転生した結果なんか強くなったビーストの話 作:模造品ザギさん
食中毒で寝込んで2日…
質素な服を着せられたサジテリオは村を散策することにした。
「私の知ってる下等生物の住処とは程遠いくらい緑だらけだ。」
村の周りには青空と草原が広がっている。その草原の所々には人間以外の生物が見られる。
サジテリオは空腹だったが故、村から飛び出るとその生き物の元へ向かった。
「なんだこの生物は??」
サジテリオは枝でその生き物をつんつんしてみた。
「...ムニュッ!?」
驚いた様子でこちらをじっと見つめている。
サジテリオは素手でその生き物の一部を千切り、食べてみた。
「...不味い...草の味がするぞ…私は草が大嫌いなんですよ!!
あっ!待ちなさい何処へ行くのだ!これほど不味い下等生物は殺さなければ...」
その生き物、スライムは必死にサジテリオから逃げる。
しかし、所詮スライム。あっという間に追いつかれてしまった。
「クニュ...ニュゥゥ...」
「この私に命乞いか?賢い下等生物だな...さっさと死ねェ!」
サジテリオはスライムを踏みつぶした。
ゼリー状の肉体は四方八方に飛び散り、スライムは絶命した。
「こんな不味い下等生物...生きる価値もない…
しかしだ...これほどの優越感は久しぶりだぁぁぁ...
住処に蔓延る下等生物どももいっそのこと...私の飯に...」
ぐちゃぐちゃになったスライムを見て嘲笑い、サジテリオは先ほど居た村まで
戻る中面倒くさくなり、人気の少ない通路の木に身を隠し獲物が来るのを待つことにした。
(ちっさいのは来ないのかなぁ...あの柔らかさがたまらん...!)
その木の後ろから誰かが近づいてくる。
しかし、サジテリオは気づかない。
「そこで何してんの?」
その正体はテノアだった。
「ッ!なんだあの時の下t」
「あ?」
「テノアさんでしたか。」
「...貴方飯食べてないでしょ?また変なの食べてもらっちゃ困るから、
特別に。いい?特別にこの私が奢ってあげる。だから、付いてきて。」
突然すぎる言葉にサジテリオは悩んだ。
(今、私は猛烈に人間喰いたい...しかし、
この下等生物に歯向かったら...どうするサジテリオ...どうする...そうだ!)
「ん、どうした?」
「いやぁ気付いてしまいました...私貴方より強いんじゃない?」
「それが何?」
「どのタイミングでも私は貴方を喰らう事ができる...ヒヒ...」
「...そういうのはもっと関係築いてから。全く...早く付いてきなさいよ。」
サジテリオは我慢が出来ず襲い掛かった。
しかし、サッと躱されると鞘で胴を殴られ弾き飛ばされてしまった。
「やはりこの体では実力が出せん...ここは素直にするしか...」
サジテリオは己の非力さに気づき、テノアを喰らう事を諦めた。
そして、2人は村のお食事処へ行った。
お食事処のドアを開いた瞬間にいい香りがサジテリオの鼻を通り抜けた。
「なんだこの香りは...」
「まともな食事は初めてなのか。」
「えぇ、私は今まで下等生物しか食べてきてないのでね。
そういえば、私サジテリオ少し前にゼリーのような下等生物を喰らいましてね。
まさに草の味がしましたよ...ま、あの後その下等生物には消えてもらいましたよ。」
2人は席に座った。
「スライムを知らないのか。ちなみにだが、ここらで確認されてるスライムは
干して粉末状にした物は栄養剤として子供や病人に与えているのよね...」
そう話してる間に料理が到着した。
「これが料理というモノですね。量が少ない気がしますが、まぁいいでしょう。」
サジテリオは真っ先に肉にかじり付いた。
サジテリオは旨さのあまり、無口になってしまった。
「凄まじい喰い付き...どれほどお腹が空いてたのよ...」
お皿いっぱいに盛ってあった肉は一瞬で無くなり、サジテリオは満足して言った。
「これは私が今まで喰らってきたモノの中で一番だ!!
料理...なんて斬新な発想だ!私サジテリオ一瞬で惚れてしまった!」
「それは良かった。...って野菜全然食べてないじゃない」
「そんな草、食べたところで何になる?私は肉だけでっ!」
テノアは無理やりサジテリオの口の中に野菜を詰めた。
吐き出そうとしたサジテリオの口を手で押さえ、無理やり飲み込ませた。
「こ、殺す気かぁ!!」
「これも食べなければ、お前長くは持たないぞ?」
「あんな草に力があるわけない!肉には大量の力が詰まっている!
草を喰らうヤツなど...まさにそれは下等生物の極みなのだ!!」
「...野菜にも力はあるぞ?」
「そんな見え透いた嘘などこの私には通用しませんよ!」
「じゃあ、どうしてお前は私を越えられてないの?」
「...!」
サジテリオは何かに気づき、残りの野菜を平らげた。
(フフフ...馬鹿なヤツめ...この私にヒントを与えるとは...いつか最高のお返しを...」
「用事があるから先に出る。じゃあな、サジテリオ。金はテーブルの上に置いてるから」
テノアは代金をテーブルの上に置くと、どこかへ行ってしまった。
(きっと他のヤツらは草の力を知らない...最強へまた一歩近づいた...)
サジテリオはテーブルの上の金の存在を忘れ、出て行こうとした。
「ちょっとちょっとお金は?」
店員がサジテリオの手首を掴み、喰いとめた。
サジテリオはニコニコしながら言った。
「素晴らしい料理...感謝する!」
再びサジテリオは出て行こうとした。
しかし、代金の支払いが終わっていないため、再び店員に止められた。
「また来るよ。」
三度、出ようとするが支払いがまだな為、手首を掴まれたまま。
「んぁあもう、しつこいですね!もっと褒めてほしいのですか!?」
「金!」
「金?...下等生物が生意気な...あのテーブルの上まで取りに行ってくださいよ」
サジテリオの態度の大きさに店員はイラっとし、腕をがっしり掴むと背負い投げをした。
サジテリオは床に背中を叩きつけられ、見事なまでのキラキラをぶちまけた。
「二度と来るな!!」
「私の力がぁぁぁぁぁぁ!!うぅ...」
サジテリオはしょんぼりしてお食事処から出た。
後ろ振り向くと店員がずっとこちらを睨んでくる。
「私をコケにしおって...そうだ強くなるために草を喰おう。」
サジテリオは再び草原の方まで行った。
草を食べにだ。
「迷惑な客だよ本当に...背負い投げしちゃったなぁ...」
店員はサジテリオのほぼ未消化のキラキラを片付ける作業を始めた。
すると、そのキラキラが一瞬動いた。
「ん?...気のせいか」
「キュゥゥゥゥ...」
スライムの鳴き声が店内に響き渡った。
店員はまた野良スライムが来たのかと思い、外に出た。
しかし、外にはスライムどころか人が居なかった。
「あれ...空耳か?」
しかし、先ほどからずっとスライムの鳴き声が聞こえる。
不思議に思いながら店内に入ると、そのキラキラはその場から無くなっていた。
「俺もう片付けたっけ?」
天井から水が一滴垂れてきた。
店員が天井を見上げると、そのキラキラが天井に張り付いていた。
そのキラキラはみるみる大きくなり、店員や店長,客は店から脱出した。
「なんだこの巨大なスライムは...」
店員たちの目の前には4mにもなる巨大なスライムが蠢いていた。
巨大スライムは厨房にあった食材を根こそぎ取り出し、吸収していった。
「ああぁ...俺の店が...」
「ヴオオオオォォォォォォォォ!!」
巨大スライムの雄たけびが村に響き渡った。
その頃、サジテリオはというと...
「これも強くなるため......」
必死に草にかじり付いていたのであった。