羅旋 -RAZEN- 〜双極ノ剣〜   作:さぼてんmark.2

6 / 8
杵 柄 ④

「ソルバ、頼むぞ」

「うん」

 

夜も更けてきた頃。

緋影はソルバをスマートフォンにも似た板状の魔導具にかざし、液晶に近辺の地図と印を映し出す。

これもまた、彼お手製の魔導具である。

魔導輪が探知した気配から情報を読み取りーー周辺地図とともにおおよそのホラーの位置を割り出すといったものだ。

 

彼らはそれを頼りに、駆け出した。

目指す場所はーー老父の住む家。

 

※※

 

そして数十分程走り続けーー辿り着いた目的地。

 

「うわああああーっ!」

 

「今の声…!」

「急ぐぞ!」

 

家の中から聞こえてくる絶叫を聞きつけ、彼らはさらに歩を早める。

 

「邪魔するぞ!」

 

そうして緋影が戸を蹴破り大部屋を見やると、

 

「貴様ぁぁーっ!」

「おのれ親に逆らうか?」

 

二人の男性が組み合っていた。

一人は老父、もう一人は鬼気迫る表情を浮かべる中年の男。

緋影は先程の魔導具を取り出し、裏面の瞼型カバーを開く。

するとーー液晶には老父の姿がホラーとして映し出されているではないか。

 

「こっちか!」

 

ホラーに向かって円参を投擲する緋影。

しかし、あっさりとそれは切り払われてしまう。

 

「誰だ!?邪魔だぁーっ!」

「今邪魔なのはあんただ」

 

素早く割って入るも、激昂した男に詰め寄られる緋影。

彼は男の額に札を貼り付け、眠らせる。

そうしてホラーの方へと向き直りーー魔戒剣を抜いた。

 

「ここからは俺が相手しよう」

「魔戒騎士か…腹ごなしにはちょうど良いわ」

「何?」

 

その言葉に、周囲を見やる緋影。

するとーーそこには、子供の物であろう財布が落ちているではないか。

 

おおよその状況を理解した緋影は怒りに顔を歪める。

 

「…許さん!」

 

言い放ち、駆け出す彼。

魔戒剣を逆手に持ち、一振りを繰り出すもーーそれはホラーの手にした軍刀で易々と受け止められてしまった。

 

「荒い太刀筋だな魔戒騎士?」

 

軍刀を振るい、緋影を軽く弾き飛ばすホラー。

緋影は左手をついて動きを止めると、眼前の敵を睨みつける。

 

「落ち着いて緋影!一旦場所を変えなきゃこの人間を巻き込んでしまうよ!」

 

ふぅ、ふぅと息を荒げる緋影を諌めるように言うソルバ。

 

「………ああ」

 

相棒の言葉に我へと帰り、緋影は魔戒剣を収めると、魔法衣の裾に手を伸ばす。

そして取り出したるはーー鉤縄めいた自作の魔導具に魔導筆。

 

「ハッ!フッ!」

 

緋影は、魔導筆を用いて法力を込めた鉤縄をホラー目掛け投擲!

 

「甘いわ!」

 

それを軍刀で弾き飛ばすホラー!

しかし、鉤縄は尚落下せず、大蛇めいてホラーの元へと向かうではないか!

 

「なっ!?」

 

意表を突かれたホラーの鳩尾を刃が捉える!

 

「かかった!」

瞬間、緋影は己の手にある縄を引き、ホラーの体勢を崩す!

そしてそのままハンマー投げめいて回転し、遠心力を利用して大きくホラーを放り捨てた!

戸を、壁を破り、ホラーが外へと投げ出される。

それを追い、表へ出る緋影達。

そこには、鉤縄を引き抜き立ち上がるホラーの姿が。

 

「おのれ…!」

 

憎々しく緋影を見つめる視線には、屈辱の念が現れていた。

 

「魔戒騎士め…!斬り捨ててくれる…!」

「その醜く錆びついた刃でか?」

「何を言う…!貴様にはわからぬか、この美しき刃が…!」

 

月明かりに輝く刀身を見せつけ、叫ぶホラー。

 

「何度でも言ってやろう…罪無き者の血を啜って来た刃など…錆だらけの屑鉄だ!」

 

それを一蹴し、構える緋影。

 

「粛正だ…!粛正してくれるわぁッ!」

 

立場が逆転し、激昂するホラー。

軍刀を構え、振るうと蠍めいた鎧を纏う怪物へと姿を変える!

 

「奴はホラー、スコルベル!硬い装甲と毒に気をつけて!」

「ああ、わかった…」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。