「ちょっと気になってたことがあるんだけど、究極破壊兵器ってほかになにがあるのよ。あなた割と軽々しく使ってるみたいだけど」
そう問われ、あなたは顎に手をやって考え込む。
天井を眺めながら究極破壊兵器の数々を思い起こす。
そもそも究極破壊兵器ってなんなのか教えてちょうだい!
そんなことを言われれば、その時点で悩むことになる。
率直に言って、究極破壊兵器とは雰囲気だ。
フィーリングとノリの産物であり、厳密な定義が決まっているわけではない。
一応、まったく定義がないわけではない。
エムド・イルの時代が産んだ超科学文明の兵器。
それこそが本来の意味の究極破壊兵器である。
兵器、であるからして、道具類であるのはたしかなのだ。
そのため、イ・ドの時代に作られた人造神は兵器とは言えない。
人造であるから道具でこそあるが、あれは生物であり神だ。
絶対の裁定者、あるいは調停者として神の名において鋳造されたもの。
神の手により神造神であり、人造神。兵器ではないのだ。
ただ、すごい破壊をもたらせるのはたしかなのだ。
だから、一般認知として究極破壊兵器と呼ばれる。
そうした一般認知において究極破壊兵器であるとされるものを述べると。
ルス・マクナの時代に
ベエラ・ドオ・デラの時代が
ローナの時代が産んだ叡智の限りを尽くした、
ロ・ラの魔科学兵器の到達点である、
ゼン・デンドの時代に大地を焼き尽くした神の怒り、破壊神の槍。
マクナ・イス・デオリスの闘争が産み出した悲劇の申し子、終わりの魔剣。
エ・セラ・テールの過ちの
エムド・イルの超科学文明が産んだ破壊の申し子、
イリオク・ドンゼの激戦の果てに産まれた、
オゼラの時代が産んだ
イ・ドの神々への抗いのために鋳造されし、神殺しの剣。
そんなところだろうか。
「思った以上に……いっぱい、あるわね……」
実際のところもっとある。
エムド・イルの時代に産まれた究極破壊兵器は数が多い。
三柱の時間神、狂走の運び人、怒れる雷霆などがある。
ローナの時代に産まれた滅びの呪文は1つではなく、総称である。
代表的なものはメテオスウォームだが、他にもフィアフルストーム、ヴァーミンテンペストなどがある。
イ・ドの神々への抗いから産まれた数多の神殺しの武具は絶大な力を有しているので、当時の
「魔法使いとしては滅びの呪文って言うのは気になるわね……どんな魔法なの?」
やはりレインとしてはその辺りが気になったらしい。
あなたも究極破壊兵器について聞いた時は、その辺りが気になったものだ。
まぁ、あなたは戦士でもあったので、マクナ・イス・デオリスの終わりの魔剣なども気になったのだが。
「で、どんなものなの?」
メテオスウォームはシンプルな呪文だ。
分類としては召喚魔法の類になるだろう。
あなたたちが生きている大地のはるか空の彼方。
星々を囲む岩塊の群れから数十個ほど
「なんだか聞く限りはそう大した呪文じゃないような……岩を落とすだけなんでしょう?」
と言っても猛烈なスピードで落下している岩だ。
地表に着弾すれば、周囲数キロメートルを消し飛ばすほどの威力がある。
あんまり大きい岩を召喚すると、別大陸に迷惑がかかるからやめようね、と言う紳士淑女協定もあったりするくらいだ。
以前、500メートル級の大
「お、思った以上に凄まじいわね……他はどんなものなの?」
フィアフルストームは単純なものだ。
超高温の
数百度の
風は凄まじく乾燥しているため、飲まれたものは容易く死に至る。
飲まれたものは一見して眠っているかのように静かに死ぬ。
しかし、触れれば脆くも崩れ去るというおぞましいものだ。
町ひとつくらいならあっさりと壊滅させられる。
その上に防ぐ方法が家屋に逃げ込むしかない。
相手の行動を制限する意味でも強力な魔法だ。
「高温の砂塵で……砂漠でそう言う現象が起きるとは聞いたことがあるけれど、それ以上ね……」
ヴァーミンテンペストは見るに恐ろしい呪文だ。
数百万匹の蟲を召喚して敵を襲わせるのである。
「す、数百万匹……」
しかもタチの悪いことに、蟲の1匹1匹が魔法の特性を帯びている。
そのため、普通の鎧や防具では防げない悪辣な特性がある。
ただし、単体の攻撃力は大したことが無い。
一定以下のダメージを遮断する類の魔法の防具を着ていれば軽々防げる。
対軍勢用魔法なので、強力な個に対処するためのものではないのだ。
まぁ、その強力な個も遮断系防具をつけていなければだいたい死ぬが。
「見るにおぞましい魔法ね。絶対に呑まれたくないわ……まぁ、飲まれたら瞬く間に死ぬんでしょうけど」
レインでは残念ながら一瞬で死ぬだろう。
並みの人間なら20匹程度に襲われただけで死ぬ。
生命力が強い者でも、100や200に襲われれば容易く死ぬ。
とは言え、ヴァーミンテンペストは扱いが難しい魔法だ。
大規模な魔法が使えるものなら対処は容易だ。
蟲1匹1匹はかなり脆弱なので、先ほど述べたフィアフルストームを打ち込めば蟲はまたたく間に全滅だろう。
「へぇ……まぁ、数で圧す類の魔法だとは思っていたけど、その程度でいいのね。それならわりと対処は容易ね。盛大にかがり火を焚くのでも結構な数が始末できるんじゃない? ほら、夏場に麦畑の真ん中で火を焚くみたいに」
ヴァーミンテンペストは魔法による産物だ。
なので魔法的な効力がなければ倒せない。
そのため、なんらかの魔法的な効能を付加したかがり火でなければいけない。
「ああ、そう言う魔術的防護を備えてるのね。召喚物では珍しくない特性だけど、万単位の蟲に付加するなんて……」
このほかにもさまざまな滅びの呪文がある。
あなたはメテオスウォームをよく使う。
友人たちと遊ぶ時に、とりあえずメテオスウォームを放つ。
ナインを豆まきのようにばら撒いたりする。
とにかく派手で、広域を破壊できるので見た目が楽しい。
「あなた、友人と想像を絶するケンカをするのね」
ケンカではない。これは単なるじゃれ合いだ。
ケンカするなら普通に殴り合いである。その方が強い。
「滅びの呪文より強い殴り合い……!?」
メテオスウォームは猛烈な火の属性を備えている。
そのため、火への完全耐性があればノーダメである。
ヴァーミンテンペストも遮断系防具があれば雑に防げる。
フィアフルストームに至っては速度が大したことないので走って逃げれる。
まぁ、凶悪な呪文ではあるのだが、絶望的な強さと言うほどではないのだ。
猛烈な破壊を齎す魔法であるのはたしかなのだが……。
「想像を絶するというか……なんと言うか……」
話がひと段落したところで、喉が渇いたので使用人を呼びつける。
お茶が飲みたいのでお茶ちょうだい、との要望だ。
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