あなたは伯爵家へと戻ってきた。
今日からは冒険の準備だ。
冒険準備が終わったら冒険へ行く。
この冒険準備期間が最後のチャンスになる。
少なくとも、終わるまでにリンは食べなくてはいけないだろう。
それからこの屋敷の女使用人も全部食べなくては。
もちろんレインの母であるポーリンも食べる。
ポーリンくらいの年頃の女性の
衰えていく自分の
だいたいの者は止めることはできないと悟り、諦念を強くしていく。
たまに諦めきれない者がなんとしても若さを保とうとあがく。
そうした者は、時として信じ難いほどの凶行に走る。
人づてに聞いた話だが。
処女の生き血にそう言った効果があると信じた者が居たという。
そいつは年若い娘を殺しては血を浴びてまで若さを保とうとした。
もちろんそんな効果はないが、少なくともそいつは信じていたのだろう。
人の命を浪費してまで若さを保とうとは。
なんともあさましいものである。哀れですらある。
まぁ、エルグランドでは人の命を無意味に浪費する。
それに比べると、有意義に消費しただけマシなのかも。
ともあれ、なんとしても若さを保とうとするくらい、女にとって若さと美貌は執心するものだ。
そうした女たちに対し、若返りの薬は劇薬ですらある。
若返りの薬を提供してやるとなんとしても欲しがる。
その時、では1発ヤらせていただきたい……と丁寧に頼むと、どうなるか。
大体は喜んでヤらせてくれる。難色を示す者も結局はヤらせてくれる。
あなたはポーリンにも同じ方法を使う予定だ。
レインの母なので、事前の合意を得ておきたい。
マーサは強引に迫ったが、マーサは使用人だ。
ある程度乱暴にしてもそこまでレインの反感を買わない。
それに、強引に迫りこそしたが、最終的にはマーサを存分に悦ばせた。
なので問題ないだろう。だって悦んでたし。
しかし、ポーリンは違う。
ポーリンはレインの実の母である。
心理的にもとても大事に想っている。
2人のやりとりからありありとわかる。
強引に迫って、不評を買いたくない。
レインとの関係を悪化させたくない。
なので事前の合意を穏当に取りたいわけだ。
レインの母だから、ここはサービスしておくか。
一気に10本くらい提供しようと考えている。
母娘丼でありつつも外見的には姉妹丼。
そんな感じのことが出来たらこれはもうたまらん話だ。
「あら、おかえり」
勝手知ったる他人の家なので遠慮なく入る。
そしていつもの
最近、レインはいつもここにいる気がする。
自分の部屋にいかないのだろうか?
「あなたがぜんぜん捕まらないからここで待ってるんでしょうが……!」
それは申し訳ないことをした。
それで、なにか用事があるのだろうか?
「冒険の準備をするんでしょ? なにか買わなきゃいけないものとか、そう言うのがあるんじゃないの?」
なにかあるだろうか?
あなたはレインの分の食料なども負担するつもりでいた。
レインはあなたのペットではないが。
冒険の仲間とは認識している。
レインもあなたのことは仲間と思っているだろう。
食料くらいでケチケチ言うほどあなたはセコくない。
「そう言うもの? まぁ、迷宮に挑むわけだから、迷宮町に滞在することになるだろうし、そこまでの移動分さえあればいいのもたしかよね」
そう言うわけだ。
だから、準備とは訓練期間を長くとることになる。
武器防具を新調したいとか、馬車を買うとか。
そう言う高額なものの調達には時間がかかるだろうが。
それにしたって訓練と並行に進められる。
ただ、フィリアの装備品類は確認していない。
なので、その辺りは後で確認しておく必要がある。
足りないものは買い足す必要があるだろうか。
「そう言えばたしかに。あの魔法のかばんがあるからなにを持ってるのか外見からは分からないのよね」
それは『ポケット』を
まぁ、『ポケット』の
レインの膂力を思うと、そこまで大量に持ち運んではいないのだろうが。
考えてみればフィリアにも『ポケット』の魔法は教えた。
今後はより一層何を持っているか分からなくなる。
「そう言えばあなた、フィリアの持ってるかばんをサシャに買い与えるとか言ってなかった?」
そう言えばそうだった。忘れてた。
まさかフィリアから取り上げるわけにはいかない。
すると、新規購入が必要だろう。
あのかばんはどこに行けば買えるのだろうか?
「たまに出物があることもあるけど、確実に行くならオークションかしら。王都のオークションは国中から貴重品が集まるわ。お金さえあれば買えるでしょうね」
オークションにはどうやって参加するのだろう。
そもそも、オークションと言うのは知っているが。
どういう風に参加するのか、やるのかも知らない。
「私も参加したことはないのよね……まぁ、貴族の
エルグランドの金貨なら無限と主張してもいいくらいはある。
ただ、この地で使われている金貨は残念ながら
莫大な額を両替してくれる両替商でもあればいいのだが。
「そのくらいなら、家のツテを使えばどうにでもなるわ。莫大と言ってもそこまで非常識な額じゃないでしょ?」
どこらへんからが非常識なのか分かりかねる。
たぶん、あなたが大した額ではないと思っていても。
この辺りの人間にしては非常識な額な可能性が高い。
「具体的にどれくらいよ」
だいたい20億枚くらい両替したいとあなたは応えた。
「国中の金貨掻き集めたってそんなにないわよ……あなた、それくらい持ってたりするの?」
持っている。
というか、20億枚にしたってあなたにしてみればはした金だ。
金貨20億枚をひとまとめにした袋を、さらに1000個ひとまとめにしたものを箱詰めにしている。
あなたの『ポケット』にはその箱が数万個以上眠っている。
億を超えて楽々兆の域に至っているだろう。
「さすがに冗談よね……?」
冗談でも何でもない。
エルグランドの金貨は降って湧いて来るものだ。
「
面倒ごととは?
「あのね、金貨って言うのはお金なのよ。お分かり?」
それはいくらなんでも分かる。
「金貨は複数の国家にまたがって使えるお金よ。なんでか分かる? 素材の金に価値があるからよ」
それも分かる。
「あなたの金貨が低品位の金であるにしても、量が量よ。つまり、その莫大なお金があれば国家としても強大な力になるの。あなたのお金がなんとしても欲しい相手は必ずいる」
面倒過ぎてあなたはうめいた。
べつに国家だろうがボコって差し上げるだけの話だが。
それをやってしまえば、おそらくこの国にはいられなくなる。
そうなったらサシャは悲しむだろう。
もう両親には会えなくなってしまう。
「…………サシャが両親ごとよその国に逃げようって言ったらどうするの?」
それなら何の憂いもない。
国のあちこちで『ナイン』でも起爆しようか。
あなたは気軽にそんなことを答えた。
町が綺麗さっぱり吹き飛ぶ姿はなかなか楽しい。
エルグランドではないのでその町の女性との逢瀬の機会は喪われるが、仕方ないことだろう。
「そう……絶対に、絶対にやらないでちょうだいね。造幣局に掛け合うのもナシよ。ほどほどの額だけ換金しなさい……いいわね?」
あなたは頷いた。
べつに面倒ごとをわざわざ引き起こしたいとは思っていない。
まぁ、そのうち我慢できなくなったらこっそりどこかで町を消し飛ばそうとも思っていたが。
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