PrecureStageON!   作:主氏レム

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ガッツリ戦闘回ですね


第38話:大激戦!?混沌のみなとみらい

 

 

 

 

 

「さて、覚悟はいいよね?コンプリート・ステージON!」

 

 

 

  プリキュアオールスターズの世界の、神奈川県横浜市はみなとみらい。

 

 

 

 この世界では現在、闇の使者が放ったであろう大量のネオフュージョンの欠片の侵攻に遭い、それを食い止めるためにプリキュアオールスターズがそれぞれのエリアで戦っている。

 遊園地エリア・スタジアムエリア・横浜三塔エリア、そして、巡が今現在いる横浜マリンタワーエリアの4ケ所に別れ、彼女達は本来ならこの場所で呑気に観光しているはずだったのだが。

 

 繋巡もまた、前日まで熱を出してからの病み上がりではあるものの、この世界に闇の使者やネオフュージョンの欠片が現れたと言うことで、プリキュア達と共に戦おうとしている。

 

 

 

 

 

「現となりし、12の魂!キュアコンプリート!」

 

 

 

 

 

『CureWeapon!Lovely!』

 

「……んじゃ、さっさとやっちゃおうか」

 

 

 

 

 

 迫り来る欠片に対し、コンプリートはラブリーショットガンの銃口を向けるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第38話:大激戦!?混沌のみなとみらい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<プリキュアオールスターズの世界 神奈川県横浜市・みなとみらい>

 

 

 

 

 

 漆黒の雲に覆われた世界の下にて。

 

 

 

 

 

 普段なら来場客で賑わっているはずの、3つのゾーンに分かれた都市型立体遊園地・『よこはまコスモワールド』。しかしいつもの様な賑わいの代わりに、激しい衝撃音と怪物の咆哮で満ちているようだ。

 横浜市内の名所ともなる巨大な観覧車であるコスモクロック21周辺に、さまざまな怪物の姿をしたネオフュージョンの欠片が数体出現し、遊具を破壊しようと暴れている。

 

 

 

『コワイナーァァァ!!』

『アカンベェ〜!!』

 

 

 

 遊園地内で暴れる欠片数体に、放たれた2つの炎のボールが胴体を貫き燃やし尽くす。次々に消滅する欠片達でできた道の間に、疾風を纏う緑色の光のボールが通り抜け、一際大きな欠片に被弾する。

 

 

 

『ネガッ!?』

 

 

 

 さらにそこへ、音符の形をした魂振るわせる光の弾丸が降り注ぎ、大きな欠片を一体消滅させた。

 

 

 

「……っ!本当にまだまだいるわね!」

「こんなんキリがないやろ!」

「それでも、ここで食い止めて他の場所へ行かせない様にしないと!」

「アタシらはただ、横浜に遊びに来ただけだってのに……!」

『ネ〜ガ〜ッ!!』

 

 

 

 ボールを放ったのはルージュとサニーとマーチ、音符型のエネルギー弾を放ったのはビートのようだ。彼女達は本来、みなとみらいで遊ぶ約束をしていたはずなのだが、突然の怪物の大量出現にこうして戦わざるを得なくなっている。

 そんな4人の元へ、欠片が一体飛びかかって襲いかかろうとする。しかし、正面に現れたミントが展開する光の円盤により、奴の攻撃が防がれる。

 

 

 

「それなら、早く終わらせないといけないわね……!」

「ミント!そのまま耐えていてください!」

 

 

 

 見晴らしのいい場所から、アクアとビューティが放つ水と氷の矢が放たれ、ミントを押し返そうとする欠片に被弾し吹き飛ばす。

 

 

 

「5人とも!後ろは任せて!」

「アクア!ビューティ!そっちは頼んだ!」

 

 

 

 遠くからの攻撃は二人に任せ、マーチ達は再び地上にいる欠片達を相手するために駆け出すのであった。

 

 

 

「二人とも危な〜い!」

 

 

 

 そんな二人の元に迫っていた欠片を、ミルキィローズが全力でぶっ飛ばし、ハッピーが放つ桃色の光波を放って追い払う。

 

 

 

「二人の邪魔はさせないわよ!」

「2人とも……!ありがとうございます」

 

 

 

 

 

『ホシイナーァァァ!!』

「こ、来ないで〜っ!!」

 

 

 

 一方別のエリアでは、欠片数体に追いかけ回されていたピースが反撃の一手でバチバチと放電して欠片達の動きを止める。

 

 

 

「ピース!ちょうどいいところで集めてくれたわね!」

「あとは任せてください!」

 

 

 

 と、ピースの横からレモネードとミューズが飛び出し、大量の泡と光のチェーンで周囲に散らばっていた欠片達を1箇所に集めていく。集まった箇所に、3人のプリキュア達がそれぞれ必殺技を構えている。

 

 

 

「みんな!ちょっと離れてて!」

「リズム、いくよ!」

「ええ!」

 

 

 

 欠片達の元へ、光を纏ったドリームの流星の様な突進と、メロディとリズムが放つ五色の光のリングが放たれ、大爆発を起こす。

 このエリアに出現した欠片達はあらかたやっつけられたようで、ここにいたプリキュア達は遊園地の他のエリアを移動するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 場所は変わって『横浜スタジアム』。とある球団の本拠地でもあるこの施設は、横浜公園内にある日本初の多目的スタジアムである。現在は特に試合やイベントの予定が入っていない分、人の気配はほとんどない。

 だからこそ、ネオフュージョンの欠片達が自由に暴れやすい場所となって大量に出現しているのだろう。

 

 

 

「マリン・ダイナマイトォッ!!」

『キキーッ!?!?』

 

 

 

 スタジアムの中心で、マリンの大声と同時に、周囲に出現した欠片達がマリン中心に引き起こされた光の大爆発に巻き込まれ、次々に吹き飛ばされて消滅していく。

 

 

 

「ああ〜っ!ちょっと逃げんなし!!」

「リンクル・ガーネット!」

『ヨクッ!?』

 

 

 

 爆発を逃れようとする欠片達に対しては、マジカルが放った大地を揺るがす魔法により、強制的な足止めを喰らわされて徐々に巻き込まれていく。

 

 

 

『ウザイナーッ!!』

「空の上にも……!」

「あなた方の好きにはさせません!」

 

 

 

 上空を飛び回れる様な姿の欠片が、地上に向かって黒い闇のエネルギー弾を大量に爆撃しようとする。

 しかし、サンシャインが展開する向日葵の形をした巨大な光のバリアと、フェリーチェが展開する花の形のバリアによって、スタジアムや周辺の建物にまで被害が及ばないように防がれる。

 欠片達も執念深くバリアを破ろうと爆撃を続けるが、魔法の箒に乗って周囲を飛び回るミラクルに標的を変え、攻撃しようとする。

 

 

 

「そうそう、こっちだよ〜!」

『ウザイナー!!』

『ヨクバール!!』

「リンクル・アメジスト!……そっちに行かせたよ!」

 

 

 

 突如として放たれた光の扉に突っ込んでしまい、扉の奥につながるスタジアムの上空へと飛ばされてしまう。

 

 ミラクルを見失うも、スタジアムの電光掲示板の上で待っていたブルームとイーグレットに目をつけ、襲いかかろうとする。しかし彼女達は精霊の光を纏って飛び上がり、上空へと舞い欠片達の視界から消える。

 

 

 

「このっ!!」

「はぁぁぁっ!!」

『『!?』』

 

 

 

 光を纏った拳と踵落としがそれぞれ頭上で決まり、電光掲示板を破壊させることなく再びスタジアムのフィールドの方へと押し戻される。先ほどまで小さな欠片達で溢れかえっていたそこは、大爆発でほとんど壊滅に追いやられているようだ。

 

 

 

「二人とも!お願い!」

「任せてください!」

 

 

 

 その先で待っていたのは、桃色と銀色の花の形をしたエネルギー弾を構えるブロッサムとムーンライトだった。同時に放たれたエネルギー弾に飲まれ、怪物達は消滅してしまう。

 

 

 

「……、まだ気配がするわね」

「もしかすると、スタジアムの外の方にも現れてるのかしれません……!」

「マリンとマジカルには先に外の方に行ってもらっているわ。私たちも行きましょう」

「はい!」

 

 

 

 スタジアム内のかけたはあらかた片付けたとして、ムーンライトはブロッサムと、地上に降りてきたブルームとイーグレットと共に、外にも同じ様に大量に出現しているであろう欠片を食い止めるために走り出す。

 

 

 

 

 

「……」

 

 

 

 いつの間にか、二人がいた電光掲示板の上で、黒い翼を生やした誰かが欠片やプリキュアたちの様子を見下ろしていた。しかしその人物は、欠片たちが制圧されたと分かるとすぐに退散していった。

 

 

 

「……?」

「ブルーム、どうしたの?」

「今誰かに見られた様な気がしたんだけど……気のせい?」

 

 

 

 ふと、その誰かの視線を感じてブルームが立ち止まり、スタジアムの電光掲示板の方を見上げる。空は相変わらず黒く不穏な雲に覆われていて、その場所はすでに誰もいなくなっている。イーグレットに心配されるものの気のせいだろうということにして、再び彼女はスタジアムを後にするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さらにここは『横浜三塔』周辺にて。横浜の歴史的建造物である横浜市開港記念会館・横浜税関・神奈川県庁の三つの建物の総称であるこの場所ですらも、現在は人の気配はほとんどしない。その代わりに出現しているのは、やはりネオフュージョンの欠片達ばかり。

 

 

 

『ソレワターセェェェ!!』

 

 

 

 暴れ出そうとする怪物に、青いスペード型のエネルギー弾と紫のスペード型の光の剣が被弾して消滅する。しかし、一体倒せばまた別の個体が現れるために、一体ずつ相手にするのもキリがないようだ。

 

 

 

「ああもうしつこいわよっ!」

「きっと今は、いろいろな場所でこんな感じなんだわ……!」

 

 

 

 際限なく出現する欠片に声を荒げるベリーと警戒を緩めないソードの元に、真っ白な羽根が舞う嵐と不死鳥の炎が広がり、近づこうとする欠片達の足を止める。

 

 

 

「パッション!スカーレット!」

「二人とも、大丈夫?」

「私たちは大丈夫よ!助けてくれてありがとう!」

「……お礼は、周囲の欠片をなんとかしてからですわよ……!」

 

 

 

 炎や嵐が吹き荒れようが関係なく、欠片達の侵攻は止まらない。そんな中、欠片の一体を黄色のダイヤ型のエネルギー弾と、赤い花びらを纏った光線が貫いた。

 

 

 

「怪我はない〜!?」

「油断は禁物ですわよ〜!」

「わかってる!二人もそっち気をつけるのよ〜!」

 

 

 

 建物の上に出現していた欠片達の相手をしているパインとエースと呼びかけ合いながら、周辺に現れた欠片達の数を着実に減らしていく。

 

 

 

 

『ジコチュ〜ッ!!』

「囲まれちゃったね……!」

「その様ですわね……!」

 

 

 

 ロゼッタとトゥインクルは、それぞれクローバー形と満月型の光のバリアを展開しつつも、欠片達に囲まれていた。しかし彼女達の顔はどこか余裕そうだ。

 それもそのはず。欠片達は後ろで攻撃を構えていたダイヤモンドとマーメイドに気づいていないのだから。二人が放つ冷気とダイヤ型の光の吹雪が、ロゼッタとトゥインクルを取り囲む欠片達を凍らせてしまう。

 

 

 

「……ま、こうなるから大丈夫だったんだけどさ?」

「二人して無茶するんだから……!」

「あとは、そっちにいる欠片を片付ければ、この辺りは安全になるはずよ」

「ハート達なら、きっと大丈夫ですわ」

 

 

 

 

 

『ゼツボーグッ!!』

「「はぁぁぁっ!!」」

 

 

 

 迫り来る大きな欠片の猛攻を、ピーチとハートの二人の拳が食い止める。攻撃を弾かれた欠片は視界に入ったフローラの方を向いて飛びかかろうとする。

 

 

 

「はぁっ!」

『ゼツッ!?』

 

 

 

 しかし欠片はフローラの放った鋭い蹴りをお見舞いされ、二人の方へと押し戻される。色とりどりの花びらが舞う中、フローラはいつの間にかモードエレガントの状態で花吹雪を放つ。

 欠片は花びらに飲まれるかと言わんばかりに防御の姿勢をとるが、後ろはガラ空きである。その無防備な背中に向けて、ピーチとハートが放った二つのハートのエネルギー弾に飲まれてしまい、そのまま消滅してしまった。

 

 

 

「……よし!これでここは大丈夫だね!」

「ちょうどハッピーから連絡が来たみたいだし、アタシ達も他のところのいる欠片のところに行こう!」

「急に欠片が降ってくるとは思わなかったけど、みんなで力を合わせれば、怖いものはない!」

 

 

 

 ハート達の先導で、別の場所にいる仲間達の助けに入るために、プリキュア達は横浜三塔を一度後にするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてここは、素敵な記念日の場としても人気の高い『横浜マリンタワー』付近にて。このエリアでも同様に、ネオフュージョンの欠片達が出現して襲いかかろうとしていた。

 欠片一体がコンプリートを叩き潰そうと拳を振り下ろすが、コンプリートはすぐにラブリーショットガンで光の弾丸を数発素早く撃ち込み、欠片を怯ませる。

 

 

 

『ザケ……ッ!?』

「あたしの戦い方くらい、君たちもそろそろわかってきてるでしょうに……」

「油断したわね!」

 

 

 

 欠片が怯んだところで、フォーチュンの光を纏った拳を叩き込まれ、その衝撃で吹っ飛ばされる。吹っ飛ばされた欠片は後ろにいた数体を巻き込んで、後ろの方へと飛ばされてゆく。

 

 

 

「「はぁぁぁっ!!」」

 

 

 

 吹き飛ばされつつも反撃に出ようとする欠片達を黙らせるかのように、ブラックとホワイトが一斉に飛びかかり、彼女達の息の合った攻撃に耐えられず次々に消滅していく。

 

 

 

「パルフェ!一緒に行くわよ!」

「ええ!」

『……!』

 

 

 

 空を翔けるハニーとパルフェが構える2本の光のリボンが、上空にいた空を舞う欠片数体を巻き込みながら縛り上げ、身動きが取れないように地上の方へと投げ飛ばされる。

 

 

 

「一気に行きますよ!」

「うおおお!あとは任せろ!」

「私もぉ!」

 

 

 

 地上に落ちてくる欠片達を、カスタードが放つ無数の光の弾丸と、ジェラートが繰り出す氷の礫が迎え撃つ。さらにプリンセスがバレリーナの様な姿となり、雪花のような氷の粒を落下させて追い打ちをかける。

 

 彼女達の反対側に迫っていた欠片達は、ルミナスが放った虹色の光に飲まれ、その侵攻を封じられている。

 

 

 

「お二人とも!」

「助かるわ……!」

「攻撃は私たちに!」

 

 

 

 そこへ、マカロンのヨーヨーのようなクリームエネルギーの塊と、ショコラのドリルの様なチョコレートの渦が取り巻き欠片達をキラキラルの力で浄化し、次々に消滅させていく。

 

 その奥の方にいたのは、一際大きなサイアークの姿をした欠片だった。

 

 

 

『サイアーァァァク!!』

「えぇい!」

 

 

 

 振り下ろそうとした拳を、ホイップの放ったムチのようにしなるクリームエネルギーが巻きつく。ホイップごと引っ張り上げて振り回そうとするが、ホイップも負けじと踏ん張っている。

 

 

 

「ぐぬぬぬ……っ、負けない……!」

「ホイップ、今助けるよ」

 

『CureWeapon!Melody!』

 

 

 

 頑張っているホイップの姿を見かけ、コンプリートはショットガンからメロディベルに持ち替えて飛び上がる。特に他のプリキュアの力を纏わせることなく、欠片に対してハンドベルを大きく振り上げている。

 

 

 

『こ、コンプリート!?何するつもり!?』

「いやちょっとお試し……!」

 

 

 

 そのまま欠片の方に向けて、ハンドベルを思いっきり振り落とす。放たれたのは澄んだ鐘の音色ではあるが、脳を揺さぶるような鼓膜を破壊しそうなほどの爆音で響き渡ったため、欠片が怯んでしまった。

 

 

 

「ちょっと大きいけど、こんな使い方もできるのか」

『いや結構うるさかったよ!?』

「でもこれで、なんとか……!!おりゃ〜っ!!」

 

 

 

 欠片が怯んだことをいいことに、ホイップが思いっきりクリームエネルギーを引っ張り、欠片を前の方に転倒させようとする。それでも起きあがろうとする欠片の頭上では、ラブリーが巨大な光の拳を構えて攻撃の隙を窺っていたようだ。

 

 

 

「ラブリー・パンチングパーンチッ!!」

 

 

 

 勢いよく放たれた拳は、起きあがろうとした欠片を押しつぶし、一気に消滅させた。

 

 

 

「ラブリーさっすが〜!!」

「おお容赦なく行った」

『この近くの欠片はある程度片付いたのかな?』

『それなら、他の場所に現れた欠片もどうにかしないと……、っ!?』

 

 

 

 

 

 ステフォンの中で、ハートが妙な気配を感じとってタワーの方を見上げる。他のプリキュアやコンプリートも向けられた殺意のような何かを感じ取って、思わずタワーの方を向いた。

 

 

 

「あそこに誰かいる……?」

「まさか、闇の使者……!?」

 

 

 

 マリンタワーの展望台の上から、虚ろで澱んだ紅い瞳を光らせながら、誰かがブラックの方へと翼をはためかせて急降下してくる。コンプリートやプロトキュア達には、その姿に見覚えがあった。おそらくこの欠片の騒ぎも彼女によるものなのだろう。

 

 

 

『あれは……!』

「やっぱりあの子だよね……!」

「っ!?」

「ブラックっ!!」

「しまったまた誘拐かな?好きだねあの子も……」

『コンプリート、今は追いかけるよ!』

 

 

 

『CureWeapon!Happy!』

 

 

 

 ブラックはその黒い影に捕まってしまい、はるか上空へと飛ばされてしまう。コンプリートはすぐにハッピーウィングを背中に装備し、同じく上空へと舞い上がって黒い影を────ダークネスブラックを追いかける。

 

 

「コンプリートまで!?」

「みんな!私たちも追いかけましょう!」

 

 

 

 突如現れた乱入者に連れて行かれたブラックと、彼女を追いかけていったコンプリートを、ホワイト達も再び集まり出した欠片達を掻い潜りながら追いかけるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐ、うぅ……!」

「待てえええ!!」

「……」

 

 

 

 一方、ハッピーウィングの力で猛スピードで飛んでいくコンプリートは、ブラックを吹き飛ばしたダークネスブラックを見失わないように追い続ける。途中、コンプリートを追い払おうと雷撃を放たれるが、それも全て避けて距離を縮めていく。

 

 

 

「ブラック!」

「このっ、離してってば!」

「っ!!」

 

 

 

 しかしブラックも負けじと激しく抵抗し、ダークネスブラックの腕の中から抜け出したようだ。しかしここは地上何百メートルもの上空。地面に向かって緩やかに速度を上げながら落下していくブラックをなんとかキャッチし、コンプリートは地上へと降りていく。

 

 

 

「ふ、ふうびっくりした……、なかなか大胆なことするね……」

「あ、ありがとうコンプリート……何も考えずに抜け出しちゃったからどうしようかと……」

「え、えぇぇ……?……ぅ」

『……あれ?』

 

 

 

 

 ふとここでプロトラブリーは、コンプリートが若干ふらつき、動きが鈍り始めたことに気づく。最近では長時間戦っても疲れることはなかったのに、今は若干呼吸が荒くなっているような気がする。

 

 

 

 

『コンプリート!大丈夫!?』

「う、うん…、少し、頭が痛くて……ついでになんか具合が悪い気がする……」

『頭痛と、具合が悪い……?ま、まさか風邪ぶり返した!?このタイミングで!?』

「ぶり返したって……あ、あんたまさか、今まで風邪引いてたの?!」

「病み上がり直後って言ったじゃん……」

 

 

 

 ブラックに問いかけられて、そういえば自分は今日熱が下がったばかりの病み上がり人間だったと言うことを自覚させられる。そもそもこの世界自体が肌寒かったり、病み上がりなのに激しい戦闘にかまけていたおかげか、治ったばかりの体が追いつかなかったようだ。

 手を額に当てれば、平熱時よりも地味に熱くなっているような気もしている。

 

 そんなコンプリートの体調事情なんざ知らないダークネスブラックは、彼女達の方へと急降下して拳をぶつけようとする。

 

 

 

 

「……っ!」

『コンプリート、危ない!』

 

『CureWeapon!Peach!』

『PowerCharge!Custard!』

 

 

 

 避けようとしたコンプリートが間に合わないのを悟り、ステフォンの中からピーチイージスが飛び出し、闇の使者の放つ拳を、泡だった黄色のクリームエネルギーで受け止める。彼女が持つ闇の力を中和し、なんとか彼女の攻撃を防ぎ切る。

 

 

 

『いっ……たぁぁい!!』

「ピーチ……!大丈夫……?」

『大丈夫だよ一応!アタシだってこれくらいは受け止められるから!』

 

 

 

 それでもかなりの威力があったようで、ピーチがかなり痛がっていたようだが、コンプリートたちを守るためならと気合いで耐え抜いた。彼女ばかりに頼るわけにもいかず、なんとかしてあのダークネスブラックの猛攻から反撃をしなければならないと、ふらつく体と歪みそうな視界を引きずりながらも懸命に身構える。

 

 

 

「コンプリート!……ここは私に任せて!」

「!!」

 

 

 

 と、次々と放たれる拳を避けていたコンプリートの間に、一緒に投げ出されたこの世界のブラックが割り込み、闇の使者の攻撃を引き受ける。

 しかし彼女の攻撃は全て避けられ、ダークネスブラックの攻撃を喰らいつつも、明らかに本調子ではないコンプリートからなんとかダークネスブラックを遠ざけようとする。

 

 

 

 

 

「はぁ……はぁ……はぁ……っ、このっ!」

「……呆れた。その程度で私を引き付けたつもり?」

「……っ、まだまだぁっ!!」

「!」

 

 

 

 煽って動きを狂わせるつもりが、この世界のキュアブラックが放った回し蹴りが自身の胸の紅いクリスタルを掠った。この世界のプリキュア達は、今までの世界のプリキュア達とは何かが違う。かつてコンプリートが一度だけ迷い込んだことが影響していたのかはわからない。

 ただ分かるのは、いくらダークネスブラックであれど油断していれば、彼女達に闇の者として懲らしめられてしまうことだろう。

 

 

 

「……なかなかやるじゃない」

「アンタは、別の世界の『私』なら……自分のやれることくらい、自分が一番分かってるはずでしょ!」

「……っ、そうよ。私自身が一番分かっている……」

 

 

 

 ブラックにそう指摘されて、一度大きく距離をとったダークネスブラックはあからさまに不満げで気を悪くした様に表情を顰める。

 

 どの世界の自分にも言われたことのなかった指摘に、かつて何も守れなかった時の自分に怒られているような居心地の悪さに、ダークネスブラックは拳を強く握りしめる。

 

 

 

「けど……アンタにだけは、言われたくない……ッ!!」

「……!!」

 

 

 

 そんなブラックに向かって、黒い翼をはためかせて殴りかかろうとする。

 

 ブラックがふと後ろを振り向くと、コンプリートが投げキッスの要領で右手の指を銃口のように構え、ハートの形をした光の弾丸を放とうとしている。

 本人的にはぶり返した風邪の症状で動いているのも辛いはずなのに、ダークネスブラックを止めるために集中を切らすことなく真っ直ぐに見据えている。

 

 

 

「……コンプリート!」

「!!」

「気づいてくれてありがと……!プリキュア・ブレッシングキッスッ!!」

 

 

 

 ブラックが弾道になるであろう場所を避けると、ダークネスブラックの正面へと向かってコンプリートの放ったハートの弾丸が、真っ直ぐに撃ち出される。

 弾丸を避けられずにダークネスブラックは正面でそれを被弾させてしまい、土煙と硝煙が混ざったものが立ち込め視界を閉ざす。

 

 

 

『やった!コンプリート!当たったよ!』

「よ……よかった……っ」

『コンプリート!?』

 

 

 

 何気に初めてダークネスブラックに対して、まともな攻撃を被弾させたために喜びの声が上がる。しかしそれも一瞬のこと。コンプリートはぶり返した熱と頭痛に耐えきれず、強制的に変身が解けて意識を飛ばしてしまう。

 

 元の姿に戻った巡の元に、攻撃を喰らったのにも関わらず果敢に飛んできたダークネスブラックによって、胸ぐらを掴まれてしまう。

 

 

 

「……よくも、やってくれたわね……!」

「……っ」

『嘘!?』

「そうだ、アンタ達を困らせるなら、ああするし(・・・・)かないわね」

「え……」

 

 

 

 変身が強制的に解除した反動で、ぶり返した発熱風邪の症状を急に食らったために、掴まれたまま抵抗のできない巡。彼女はそのままダークネスブラックによって思いっきり投げ飛ばされ、ブラックの方にぶつけられる。

 

 

 

「え、ちょ、ちょっと、きゃあっ!?」

「ぅぐ」

 

 

 

 病人の巡を乱雑にぶつけられるとは思わなかったブラックは、なんとか彼女を受け止めるものの、一緒になって地面の上に倒れ込んでしまう。追い打ちをかけるように真っ黒なワープホールが二人のいる地面の上に生成され、巡とブラックはその穴の中に落とされてしまった。

 

 

 

「きゃあぁぁぁ!?」

「……っ」

『そんな、ブラックごと!?』

 

 

 

 気絶した巡と落ちそうなステフォンのどちらも抱えながらブラックは、遠ざかっていくみなとみらいの景色に手を伸ばすものの、それ以上はどうすることもできず、どんどん下の方へと落ちていく。その様子を、ダークネスブラックが虚ろで澱んだ紅い瞳で見下ろし眺めている。

 

 

 

(……これで、この世界は簡単に邪魔されないはず)

 

 

 

 

 

 閉じゆくワープホールを見届けながら、ダークネスブラックの表情は自身の勝利を確信してか、僅かに綻んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……!!」

「ほ、ほのかさん!?」

「変身が解けた!?」

 

 

 

 突如ネオフュージョンの欠片達が消え去り、空が再び鮮やかな色彩を取り戻したと思ったら、吹き飛ばされていったブラックを追いかけていたホワイトの変身が解除されてしまった。

 

 明らかにブラックもといなぎさ側で何かがあったとしか思えず、他のプリキュア達も急いで駆けつけようとする。

 

 

 

「なぎさ……、なぎさ!!」

「ほのか!!」

 

 

 

 名前を呼ぶほのかの声に反応してか、同じく変身が解けてしまったであろうなぎさがその姿を表す。少々ボロボロではあるものの、なぎさ自体に何かが起きたわけではないと分かって、一同が安堵する。

 

 

 

「なぎさ、大丈夫!?」

「あの黒いブラックに吹き飛ばされていったけど……」

「あ、うん。危なかったけど、なんとか無事だったよ。急にいなくなったと思ったら、ザケンナーとかも一緒にいなくなっちゃうし……」

「この様子だと大丈夫そうね……」

「も〜心配しましたよ〜!?」

「あはは、ごめんごめん」

 

 

 

 他のプリキュア達との会話をしつつ、なぎさは何事もなかったかのようにケロッと笑って、彼女達に心配しないでと言葉を返す。そんないつも通りのなぎさの様子に安心感を覚えるほのかであったが、ふと彼女に対して僅かに奇妙な違和感を感じ取る。

 

 

 

「……?」

「……ほのか?どうしたの?」

「え、ええ……なんでもないわ。なぎさが元気そうで安心したわ……」

「他のところにいるみんなにも連絡しよう!」

 

 

 

 一度でも抱いた奇妙な感覚を見透かされたかのようになぎさに声をかけられたが、ほのかは思わず笑って誤魔化してしまう。彼女は自分の親友であるはずなのに、どうして疑ってしまうかの様なことをしてしまったのだろうか?

 

 

 

 

 

────一瞬だけ、目の前のなぎさの瞳が虚ろに紅くゆらめいた様な気がしたのは、気のせいであってほしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……、……っ!?」

『あ!なぎささん起きた!!』

『というかここって、巡の部屋!?』

「……」

『め、巡!!しっかりして!!』

 

 

 

 

 

 なぎさが気がついた時には、見知らぬ人物の部屋の中で倒れていた。変身は、キュアホワイト(雪城ほのか)と離れてしまったことで解除させられている。

 

 

 ……いや、違う。先ほどのダークネスブラックのせいで、なぎさごと『巡の世界』に投げ込まれてしまったようだ。

 

 倒れている巡はぶり返した高熱で意識が若干朦朧しているようで、プロトラブリー達の必死の呼びかけにも、うなされながらでしか返事をしない。

 

 それ以上に、なぎさが巡の世界に飛ばされてしまったのが大問題だ。

 

 

 

「は、早く戻らないと……!」

「ワープホール出せる!?……きゃあっ!?」

 

 

 

 プロトブラックが焦ってステフォンから飛び出して『WorldTrip』を起動し、先ほどまでいたはずのオールスターズの世界へと繋がるワープホールを開こうとする。しかし、ワープホールは足元に展開することはできても、いざ入ろうとすればバチッ、という静電気のような電流とともに弾かれてしまう。

 

 

 

『ブラックッ!!』

「だ、大丈夫!?……い゛っ!?」

『ワープホールが、入れてくれない!?』

 

 

 

 弾かれたプロトブラックの代わりになぎさも足を踏み入れようとするが、彼女も同じように大きく弾かれてしまう。まるでダークネスブラックに妨害されているのか、こちらからの干渉を受け付けてくれない。帰らなければならないのに、帰らせてくれない。初めての事例かつ使用者の巡の撃沈が重なり、プロトキュアたちがそれぞれ大混乱している。

 

 ネオフュージョンの欠片達はなんとかなっているものの、あのまま闇の使者を放置していればまたしても大変なことになってしまう。

 

 

 

『ど、どうしよう……!!何で入れないの……!?』

『ダークネスブラックに何かされちゃった!?』

『巡も倒れてるし、このままじゃ……!!』

「そ、そうよ!まずあの倒れた巡の回復を……でも誰にいえば……!!」

『巡のお姉ちゃんが帰ってくるのってまだだよね……!?せめて連絡先が分かれば……!』

『いや、でも今日は部活がないから割と早めに帰ってくるって言ってたよ!』

『みんな落ち着いて!今は巡をベッドに寝かせよう!』

「そ、そうだよね!?ぜ、絶対床で倒れたままなのは苦しそうだし……!」

 

 

 

 予想外のことが起きすぎて慌てふためく周りを落ち着かせるために、まずは床で倒れている巡が心配だと言うことになり、なぎさによって巡は私服のまま一先ずベッドの方に運ばれる。

 

 

 

 

 

「だ、大丈夫かな……」

『動きすぎたのと寒いのが重なっちゃってたんだろうね……今はとにかく休ませないと……』

「……っ」

 

 

 

 先ほどよりも苦しげな様子はなくなり、巡はすやすやと寝息を立てている。やはり動きすぎと上着を羽織らなかったおかげで、昨日まで出していた熱が悪い状態でぶり返してしまったようだった。

 命に別状はないと知って安堵する一方、あちらの世界から投げ出されてしまったなぎさは、何も知らないであろうほのかや他のプリキュア達のことが気がかりだった。今頃自分は探されているのだろうか?それとも闇の使者によってなりすまされているのだろうか。

 

 

 

「どうして私だけ……」

『なぎささん……あれ?』

「……どうしたの?」

 

 

 

 表情が沈む一方のなぎさを不安がるプロトラブリーが、ふとステフォンが光ったような気がして違和感を覚える。眠る巡をよそになぎさに操作してもらうと、画面上に見たことのないアプリが追加されていることに気づいた。『WorldTrip』とも違うそのアイコンに触れると、画面はたちまちスマホのテレビ通話のような画面に移行する。

 

 画面の奥に広がる景色は、光が差し込む水晶の柱が並んだ花畑。……お菓子の家やお城にぬいぐるみなど、明らかに何かがぶっ飛んだオブジェクトも存在するが、それでもその景色はプロトキュア達にとっては見覚えのあるものだった。

 

 

 

「えぇ……?何これ……水晶の中で私が眠ってるんだけど……???何これありえない……???」

『こ、この世界って!』

『……?誰かいるの?』

「……え、えぇ!?」

『あ……あなた達は……!!』

 

 

 

 画面を覗き込んできた人物の顔を見て、なぎさとプロトラブリーが驚きの声をあげる。

 

 

 

 

 

 話しかけてきたのは、あの見覚えのある世界の────久しぶりに様子を見ることができた、『水晶の世界』におけるキュアエコーだったのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ〜あ、それにしても今日は大変だったよね」

「そうね……結局、他のみんなとも遊べなかったし……」

「うぅ、せっかくあゆみちゃんに中華街のおいしい中華まんを食べられるお店の話を聞いたのに……」

「まあまあ、また時間を作ればいいもの」

 

 

 

 小泉学園駅から離れたとある通学路。ひかりと別れ、先を歩く相方と共にほのかは帰路についている時だった。初冬で夜が長くなり始める時期でもあるのか、空はすでに星が瞬き始めている。

 

 本当なら、自分はあの相方の隣を歩きたい。歩くべきなのだ。しかし、ほのかはどこか、あの相方に対して漠然とした奇妙な違和感を抱いていた。

 

 

 

「……ねえ、なぎさ」

「どうしたの?」

 

 

 

 なぎさと呼ばれた相方は、ほのかの方を振り向くことなく立ち止まる。

 

 さっきから、ずっとそうだ。自分の変身が解けてしまってから────闇の使者に吹き飛ばされてしまった時から、なぎさは一切、親友であるはずのほのかと視線を合わせていない。

 

 

 

「……なぎさ、吹き飛ばされた時に、何かあったの?」

「……え?」

「何か、あの闇の使者に嫌なこと言われたの……?それともあなたは、私の知っている“美墨なぎさ”なの……?」

「……どうしてそんなことを言うの?」

 

 

 

 なぎさはまだ、振り向いてくれない。顔を見せてくれない。声だけはいつも通りのトーンなのに、若干の威圧感を感じたのは気のせいだろうか?それでもほのかは警戒する気持ちを彼女に見せないように、いつも通りの声で問いかける。

 

 ……親友を疑ってしまうなんて、あってはならない状況ではある。しかし、目の前のなぎさから感じる小さな違和感が、ほのかが抱く言いようのない不安を増幅させている。

 

 

 

「……だってなぎさ、さっきからずっと私と目を合わせてくれないもの……」

「……」

「なぎさ。もし嫌なこと言われて傷ついているなら相談に乗るから。だから────」

「……どの(・・)世界のほのかも、本当に優しいね」

「え……?」

「ごめんね。その必要はないの」

 

 

 

 突如、なぎさの声のトーンが低くなる。さらに、自分でも震えてしまうような威圧感あるオーラを放ったような気がしてほのかは思わず身構える。

 

 

 

「……あなた、なぎさじゃないわね……?」

「やだなあ。私だって“美墨なぎさ”だよ。ほのかが想像してる方じゃないけど」

「……」

 

 

 

 ようやく振り向いたなぎさの瞳は、びっくりするほど虚ろで紅くゆらめいている。みなとみらいの方で一瞬だけ見えた闇の使者────ダークネスブラックと同じものだった。吹き飛ばされた時にどこかで連れ去られたなぎさと入れ替わってしまったようだと、ほのかがここで気づく。

 

 

 

 

「本物のなぎさはどこへやったの?」

「今頃、別の世界で彷徨ってるんじゃない?しばらくは入らせないつもりだけど……でも、安心して。今()世界を壊すとか、そういうことはするつもりないから」

「……」

「このことは、私とほのかだけの秘密。……ひかりや他のプリキュアに言ったら、いくらほのかでも手加減できないかもね?」

「……っ!?」

 

 

 

 顔は笑っているのに、目が一切笑っていない。そんな状態で顔を近づけられたら、いくらほのかでも一歩後ずさってしまう程には恐怖心を煽られてしまったようだ。さらに脅しと遜色ない言葉で他の仲間達への相談の道を断たれてしまい、気づけばほのかはなぎさの姿をした闇の使者に壁に追い詰められてしまう。

 

 

 

「……っ、それでも、私は────」

 

 

 

 

 

 

 ダアンッ!!!

 

 

 

 

 

 

 それでも諦めずに抵抗しようとしたほのかの耳元の壁に、闇の使者の拳が叩き込まれる。生身の姿のはずなのに、コンクリートの壁には、深いヒビが生成されている。

 

 変身できなければ、目の前の彼女に抵抗できる手段が見当たらない。しかも相手は、自分の親友と同じ顔をしている。まともに戦える手段も覚悟も、何一つ用意していない。

 

 

 

 

 

「私とほのかの仲でしょう?約束(・・)、してくれるよね?」

 

 

 

 返事は「はい」か「イエス」のどちらかだと、最初から選択肢を用意されていないお願いを末恐ろしい笑顔でされて、ほのかはその要求を黙って飲み込むことしかできなかった。

 

 街灯に照らされたなぎさの姿をした闇の使者の影が、不穏な翼を揺らしながら漆黒に染まっている。

 

 

 

 

 

続く……

 




次回更新日:8月10日(土)

実はめぐるん大ピンチ
次回どうなっちまうんだ
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