星と月   作:あいとると

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 4000文字超えました。
 ゆっくりとお楽しみください。
 ストーリーのテンポ早いですが。
 あと、なんかベタでキモいストーリーですが。


6 親衛隊

 俺のギターの演奏に乗せて、星街が歌った。

 それは、俺にとってには初めての経験だったが、なかなかに悪くない、面白いものだったと思う。

 それに、いいものも見れた。

 星街が、本気で笑う顔だ。

 俺自身の演奏で、誰かが気持ちよさそうに歌う。

 星街と本気で文化祭でバンドをやるのもいいかもしれない、そう思えた。というよりも、「これからよろしくね!」と無理やり承諾させられたようなものだ。

 

 断ろうとはしたのだが、俺の第六感が断るのは危険だと言う信号を出したのでな。

 

 

 その日から4日後。いつも通り俺は遅刻ギリギリで校門を通り抜け、靴箱を開けると、中から一枚の封筒が。

 そこには荒々しい文字で、でっかく「果し状」と書かれていた。

 

「今どき···こんなんやるか?」

 

 などというつまらない俺の疑問はおいておいて、中身を要約すると、今日の昼休み、校舎裏に来い。来なければ、俺と星街が痛い目を見ることになるとのこと。

 痛い目をみるのはお前らだ。なんせ相手はあの星街だからな。

 おそらく、差出人は親衛隊の奴ら。

 そいつ等が集団で星街に襲いかかったところで、返り討ちにされるだけだろう。

 そう思い、難しく考えていなかった。

 あいつらが、星街に危害など加えないだろう、と。

 そして、気がつけば昼休みになっていた。

 

 

 星街は、真っ先に教室をあとにする。

 さようなら。親衛隊。

 さて、俺はランチタイムを楽しもう。

 心配などする必要はない、なんせ相手になるのはあの星街だぞ? 親衛隊がたとえ全員で襲いかかっても、星街なら大丈夫だろう。

 そして、ゆっくりと購買へ向かった。

 

 俺達1年のクラスがあるのは4階。購買は1階。正直、階段を登り降りするのは体力を消費してしまうので、あまりやりたくない。

 だが、昼食は俺の学校生活においての生命線。親は忙しく、弁当を学校に持ってこれるのは年に数回しかないため、購買には非常にお世話になっている。

 

 味も中々にレベルが高く、カツ丼やハンバーグ定食、サンドウィッチなどが人気メニューだが、個人的No.1はナポリタン。

 購買のナポリタンはどの店よりも美味いと断言できる。

 喉越しのあるパスタに、ドロっともさらっともしすぎていない絶妙な加減のソース。

 それが合わさり、最高の味になっているのだ。

 

 まぁ、今日はそういう気分じゃない。

 ···パンが食べたい。

 そして、購買にたどり着き、人ごみの中手を伸ばし、購入したのはソーセージパン。

 見た目以上にボリュームがあるため、少食の俺にとっては十分だ。

 

「たまには外で食べるか」

 

 ······一応校舎裏を見ておこう。

 

 

 校舎裏、といっても、どの校舎かわからない。

 人目につかない、という点で言えばおそらく第3校舎だろうか。

 家庭実習室や、理科実習室など、昼休みは使われていない教室が多く、人目も少ない。

 ひとまずそこに行ってみよう。

 

 そして、パンを食べ終え、第3校舎裏にたどり着きそうになったとき、頭が揺れた。

 後頭部を、思い切り殴られたのだ。

 威力からして、そこまで体つきのいいやつではないが、殴られたのでどちらにしろ痛い。

 

「よく来たな。月宮結有」

 

 お初にお目にかかる奴だな。初対面で人殴るとかこいつまじかよ。

 

「いきなり人を殴るとは失礼なやつだな。お前道徳の授業サボってたろ」

 

 星街のイラストの書かれたTシャツを中に来ているため、こいつは親衛隊のやつだ。

 まさか、一人?

 いや、そんなハズが無い。こいつはおそらく、俺の意識を逸らすための囮。

 

「っぶね」

 

 やはり···か。

 俺の背後から、デブが木の棒で脳天をかち割ろうとしてきていた。

 こいつら、多分退学になる可能性とか考慮してない。親衛隊の奴ら、俺が星街と一緒にいた、それだけの理由でここまでやってるんだ。

 

「クソ!外した! No.13!!」

「死ねぇぇぇえ!」

 

 2階の窓から、一人の生徒が飛び降りてきた。普通に避けられる速さだ。だが、これだけでは面白くない。

 とっさに最初にぶん殴ってきたやつを掴み、飛び降りてきたNo.13と衝突させた。

 

 人と人がぶつかる鈍い音がした。

 

 飛び降りたやつは、腹から下のやつと衝突し、おえっ、と言いながら身悶えている。

 下のやつは、頭を強くぶつけ、軽い脳震盪が起きたのだろうか。 

 その場に倒れた。

 だが、No.13ということは、他にもまだいるということか?

 その場合······。

 瞬間、デブの顔が変わった。怯えから、気持ちの悪い笑顔に。

 視線は、俺を向いていない。俺の、そのさらに後ろ。

 1つの影が、俺と重なっていた。

 

 なるほど······。

 こいつら3人が囮だったわけだ。

 俺を油断させて、全員で叩く。完全にはめられた。

 

 それにしても、なんですかそれ?

 木刀? そんなもん高校生の喧嘩に持ってくるんじゃねえよ。下手したら俺死ぬぞ? お前らは犯罪者になる。

 そうなる覚悟で、ここに来てるってことか。

 

 さっきとは比べ物にならないほどの痛みが、俺を襲い、俺はその場に倒れ込んだ。

 

 

 

 ······まだ、かろうじて意識はある。

 立ち上がろうとするが、力が入らない。

 出血もしている。

 

 ――あー、やべぇ

 

 気持ち悪い。貧血気味だ。

 

 親衛隊の数は、どんどん増えていく。4人から7人へ。7人から13人へ······。

 最終的に、19人が集まった。

 

「運ぶぞ」

 一人がそう言い、俺の四肢を掴む。

 けが人の扱いとは思えない程に雑に扱われ、どこかへ連れて行かれる。

 

「血、洗い流さなくていいのか?」

「確かに。流したほうがいいかもしれない」

 

 俺は水道に置かれ、一人が蛇口をひねり、その水が俺の頭からかかる。

 一瞬、視界がはっきりとした。

 段々と体に力が戻っていく。

 今なら、立てる。

 しかし、それは今じゃない。

 こいつらが、隙を見せた瞬間、一気に叩く。

 

「クソッむかつく!!」

 

 一人が、俺の顔を蹴り飛ばした。

 

「お前らも!こいつ一回ずつ蹴ろうぜ!」

 

 左右から、何度も蹴られる。

 さっき木刀で叩かれたが、ある程度止まっていた血が、また流れ出す。

 水道に流れる水は、ところどころに、俺の赤い血が滲んでいる。

 

「何してるの?」

 

 遠くの方から、毎日聞き慣れた、隣の席のやつの声がした。

 目線だけを、声のする方ににずらす。

 

「あ! すいちゃん!」

「気安く呼ばないで。気持ち悪い」

「·····え?」

 

 声色からわかる。かなりお怒りのご様子だ。

 顔は笑顔だけど、目が笑ってない。

 あの日と同じだ。俺をバンドのギターに誘った日。

 いや、厳密に言えば違う。

 俺のときは、圧力だった。

 「断ったらどうなるかわかってるよな?」という圧。

 多分、本気で殺す気とか、そういうのはなかったと思う。星街だからわからないが。

 

 今回は、明確な殺意と怒り。間違いなく手を出す。

 

「何してるの? 私の大切なパートナーに」

「パ、パートナーってなんだよ!! 俺達のほうが、すいちゃんのこと好きなのに! なんで!!」

「だから、すいちゃんって呼ばないで!!」

 「「「「「「っ!」」」」」」

 

 俺も含めて、この場にいる全員が胸が大きく鼓動した。星街が、こんなことを言うなんて、思っても見なかった。

 

「月宮くんは一緒にバンドを組む相手、恋人でもない! お前等が勝手に勘違いして、勝手にこんなことして、月宮くんを傷つけて······許せない」

 

 親衛隊全員が、星街に集中している。

 隙をつくなら、今しかない。

 頭痛がする、いつ意識が飛ぶかわからない。

 それでも、今は立ち上がる必要がある。

 もし、こいつら全員が星街に襲い掛かれば、星街に傷が付く。それは避けなければ。

 ただ、無言で立ち上がるのもあれだ。

 なんかカッコいい台詞······よし、決めた。

 

「そゆこと」

「お前! なんで!!」

「さっきは随分と楽しそうだったなァ!」

 

 思いっ切り、一人目を殴った。

 もう、手を出さずに事を済ます、なんていう甘っちょろい考えは捨てた。

 殴り合い。それでこいつらを黙らせる。

 

「てめっ!」

 

 またもう一人が殴りかかってくるが、側頭部を蹴り飛ばしてやった。

 

「加勢するよ!」

 

 星街のきれいな蹴りが、俺を木刀で叩きやがったやつの顔面に炸裂する。

 

 こいつらは、星街に手を出せない。

 もし手を出せば、自分で自分を許さない。

 だから、絶対的に標的は俺になるのだ。しかし、それは自分の首を占めている。

 星街がフリーだ。

 

 2対19。

 圧倒的人数差。だが、一人の質としては、こちらの方が圧倒的に上。

 戦いを制したのは、俺と星街だ。

 

「······めん」

「ん?」

「ごめんね······月宮くん···私のせいで···」

「気にするな。星街のせいじゃない」

「でも! こんなに···血が」

「いや、そんな大した量じゃないだろ···っと」

「あっ」

 

 少し足元がおぼつかない。

 多分出血量は100ml。多くて150くらいだと思う。

 死ぬってほどの量じゃないが、たしかに保健室に行ったほうがいいかもしれない。

 

「私、何ができる?」

 

 何が······って言われても、保健室連れてってくれくらいしか言えない。

 

「星街·····」

 

 「保健室連れてってくれ」そう言おうとした瞬間、足を踏み外した。

 星街に掴みかかってしまい、二人とも、その場に倒れ込む。 

 なんというか、デジャヴを感じる。

 

「あぁ····保健室連れてって····」

「······うん」

 

 俺は星街に肩を掴まれながら、立ち上がり、ゆっくりと保健室に向かった。

 

 

―――

 

 保健室の扉の前で、星街が言った。

「月宮くん······私のこと、特別にすいちゃんって呼んでいいよ」

「ん? あぁ、了解した。じゃあすいせいで」

「っっ!! な、なんで下の名前呼び捨てにするの!?」

「だって、ちゃん付け恥ずかしいし」

「呼び捨ての方が恥ずかしいでしょ!」

「人の価値観は人それぞれなので」

 

「わかった! じゃあ、すいちゃんも結有くんって呼ぶから」

「いいぞ」

 

 なんというか、俺と星街······いや、すいせいの仲が深まったような気がする。

 

―――

 

 ちなみに、月宮を尾行していたみこちは、殴られた現場を目撃したけど、怖くてずっと隠れてました。




 つかれた。
 あと、終盤の展開キモすぎたんで、書き直しました。
 まだ互いを意識し合うには早いかと

この二人······結ばれる?

  • 結ばれる
  • 結ばれない
  • 結ばれてほしい
  • はよ既成事実つくれや
  • 結ばれないでほしい
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