翌日。連絡先を交換し、互いの実力を確認し合おうという話になり、土曜日に俺の家とカラオケに行こうという話になった。
男子からの視線に少しばかり恐怖を感じだが、気づかなかったことにしておこう。
―――土曜―――
待ち合わせ場所は、生徒にバレると(俺の命が)危ないという理由で、1つ隣の駅の側にある喫茶店にしておいた。
星街は学校近くのカフェを提案してきたが、なんとか押し切ってここにしてもらった。
それに、ここのコーヒーの味は絶品だからな。
それにしても······
「遅い」
待ち合わせの時間はすでに20分過ぎている。
自分から誘っておいて······いや、場所を提案したのは俺か。
気長にまとう。
「ごめん! 遅くなった!!」
「気にするな」
星街が来たのは、13:07分。待ち合わせ時刻37分オーバーだ。
「迷ったのか?」
「うん。本当ごめんね」
「初めて来るところなんだ。そうなるのも仕方がない」
「お、意外と優しい。すいちゃんびっくり」
俺は無言でメニュー表を渡し、それを星街は受け取り、見渡す。
それにしても······似合っている。
星街は、自分に合う服の色やコーディネートまですべて理解しているのだろうか。髪色と同じ色のTシャツの上に薄手の白と水色のパーカーを着ている。
シンプルではあるが、とてつもないほどに似合っているのだ。シンプルイズベストとはよく言ったものだ。
俺が星街を見つめていると、星街はメニューを閉じる。
「頼まないのか? 奢ってやるぞ」
「いや、遅刻した上にそんなことはあまりにも図々しいというか···」
「場所を指定したのは俺だ。星街の知ってるところだったら、こんなことにはならなかったろ? だから気にせず頼め」
「そう? ―――じゃあ、お言葉に甘えて」
―――さて、俺はもう一杯コーヒーと、このチーズケーキをいただこう。
宰府にとっては中々の痛手だが、背に腹は変えられない。ここのチーズケーキはどのケーキ屋よりも美味いからな。
「すいちゃんもコーヒーでお願いしようかな」
「はいよ。 マスター、ブラック2つ。それとチーズケーキ」
「へぇ~、君って甘い物好きなんだ。すいちゃん甘いの苦手」
「一口食べてみるか?」
「いや、だから甘いの苦手で······」
ほう、星街はどうやらこの店のケーキを甘いだけのものだと勘違いしているな。
ここのケーキは、甘さ控えめで、どんな人でも食べやすい。さらには、マスター自家製のブレンドコーヒーが、ケーキの味を引き立てるのだ。
「一度、騙されたと思って食べてみないか?」
「いや、だから」「食べてみないか?」
「······はい」
数分後、コーヒーとケーキが置かれる。
まずは軽くコーヒーを一口流し込む。
涼しい店内で飲む温かい目飲み物は最高だ。
「あっ、このコーヒーおいしい」
星街も、コーヒーを気に入ったようだ。
つまり、星街にケーキを食わせるのはこのタイミングしかない!
「星街、あ~ん」
「えっ? え、あ、あ~ん」
星街の口に合うかどうか。たとえ苦手な味だったとしても、仕方のないことだ。むしろ、少しばかり無理やり食べさせてしまっているような感じがあり、もうしわけなさを感じる。気に入ってくれると嬉しいが。
「ゴクッ」
「どうだ?」
「すごく美味しい······甘さ控えめで濃厚なチーズの香りと、パサつきのないしっとりとした食感、最高!」
「だろ? もう一口いるか?」
「いいの? ありがとう!」
そして、もう一度星街の口にチーズケーキを突っ込んだ。
さて、俺もいただくとしよう。
俺は戸惑うことなく、星街と同じフォークで口元にチーズケーキを運ぼうとしたその時。
「ねぇ」
「ん?」
「それ、すいちゃんとの間接キスだよ」
「あ、俺あんまそーゆーの気にしないんだわ」
「君面白くないなぁ」
「さいですか」
軽い中身のないやり取りをした後、俺はチーズケーキを口へ運ぶ。
やはりこれがたまらない。甘さ控えめで濃厚なチーズの香りと、パサつきのない―――感想が星街と同じだな。こいつ、なかなかに食レポ上手いな。
とにかく、この喫茶店のチーズケーキはうまいのだ。食べると自然に笑みがこぼれる。
「なにげにすいちゃん君が笑うの初めて見たかも」
「ほーゆーほんあろ」
「―――飲み込んでから喋れ」
「······うす」
結果的に財布に致命傷を負ったが、なんとかなる。多分今月はギリギリ乗り切れるだろう。
「美味しかったねー。すいちゃん、ショートケーキは食べれるんだよ。今度このお店来たら、食べてみたいなぁ」
「美味いぞ」
「食べたことあるの?」
「この店には世話になってる」
「そっかぁ。また一緒に行こうね」
「次は奢らないからな」
「わかってます〜。よし、カラオケ行こっか。すいちゃんの歌声で月宮くんのストレスに溢れた心を癒やしてあげよう」
「楽しみにしとく」
高校1年生の歌声など、おそらくだがプロの足元にも及ばないだろう。だが、これほど豪語するからには、少しくらいは驚かさせてもらわないとな。
―――カラオケ―――
2時間ワンルーム1200円という中々にコスパの良いカラオケ店にて、俺は星街の歌声を聞くことにした。
「じゃあ、先に歌うね」
「楽しみだな」
「ふふっ」
「っ···」
急に微笑まれては困る。
恋愛感情は抱いていないが、その顔で微笑まれると、俺も男子のひとり。少しばかりドキっとする。
それにしても、マイクを持つ姿がずいぶんと様になっているな。
そんな星街の選曲は、「覚醒」だ。
「現る〜♪」
たった、その1単語。
その1単語で、俺は、星街すいせいの歌声と、楽しそうに歌うその姿から目と耳が離せなくなった。
そして、気がつけば歌は終わっていた。
「―――どう?」
「えっ、あ、ああ。星街も俺が口下手だということは、多分わかってるはずだ」
「うん。コミュ障だもんね」
「あ"?」
『冗談冗談』とは言っているが、絶対本音だ。本音がポロッと漏れたって感じだな。
「これが······多分魅了されるってことなんだと思う。星街の儚さのある繊細な歌声。でも、その奥には強い芯があるような···そんな歌声だった。気がつけば、星街から目が離せなかった」
「な、なんか、、そこまでべた褒めされると流石にすいちゃんも照れちゃうなぁ」
「俺は事実を言ってるだけだ」
「ねぇ、月宮くんは歌わないの?」
「そこまで上手いわけじゃない」
「いーじゃん。カラオケは、歌うのを楽しむところだよ?」
星街のあとだと歌いにくいんだよ······。
その後、2時間しっかりと俺達はカラオケを楽しんだ。
―――
そして、最後に月宮くんの家に私は寄った。そこで、月宮くんのギターの音色を聞くことにした。高原くんが言っていたほどの実力はあるのだろうか。
「あまり人前で弾いたことがないんだけどな···」
「楽しみにしてるよー!」
そうして、玄関を上がる。
「ただいま」
「あ、お兄ちゃん」
すると、奥から可愛らしい中学2年生くらいの女の子が。どうやら月宮くんの妹ちゃんらしい。
それにしても、どこか動揺している?
「お、お、お兄ちゃんが彼女連れてきたー!!」
「いや、違うからね」
······///。
なんでそんな冷静でいられるんだ。月宮くん。
二話構成にしました。
ストーリー展開クソ雑ですみません。
この二人······結ばれる?
-
結ばれる
-
結ばれない
-
結ばれてほしい
-
はよ既成事実つくれや
-
結ばれないでほしい