   作:朱鷺野理桜

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「はぁ、ん……はぁ……お姉様、私もう、壊れてしまいそうです……」

 

 息も絶え絶えと言った様子でフィリアは言う。

 ぐったりとベッドに身を横たえる姿のなんと扇情的なことか。

 重力に逆らって形を主張する豊かな乳房のなんと蠱惑的なことか。

 

 とは言え、日も昇り出した頃合いだ。そろそろ潮時(しおどき)か。

 フィリアも中々いっぱいいっぱいと言った感じだし。

 そのため、あなたはこの辺りまでにすることにした。

 可愛かったよ。と優しく語り掛けて、あなたはフィリアの頬にキスをした。

 

「ん、ふふ……お姉様、もっと、キスしてください……」

 

 可愛いフィリアのためならいくらでも。

 あなたは望まれるがままにキスをした。

 お互いを(むさぼ)り合うように、深く深く、キスをした。

 

「はぁ……お姉様のキス、熱くて、甘くて……」

 

 陶然と、あなたの贈る口づけに(とろ)けるフィリア。

 その姿には、ハッとするような色気が漂っている。

 少し前まで同性異性問わず経験がなかったとは思えないほどだ。

 この娘を自分がここまで仕上げたのだ。

 そう思うと、なんとなく誇らしいような気持ちにもなる。

 

「お姉様ぁ……」

 

 蕩けるような笑みを浮かべて、フィリアはあなたの胸に体を預ける。

 あなたはフィリアを優しく撫でると、少し眠ろうと語りかけた。

 朝まで愛し合い、存分に朝寝をするというのはたまらない快感だ。

 

 

 

 

 存分に朝寝をし、ゆったりと入浴。

 それから朝食兼昼食を摂り、あなたは穏やかな午後を過ごしていた。

 フィリアはいまだ就寝中。日が暮れるまで起きて来ないだろう。

 あなたはサシャとレインで机を囲み、ティータイムを楽しんでいる。

 

「貴族もかくやってレベルで優雅(ゆうが)な生活を送ってるわね、あなた……」

 

「絵に描いたような放蕩者(ほうとうもの)って感じですよ、ご主人様」

 

 同席者が呆れたような眼で見てくるが、あなたは気にも留めなかった。

 冒険者と言うのは大体こんなものである。

 一仕事終わったら存分に遊ぶ。そう言うものだ。

 もちろん、仕事に向けてコンディションは整える。

 だいたい、これでもほどほどに遊んでいるのだ。

 これくらいは許されて然るべきだろう。

 

「ほどほど……?」

 

「レインさん、大変です。私、今までほどほどって適度(てきど)にっていう意味だと思ってました。でも、本当は際限(さいげん)なくって意味だったみたいです」

 

「そうね、私もそう言う意味だと思ってたわ。でも、違ったようね。屋敷の辞書も書き換えなきゃ」

 

 あなたもそう言う意味だと認識している。

 なんの話をしているのだろう。

 

「あれで、ほどほど……? フィリアと朝までやりたい放題して午後まで寝てるのが……ほどほど?」

 

 1週間ずっとヤリ通しとかではない。

 なので十分にほどほどの範疇だ。

 

「そうね、それに比べればマシね。でも比較対象がおかしいわ。ついでに言えばあなたの頭もね」

 

「い、1週間……ずっと……わ、私、そんなの、死んじゃいます……」

 

 サシャは顔を赤くして震えている。可愛い。

 2日くらいなら頑張ればいけない?

 スパークソーダを飲みながらなら、3日もいけるんじゃない?

 あなたはそんな風に言葉でサシャを軽く(なぶ)った。

 

「そ、そんなぁ……私、おかしくなっちゃいます……で、でも、ご主人様が、どうしてもって言うなら……」

 

 どうしても、どうしてもしたい。

 あなたは真剣な顔でサシャにそう言った。

 

「は、はい……その、おまち、してます……」

 

「ちょっと、私の前で夜の相談とかやめてくれない!?」

 

 これは申し訳ないことをした。

 サシャの次はレインとも。

 あなたはそう言ってレインにウインクをした。

 

「そ、そう……それなら……そうじゃないわよ! 真昼間から話すことじゃないって言ってんのよ! あんたほどほどにしないとこの屋敷の使用人全員男にするわよ!」

 

 あなたは震え上がってレインに真剣に謝罪をした。

 今後はレインの前でこういう話はしないと。

 なので、出来れば男は全員クビにして使用人はすべて女にして欲しいと。

 

「使用人の件は考えておく! 夜の話についてはそうしてちょうだい! それで! あなた、今後はどうするつもりよ?」

 

 王都の女性を片っ端からナンパ。

 あなたが心に決めた第一の予定だ。

 

 しかし、レインが聞いているのはそう言うことではないだろう。

 そのため、あと3日ほど休んだら迷宮に挑む予定であると答えた。

 

「ああ、そう。3日間は準備期間ってこと?」

 

 それはちょっと違う。

 冒険に挑むというのは準備期間を含めて冒険なのである。

 そのため、3日間は本当に休む。

 冒険のことは一切考えない。

 存分に遊び暮らすのだ。

 それから冒険の準備をし、冒険に挑む。

 準備期間をどれくらいとるかは、今のところ未定だ。

 

「ふぅん。そう言う風にメリハリをつけてるのね。分かったわ。計画を立てるには目標を決める必要があるけど……どこの迷宮に挑む予定なの?」

 

 どこと言われても。

 まず迷宮とやらがどれくらいあるのか。

 そして、迷宮がどういうものなのかをあなたは知らない。

 

 エルグランドにおける迷宮の定義はよく理解している。

 地殻変動(ちかくへんどう)によって現れた過去の遺跡(いせき)たちがそうである。

 洞窟のみならず、塔や城が現れることもある。

 エルグランドの長きに渡る歴史の影に消えて行った存在だ。

 

 そのため、探索をするにしても、そう時間は要らない。

 長くても精々が2日や3日程度で終わる。

 そして最下層には、その遺跡を根城とする存在が待ち構えている。

 あるいは同業の者が既に探索をし終えてもぬけの殻だったり。

 または戦利品を奪われぬよう、入り込んで来た冒険者を襲うなどする。

 

「それって迷宮じゃなくて、単に遺跡じゃない」

 

 そう言われるとたしかにそうなのだが。

 

 既に使われなくなって久しいものを遺跡と呼ぶのは変わらないが。

 そうした遺跡のうち、地殻変動に呑まれて消えたもの。

 そして現在になって現れたものを迷宮と呼ぶのだ。

 

「ふぅん……じゃあ、この大陸における迷宮について教えてあげるわ。よーく聞いて覚えること」

 

 なんてレインがピンと人差し指を立てて言う。

 女教師レインの個人レッスンと言うわけだ。

 なにやら実に胸が滾る。

 女教師らしいローブを今度着てもらおう。

 その時は眼鏡も必須である。あなたは胸に決めた。

 

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