羅旋 -RAZEN- 〜双極ノ剣〜 作:さぼてんmark.2
「ソルバ、頼むぞ」
「うん」
夜も更けてきた頃。
緋影はソルバをスマートフォンにも似た板状の魔導具にかざし、液晶に近辺の地図と印を映し出す。
これもまた、彼お手製の魔導具である。
魔導輪が探知した気配から情報を読み取りーー周辺地図とともにおおよそのホラーの位置を割り出すといったものだ。
彼らはそれを頼りに、駆け出した。
目指す場所はーー老父の住む家。
※※
そして数十分程走り続けーー辿り着いた目的地。
「うわああああーっ!」
「今の声…!」
「急ぐぞ!」
家の中から聞こえてくる絶叫を聞きつけ、彼らはさらに歩を早める。
「邪魔するぞ!」
そうして緋影が戸を蹴破り大部屋を見やると、
「貴様ぁぁーっ!」
「おのれ親に逆らうか?」
二人の男性が組み合っていた。
一人は老父、もう一人は鬼気迫る表情を浮かべる中年の男。
緋影は先程の魔導具を取り出し、裏面の瞼型カバーを開く。
するとーー液晶には老父の姿がホラーとして映し出されているではないか。
「こっちか!」
ホラーに向かって円参を投擲する緋影。
しかし、あっさりとそれは切り払われてしまう。
「誰だ!?邪魔だぁーっ!」
「今邪魔なのはあんただ」
素早く割って入るも、激昂した男に詰め寄られる緋影。
彼は男の額に札を貼り付け、眠らせる。
そうしてホラーの方へと向き直りーー魔戒剣を抜いた。
「ここからは俺が相手しよう」
「魔戒騎士か…腹ごなしにはちょうど良いわ」
「何?」
その言葉に、周囲を見やる緋影。
するとーーそこには、子供の物であろう財布が落ちているではないか。
おおよその状況を理解した緋影は怒りに顔を歪める。
「…許さん!」
言い放ち、駆け出す彼。
魔戒剣を逆手に持ち、一振りを繰り出すもーーそれはホラーの手にした軍刀で易々と受け止められてしまった。
「荒い太刀筋だな魔戒騎士?」
軍刀を振るい、緋影を軽く弾き飛ばすホラー。
緋影は左手をついて動きを止めると、眼前の敵を睨みつける。
「落ち着いて緋影!一旦場所を変えなきゃこの人間を巻き込んでしまうよ!」
ふぅ、ふぅと息を荒げる緋影を諌めるように言うソルバ。
「………ああ」
相棒の言葉に我へと帰り、緋影は魔戒剣を収めると、魔法衣の裾に手を伸ばす。
そして取り出したるはーー鉤縄めいた自作の魔導具に魔導筆。
「ハッ!フッ!」
緋影は、魔導筆を用いて法力を込めた鉤縄をホラー目掛け投擲!
「甘いわ!」
それを軍刀で弾き飛ばすホラー!
しかし、鉤縄は尚落下せず、大蛇めいてホラーの元へと向かうではないか!
「なっ!?」
意表を突かれたホラーの鳩尾を刃が捉える!
「かかった!」
瞬間、緋影は己の手にある縄を引き、ホラーの体勢を崩す!
そしてそのままハンマー投げめいて回転し、遠心力を利用して大きくホラーを放り捨てた!
戸を、壁を破り、ホラーが外へと投げ出される。
それを追い、表へ出る緋影達。
そこには、鉤縄を引き抜き立ち上がるホラーの姿が。
「おのれ…!」
憎々しく緋影を見つめる視線には、屈辱の念が現れていた。
「魔戒騎士め…!斬り捨ててくれる…!」
「その醜く錆びついた刃でか?」
「何を言う…!貴様にはわからぬか、この美しき刃が…!」
月明かりに輝く刀身を見せつけ、叫ぶホラー。
「何度でも言ってやろう…罪無き者の血を啜って来た刃など…錆だらけの屑鉄だ!」
それを一蹴し、構える緋影。
「粛正だ…!粛正してくれるわぁッ!」
立場が逆転し、激昂するホラー。
軍刀を構え、振るうと蠍めいた鎧を纏う怪物へと姿を変える!
「奴はホラー、スコルベル!硬い装甲と毒に気をつけて!」
「ああ、わかった…」