ポイピクに投げたのをもう少し肉付けしました。
番外編2・たらればの話
「……っ、ん」
プロトブルームが目を覚ますと、真っ暗闇ではなくステフォンの中にいた。キュアコンプリートの『プリキュア・ブレッシングキッス』を受けたことで闇の使者の中から飛び出して、この中に吸い込まれたようだ。
時刻は午前1時。良い子はすでに眠りについている時間。ステフォンの外を覗き込むと、他のプロトキュアたちは、ステフォンの外の巡の元で眠っている。
仲間達は、おそらくまだ目覚めなかった自分を心配してそっとしているのだろう。気を遣ってくれているのだろうが少し心細くて、彼女達のそばへ行こうとする。
『……え?』
『……っ!?』
「……!!」
しかし、一瞬脳裏によぎったコンプリートとプロトラブリーの、驚いてどこか気まずそうな表情を思い出し、伸ばした腕が止まった。
「……」
彼女達のところにいけば心細くなく過ごせるのだろうけれど、今のブルームにはそこへ踏み出す勇気がなかった。
いや、巡や他のみんなの元へ踏み出す資格はないと思っていた。
自分のせいでコンプリートが余計にステフォンを手放さなくなってしまったし、自分のせいで他のプロトキュアたちを混乱させてしまった。
もしもあの時、コンプリートに全てを話すことなんて考え付かなかえれば。
もしもあの時、自分たちの世界のことをみんなにもっと早く話していたら。
もっと別の道だってあったはずなのに。どうして自分は勢いのままで動いてしまうのだろうか。
「……ブラック、今頃どうしてんだろう」
もう一つ、彼女にとっての気がかりなことといえば、いつの間にか笑うことがなくなった黒い闇の使者の姿だ。
プロトキュアの自分が闇の使者の自分から離れたことで、あの人を行く末を追いかけることはできなくなった。……何かと無茶をして抱え続けるあの人を気にかけることはできない。
あの人は、自分たちが知らないところでネオフュージョンによる世界の破壊やプリキュア達への攻撃に、無理やり加担させられていた。
ブルームは、彼女のその姿を一度だけ目撃してしまったことがある。その時の衝撃的な記憶は、心にトラウマとして自分の中で留まり続けている。
『ぅ、ぅ゛ぅぅ……』
『ブラック……』
もしもあの時、自分が目覚めるのが早かったら……あの人はあそこまで壊れることはなかったのに。
もしもあの時、ちゃんとあの人に言いたいこと全部を言っておけば……あの人は自分のことをもっと話してくれたかもしれないのに。
「……」
考えれば考えるほど、心を埋め尽くすように後悔の念が降り積もる。
「……ごめん……」
結局彼女は、ステフォンの外へ────みんながいる場所へ飛び出すことはできず、再び眠りについた。おかしな時間に目を覚ましたから眠れないとは思っていたのだが、案外すぐに寝付けたようだ。
夜が更けて行く中、彼女の心に燻る後悔が燃え尽きるのは、まだまだ先の話になりそうだ。
番外編2・おしまい
この後第25話冒頭に繋がるんですねえ