星と月   作:あいとると

8 / 10
この話のために前回の一部を削除してこっちに持ってきました。


前回のあらすじ

前回の話見ろ


8 その後

 深夜0:00。目が覚めた。ふと横を見ると、

 何故か星街が俺のベッドの横で寝袋にくるまって眠っていた。

 ·····ハルヒか?

 

 ――それにしても、綺麗でかわいい顔してんな···

 

 星街の寝顔を見て、そう思った。

 俺と星街が恋···ね。あり得ないだろ。

 そもそも釣り合うはずがないし、俺と星街はあくまでバンド仲間なんだ。 

 恋に落ちるなんてことあるわけない。親衛隊め、考えすぎだ。

 

 ふと、その髪に触れてみる。

 晴天の空とは少し違う、どこまでも突き抜けるような青色の髪。サラサラで、柔らかな髪。

 この髪色が地毛だというのは、正直驚きだ。

 しばらく感触が心地よくて触っていると、すいせいが「うん···」と寝返りをうった。

 

 それにしても、あと1週間で夏休みかぁ。

 特に予定はないが、どこかへ行ってみたい。そうだな···温泉にでも行きたい気分だ。

 というか、俺はどのくらい寝ていたのだろうか。手術室へ連れて行かれたところまでは覚えているのだが···。

 

 俺は、テレビの日付を見て、衝撃の事実を知った。俺とすいせいが親衛隊とやり合ったのが7月12日の金曜日。

 テレビの日付は、15日。

 

「2日も寝てたのか···」

 

 それほどに酷かったのだろうか。

 正直、大した出血じゃないと思っていたのだが···。

 

 その時、テレビの音が大きかったのか、はたまた俺が髪をいじりすぎたのか、すいせいは目覚めたようだ。

 

「ふぁーぁ」

 

 すいせいが大きなあくびをする。

 

「よっ」

 

 俺が軽く声を上げた瞬間。

 すいせいは、驚いた顔をして、しばらく硬直。その数秒後、目尻に涙を浮かべた。

 

「よがっだぁぁ」

 

「泣くほどひどい怪我じゃないだろ···」

「バカ! 何言ってるの!? 怪我したの1箇所だけじゃない!! 何箇所も縫ってるの!」

「そ、そうなのか?」

「そうだよ! お医者さんが、出血がひどい、って!

もし、あと1時間遅かったら、失血死する可能性もあったかもしれないって!!」

「マジか」

 

 俺の想像以上に、ひどい怪我だったらしい。

 特にひどかったのは、後頭部の出血らしく、幸い頭蓋骨は無事だったらしいが、内出血がひどく、何回も蹴られたことによって傷口が開き、大量出血したらしい。

 

 手術時間は5時間以上に登ったとのことだ。

 

「本当に心配したんだから···」

 

 俺のためにここまで泣いてくれるやつなんていただろうか。1人···いたな。だが、もう会うことは一生ないと思う。

 あいつには、大きなトラウマを負わせてしまった。あいつも、俺には会いたくないはずだ。

 

「ごめん。心配かけて悪かったな」

 

 そう言って、落ち着かせようと髪を撫でようとするが、手を止めた。

 

 7分くらいたったろうか。

 すいせいもある程度落ち着いてきたらしい。

 

「落ち着いたか?」

「――うん」

「看護師さんに目覚めたって伝えないと···」

「私、伝えてくるね!」

「ああ、悪いな」

「そんなことない!!」

 

 そう言って、すいせいは行ってしまった。

 

 数分後、看護師と医師が急いでやってきた。ひょっこりとすいせいも混じっている。

 

「すごいな···こんなにも早く意識が戻るとは···驚異的な回復能力だ···でも、最低3週間は入院だね」

「そんなにですか···」

「うん。正直、いつ失血死してもおかしくないほどだったよ。あれだけの出血で意識を30分以上保つなんて、恐ろしいね。それに、出血も止まっていた。君、どういう体してるんだい? 普通ありえないよ」  

 

「あはは···父親がタフですから」

「そういえば、ご家族は?息子さんがこんな状態なのに、見舞いにすら来ないなんて···」

「あぁ、今仕事で海外にいて、忙しいみたいです」

「そうかい。傷口が開くかもだから、絶対安静ね」

「わかりました」

 

 そう言い残し、医者は病室をあとにした。

 

 すいせいは、医者に頼んで、ここに寝泊まりすることを特別に許可してもらったらしい。

 手術で頭を24針縫い、唇を6針塗ったとのことだ。

 また、輸血も行ったらしい。

 その際、すいせいも献血してくれたようで、本当に頭が上がらないな。

 

「そういえば、親衛隊の奴らはどうなったんだ?」

「捕まったよ」

「まぁ、そうなるか。普通に殺人未遂だ」

 

 そう言った瞬間、すいせいの声色が変わった。怒りや、悲しみ、いろいろな感情が入り混じり震えている、静かな声で。

 

「なんで、そんなに冷静なの? もうすぐで死んじゃうかもしれなかったんだよ!!? それなのに···なんで

···なんで···」

「···」

 

 何も、言えなかった。すいせいの言っていることが、正しいから。

 でも、本当に怖いだなんて思わなかった。不安だなんていう感情は何ひとつ。

 

「死んじゃったら···バンドできないじゃん···。パパやママに、妹さんも···すっごく悲しむよ。すいちゃんだって···私だって···」

 

 そのまま、すいせいは寝てしまった。

 ベッドには、すいせいの大粒の涙がシミになっていた。

 

 




次回、長いと思います

この二人······結ばれる?

  • 結ばれる
  • 結ばれない
  • 結ばれてほしい
  • はよ既成事実つくれや
  • 結ばれないでほしい
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