ソーラスの町に向けて出発した。
そして、何事もなく到着した。
本当になにもなかった。
この大陸は平和過ぎるのでは?
「平和に終わったならそれでいいじゃないの」
よいか悪いかで言えばそうではあるのだが。
あなたにしてみれば拍子抜け過ぎて、逆に不安になる。
これからなにか悪いことがあるのではないかと思ってしまうのだ。
「山賊やら盗賊が早々いるわけないじゃない」
そっちの方が驚きである。
エルグランドでは
まぁ、エルグランドでは駆除した山賊が3日後にはまた湧いてくると言う都合もあるのだろうが……。
ともあれ、あなたは到着したソーラスの町を見やる。
ソーラスの町は非常に規模の大きな町だった。
王都よりも格段に大きい。
ただ、街並みの印象は王都のそれとは違う
雑多で、しかし、生命力にあふれた印象だ。
まだまだ拡大を繰り返し続けているような雰囲気だ。
それはこの町が迷宮によってうるおっている証なのだろう。
この町で冒険者として活動するのに。
なにか煩雑な手続きなどはあったりするのだろうか?
「そうですね。迷宮の存在する町には独自のギルドがありますので、そちらに加入する必要があります」
フィリアがそのように教えてくれた。
迷宮から得られる利潤は莫大だ。
それを余さず吸い上げようとするのは当然だろう。
町が得られるはずであった利益を横取りすれば。
それは当然ながら、制裁も受けるだろう。
ギルドと言うのは基本的に共存共栄の建前を持つ。
だが、実際にはギルドの上層部の者が最も利益を得られる。
その上層部と言うのが、ギルドのトップなのか。
ギルドの設立を求めた統治者であるかはともかく。
「まぁ、基本的には所属するこっちにも利益があるわよ。そうでなければギルドが成立しないもの」
それはそうである。
職工ギルドならどうだか知らないが、冒険者とは荒くれである。
ギルド上層部の連中が、如何に権利と権力を主張しても。
冒険者たちがその身に宿した暴力の前では無力だ。
論理をいくら主張しても、殴り殺されたらもうしゃべれない。
冒険者から搾取し過ぎれば冒険者は反乱を起こすだろう。
あなたも上前をはねられれば速攻で暴力に訴えるだろう。
べつに金が惜しいわけではないのだが……。
たとえそれがどれほど些末であろうと。
自分のものを奪われるのは納得がいかない。
「まぁ、そんなことにはならないわよ、たぶん」
若干レインが不安そうにしていた。
まぁ、よほどひどくなければそんなことはしない。
あなたたちはそんな会話をしながら馬車を預けられる宿を探し、ソーラスの
ほどほどの宿を見つけ、あなたたちはそこに宿泊することにした。
無法者が襲って来るとかでもない限りはどうでもいい。
宿の規模も清潔感もさほど気にはならなかった。
屋根と壁があるのだから、寝泊りには十分だ。
宿泊に際しても特に問題は起こらなかった。
まぁ、大所帯でもないし、馬車も2頭立ての普通のものだ。
問題になるようなことはない。
この宿が娼婦の連れ込みはOKなのかを尋ねたらレインに頭を引っ叩かれたことくらいが問題だろう。
馬車を持ち込んだのはレインなのに、娼婦を持ち込んではいけないとレインに言われるのは納得がいかない。
「とりあえず落ち着けたわね」
レインが取った部屋のベッドに腰掛け、そんな風に言う。
フィリアも同様に腰を落ち着けられて気を抜いているようだ。
サシャは窓の様子やベッドの状態を見るなどして部屋の質を見ている。
あなたはと言うと、なぜ4人部屋なのかをレインに尋ねていた。
「べつに個室を取る必要ないじゃない。4人部屋なら荷物の管理とかも楽だし」
たしかにその通りではある。
普通の人間は荷物を全て持ち歩くことなどできない。
あなたは『ナイン』などの非常に重たいものまで持ち歩いているが。
これはあなたの膂力が凄まじいがゆえの例外だ。
レインやフィリアは『ポケット』は使えるが。
その膂力から持てる荷物の量は限られているのだ。
そのため、荷物を厳選して拠点に必要のないものは置いていく必要がある。
その際、荷物の類を1か所にまとめるのは防犯上の意味では楽ができる。
まぁ、その防犯を突破されると、ひとまとめにしていた場合は全部盗まれるので痛しかゆしと言ったところだが。
そう言う利点は分かるのだが、それはそれとして密やかなことをしたい場合はどうしたらいいのだろう。
「ああ……娼婦と仲良くしたいなら娼館でやりなさい」
サシャとフィリアと仲良くしたい場合はどうしろというのだろう。
もしや、この部屋で3人いっしょに可愛がって欲しいということだろうか?
しかし、経験が少ないうちに複数人でのプレイと言う刺激の強いことをしていると癖になる。
せめてあなた1人の分だけでも個室を取りたいものである。
「よそでやれっつってんのよ! もっといい宿取りゃいいでしょ!」
たしかにそのとおりだ。
必要ならべつの宿を取ればいい。
その場合、4人部屋でなく3人部屋でよかったのではなかろうか。
「あんたこの宿に帰ってこないつもり!?」
意図的に帰ってこないつもりはないが。
意図せずそうなる可能性はとても高い。
やはり、こうした荒事を商業の主軸としている町では、そうした色街は欠かせない。
娼館の数はきっと王都よりも多く、そして規模も大きいだろう。
眠っているヒマもないし、ナニの乾くヒマもない。
この町の娼館をコンプリートするという意味では帰ってくる機会は少ないだろう。
「娼館をコンプリートするって言う表現がもうね」
「お姉様ですから……」
「ご主人様ですから……」
「……まぁ、そうね」
とりあえずあなたは今晩は外に出ることにする。
サシャたちは旅の疲れを落とすためにゆっくり休んだ方がいいだろう。
「ええ、そうするわ。ゆっくり食事をして、ゆっくり休みましょう」
「そうですね。ごはんを食べて、お風呂に入ったらすぐ寝ちゃいましょう」
「お姉様、明日から迷宮の探索をするということでいいんでしょうか?」
とりあえず明日は準備期間と言うことにしようと考えている。
ギルドとやらに加入する手続きも必要だろうし、下調べなどもしておきたい。
基本的に探索は明後日からと言うことでいいのではないだろうか。
まぁ、明日の疲労の抜け具合を見て、明日を休養期間にして、明後日を準備期間にするかもしれないが。
「わかりました。じゃあ、とりあえず今日はゆっくり休みましょう」
「この宿の食事はどんなものかしらね」
「そうですねー……あ、ご主人様が召し上がるかどうか、料理人を確認しておかないと……」
「いいんじゃない、べつに確認しなくても……」
そんな会話を尻目に、あなたは町へと繰り出した。
ソーラスの町の可愛い女の子があなたを待っている。
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