これもポイピクの方に投げてたやつをもう少し肉付けした
番外編3:秘密の約束
『ブラッ、ク……っ』
『……っ!?ブルー、ム、なんで、ここに……?!』
「……っ」
ダークネスブルームは、とても気分が沈みきっている。そして、これからどうやってあの人と話せばいいのだろうと悩み散らしていた。
なぜなら、ブラックに『知らなくていい』と言われたあの光景を見てしまったからである。そのせいで精神的なダメージを喰らい、僅かに吐き気を催している。
あの人は、ネオフュージョンによって世界の破壊という、確実にヤバいものに加担させられていた。そしてあの人があんなに心がボロボロになっていた理由もわかってしまい、何から聞けばいいのか、どうやって接するのが正しいのかがわからないのだ。
「……ど、どうすれば……」
「……あの」
「うわぁぁっ!?」
肩を落とすブルームを心配してか、いつの間にか他の世界から戻ってきたブラックに話しかけられ、存外大きな声を出すほど驚いてしまう。
「びっ……くりした……、どうしたのそんな大声出して」
「どうしたのってなんでそんな呑気に……あなたのことで悩んでたんだって!!」
「わ、私……?」
ここまで言ってしまい、仕方がないので本人に直接聞いてみることにした。
「……ブラックは、いつからあいつの
「……目覚めてからずっと」
「そ、そんな長く……?」
彼女の質問に、ブラックは特に隠す様子もなく素直に答える。正直見られてしまった時点で隠せるものは何もないのだ。
ブルームが目覚めたのは、ブラックが闇の使者となってから期間が空いている。奴の世界では時間が過ぎている感覚が全くわからないが、少なくとも1年程度、下手をすればそれ以上の期間は過ぎている。
その間に彼女は、一体いくつの世界を、何人もの
「ステフォン探しが楽になるように、あいつの手元にいた何人かの魂を闇の使者の中に入れてくれる分、私はあいつのいうことに従わざるを得なくなったの」
「そ、そんなことが……」
半分諦めた様子で呟くブラックに、心配の声をかけようとする。
「い、嫌ならわざわざあいつのいうことを聞かなくたって……」
「それは、できない……」
「で、でも、それだとブラックがずっと苦しいだけじゃ……」
「いいの。……私には、これしか選べなかったから……」
「ぶ、ブラック……?」
やはり彼女は、闇の使者になる前の彼女とはどこかかけ離れている。虚ろな紅い瞳は、ブルームの方を全く向いていない。
闇の使者としての体を手に入れてしまったことで、ブラックはやつの言うことを聞かざるを得なくなってしまった。
こんなことになってしまうなら、奴の言うことを聞かなければよかったと言う後悔はもう遅い。それに、あのままでは奴の人質の様に捕まえられていた者の魂がどうなるかがわからなかったのだ。
重いものを抱えたままずっと心配したままのブルームに対し、ブラックは申し訳なさげに口を開く。
「ごめん……やっぱり、これは私の責任だから……これ以上、優しくしないで……」
「……っ!!」
そのまま、ブラックは距離を取ろうとして振り返り、どこかへいなくなろうとする。
「ブラックの……なぎささんの、分からず屋っ!!」
「……!」
彼女にとっては、これ以上心配されたくなかったから出てきた言葉だったろう。しかしその言葉は『こんな悪いことをしている自分とは関わるな』とも無理をしていっているようにも聞こえてしまう。まるで自分の心配を無碍にするような言葉に、思わずブルームが声を荒げてしまう。
まさかの反応に、ブラックが立ち止まる。
「どうしてそんな重いものを、一人で全部背負おうとするの!?」
「っ!?」
「たとえあいつに逆らえなくても、嫌だったら嫌って私たちには言っていいんだよ……?」
「……、でも……」
おそらくだが、ブラックは自分が背負ってしまった業を、彼女にも背負わせてしまいたくないのだろう。それでも目の前の彼女は、真っ直ぐに自分を見つめる。
そんな彼女の顔を見て、ブラックは大きく息を吐く。
「……分かった。……もし私が間違ったことをしたら、殴ってでも止めてね」
「え?それって……」
一体何が分かったなのか。ブルームが詳しく聞こうとしたが、「あいつに呼ばれてるから」とかわされてしまい、彼女の手を掴もうとした腕が虚空を切った。
あの人は、一体どこで変わり果ててしまったのか。
────これは、まだ二人ぼっちだった時の、二人だけで交わされた秘密の約束のような、一方的なお願いをされたお話。
番外編3・おしまい