ポスアポ世界に転生したけどゲームの主人公かもしれない 作:ナナの四六三
やあみんな、初めまして。俺だ。例の黒人ではないけどこんちくわ。一般チート(多分)転生者の
でも多分異世界転生かなんかだと思う。他にも色々可能性はあるのに──例えば地球が滅びた後にコールドスリープから目覚めたとか、終末世界に憑依転生したか、なお全て荒唐無稽なものであることは置いておくとする──なんで転生と断定したのかと言うと目の前に浮かんでいるこれが原因だ。
『ここは既に滅びた名も無き終末系ファンタジー世界。あなたの能力を活かし生き残ってください!』
◆チュートリアル開始
・木を切ろう
・スクラップを集めよう
・作業台をクラフトしよう
・焚き火をクラフトしよう
・安全な拠点を建築しよう
・安全な水を確保しよう
(以下略)
はい、ゲームですねこれ。しかし妙にクオリティの高いゲームだなーあははと思っていたかった。違いますよねそうですよね。俺の生きていた時代にフルダイブなんてないし、仮に実は俺がコールドスリープしてたりして未来で作られたゲームの中にいたとしてもSTLでも使ってなけりゃあり得ないこのリアルさ。そして軽く
さて、一般人の俺が軽く周囲を見渡したところ、判断できたのは3つ。まず一つここは元都市部であること。二つ、文明崩壊からそこそこの年月が経過していること。三つ、ここは地球ではないかもしくはファンタジーが侵食してきた世界線の地球であることだ。
三つ目に関してはここは多分普通に異世界だと思う。名も無きファンタジー世界って書いてるし、このウィンドウを信用するとすれば──稀によく嘘を吐くウィンドウが存在する──ここは
よく見ずとも崩壊したビル群にはどう見ても現代の技術では作れなさそうなキラキラ合金にTEKな感じの建材が使われていたりするし。どうも崩壊前はSFファンタジーの欲張りセットだったらしい。遠くに見える巨大なドラゴンの死骸のようなものがここをファンタジー世界であることを示す存在だった。……あの骨で剣とか作ったら強そうだ。
一陣の風が吹く。肌を撫でるそれに思わず身を震わせてはたと気がついた。初期装備パンツだけのタイプのゲームだこれ。周囲に人や動物の気配は無いのが幸い?である。ひとまず自警団にお縄になったりはしないようだと思いつつ。マイタスクに服の制作を追加した俺はひとまずこのゲームの機能について確かめることとした。
「メニュー、インベントリ、ステータスオープン!!」
異世界チート転生定番の文言を唱えても特に変化はない。まさかそれら無しで過ごせってわけじゃないよね?と戦慄する俺の前にポンと音を立ててtipsが開いた。
◆メニューを呼び出すコマンドを設定しよう!
次いで出てきた選択肢、ジェスチャーと音声コマンド意思コマンドにチェックを入れる。意思コマンドっていうのは開けっ!て念じたら開くやつだろうか。音声コマンドに『メニュー』ジェスチャーコマンドにはせっかくなので右手の人差し指と中指を揃えて下に振る動作を設定する。*1意思コマンドはメニュー開けって適当に念じたら開くらしい。
「メニュー」
と呟いて開いた新たなウインドウを消して、右手を振って開いたウインドウも消して、開け!と念じて開いたウインドウに俺はようやく目を向けた。ちゃんと設定できてるね、うん。
ゲームを始めたらまず設定から確認する派の俺は真っ先に設定を開いてみるがほんのちょっぴり期待していたログアウトボタンや難易度設定、視野角やら経験値倍率やら、そして画質設定とかの項目はなく、代わりにメニューについての設定がずらりと並んでいた。
「キーコンフィグを変えられないゲームはクソゲーだよ、間違いない」
そう一人ごちながら俺はひとまず設定の項目全てに目を通すことにした。
◇◇◇
全ての設定項目に目を通し終え、ひとまずの機能の確認が済んだので一度整理しよう。まずメニューについて。開くとウインドウが現れる。
いくつかのタブがあってそれぞれクエスト、クラフト、マップ、装備、ステータス、インベントリ、スキル、設定となっている。
サバイバルゲームには明るくないがまあ多分オーソドックスなんじゃないかな?そしてこの世界のインベントリには物が重量値の値まで入るようだ。どうせなら無限に入って欲しかった。
多分スキルで持てる量が増えたりするだろうし、なんなら馴致スキルとかで捕まえた野生生物にでも持たせればいいんだろうけども。拙者チートスキル欲しかったの巻。以上の確認を終えた俺はひとまずチュートリアルを進めることにした。1番上の項目を見る。
・木を切ろう
木を切る、言うのは簡単だが今の俺には道具がない。サバイバルゲームをほとんどしてこなかった*2俺ではあるがまあ序盤は大体二つに分かれると言うのは知っている。素手で木を殴り倒す派閥(マイクラ、ARKなど)と石を集めて枝を拾って石器から作るタイプだ。クラフト画面にも石の斧というのがあるしこれを作って切れということなのはわかる。だがね皆の衆。もっと単純な理由さ。
「いっぺんやってみたかったんだよこういうのおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉ!!!」
ベシ!俺の全身全霊の一撃()が木に突き立つ。あまりに情けない音と共に視界の端にチョンとメッセージが現れた。
◇獲得:木材×1
「いったああああああああああああああ!!!!!!!!」
──そして俺は痛む拳に悶絶することとなった。割に合わねえ!みんなはちゃんと石の斧を作ってやろうね!
◇◇◇
枝と石を拾ってクラフト画面に放り込んで石斧を作って木を切り倒した。ここから分かる事実が一つある。それはこの世界がかなり緩いゲームだってこと。石と枝を固定するための紐が必要なかったからな。しかし次のタスクには必要だろう。
・マイタスク:服を作ろう
服をつくる。テレビで石斧を作ってみた!とかやっているのをみたことはあるが服はない。つまり石斧とは比べ物にならない難易度なのだろうということは想像に難くない。ドクターなストーンでもチート手芸部が復活するまでめちゃくちゃ作るのに時間がかかっていた覚えがある。
そんな難易度の高い代物ではあるが多分すぐ作れそう。クラフト画面に表示されているレシピに布の服というものがあるからだ。尖った石を踏む前にさっさと一式を用意してしまいたい。材料は布と繊維。布を作るには麻があればいいらしい。針も糸もいらないのはさすがゲーム。そういえばここは何かのゲームを元にした世界なのだろうか?その主人公になり変わってる、憑依してるとか?それともゲームの能力を持ってるだけ?
って、いかんいかん。こういうのはなるべく考えない。そうだ、こんな時のために異世界に転生したら注意することをまとめていたんじゃないか。そこ!厨二病乙とか言わない!所詮ゲーム世界とか原作知ってるから余裕っしょと舐めてかかった転生者は狂うシナリオに、現実の仕様に足を取られて取り返しがつかなくなる。
大事なのは認識。ここは現実だ。
繊維、麻は草から取れるらしい。スキルの欄を開いた時にチュートリアルと称して取得させられた採取系統の素材探査スキル(パッシブ)の効果で欲しい素材が取れる場所まで教えてくれた。チートみを感じるね。とはいえ、素材の正確な名前がわかっていないとならないのでレシピの必要な素材の場所を知ることくらいにしか使えんが。
草……毟ればいいんか?そう思って採取マークの出ているそのへんの一般的な雑草(前世基準)に手を伸ばすとシュッと音がして周囲の草がごっそり消失した。
◇獲得:繊維×8 麻×6 果実(小)×4
まあ楽ちん。というわけで草に手を翳して回ってすぐに必要数の麻と繊維が集まった。サバイバルゲームにあるまじきお手軽さだ。いや現実に当てはめたら大体どんなゲームもクソチートか。
次はクラフト画面を開く。右手を振って呼び出したウインドウのタブをクリックして現れたクラフト一覧の下方。布の服、布のズボン、布の靴を押す。インベントリの素材が消滅し、クラフト中…の表示が現れた。
数分後、俺のインベントリには布の服一式が揃っていた。装備欄を開いて胴体の部分を押すとなし、その下に布の服、という文字列がある。早着替えに便利そうだ。布の服を選択した次の瞬間体が光に包まれ、俺は綺麗な布の服を纏っていた。めっちゃ便利ですやん。
◇服を手に入れた!
◇◇◇
暗くなってきた。寒い。元々俺がここに来たのが太陽が頂点に達するところだったのも相まって一瞬で日が沈んでいく。普通に怖い。
時間がないから今日は前者で妥協することにした。まあ建築センスないしちょうどいいだろう
材料は……木が足りないな……というわけで木こりの時間だ。石の斧を取り出して、俺はテキトーな木を探して斧で表面をコンコンする。ベシ!ベシ!ベシ!と鈍い打撃音が響くのに合わせて視界左端にて◇獲得:木材の値が増えていく。某恐竜ゲーでは藁も出てきたのだけれどここでは取れないっぽい。しばらく叩き続けていればメキメキと音を立てて木は消滅してしまった。あと3本くらいかね?
3本くらいだった。石斧をインベントリに放り込んで俺は早速クラフト画面を見てみる。
◇安全なボロ小屋
安全に睡眠をとることができるボロ小屋
木材:230 繊維:200
「製作開始っと」
出来た!オヤスミナサイ!………ベッドが恋しい……グゥ
転生のくだり雑だから後で治す。たぶん