I am the perfect and ultimate XX   作:生物産業

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第19話 これが二重人格生活の弊害か

 各クラスが特別試験の説明を受けて、試験が始まる前の時間。

 作戦会議のために、Dクラスは平田を中心に話し合いが持たれていた。

 その中で、福助と桔梗は外部調査という名目でDクラスから離れている。

 

「で、急に連れ出して何の用かな? 本当に他のクラスに聞き込みに行くわけじゃないみたいだし。もしかして告白? 別に良いけど、断るよ? もうちょっとデリカシーを身に付けてから、やり直しをお願い」

「船から放り出すぞ……今回の試験、櫛田に花を持たせようと思ってな。結構ストレスたまってそうだし、クラスによしよしされたい頃だろと思って」

「え、まさか、もう攻略法を見つけたの? まだ優待者が発表されてないのに?」

 

 桔梗の驚きの表情とともに「うわぁ~」と呆れた声がもれる。本当に同じ人間なのかと、疑ってしまうくらいだ。

 

「お前のグループの優待者はお前だ」

「なんでかな?」

「各クラスをグループに分ける。その場合、分けたグループ以下の人数があってはならない。今回で言えば、12人以上。これがまず一つ目のポイント。あと無作為じゃなくて、名前を付けていることが重要」

「名前を付ける……ということは、名前自体に意味があるわけじゃないってことかな?」

「正解。なかなか鋭いじゃないか」

「えへへ」

「可愛いかよ、告白しちゃうだろ」

「のーせんきゅー」

 

 作っていると分かっていても、美少女の笑顔は可愛い。それが自分に向けてされるならなおさらだ。

 

「次のポイントはクラスは関係ないという発言。何人かに確認をとったが、同様の説明がされていた。あくまでグループの参加者として扱うと」

「つまりクラス内の成績とかで、選ばれたわけじゃないんだね」

「そうだな、くだらない理由だ」

「さっぱりわからない」

「選ばれた理由がそのまま答えだからな」

 

【辰グループ】

 Aクラス:葛城康平 西川亮子 的場信二 矢野小春

 Bクラス:安藤紗代 神崎隆二 津辺仁美

 Cクラス:小田拓海 鈴木英俊 龍園翔

 Dクラス:櫛田桔梗 平田洋介 堀北鈴音

 

 桔梗は自分が割り振られたグループ表を見ながら考える。特に法則性は見つからない。

 

「誕生日とか?」

「俺が自分以外の人間の誕生日を知っていると思う?」

「思わない。ちなみに私は1月23日だから、素敵なプレゼントを期待してるね♪ あ、福田君の誕生日は興味ないよ♪」

「3Dプリンターで櫛田のフルヌードフィギュアを作って、クラス全員に櫛田の誕生日祝いとして送ろう」

「やめてください。少し調子に乗りました」

「欲しいものを先に言っとけ。高すぎたら、フィギュアに変換するから」

「く、くれるの? そ、それと高いってどこら辺から?」

「美少女に誕プレねだられて、断る男はそうはいない。これが毎日のようにブランドバッグ買ってとか言って来たら鼻フックだが、祝い事ぐらい普通にするさ。高いは学生基準。あとは自分で考えろ」

「……普通に嬉しいんだけど」

 

 ちょっと顔を赤くする桔梗。自分の嫌な性格を知ってくれてる上で、誕生日にプレゼントがもらえると思わなかったようだ。

 

「急に素に戻るなよ。テレちゃうだろ」

「もしかして、本気で私のこと狙ってる?」

「これが二重人格生活の弊害か。善意の心さえ信用できなくなったら、もう末期だよ」

「だって、私の性格ってこんなだし」

「誕プレだよ? 別に見返りに、櫛田の処女をくれとか言ってるわけじゃないの。明日の生活もままならないとかならともなく、仲の良い女の子が誕プレ欲しいって言って来たら買うだろ、普通」

「し、処女って」

「例えだよ、例え。もうやめて、そんな真っ赤になるなよ。さすがにこんなことで興奮はしないから」

「しないでよっ! エッチ、変態、ヤリ〇ん」

「酷い罵倒だ。よし目には目を、罵倒には全裸写真の公開を」

「等価交換って言葉知ってる!?」

 

 酷い復讐法が制定された。桔梗は必死でやめるように懇願する。

 さすがに、しないと苦笑いを浮かべる福助だが、出来ないとは言わないところに桔梗は恐怖を感じる。

 

「で、話を戻すと、誕生日はありえない。やるかどうかは分からないが、他のクラスが対話を拒否する可能性がある。誕生日を聞く手立てがないのに、それが答えを得るための法則になるとは思わない。この学校は良くも悪くも平等だ。コミュ障でも試験が突破できるように設定しているさ」

「ということは、この紙に書かれている名前だけで分かるってことだよね?」

「そう」

「むむむ」

 

 Dクラスで聞いた各グループのメンバーを見ながら、桔梗は必死に考える。

 

「ちなみに牛グループは小橋」

「グループに名前があることが大切。名前は他と区別するために使う……ううん、この場合は順番のための名前付け!」

 

 桔梗が何かにひらめいた。

 

「ね・うし・とら・う・たつ」

 

 指を折りながら干支を数える。「牛が小橋さん、辰が私だから……」と思考を固めていく。

 そして答えを得た。

 

「ああ! 名前の順。それが干支の順番と重なった人が優待者なんだっ! グループ表が男女混合名簿なのが、五十音順のヒントになっている!」

「正解。苗字か名前のどっちかと思ったが、子グループに漢字が違うがアイが二人いた。子は一番目だから、二人が対象の優待者になるから違う」

「アルファベットに直すとかは?」

「大田の場合、Otaの場合とOhtaの二つの可能性がある。法則性にいちゃもんがつくものを採用するとは思わない」

「だから、日本語での苗字の順番ってことだね」

「まあ、まだ確定ではないけどな。明日優待者がお前だったら、この学校の教師をこれから一生バカにすることにする」

「……福田君だから分かることだよ」

「いや、明日の時点で各クラス優待者の情報が3,4人はゲットできるはずだ。ABC殺人事件みたいな名前をつかったミステリー小説は有名だし、普通に気づく奴はいるよ。シンキング試験とか言ってたけど、全くシンキングしてない。少なくとも綾小路とCクラスの椎名、Bなら帆波は気付く」

 

 ああ、やっぱり自分は天才ではないのだろう。桔梗は悔しそうにそう思った。

 自分が褒められ、尊敬されることが何よりも好きな彼女。しかし、上には上がいる。目の前の男もそうだ。

 勝てない分野では絶対に勝てない。だから勝てる分野で尊敬を得ようとした。それが他人の信頼をあつめること。

 仲良くなって、相談に乗って、いろんな秘密を打ち明けてもらう。信頼してもらって初めて自分が頼りにされているという満足感が得られる。

 少なくとも、最近まで桔梗はこの感情を追い求めていた。

 しかし、今は微妙に違う。

 

(福田君に褒めてもらうのが一番気持ちいい)

 

 憧れに近いのかもしれない。初めて見た真の天才。全然天才らしくないが、天才らしい部分を随所に見せてくるのが本当にいやらしい。

 でも、惹きつけられるのは紛れもない事実。

 そんな天才に褒められる快感。それは一体どれほどのものだろうか?

 

「明日優待者が確定すれば、お前の好きにしてくれ。自分が最大限褒められるように利用してくれていいから」

「わかった。それにクラス的にも上に行けるもんね。中間テストや期末テスト、それに今回のサバイバル試験で得た350ポイントで、700以上のクラスポイントになってる。今回の試験でBクラスに逆転できるかもね♪ Aクラスだって狙えるかも」

「こちらの優待者が当てられない場合はな」

「それでもプライベートポイントはかなり増えるよ!」

「結果1の仲良しこよしルートは?」

「ありえない♪」

「お前のそういうところは好きだ」

「えっへん。堀北さんと幸村君あたりをたきつければ、結果3を推してくれると思う」

「堀北のこと嫌いじゃなかったっけ?」

「福田君たちに知られちゃったからもう、どうでもよくなっちゃった。それに私があいつを使うんだもん。気分が良いに決まってるよ♪」

「クソだな」

「福田君には負けるけどね♪」

 

 その後、不気味な笑みを浮かべる男女がそこにはいた。

 人が誰も通らなかったことが、幸いだったが、奇妙な声が配管を通じて伝わっており、怪奇現象が出たという噂が流れたという。




ちょっと短いです。ざっと船上試験編を書いて区切ったらこの量でした。
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