I am the perfect and ultimate XX 作:生物産業
体育祭が始った。
「撮影班はよろしく頼むよ。なるべく音声も拾って欲しい」
「らじゃー!」
平田の言葉にクラスの有志が反応する。
妨害工作に対する一環として、ビデオでの撮影許可を学校側に求めたのだ。
直接的には後学のためと言っているが、事実は暴力行為に対する牽制であった。
個人のプライベートポイントに余裕があるものに協力してもらい、カメラを数台購入。福助が少しばかり改造し、音声認識能力が格段に向上している。
単純な運動能力で戦力となれない生徒は、率先してカメラ班に志願。
女子生徒が、「変なものを撮影していたら、分かっているわよね?」と脅しをかけたことで、邪な心を持つ福助や若干名が排除されたことは言うまでもない。
「へへーん、1位ゲット」
「お疲れさん。桔梗たんすごい」
「もっと褒めて、崇めて、称えて」
「クソ♪」
女子100M走を終えた桔梗がクラスに戻ってくる。現在は愛里が走っており、福助たちとの特訓の成果が出たのか、下から4番目の位置でゴールした。
福助が拍手したのが見えたのか、嬉しそうに小さく手を振っている。
「福助君は最下位だっけ」
福助は点数調整を行うために、競技の順位を確認しないといけない。そのため、早めの順番に回されており、基本的には応援がメインだ。
「スタートでつまずいてしまってな。立ち上がるのに時間がかかったんだ」
「もう少しちゃんと演技しないと、怪しまれるよ」
「精進するよ」
二人で会話していると、鈴音の番が回ってきた。
「一番脅威なのがD組の子だっけか?」
「伊吹さんだね。福助君のデータ解析だと、堀北さんでギリギリの勝負って感じかな」
「俺の信用度が問われる一戦だな」
「負けないかなー」
「それはどっちに対して?」
桔梗はにっこりと笑う。
鈴音を退学に追いやる気はなくなっているが、いかせん彼女は承認欲求の塊だ。
自分以外に褒められる女子の存在を気にくわないと思うのも仕方がない。
「あーあ」
「ねえ、それは鈴音が勝ったからだよね? 俺の技術が証明されたことに対してじゃないよね?」
桔梗の漏れた言葉と裏腹に、鈴音は勝利を手にした。接戦であったことで、福助の解析結果の信憑性が高まった。
「それしても、やっぱり勝てないね」
「単純に地力が違うからな。普通に戦っても普通に負けるさ」
福助クラスの今回の体育祭の目的は、後の負債を作らないことにある。
妨害工作によるクラスの和が乱れることはもってのほかだし、怪我をして今後の活動に支障をきたすこともダメだ。
その上で勝ちを狙う戦法を取っているが、元々の実力はDクラス。運動能力が低い人間が集められたクラスなのだ。勝てない部分はどうしても勝てない。
「次の200Mはどうするの?」
「勝ちますよ。別に全部負ける必要はないし。俺も男の子ですから、出来る子っていうアピールはしておきたい」
「私は知ってるけどね」
「可愛い奴め。惚れちゃうだろ」
「まだダメかな。もう10ランクくらいデリカシーを上げてきて」
「お断りの仕方が斬新すぎる」
桔梗とたわいないやり取りをした後、福助は宣言通りに200Mで1位を獲得する。後続に影を踏ませぬほどのぶっちぎりの1位だった。
その後、競技は進んでいく。
ハードル走、二人三脚、障害物競走と福助はビリとブービーを取り続けてポイント調整し続けた。高円寺はすでにリタイアしており、すべての競技で不戦敗だ。
そして棒倒しが始まる。肉体的接触と言う意味では、この競技と最後の騎馬戦だけだ。
故に怪我をするリスクが高い競技と言える。
「龍園が睨んでいるぞ」
「男に睨まれて嬉しくなる奴があるか。俺の代わりに生け贄になってくれ」
「友人を売るとはひどい奴だ」
「200Mで手を抜いて、鈴音さんがブチ切れた後だ。もう何も恐れるものはないだろ?」
「体力が尽きたんだ。立派に戦ったソルジャーにあいつは本当に酷い奴だ」
「100Mとの差がありすぎなんだよ。女子の注目を受けやがって」
「あーお前はタイミングが悪かったよな。女子の競技の移動と重なったから、お前のぶっちぎりの姿を見ていた女子は少ない」
「よし、お前を棒に括り付けて盾にしよう。すべての攻撃をお前で受け切って見せる」
綾小路は風のように逃走した。
「おい福田、借りを返しに来たぜ。せいぜい怪我をしないように気を付けるんだな」
綾小路が退散したタイミングで龍園が宣戦布告にやってきた。
「ご忠告どうも、ドラゴンくん」
「てめぇ! いい気に――」
「お前だよ、それは。いい気になってんなクソガキ」
殺気とも言える威圧に龍園がたじろぐ。
中学時代喧嘩で鳴らしたとはいえ、龍園はただの素人だ。暴力が世界を支配するという信念を持っているが、本当の暴力を彼はまだ知らない。
そして、本格的にプロから戦闘訓練を受け、実戦も経験している福助とでは実力が違う。
喧嘩ならプロボクサーに勝てると豪語するヤンキーに、なんでもありの戦闘でプロに勝てるのかと福助は問うているのだ。
そして棒倒しが始まる。
最初に守りに入ったのは福助のクラス。Aクラスは帆波クラスを相手にすることを選んだようで、福助の方によって来ることはなかった。
龍園は自分のクラスの人間を従えながら、福助の守る棒に向かって突っ込んでくる。棒を倒すことなど眼中にないかのように、人数をかけて福助に襲い掛かって来ていた。
対する福助も自陣から抜け出し、相手の突撃を待ち構えている。
「戦は数だぜ?」
龍園が不敵に笑いながら、部下たちをけしかける。少人数で組んだ鶴翼の陣形。左右からの同時攻撃に対処に追われている間に、最大戦力のアルベルトと龍園自身が止めを刺すという戦法だ。
しかし、相手は神童福田福助。
「それは相手が同レベルの話な。いくら群れても蟻は象に勝てんのよ」
左右同時と言っても、プロではない。タイミングはかなりずれている。
殴るという行為が禁止されている以上、福助は左から来た石崎のジャージを掴み足払い。そのまま右からやって来た小宮にぶつけた。目の前の二人が急にやられたことで、遅れてきたDクラスの生徒は巻き込まれて転倒する。
状況悪しと判断したアルベルトが突っ込んできたが、単純な腕力でも負けない福助はアルベルトと掴み合う。
一瞬の拮抗の後、身体をひねった反動でアルベルト持ち上げ、後続で続いてきた龍園の侵攻を防いだ。
「あめぇな!」
龍園もひるまない。投げ捨てられたアルベルトの背中を蹴って、福助の上へ。
龍園の目的はあくまで勝利。福助に専念すると見せかけて、狙いは彼の後ろの棒だ。
Bクラスは福助を信頼し、福助の背後を手薄にしている。抜かれる心配をしていないため、もし龍園が福助の頭上を越えて侵入してきた場合、手薄なところを狙われて棒を倒されていたかもしれない。
しかし、現実は残酷だ。
「えんがちょ」
飛び越えるはずだった龍園。しかし、近場に転がっていた石崎の頭を掴むと頭上を行く、龍園の翔君に押し付けた。
ちょうど手を伸ばした高さだったのが悪いというのが、福助の談。
悶絶。
龍園は言葉が出なかった。乱戦中のことだ。応援に回っていた生徒たちからはよく見えていなかったことが救いかもしれない。撮影を務める福助クラスの女子にはばっちり見えていたが。
ただひたすらに龍園は苦しみの中をさまよう。勢いがついていたというのと、空中であったために、力を逃がすことが出来なかったことが彼をここまで苦しませている要因だ。
気の毒だとは思いつつも、勝負は勝負。武士の情けとして、苦しんでいるさまを見ないように努め、棒倒しの制限時間が過ぎた。
守り側の福助クラスの勝利だ。
「すまん」
地面から無言で睨み続ける龍園にかけてやる言葉はそれしかなかった。
その後、攻守が入れ替わったが、攻め手に福助が参加しなかったこともあってか、棒を守護するアルベルトを崩すことが出来ず福助クラスの敗北。結果はお互い痛み分けに終わったのだった。
龍園が福助を全力で潰すことを誓ったのは言うまでもない。
◆
「午前中は大変だったね」
桔梗の明るい声が響く。
今は昼休憩となっており、この場にいるのは福助、綾小路、平田、須藤、鈴音、桔梗、恵、千秋、麻耶の8名だ。
午後の打ち合わせもかねて、昼ご飯を一緒にとっている。
「須藤がキレずに競技を続けていることが驚きだ」
「うるせぇぞ福田! 俺は自分を全うしているだけだ。クラスの奴が頼りねぇのは事実だが、俺はそのクラスに頼ったんだ。なら勝敗の責任を他人に求めるかよ! 頼っておいて文句をいうようなだせぇ奴に俺はならねぇ」
不貞腐れているように吐き捨てる。ただ、周りの評価は彼が思っているのとまるで違った。
「カッコいいね、須藤君」
「ああ、惚れてしまうかもな」
「野郎どもに言われたくねぇ」
女子からの声が上がらなかったが、女子の中でも素直に賞賛している者が多かった。
「それにしてもエース潰しはなかったな」
「やっぱりカメラが効いたんじゃない?」
綾小路の言葉に恵が反応する。
「油断は禁物よ。午後の騎馬戦と推薦競技。まだ何かあるかもしれないわ」
「騎馬戦……ね?」
千秋の言葉に、全員の視線が福助に向く。棒倒しの惨状を見ていたからだ。
「同じ男としてあれはないぞ」
「1対6で勝利を収めた俺に、何の文句がある? 俺は狙われた被害者の立場だ」
「龍園のプライドがズタズタだ」
「あれは事故だ。お互い全力を出した結果だ」
外部からはそう見えたかもしれない。どちらも卑怯な手は使っていない。
ルール内での勝負だ。
ただ、福助を知る人間が彼の発言を信じるかは別問題だ。
「Dクラス荒れるだろうね」
麻耶の言葉に視線が自然とDクラスに向かう。
そこには龍園がただうつむきながらじっとしていた。
悔しさからではない。
怒りだ。
誰も寄せ付けないほどの怒りを放ち続けている。
そこにあるのは、己への怒りか、それは本人にしかわからない。
「暴力政治の限界って奴だな。俺は悪くない」
「悪くないってことはないでしょ」
「ギャル子、騎馬戦で狙われないと良いな。山内あたりにちょっとあれなカメラを渡してこようじゃないか」
「や、やめなさいよっ! 下着とかとるつもりでしょっ!」
「なんてはしたないことを考えるんだ。俺はあくまで高性能なカメラを提供しようとしただけだ。画質が綺麗な方が思い出に残ると思っての気遣いなのに。それともなにか? 山内とカメラで何かいかがわしいことが起こるというのか?」
「起こるわよっ! 最悪の組み合わせじゃないっ!」
誰も否定しないことが、山内少年の普段の言動のたまものといえる。
「でも、騎馬戦は本当に大丈夫なの?」
「千秋さん、いくら俺でも盗撮はしないよ?」
「そうじゃなくて、怪我の方。Dクラスが本気で潰しにくるかも」
「最悪の場合は、平田を盾にする。俺と須藤と綾小路の機動力で敗れたら、それは平田の所為だ」
責任の所在をイケメン一人に擦り付ける。まさにクズの所業。
「でもそうだね。騎馬戦に関しては負けたら騎手である僕の責任だ」
「洋介君」
「やっぱ平田君だよね」
「よし、やろうどうも。平田を武器にする許可を得た。ぶん回してやろう」
「それ、騎馬戦じゃないよね?」
千秋の言葉で、平田こん棒爆誕はふさがれた。綾小路と須藤はどうやってぶつけるかの話をしていたため不満そうだ。
「推薦競技の混合リレーは勝てるといいよね」
微妙な空気を桔梗が引き戻す。
「Bクラスのスピードスターが勢ぞろいだもん。なんとかなるよ」
麻耶の言葉に鈴音がやる気をたぎらせる。
男では福助、須藤、綾小路の参加が決まっている。女子は鈴音、桔梗、小野寺だ。
アンカーは鈴音が務めることになっている。
「マナブ君と勝負できるように調整しておくよ。綾小路が」
「おい」
「差はどのくらい必要で? まさかタイマンで勝てると思うほど、過信してないよね?」
「……出来るだけ多くお願い」
鈴音としてはタイマンで、自分の成長した姿を見せたいというのが本音だ。
しかし、それでは勝てないのは鈴音本人が分かっている。
わがままを言って、アンカーを任せてもらっている以上、勝利へのこだわりは見せなければならない。
「女の子にお願いされたら叶えてやるのが男だよね。1周くらい頑張りますか」
「1周差はさすがに厳しいぞ。2A、3Aを見たが結構速い奴が多い」
「はん! それでも俺の方が速い! 堀北には勉強のことで世話になってるからよ、ここはひと肌脱ぐぜっ!」
「男のヌードはちょっと……平田、処理は頼んだ」
「ええ!?」
「違うだろうがっ!!」
須藤の叫びに、女子たちがクスクスと笑う。
現在の順位は不明だが、クラスとして余裕をもって臨めているようだ。
「午後もこの調子で頑張ろうね♪」
桔梗の言葉に全員がしっかりと頷いたのだった。
◆
問題が起こると予想されていた騎馬戦だったが、特に何も起こらなかった。
警戒していた龍園の騎馬は、福助の騎馬を観察するばかりで攻撃を仕掛けてこなかった。
龍園が福助を恐れたというのはないだろう。福助が嫌になるほど、彼からの怒りの視線がこびりついているのだから。
それでも行動に移さなかったのは、次回への布石か、それは龍園のみぞ知る。
そして午後の競技はどんどん消化されていく。個人の順位に影響しないため、福助はここで全力を出した。
男女混合の二人三脚では、パートナーの千秋をほぼ持ち上げる形で走破し、ぶっちぎりの1位を獲得する。
残りの綾小路、堀北ペア、櫛田、平田ペア、須藤、小野寺ペアも完勝したと言っていい出来だった。
勝利後に、鈴音と小野寺が無言でハイタッチした姿が意外であったと、綾小路が語っている。
体育祭の締めにふさわしい1200Mの男女混合リレー。一人200Mを走る必要がある。
400Mトラックもあるのだが、一斉に12人が走るほどスペースがないため、一周200Mの競技場が利用されている。
一人一周。精神的な負担はどれほどのものだろうか?
「1年生へのハンデかな? 内側に1年が配置されてるな」
クラスポイントが低い順に、DからAの生徒が並べられた。
スタートは12人が横一列に並ぶが、レーンはない。外に行けば行くほど外回りで走るしかないため、不利になる。
1年生が優先的に内側に配置されたのは身体的能力からだろう。Bクラスは化け物ぞろいだが、学年に対するハンデは仕方がない。
「3年は女子が多いし、須藤が差を付けることを信じよう」
「須藤君の後は本当に私で大丈夫? 福田くんの方が良いんじゃ……」
Bクラスの戦略は男子と女子が交互に走ることだ。相手に合わせて走るよりも女子の後を男子が走る方が心に余裕が出来るだろうという鈴音の提案だ。
自分が負けても取り返してくれる。Bクラスの男子陣への信頼の証である。
「小野寺は全力で駆けて来い。俺がいる以上、負けはない」
「なんという安心感」
「これは福田がカッコよく見えるな」
「福助君もいつもこうなら良いのに」
「福田じゃ無理だろ」
「須藤君に同意するわ。自由人だもの」
微妙にまとまっているようでまとまらないリレーチーム。
しかし、各員に不安はない。
そしてリレーが始まる。
12人の大レース。スタート後、いかに内側を走るかが勝敗のカギを握ることになる。
スタートを告げる音とともに、先頭に飛び出したのはやはり須藤だった。
龍園クラスの走者はスタートに失敗し、慌てたために転倒。内側の有利が完全になくなり最下位になった。
「健、行けぇーっ!!」
「須藤君頑張ってっ!」
男子からも女子からも須藤に声援が飛ぶ。
声援の効果もあってか、ぐんぐんとスピードをあげて、首位を独走する。
「楽しんで来い」
「わかった」
須藤があまりに差を広げたため、次走者の小野寺がこわばった表情をするが、福助が背中を叩いて激励し、彼女の緊張はほぐれた。
1位でやって来た須藤からバトンを受け取り、小野寺は駆け出す。
相手は全員男子。いくら女子の中で俊足とはいえ、体格差には勝てない。
それなりのリードをもらっていたが、後続にドンドン迫られる。
福助にバトンが渡る頃には、既に3位までの順位に落ちており、申し訳なさそうに謝罪した。
「ごめん!」
「よくやった。あとは任せろ!」
バトンを受け取った福助が、快足を飛ばす。中学の大会に高校生が乱入してくるような圧倒的なスピード。
陸上部が自信を喪失するレベル駆け抜け、半分を走った時点で1位に躍り出て、リードを広げていた。
「ねえ」
「大丈夫だろ」
次走の桔梗が綾小路に話しかける。
彼女たちの視線の先は、周回遅れをしかけている龍園クラスの女子。明らかにリレー向きではない選手がふらふらと福助の前を走っていた。
そして、予想していた通り福助が抜きにかかったところで、女子生徒が転倒する。龍園の指示だろう。
もちろん、これでどうにかなるとは思っていない。福助が接触し、怪我でもすれば御の字くらいの感覚だ。あくまで、福助の能力把握を優先した作戦である。
「You still have lots more to work on(まだまだだね)」
似非テニスの王子様が、転倒しかけた女子生徒掴み、無理やり立たせ、笑顔で「ほら、頑張れ」と言って去っていった。
倒れるように指示を出された生徒はなぜ自分が倒れず走っているかも分からず、そのまま走り続ける。
「今のってどうやったの?」
「倒れた方向とは逆に切り返して、切り返した反動を利用して引っ張り上げたみたいだな。福田に映像を見せてもらったことがあるが、アメフトのステップの応用だ。目の前でやられると消えたように見えるらしい」
「さすがアメリカンフットボーラー」
「自称アイシールド21らしい。何のことかはわからんが」
へぇーと感動が薄れている桔梗。福助ならそれくらいできるという信頼の表れなのかもしれない。
それからレースは桔梗、綾小路と1位を守り続け、鈴音に回ってくる。
「お前がアンカーとはな」
「兄さん、一つだけ言います。この勝負は私たちの勝ちです」
「私
「はい!」
綾小路から鈴音にバトンが渡る。70M。勝利を得るには十分な距離だ。
しかし、相手は堀北学。生徒会長にして、鈴音の兄だ。
「生徒会長として、兄として簡単には負けられん」
全力で妹を追いかける。
「堀北~がんばれー!」
「気張れっ!」
「実は、大好きだーっ!」
「堀北さん、頑張ってっ!」
「負けないでっ!」
「今度デートしようねっ!」
「イケメン反対っ! メガネぶっ飛べっ!」
若干変な応援が混ざっているが、Bクラスの皆が鈴音に声援を送り続ける。
そんな応援が耳に届き、不本意ながらも鈴音は笑った。
(福田君は、後で説教ね)
背後から感じる圧迫感。
もし今までの自分だったら、ここで縮こまって負けていたかもしれない。
しかし、今は焦りも恐怖もない。
ただ、この場を任せてくれたクラスのために、全力を尽くすだけ。
そしてゴールテープが切られる。
一斉に飛び出してきたクラスメイトにもみくちゃにされる少女を見て、
「成長したな」
一人のお兄ちゃんは、小さく笑うのだった。
体育祭を1話で終わらせました。次の試験も似たような感じですかね。
最終話まであと8話くらいです。最後まで頑張ります。