PrecureStageON!   作:主氏レム

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実は最終話まであと少しなんです
もうしばらくお付き合いを


第44話:その手を伸ばせ!プリキュア大集合!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 世界と世界を繋ぐ狭間にて……

 

 

 

 

 

『きゃあぁぁぁ〜っ!?!?』

 

 

 

 

 

 6人の少女達が、緩やかに速度を上げながら下へ下へと落ちてゆく。

 

 

 

 

 

「これどこまで落とされるの〜っ!?」

「知らないよ〜!」

「せ、せめてこっちのブラックとホワイトの世界に降りないと……!」

 

 

 

 ダークネスブラックによりワープホールの奥に落とされたコンプリート達は、強制的にどこか別の世界へと飛ばされそうになっていた。しかし、ワープホールを出した本人がどこに落とすかまで考えていなかったのか、出口らしき出口に辿り着かずにずっと下に落とされている。

 

 向こうの世界でさまざまなことが起きて、助けなければならない人(ダークネスブラック)がネオフュージョンを倒すために自ら残ってしまったというのに。

 

 

 

「うぅ、助けに行きたいのにそれどころじゃないし……!」

「ワープホールの中でワープホール出せるかな」

『やれるんならやって!!』

「このままじゃあたしたちずっと、狭間の中で彷徨い続けちゃうよ〜!」

「それは絶対に嫌だ!!!」

「待って、そんな急かさないで」

 

 

 

 コンプリートが藁にもすがる思いで『WorldTrip』を操作し、今一緒にいるブラックとホワイトがいるべき『プリキュアオールスターズ』の世界へつながるようにとワープホールを出してみる。

 流石に二重で出せないかとは考えていたが、少し下の方でいつも見るようなワープホールの出口が生成された。

 

 

 

「あできた。そして変身が解けた」

「っえぇぇぇっ!?」

「ウッソでしょなんてタイミングで!?」

『サラッと言わないでよそういうピンチを!!』

『というかこの下って、どう見ても上空ですよね〜っ!?』

「……また?」

 

 

 

 出口を無理やり繋いだところまでは良かったものの、流石に力を解放した状態でプリキュアの姿を長時間維持するのが限界だったのか、強制的に変身が解除させられてしまい、コンプリートは繋巡の姿へと戻ってしまう。

 

 慌てふためく一堂が飛び出した先は、『プリキュアオールスターズ』の世界のみなとみらい────それも上空からだった。

 

 

 

「ねえ嘘じゃん、これあたしステフォンというよりワープホールに嫌われてる?」

「め、巡〜ッ!!!」

 

 

 

 今の所着地する術を持たない巡は、6人の中で誰よりも早く地上の方へと落ちていく。唯一飛行能力を持つラブリーが慌てて彼女を助けるために飛び立つ。

 

 

 

「ちょ、ちょっとラブリーまでどこまで行く気!?」

「思いっきり流されてってるような……」

「というか、下の方で欠片がたくさん暴れてない?あの人一体どれだけ出したつもり?」

 

 

 

 

 

 戻ってきて早々だが、地上の方ではネオフュージョンの欠片達の侵攻が引き続き行われているようだ。

 一度準備を整えてからあの世界に戻ってダークネスブラックを助けに行こうと考えていたのだが、こちらに蔓延る欠片達をどうにかしなければならないようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第44話:その手を伸ばせ!プリキュア大集合!

 

 

 

 

 

 辺りは暗く、不穏な黒い色をした雲が覆い隠している。そんな中で、二人の少女が地上に向かって猛スピードで墜落してくる。

 

 

 

「うわ〜っ!?」

「うまく着地して……!」

 

 

 

 巡とラブリーとプロトキュア達が不時着したのは、山下公園のど真ん中。港には、氷川船と呼ばれる重要文化財の船が静かに浮かんでいる。

 元々は1930年にシアトル航路用に建造した貨客船だったのだが、1960年に引退した後に山下公園前に係留保存され、2008年に「日本郵船氷川丸」として船内に入ることができる。

 

 ただ、おそらくこの町で起きているらしい怪物騒ぎのせいで今は中を見ることはできない。

 

 

 

「痛たたた……め、巡!大丈夫……?」

「あたしはなんとか……急に元に戻ってびっくりしたよ……」

 

 

 

 地に足をつけた際によろけたラブリーを心配しつつ、巡が彼女から降りる。プロトキュアの姿から元の頭身に戻った反動で、体の動かし方を若干忘れているようだ。

 

 

 

「しかもブラック達と逸れちゃったし……」

「こっちに気づいてくれたらいいよね。ブラック達も他のプリキュアに会えたかな?」

『あたりは不穏な空気しか漂ってないし……巡、すぐに変身した方がいいかも……!』

「そうだよね。それじゃあ……コンプリート・ステージ────」

 

 

 

 ひとまずお互いに怪我はないことを確認し、周囲には欠片が出現した時の不穏な空気が立ち込めている。さらに一緒に落ちていたブラック達とも上空でいつの間にやら別れてしまったので、そちらとの合流も急ぎたいところ。

 

 巡は立ち上がるとすぐにステフォンを構えて、再びプリキュアの姿へと変身しようとした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────ふぁ……ッ!?!?」

『……っ!?!?』

「……?どうしたの?」

『今何かとてつもなくやばい気配が……!!』

「何今の……!!」

「やばい気配とは……?」

 

 

 

 変身するための合言葉を声に出そうとした瞬間、ラブリーとステフォンの中のプリキュア達が何かの気配を感じ取りざわついた。今までに見たことのないような反応だったので、思わず巡も手を止めて彼女達を心配する。

 これまで見たヤバめの気配で思いつくのが『ダークネスブラック』や、巡の世界に出現した『ネオフュージョンの欠片』だが、今の彼女達の反応は、それ以上に重々しくて殺気立つものらしい。

 

 

 

「ネオフュージョンともブラックとも違うおかしな気配を感じたの……」

「どっちとも違う気配?それってまさか、あのブラックがネオフュージョンに負けて取り込まれて……」

『そ、そんな!?でも取り込まれてるんなら、ネオフュージョンの気配しか感じないはずだよね……?』

『待って、こっちに近づいてきて────』

 

 

 

 

 

『まずいわ。あのまま放置させたら、あのブラックが……!』

『今のあの人を引き止めて!ジュンの時みたいに壊れちゃうよ!!』

『ブラック!待ってっ!』

『これ以上戦ったらあなたが壊れちゃうっ!!』

 

 

 

『ねええこの状況で嘘でしょあのブラック……!』

『ブラック……なぎささんッ!!!』

『……』

 

 

 

 

 

 あの時、ネオフュージョンの力を受けて自我を保ちつつも暴走寸前だったダークネスブラックは、一人で決着をつけようとした彼女を止めるために近づいた自分たちを逃すように、ワープホールに落とした。

 その後彼女の元で何が起きたのかは何も知らない。奴に勝ったというなら、この世界に漂う不穏な空気はすでに消失しているはずだ。負けたというなら、あのブラックは奴に取り込まれてしまっているか完全に支配されているかのどちらかになる。

 

 操られたとしても僅かにブラックの気配程度ならすぐに気づけるはずなのに、それがわからないというのだから、本当に何か別のものが迫っているのだろう。

 

 

 

 

 

 その瞬間、巡とラブリーが立っていた場所に、突如として真っ黒な雷撃が放たれた。

 

 

 

「え」

「うわっ!?」

 

 

 

 突然の襲撃になんの反応も取ることができず、二人は爆風に煽られ大きく吹き飛ばされる。直撃しなかったことだけはまだ良心があるが、生身である巡にとっては大怪我を負ってもおかしくない状況だ。

 

 

 

「うぅ……巡!大丈夫!?」

「大丈夫だけどデジャブじゃないのこれ」

『で、デジャヴ!?確かに前にも似たようなことはあったけど……!』

 

 

 

 似たような奇襲は『ふたりはプリキュア』の世界でも経験済み。さらにその雷撃を、巡達はよく知っている。その雷撃を放てるのは、彼女しかいないのだ。

 

 

 

「……!!」

「……え……!?」

 

 

 

 黒い雷撃が放たれた方向を見上げると、見たこともないような、それでいて誰かの面影がある黒い少女が舞い降りてくる。

 

 

 

 

 

 2対となった黒い翼に、どことなく『スーパープリキュア』を思わせるような黒く退廃的なコスチューム。

 人間の姿をしているはずなのに、左腕や右脚、右目を覆い隠すように黒い何かで覆われており、その質感は奴を思い浮かべる。人間の肌の部分も、黒いヒビのような傷が至る所に生まれている。

 長い髪の毛は黒く染まり、頭に浮かぶ黒い光輪による僅かな光が当たる部分では、青や紫、緑色にも見える。

 

 

 

 何よりもその瞳は紅く鋭く光り、巡やラブリーを冷めた目で見下ろしている。

 

 

 

 

 

「────やはり、この世界に逃げ込んでいたのね。探す手間が省けたわ」

「……誰」

「あなたは、ネオフュージョン……?ブラックを、取り込んだの……!?」

 

 

 

 あまりの不穏さ漂うその様子に呆気に取られてしまうが、その顔は『ダークネスブラック』とよく似ていたために思わずラブリーが問いかける。そうでもしないと、この状況に説明がつかないのだ。奴に取り込まれたというのなら、あの彼女は奴に敵わなかったということになってしまうが。

 

 しかし、目の前のブラックに似た少女は僅かに目を細めて口の端を釣り上げる。

 

 

 

「アイツは……闇に染まったキュアブラックを取り込んでさらに力を得ようとしたみたいね。……けれど、彼女の思いが強すぎて逆に取り込まれてしまった……」

『あ、あの私が、アイツを取り込んだ……!?』

「じゃああなたは、変わり果てたダークネスブラックってこと?」

『変わり果てたって……』

「それも少し違う。…彼女は、大切な人のいない世界を望まない。望まなかったから、壊すために私がいる」

「……えぇ???」

『さ、さっきからあの人は何を言ってるの……?!』

「とりあえずやばそうなのはわかった」

 

 

 

 少女の言葉に疑問符しか浮かばない二人とプロトキュア達に表情を変えず、少女はこう名乗りあげた。

 

 

 

 

 

「私の名前はネオダークネス。彼女が望む世界を創るために、世界を壊すために、私はここに生まれた」

「ネオ、ダークネス……」

 

 

 

 “ダークネスブラック”でも“ネオフュージョン”でもない。いや、相容れぬ二人が歪に融合し、新たな生命体として生まれ落ちたというネオダークネス。

 

 

 

 

 

『ま、待って!世界を壊すって……あの人がそんなことを望むわけが……!』

「言ったでしょう?彼女は、大切な人のいない世界を望まないと。だから、私が壊して、新しい世界を創ってあげるの。もう彼女は、疲れてしまったのだから……」

「そ、そんな……っ!」

「まずい、ネオフュージョンを取り込んでるせいか絶対に何かしらが歪められてる。割と自棄になってる気がする……!」

 

 

 

 プロトキュア達の脳裏には、ブラックの隣に立つ白いプリキュアの後ろ姿が過ぎる。彼女達が最後に見たのは、ネオフュージョンの手の中で捕えられていた汚れることのない白い魂。あの人はあの魂を取り戻すために、巡達を無理やり逃して奴との決着をつけようとした。

 おそらくそれは奴の罠で、あの魂を助けた直後、奴によって取り込まれてしまったのだろう。その時に抱いていた想いが強く反映されて、ネオダークネスの『世界を壊す』という行動に辿り着いたのだろう。

 

 

 

「巡!」

「そうだね。そんなことさせる訳には────」

 

 

 

 ラブリーに呼びかけられ、奴の異常性にすぐに察知した巡はステフォンを構えて変身しようとした。

 

 しかし、一瞬にして巡の前に現れたネオダークネスが至近距離であの真っ黒な雷撃を放ち、彼女を吹き飛ばしたのだ。

 

 

 

 

 

「────ッ!?」

「巡ッ!?」

 

 

 

 自身の危機で直撃は免れたものの、威力のある雷撃が足元に弾けた際の爆風に煽られ、巡はゴロゴロと地面を転がってしまう。倒れてしまった巡は一瞬だけ意識が飛んだせいか、ぐったりとしたまま立ち上がれない。転んだ際にステフォンを手放してしまい、巡と離れてステフォンが彼女とは反対の方に落っこちてしまう。

 ネオダークネスは落ちたステフォンの画面を見下ろし、その手を向けて雷撃を放とうとする。

 

 

 

「キュアクルセイダー……貴様がこんな玩具を生み出したせいで、彼女が苦しんでいるというのに……。そうでしょう?キュアブラックの想いの欠片なら、あなただって一度は抱いたことがあるくせに」

『それは……ッ!!』

「ダメーッ!!」

 

 

 

 ステフォンを破壊しようと雷撃が放たれる前に、ラブリーがそれを掴み取って飛び去る。その1秒後に放たれた雷撃が直撃していれば、間違いなくステフォンは無事で済むわけがない。それくらいの威力で放たれていた。

 

 

 

「……」

『ラブリー!!』

「みんな大丈夫!?」

『私たちはなんとか!』

 

 

 

 仕留め損ねても表情を崩さないネオダークネスは、倒れている巡とこちらを警戒し続けるラブリーを交互に見やり、にっこりと笑顔で、黒く染まった左腕を天に向けて伸ばす。

 

 その手には真っ黒なエネルギー弾が出現し、花火のように歪な色をした空へと打ち上げる。黒い光は遥か上空で弾け、急速に巨大化して空に浮かび上がる。

 まるで黒い太陽か月か隕石か、何かしらの異様な物体からは真っ黒な液体が垂れ、その中から大量の怪物の姿をした欠片達が生まれてはこちらの方へと落ちていく。

 

 

 

「なっ……!?欠片が、あんなにたくさん……!?」

「私よりも先にあれ(・・)をどうにかしないと、この世界が怪物に食い尽くされてしまうわね……」

『ちょ、ちょっとどこ行く気!?』

『ザケンナーァァァッ!!』

 

 

 

 ネオダークネスはくすくす笑いながら、上空に出現した黒い球体の方へと飛び去っていく。プロトキュアやラブリーは彼女を追いかけようとするが、周囲にはあの球体から生み出された欠片達で囲まれてしまい、今にも襲いかかってきそうな雰囲気を見せている。

 それに、まだ巡が立ち上がれていない。

 

 

 

「待ちなさい……っ!!」

 

 

 

 芝生の地面に倒れ伏して立ちあがろうとするも、怪我の痛みで思うように動けない巡に対し、大量の欠片達が飲み込もうと津波のように押し寄せてくる。

 彼女が手放してしまったステフォンを握り締め、ラブリーは彼女を助けに行こうとするが、彼女達の前に真っ黒な欠片が道を阻んで囲まれてしまう。

 

 

 

『っ!このままじゃ間に合わない!』

「巡!!」

「……っ、何が、食い尽くされるよ……」

 

 

 

 自身の危機が迫る中、未だ激痛が走る片腕を押さえつけながら巡がゆっくりと立ち上がる。両足は震えて、呼吸も荒い。生身のまま攻撃されたためにどう見ても満身創痍だというのに、巡はあの黒い生命体ことネオダークネスが飛び去り閉じ籠った、上空の巨大な漆黒の球体をまっすぐに見据える。

 

 

 

「あの世界のブラックの良心を利用しておいて……あたしまだ、あの子のことを助けられてないのに……」

 

 

 

 あの球体は、ネオダークネスがこの世界を破壊するために展開した、悪意と闇の力の塊。あれの動きを止めなければ、地上はたちまち怪物達で溢れかえり、全てが無に帰すまで生きとし生けるもの全てを破壊し続ける。

 そしてあの中にネオダークネスが────ネオフュージョンを取り込んで融合し、あらぬ方向に吹っ切れてしまったダークネスブラックが、今もいるはずのホワイトを探し続けている。

 

 

 

「首を洗って待ってなさい、ネオダークネス……ッ!」

 

 

 

 だからこそ巡はあの球体へと、いつか目の前で見たあの子のように指差し、柄にもない喧嘩口調かつ大声で言い放つ。

 

 変身していないがなんだろうが関係ない。自分が怪我を負わされたとか、この世界を大ピンチに晒したから怒っているわけではない。

 ただ彼女は、ダークネスブラック達の想いに漬け込み彼女達を壊したネオフュージョンにも、自棄になって信じてくれた仲間達ごと全てを壊そうとするダークネスブラックにも、どちらにも怒っている。

 

 ネオフュージョンはどうでもいいとして、あのブラックには一言言ってやって、真っ暗闇の中から引きづり出さなければ気が済まないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの人をあんな寂しい場所から引っ張り出すまで……あたしは諦めないッ!!!」

『巡ッ!!!』

 

 

 

 

 

 ラブリーが欠片を振り切ったのが先か、欠片の波が巡を押しつぶしたのが先か。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 刹那、眩い光が巡の方へと降り注ぎ、彼女に迫っていた欠片達が大きく吹き飛ばされ、光に飲まれて消滅していった。

 

 

 

 

 

「……!?」

『何!?何が起きたの!?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────大丈夫?」

「……あ」

 

 

 

 

 

 眩さに目を瞑った巡に対して投げかけられたのは、聞き覚えのある心配の声だった。

 ゆっくりと目を開け、前を向くと、巡の前には、黒い光の使者が勇ましく欠片達の前に立ちはだかっていた。

 彼女の左隣には白い光の使者。周りを囲むように、たくさんの彼女の仲間達が、巡達を守るように、欠片達に威圧をかけるかのように降り立っている。

 

 巡の目に映るのは、ピンチに現れる救世主達。さっきまで一緒にいたor何度も見ているはずの同年代の友人達だというのに、希望を胸に何度でも立ち上がるヒーローのようにも思えた。

 

 

 

「ブラックに、ホワイトと、いっぱい……?どうやってここに」

「あの真っ黒な球体が出現して、そこにいけばと思って走ってきたの」

「黒いホイップ達のおかげで、みんなちゃんと合流できたんだよ!」

「あの怪物達のせいで妨害されまくったんだから!」

「急にいなくなったと思ったら、みんなここに集まっていたのね」

 

 

 

 と、巡の背後にはいつの間にか、ブラックとラブリー以外の10人の闇の使者達が勢揃いしていた。

 この世界のプリキュア達は今まで、ダークネスブラックが放った大量の欠片達によって、みなとみらいへの道どころか他の仲間達との合流すらもさせてくれなかったという。

 そこへ、ネオフュージョンの世界で一緒にいたブルームとドリーム以外の8人が、この『プリキュアオールスターズ』の世界へ入れるようになったのを見計らって突入し、本来関係のないはずの世界が崩壊してしまうのを防ぐために、手分けして欠片を退治することにていた。

 

 彼女達の介入もあって、今こうしてプリキュア達が勢揃いしているのだ。

 

 

 

「みんな!無事だったんだね!」

「……って、ラブリー!?ラブリーだけ雰囲気違くない!?」

「私が二人いる!?」

『ステフォンの中のラブリーと合体したらこうなったの!』

「えぇ!?」

「待って、ラブリーでできたってことは私たちも……」

『元に戻れるんじゃ……』

『み、みんな!?今はあっちの私をどうにかしないと……!』

 

 

 

 こっちの世界にいた闇の使者達は二人いたラブリーが合体したことを知らないために、雰囲気が変わった彼女に対してある意味順当に驚かれている。そこから誰かがあり得そうな推測を出したために、話が少しずつ逸れていく。

 目下の問題はあの真っ黒な球体の中にいる奴のため、それが当たっているかどうかは全てが片付いてからでいいだろう。

 

 

 

「全く……あの私は随分と人に迷惑をかけまくるのね?」

「うちのブラックがごめんね」

「まあ、ほのかがいなくなった時の気持ちは分からなくないけどさ……」

「あの中に、私たちの世界の方のなぎささんとほのかさんが……」

「なんであの人はこうなるまで放っておいたわけぇ……?」

「助けたら後でたっくさんもみくちゃにしないとね!」

「……先にこの周りの欠片達をどうにかしないといけないけど……」

「おーい!ブラックー!なんとかそっちに辿り着いて見せるから待っててねー!」

 

 

 

 闇の使者達は空に浮かぶ真っ黒な球体を、繭かなにかのように見えるそれを見据え、その中に閉じこもっているであろう人物に対する呆れ声と、絶対に助けるという意思を宿した声で笑顔を見せる。

 光を避けて、彼女達の周りには、様々な怪物の姿をした欠片達がゾロゾロと集まってくる。欠片達は皆、あの黒い球体から放たれる闇のオーラで、通常よりも強化させられているのがわかる。

 

 

 

 それでもプリキュア達は恐れない。大切なものを守るために、大切な人を連れ出すために、彼女達は戦う。

 

 

 

「そうだ、巡!これ!」

「ありがと、ラブリー」

 

 

 

 巡のそばにずっといたラブリーが彼女の肩を支えつつ、ステフォンを彼女に託す。これで巡は、心置きなく変身ができる。

 

 

 

 

 

「コンプリート・ステージON!」

 

 

 

 

 ステフォンから溢れ出す桃色の光が、巡の姿を天使のような姿をしたプリキュアへと変身させる。長い髪を風に靡かせながら、彼女は光の中から凛々しく降臨し、その名をあげる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「現となりし、12の魂!キュアコンプリート!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……さて、宣言通り、すぐに行くから。覚悟しておいてね、ネオダークネス」

「あんた達なんかにめちゃくちゃにされてたまるもんですか!みんな、行くよっ!!」

『ザケンナーァァァッッッ!!!』

 

 

 

 コンプリートのまっすぐな想いが籠る決意と、ブラックの力強い啖呵を皮切りに、総勢51人────闇の使者を合わせれば62人のプリキュア達が、光り輝く希望を胸に、一斉に襲い掛かろうとする欠片達の方へと飛び立つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ザケンナーァァァァァッ!!!』

「だぁぁぁぁっ!!!」

「はぁぁぁぁっ!!!」

 

 

 

 先陣を切ってプリキュア達に拳を振り上げる大きな欠片達の攻撃を受け流すように、ブラックの拳とホワイトの蹴りが彼らに炸裂する。いくらネオダークネスの出現による恩恵を受けていても、彼女のたちの諦めない心に叶うものはない。

 

 

 

『CureWeapon!Lovely!』

 

「後ろがガラ空きだよ」

 

 

 

 二人の背後を取ろうとする欠片を、コンプリートがラブリーショットガンによる光の弾丸で視線を逸らせ、彼女達に敵が集中しないようにする。

 欠片達は3人の方に集中しているようで、背後に迫る二人の少女達に気づかない。

 

 

 

「うおぉぉぉ!こっちにもいるってこと!」

「忘れてもらったら困るわっ!煌きなさい!トゥインクルダイヤモンドッ!」

「キラキラキラルン!ジェラート・シェイクッ!」

 

 

 

 ダイヤモンドとジェラートが放つ氷の嵐が、主にブラックとホワイトの方に群がっていた欠片達を凍らせ、その動きを封じる。

 

 

 

「マーメイド、私たちも行きましょう!」

「ええ!」

 

 

 

 アクアが放った水の矢が敵を穿ち、マーメイドが巻き起こした渦巻く波が凍りついた欠片達を次々に押し流していく。少しずつではあるが、欠片で埋め尽くされた公園内におけるプリキュア側の行動範囲が広がっていく。それでも数は、圧倒的に欠片の方が多い。

 

 

 

「あの黒い球体から、欠片が生み出されてるんでしょうか……全くキリがない……!」

「本当にそれ!よっぽどあの中の人出たがらないじゃん!」

「……って、マリン!?いつからここに!?」

「えーさっきから」

 

 

 

 フラワータクトに似たアイテムを構えて欠片の相手をしつつ、遥か上空に浮かぶ黒い球体を見て一言つぶやくダークネスブロッサム。あの球体から新しい欠片を出現させているようで、先ほどから戦ってもなかなか数が減らない感じだった理由が判明し、戦慄する。

 戦う彼女のそばにいつの間にかいたマリンも一緒になって独り言に乗ってきたために、驚きの声をあげる。

 

 

 

「ねえねえ、うちのブロッサムが違うところで戦ってるからさ、一緒にフォルティッシモしよ?」

「わ、私とですか!?あの、私別の世界のプリキュアですし、そもそも厳密にいうと私たちはプリキュアって言えない立場ですし……」

「でもあなたもブロッサムなんでしょ?ならいけるいける!」

「……!なるべく頑張りますよ……!」

 

 

 

 マリンの押しの強さに負けたのか、それとも彼女の言葉に思うところがあったのか、ダークネスブロッサムはやれやれと言いつつもどこか嬉しそうな声色を滲ませながら、自身のタクトを構える。

 

 

 

「「集まれ!二つの花の力よ!プリキュア・フローラルパワー・フォルティシモッ!!」」

 

 

 

 桃色に輝く黒い光と、青く煌めく光を纏った二人の突撃が、前方の欠片達を次々に吹っ飛ばしていく。どうやら他のプリキュアとの合体技を問題なく発動させることができるようだ。

 

 

 

「や、やった……!」

「バッチリ決まったっしゅ!」

「あっ、いいなあブロッサム!」

「私もリズムと放てるかな……?」

 

 

 

 普通のこの世界のプリキュア達と馴染んでいるダークネスブロッサムを羨みながらも、他の闇の使者達もプリキュア達に負けじと迫り来る脅威を退けていく。

 

 

 

 

 

「はぁぁぁぁっ!!」

「おりゃ〜っ!」

 

 

 

 そのすぐ後ろでは、フォーチュンとダークネスホイップが迫り来る欠片達の相手をしている。フォーチュンの正拳突きで弾かれた欠片は、キャンディロッドに似た黒いアイテムから放たれる黒い光のクリームが鞭のように欠片を巻き取り上空へと投げ飛ばす。

 

 

 

「むぅ〜、こんな大量に放ってたなんて……!」

「油断したらペースを持っていかれそうね……!」

「本当に、その通りよ……!」

『ネ、ネガッ!?』

 

 

 

 迫り来る欠片に対してある程度距離をとっていたミューズが、キュアモジューレを鳴らして光を放ち、前方の欠片の動きを封じる。さらに追い打ちをかけるように、トゥインクルが放つ小さな星々が降り注ぎ、欠片達を一網打尽にする。

 

 

 

『ゼツボーグ……ッ!!』

「全くもう、多すぎだって」

「ごめーんそっちに投げ飛ばしちゃった!?」

『ソレッ!?』

「え、ちょ、きゃあ〜っ!?」

 

 

 

 呆れながらも懸命に相手をするトゥインクルの向こうのほうで、ダークネスピーチの絶叫と共に、彼女の真上を投げ飛ばされた欠片が通り抜けていく。欠片の攻撃を防いで弾き飛ばした際に、意図していなかった方向に吹っ飛んでしまったらしい。

 投げ飛ばされた欠片は、近くで戦っていたピースの方へと標的を変えて襲い掛からんとする。しかし、ピースが驚いて思わず電撃が迸り、飛んできたもの以外にも周囲の欠片達を巻き込んだ。

 

 

 

「うぅ……びっくりしたぁ……!」

「わぁ〜!ピース凄いね!」

「凄いね〜じゃないよ〜」

「ふ、二人とも!」

「危ないですよ〜!」

 

 

 

 ダークネスピーチにはピースが咄嗟の判断でスマートに電撃を放ったように見えたようで、凄い凄いとはしゃぎ回る。違うんだよと訂正しようとするピースだが、二人の元に欠片が3体ほど一気に駆け寄ってくる。

 そんな欠片達の進軍を止めようと、レモネードが放つ光のチェーンが欠片達の足に伸ばされその動きを封じる。その上でパインが放つダイヤ型の黄色のエネルギー弾と、カスタードのさくらんぼのようなエネルギー弾の雨によって、ピース達への攻撃は防がれる。

 

 

 

「間に合ったみたいね!」

「あれ!?いつの間に!?」

「3人とも!ありがとう!」

「……あ!あれなに!?」

 

 

 

 危機を脱したダークネスピーチが視線をずらすと、上に向かって何かが投げられたのを目撃する。それは、スペードの形をした青いストーンが飾られた、スティック型のアイテム。誰かが囮として投げたらしいそれは、欠片達の注目を集めている。

 

 

 

「プリキュア・ビューティブリザードッ!」

「貫け!ホーリーソードッ!」

 

 

 

 ビューティの氷の矢と、ソードの光の剣の嵐が、視線を逸らして油断した欠片達に炸裂する。投げ放たれたスティックは重力と共に落下し、投げた本人であるベリーの手元に戻ってくる。

 

 

 

「ねえねえ!さっきの囮でしょ!」

「まあね。あなたの世界のアタシもやるのかしら」

「うん!……よ〜し、あたしもいいところ見せなくっちゃね!」

 

 

 

 気合いを入れ直し、ダークネスピーチはいつの間にか囲まれているダークネスハートの方へと走り出す。本人的には一人でもなんとかなると言いそうではあるが、ネオフュージョンの時以上の強化をもらっている欠片達だ。油断はできない。

 

 

 

「ハート大丈夫ー!?手伝うよ!」

「ピーチ!ありがとう!」

 

 

 

 迫る欠片を拳で薙ぎ払いつつ、二人はそれぞれキュアスティックやラブハートアローに似たアイテムを構え、ハート型の黒いエネルギー弾を放つ。二つの黒いハートは重なり合い、赤い光を放ちながら一つの弾丸となって欠片達を巻き込んでいく。

 

 

 

 

 

「向こうのあたし、あたしよりもあたしっぽいね……」

「……どういうこと……!?」

「待って、私がいるんだけど……」

 

 

 

 闇の使者の方のピーチとハートのコンビネーションを目撃していたこちらの世界のピーチとメロディの間に、いつの間にかダークネスメロディが会話に混ざっている。

 

 

 

「だってみんないつの間にか仲良くなってて楽しそうだったし……」

「あ、寂しかっただけなの!?」

「それなら、私たちとやってみる?」

「べ、別にそういうのじゃ……」

『ナケワメーケッ!!』

 

 

 

 ピーチとメロディのお誘いに、ダークネスメロディが一瞬だけ戸惑って断ろうとするものの、そのすぐそばでは欠片が3人を踏み潰そうとしていた。

 

 

 

「「はぁぁぁっ!!」」

「話してる途中でしょ!」

 

 

 

 しかし、顔を見合わせ頷き合ったピーチとメロディが同時に蹴りを放ったことで、欠片の襲撃は阻止される。

 さらに追い討ちでダークネスメロディがミラクルベルティエに似たアイテムを大きく振り下ろして衝撃波を放ち、さらに奥の方へと吹き飛ばした。

 

 

 

「息ぴったりだったね!」

「ま、まあ、悪くないかな」

「……なんというか、黒い私がそれをいうと若干違和感が……」

 

 

 

 

 

「ハッピー!一緒に決めるよ!」

「うん!プリキュア・ハッピーシャワーッ!」

「プリキュア・シューティングスターッ!!」

 

 

 

 ドリームの光を纏った突真が、ハッピーが放つ桃色の光波と重なり合い、まるで一つの大きな箒星が間近で通り抜けていくようで、周囲にいた欠片達を次々に吹き飛ばす。

 

 

 

「よ〜しあたしも!ダークネス・ハッピー……!」

 

 

 

 ダークネスハッピーも二人に倣って、黒い光波を放とうと両手を構えて走り出す。しかし足元の段差に気付かず、前に出した右足で思い切りつまづいてします。

 

 

 

「シャわっ、わっ、わっ、わぁ〜っ!?」

 

 

 

 勢い余って地面に向かって光波を逆噴射し、制御できずにダークネスハッピーはロケットのように吹っ飛んでしまう。そのまま彼女は、偶然飛翔範囲に入っていた欠片一体に鋭い頭突きを喰らわせた。

 彼女の頭突きのせいで怯んだ欠片には、ルージュとマーチが同時に蹴り出した炎と風を纏った2つのボールが貫いた。

 

 

 

「だ、大丈夫!?」

「思いっきりぶつかってったけど……」

「いたたた……!」

 

 

 

 

 

『……!!』

「危ないですわよ?」

 

 

 

 欠片が乱暴に腕を振りおろしてロゼッタを叩き潰そうとするが、ロゼッタが展開するクローバーの形をした硬い光のバリアに防がれてしまう。欠片はしつこく彼女を狙い続けるが、ロゼッタの表情はどこか余裕そうだ。

 

 

 

「あらあら、私に構ってばかりだと……」

「ルミナス・ハーティエル・アンクションッ!」

 

 

 

 ロゼッタが切り上げてその場を離れた瞬間、ルミナスの放つ虹色の光が欠片を飲み込んだ。光を浴びた欠片は動けず仕舞で、ミントが放つ緑色の光の円盤が切り裂き、サンシャインが放つ金色の花の嵐が吹き荒れ欠片達を一気に浄化させてゆく。

 ふとミントが視線をずらすと、公園内に溢れた欠片達の一部が、すでに避難している街の方へと向かっている姿を目撃する。

 

 

 

「大変だわ、怪物達が街の方に……!」

「は、早く止めないと……!」

「────任せてください」

 

 

 

 飛び出そうとする彼女達を制して走り出したダークネスフローラは、一瞬でドレス姿となって奴らの前に降り立ち、黒い花吹雪を巻き起こす。花吹雪は街へ行こうとする欠片達を押し戻し、再びプリキュア達のいる方へと舞い戻らせる。

 

 

 

「逃げるなんて、させない……!」

「街の方へは!!」

「一歩も行かせへんぞ!!」

 

 

 

 吹き飛ばされた欠片達には、サニーが勢いよく打ち出した炎のボールと、プリンセスが投げまくる大量の光弾が容赦無く降り注ぐ。

 さらに撃ち漏らした欠片達には、パッションが吹き荒らす羽根とハートの嵐と、ビートが掻き鳴らす音符の形をしたエネルギー弾が隙を見せずに放たれる。

 

 

 

「言ったでしょ?向こうには避難した人たちがいるの」

「あなた達の好きにはさせないわよ!」

『キ、キ……』

 

 

 

 弾丸の雨を切り抜けた欠片の生き残りが、4人の目をうまく盗んで街の方へと走り出す。しかし、ふと響いたバイオリンの音色とともに、炎を帯びた深紅の光のビームと、桃色のハートが欠片の足元で弾けた。

 

 

 

「好きにはさせないと、先ほど言いましたわよね?」

「ジコチューはダメ!だよ?」

『キ、キキーッ!?』

 

 

 

 スカーレットバイオリンの弦を構えるスカーレットに睨まれ、ハートに笑顔で注意され、欠片は萎縮して素直に戻っていった。

 

 

 

 

 

「二人とも〜!これお願いしま〜すっ!」

『サイアークッ!?』

 

 

 

 別の場所ではホイップがクリームエネルギーで巻き取った欠片を釣り上げ、勢いのままに上空へと投げ飛ばした。

 カツオの一本釣りよろしく、油断して上空で身動きの取れない欠片達は、リズムが放った光のリングとハニーが放ったクローバー型のエネルギー弾が直撃し、大爆発を起こす。

 

 

 

「メロディってば、いつの間にかあんな遠くに……」

「私たちも負けてられないわね〜」

「……何に!?」

 

 

 

 別の場所でピーチ達と一緒にいるメロディの方を見て少しだけ羨ましがるリズムに、ハニーが優しい眼差しで微笑ましいなと言った様子で話しかける。

 そんな二人に迫る欠片の攻撃を、箒に乗ったダークネスミラクルが魔法で凍らせる。

 

 

 

「いつの間に迫ってきてたのね?助けてくれてありがとう!」

「どういたしまして!……ああでもリズム達にまで当てちゃうところだった……!」

「えぇ!?」

『コワイナーァァァ!!!』

 

 

 

 彼女から何気に危ない発言が飛び出したような気がするが、凍らされた欠片の後ろにいた新たな欠片が出現し、4人の方へと迫ろうとする。

 

 

 

「フローラ!一緒に行きましょう!」

「はい!」

 

 

 

 ブロッサムとフローラが花吹雪を放ち、迫り来る欠片を一気に奥の方へと押し込んだ。

 

 欠片達の数がなかなか減る傾向を見せない中、奥の方では何かしらの衝撃音が響き渡る。音のした方に注目すると、そこではムーンライトとエースが、襲い掛かろうとする欠片達を無駄のない動きで次々と攻撃を当てていく。

 

 

 

「わたくし達を妨害するのにその程度とは……」

「少々拍子抜けね」

『ウザイナーァァッ!!』

 

 

 

 煽るように放たれる二人の言葉に釣られ、数体の欠片が一気に攻め込もうとする。しかし、目の前に現れたマカロンとショコラの、踊るように放たれるクリームエネルギーの輝きに包まれその力を押さえつけられる。

 

 

 

「フフッ、面白いわね。ショコラ、背中は預けるわ」

「わかったよ。絶対に、守ってみせる」

 

 

 

 方や赤く美しい花が想像で咲き乱れる一方、もう片方ではミルキィローズが溢れんばかりのパワーで欠片達を圧倒する。

 

 

 

「フェリーチェ!パルフェ!そっちに行ったわよ!」

「任せてください!」

「Oui!逃さないわ!」

 

 

 

 彼女のパワーであちこちに吹っ飛ばされた欠片達は、フェリーチェの癒しの光のバリアで力を削がれ、パルフェの虹色の光のリボンによって絡め取られていく。

 

 

 

『ザケンナーァァァッ!』

「空の上にも!?」

「ここは私たちが!」

 

 

 

 上空で飛び回る欠片達に対しては、ミラクルとマジカルが飛び上がり、魔法の力で奴らの動きを封じる。リンクルステッキから放たれる新緑の葉っぱ吹雪と眩い光が、欠片達を圧倒する。そんな彼女達の背後に、うまく魔法を掻い潜った欠片が、二人を喰らおうと大きな口を開けて飛んでくる。

 

 

 

「「はぁぁぁぁっ!!」」

 

 

 

 そんな欠片の前に、精霊の力で大きく空へと飛んだブルームとイーグレットが迎えうち、同時に放たれた光を纏う拳と蹴りに勢いよく押されて消滅する。

 

 

 

「大丈夫だった?」

「二人とも!ありがとう!」

「あの怪物達、上の球体から降ってきてるのよね……?」

「あれを止めることができれば、怪物達をどうにかできるのかしら……?」

 

 

 

 先ほどネオダークネスが閉じこもっていった、上空の黒い球体。あの球体に入った細かなヒビから滴る黒い液体から、欠片達は生み出されているようだ。

 あれを止めるにはまずネオダークネスの方をどうにかしなければならないが、その役目を担うことができるのはコンプリートだけなのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの中にネオダークネスがいるんだけど、上空を埋め尽くさんばかりの大量の欠片をくぐり抜けていかなきゃならないのか……ま、きついけど頑張るか」

『待って待って待って待って!』

『むやみやたらと戦おうとしないで!?』

「あの上の方の欠片をどうにかすればいいんだね!」

「それなら私たちに任せて!」

 

 

 

 上空にいる大量の欠片達を遠い目で見上げつつも張り切ろうとするコンプリートに、ステフォンの中のプロトキュア達が流石に待ったをかける。あれだけの量を一人で相手するには、少々骨が折れるのは誰もが理解していた。

 じゃあどうすればいいんだと考えていたところ、元々ステフォンの中にいたラブリー────プロトラブリーと、こちらの世界のラブリーが、いつの間にか巨大な光の拳を上空に向けて構えていた。

 

 

 

「「ダブルラブリー・パンチングパーンチッ!!」」

 

 

 

 二人のラブリーが勢いよく放った二つの光の拳が、真っ暗な空を埋め尽くさんばかりの欠片達の群れに穴をあける。まるでドリルのように書き分けながら進み続けるそれは、上空に浮かぶ漆黒の球体に衝突し、大爆発を起こす。

 

 

 

「おお〜!届いたよ!」

「うわあ、凄い……キュアラブリーって本当に無敵なんだね」

『これなら一気に飛んでいけるわよ!』

 

 

 

 これで真っ直ぐに球体の方へと迎えるのだが、地上ではまだまだ大量の欠片が際限なく出現していて、とても一人だけそっちの方へ向かうことに躊躇してしまう。

 

 

 

「巡!私もここが落ち着いたら絶対に助けに行くから、あの中にいるブラックのことを助けに行って!お願い!」

「……わかった。それじゃあ行ってくる!」

「行ってらっしゃい!」

 

『CureWeapon!Happy!』

 

「一気に飛んでくよ!」

『うん!』

 

 

 

 自身の名前を呼んだと共にラブリーに任せられ、コンプリートはハッピーウィングを背に光の拳が作った道に目掛けて、黒い球体の方へと向かっていく。

 

 

 

 

 

「……っ!今の気配は……!」

「上の方だよね!?」

 

 

 

 コンプリートが飛び立って数秒後、闇の使者達は球体の方から異様なほどに大きな奴の気配を感じとる。それらは二つあるようで、そのうちの一つが地上の方へと向かっているらしい。

 

 

 

「ブルーム!こっちに向かってるのあたしに任せて、ブルームはコンプリートのところに行って!」

「わ、私!?」

「多分だけど。これ(・・)を使わないといけないかもしれないから!」

 

 

 

 地上の方で吹っ飛ばされた欠片達の山を作っていたダークネスドリームが、ここは任せてコンプリートを追いかけろとダークネスブルームに叫ぶ。無論叫ばれた方はどうして私にと言った様子だが、ドリームが自分の首に巻かれている黒いリングを指をさす。

 このリングは、かつてネオフュージョンに無理やり力を与えられた際に与えられたもので、壊せば闇の力が溢れ出して彼女達を強くさせる。あの時は奴の分身に憑かれていたせいでおかしな方向に暴走してしまったが、奴に取り憑かれていない今ならなんとか制御できるかもと、ドリームはそう踏んでいるようだ。

 

 

 

「それに、あたし達の中だと一番ブラックのことわかってるでしょ!?」

「……!わかった。ドリームも無茶しないでよ!」

「それはお互い様!」

 

 

 

 ドリームに託され、ダークネスブルームは精霊の力で大きく飛び上がり、真っ黒な球体を目指すコンプリートを追いかけていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ラブリー達の攻撃で作られた道を通り抜けるコンプリート。

 

 欠片達もたった二人の攻撃程度で怯むわけもなく、球体への道を塞ごうと次々に押し寄せてくる。その欠片の一体が口から真っ黒な光線を放ってきた。コンプリートを地上へ墜落させるつもりだ。

 

 

 

『CureWeapon!Peach!』

 

「下に落とすつもりなんだろうけど、残念だね」

『こっちには盾があるんだから!』

 

 

 

 すぐに反応してピーチイージスを自身の前に展開し、光線を弾き返す。それでもやはり欠片達の数が多すぎるのか、せっかく開けてくれた道がどんどん狭まっていく。

 

 

 

「ああもうせっかく道を作ってくれたのに」

『もう一度作り直そう!』

『そこを避けてください!』

 

『CureWeapon!Melody!』

『CureWeapon!Blossom!』

 

 

 

 盾からメロディベルに持ち替え、澄んだ音から放たれる衝撃波で前方を塞ぐ欠片を吹き飛ばし、無理やり道を作り出す。さらにブロッサムミラーの力で分身を作り出し、欠片達を撹乱させて自身は目的の場所へと真っ直ぐに飛んでいく。

 

 

 

『CureWeapon!Flora!』

 

「ちょっと大人しくしていてね」

『邪魔をしないで!』

 

 

 

 ハンドベルに手鏡ときて、今度はフローラロッドで迫り来る欠片達の足元に魔法陣を大量に展開し、吹き荒れる花吹雪で足止めする。

 

 

 

『サイアークッ!!!』

『コンプリート!』

「うわあ」

『危なーいっ!』

 

『CureWeapon!Whip!』

 

 

 

 球体の方から新たに排出された欠片達が迫ってきていることを、ステフォンの中のプロトブラックに叫ばれて気づく。

 長い杖からホイップウィップを握ったコンプリートは、再び迫ろうとする欠片達をムチ捌きで追い払いながら、どんどん前へと進んでいく。

 

 

 

『CureWeapon!Miracle!』

 

「キュアップ・ラパパ!」

『追い風よ、コンプリートを助けて!』

 

 

 

 球体までの距離はまだまだ遠い。握っていたムチがミラクルブレスに変化して右の手首で煌めくと、詠唱と共に吹き荒れる強風がコンプリートの背中を押してスピードを上げる。欠片達の隙間を掻い潜りながら、その距離を一気に縮めていく。

 

 

 

『ジコチュー!!』

「うーん射線通ってるよそこは」

『避けないと撃ち抜いちゃうよ!』

 

『CureWeapon!Heart!』

 

 

 

 猛スピードで迫るコンプリートの前に突如として現れようとする欠片に対しては、ハートアローから放たれる光の矢で払う。

 距離にして約3km。さっきのように目の前に障害物が出現しなければあともう少しで球体の方へと辿り着ける。

 

 

 

『……!!』

「え」

『嘘でしょ!?』

 

 

 

 ネオダークネス側も近づかれたくないのだろう。球体から這い出るように人型のネオフュージョンの姿とよく似た大型の欠片を2体放出し、そのうちの一体が拳を振りかぶってコンプリートの方へと飛んでいく。

 

 コンプリートが防御のために盾を繰り出そうとしたその時、誰かがコンプリートの目の前に現れ、黄金色の精霊の光のバリアで守ってくれた。さらに彼女はそれを、降ってきた方へと無理やり押し返した。

 

 精霊の力を扱えるのは限られている上に、巡と比較的関わりがあった人物は一人しかいない。

 

 

 

「……!た、助けてくれたの?」

『や、闇の使者の方の私!?なんでここに!?』

「ドリームに任されただけ!」

「あらそう……でもありがとう」

 

 

 

 彼女達を助けてくれたのは、先ほど仲間から行けと背中を押されたダークネスブルームだった。あの欠片を足場に飛び上がってきたようだ。

 人型の欠片は球体に近づけさせまいと言わんばかりの容赦のなさで、二人に対して攻撃を続ける。無論目の前の個体以外にもう一体、同じような欠片が地上の方へと落ちようとしている。

 

 

 

『おんなじのが下に行っちゃったけど!?』

「大丈夫!ドリームがアレ(・・)使うから!」

アレ(・・)って……まさか!?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『────!!』

「来たっ!?」

「さっきのよりもでかいわよ!?どうするの!?」

 

 

 

 一方の地上では、もう一体の人型の欠片が降臨し、その手から真っ黒な破壊光線をプリキュア達に放とうとする。

 身構え、立ち向かおうとするプリキュアや闇の使者達よりも一歩前に出たのは、ダークネスドリームだ。

 

 

 

「ど、ドリーム!」

「あたしに任せて」

「あ、あなた何するつもりで……!」

 

 

 

 他の闇の使者達が不安になる中、ダークネスドリームは首に巻かれた黒いリングに手を添える。するとリングからは黒い闇の力が溢れ出し、彼女の体を包み込む。

 

 

 

「まさか……!大丈夫なの!?」

「もうあいつはいないから大丈夫!何かあったら止めてね!」

「そんな軽い感じで!?」

「な、何!?何が起きて────」

 

 

 

 闇の使者達は何をやろうとしているのかがわかってしまい、根拠のないダークネスドリームの自信に余計に不安になってしまう。

 彼女達のざわつきように思わずブラックも心配になって聞こうとするが、パキンと何かが壊れる音と共に、あの時のように強化で姿を変えたダークネスドリームが、闇の中から姿を現した。彼女は紅い瞳をギラギラと光らせながら、黒いキュアフルーレを構えて大きな欠片に闇を纏って飛び込む。

 

 

 

「はぁぁぁぁぁっ!!!」

『─────!!!!』

 

 

 

 黒い翼をはためかせて突撃するダークネスドリームに、人型の欠片は容赦無く破壊光線を浴びせようと砲撃する。しかし彼女は、フルーレの刀身を振り下ろして光を打ち消した。

 

 

 

「す、すごい……やばいって言ってた力を使いこなしてる……!」

「本当は、結構限界なんだけど……!でも、振り回されてる場合じゃないから……っ!!みんなは、周りの欠片をお願い……ッ!!」

「わ、わかった……!」

「あんたあんまり無茶しないでよ……!?あんただってドリームなんだから……!」

「えぇ〜!?それじゃあたしも無理してるみたいだよ〜!?」

「わかってる……!!」

 

 

 

 荒い呼吸を繰り返すダークネスドリームを心配しつつ、仲間達は周りの欠片達との戦闘を再開する。

 

 

 

「ブラック……お願い、戻ってきて……!」

『────ッ!』

「こんなの、あなただって望んでないはずなのに……!」

 

 

 

 人型の欠片の動きは、彼女達が知っている人物であるキュアブラックおよびダークネスブラックの戦い方とよく似ている。素手での戦いでは圧倒的に不利に立たされる以上、ダークネスドリームは彼女が戻ってくる前に欠片を押さえ込まなければならない。

 彼女の帰りを願いつつ、目の前の欠片が繰り出す拳をいなしつつ、フルーレでの突きで欠片を追い込もうとするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『────ッ!!!』

「ああもう戦い方が完全にダークネスブラックなんだよステゴロなんてあんまりやらなかったのに」

『言ってる場合じゃないってば!』

「……いつもこんな感じなの?」

『これでもまだマシな方だよ多分!』

 

 

 

 一方、球体の近くにいるコンプリートとダークネスブルームも人型の欠片の妨害に巻き込まれて防戦を強いられている。

 どんなに緊迫した状況でも流されずに、能天気とも取れる言葉が自然に飛び出すのが、繋巡の長所であり短所だ。『ブラックを連れ戻す』という大きな目的がある以上、目の前の欠片と戦っている場合ではない。

 

 

 

「……コンプリート」

「何どうしたの……、っ!?」

「なぎささんを頼んだよ」

「え、ちょ────」

『えぇ!?』

 

 

 

 突然彼女に話しかけたダークネスブルームによって腕を掴まれ、コンプリートは球体の方へと勢いよく投げ飛ばされる。精霊の力によってさらにパワーが入ったためか、コンプリートはスピードを落とすことなく球体の方へと向かっていく。

 一方、彼女を投げ飛ばしたダークネスブルームは、コンプリートを追いかけようとする欠片を見据えつつ、自身の右腕に巻かれたあの黒いリングに触れる。リングからは黒い闇が溢れ出し、少女の体を覆い隠す。

 

 

 

「本当は使いたくないけど……」

 

 

 

 パリンと何かが壊れる音と共に、闇の力によって姿を変えた彼女が、コンプリートを追おうと動き出す欠片の近くに飛びつき、球体と距離を離すように大きく吹っ飛ばす。

 

 

 

『────ッ!!』

「アンタの相手は私よ……ッ!あの子を追いかけたいなら……私を倒してから行ってッ!!」

 

 

 

 紅い瞳を輝かせ、力に飲まれないように必死になりながらダークネスブルームが欠片を挑発する。欠片はコンプリートから目を逸らし、彼女の方へと飛んでいく。

 飛んでくる欠片に対し、彼女が周囲に真っ赤なエネルギー弾を大量に展開し、欠片の方へと全弾集中させようと撃ち放つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あの子何するつもり!?』

「わからないけど……託された以上、あたし達はあっちに行かないと……!」

 

 

 

 ダークネスブルームによって投げ飛ばされたコンプリートは、このまま真っ直ぐ球体の中へと突入できそうな勢いだった。球体の壁にはところどころに細かいヒビが入っており、そこに向けて衝撃を与えれば壊せそうな雰囲気があった。

 

 

 

『あそこから入れそう!』

「オッケーそれじゃあ……!コンプリート・キックッ!!」

 

 

 

 球体の方へと向かう中で体勢を変え、コンプリートはライダーキックのような勢いのついた飛び蹴りを、球体のヒビの入った壁に向けて喰らわせた。

 

 彼女の飛び蹴りによって球体には大きくヒビが入り、彼女は吸い込まれるように球体の内部へと侵入した。球体の中には案の定、人型の欠片がコンプリートを襲おうと蠢いている。

 

 

 

「うわあ入れたのはいいけど……気配は感じる?」

『奥!奥の方にあいつの気配がする!』

「なるほどね。どっちにしろ目の前の欠片達をかき分けていかないとまずいってわけね」

 

 

 

 ステフォンの中のドリームの言葉を聞いて、コンプリートはいつの間にか自身を囲い込んだ欠片達を見回してにっこりと笑う。

 

 

 

「それじゃあ、一気に走り抜けようか……!」

『────ッ!!!』

「今行くから待っててよ、ネオダークネス!」

 

 

 

 

 コンプリートは彼女達が指差した方向に向けて走り出す。全ては、中で閉じこもっている奴に出会うために。

 

 

 

 

 

 ────そして、奴と融合してあらぬ方向に吹っ切れてしまったあの人を連れ戻すために。

 

 

 

 

 

続く…

 




次回更新日:8月31日(土)
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